Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る 作:ロシュ
やっぱり4日に一回のペースが楽です。(あとがき書いてたら日付変わったorz)
さて今回で過合成スネーク公式戦は終わりです。長かった。というか書くスピードが遅くなった。
実は一か月前の健康診断で肝機能の数値が悪くて要検査判定でました。多分この一年で体重が増えBMIが27あるので脂肪肝だと思います。
そのため週二回20~30分のジムを週5回40分~60分に変更して書く時間と体力がないなりました。みなさんも健康にはお気をつけて。
感想、誤字報告、評価、お気に入り登録感謝です。たとえランキングから外れても、書くのがしんどくても。この作品は書ききると決めてるので貫き通せるように努力します。
ユミナは指揮車から、二つの光点を見ていた。
アキラとカツヤ――前面でヘイトを引き受けながら戦線を支え、その間に外部要員が若手の救出に回る。崩れかけていた序列が、ぎりぎりのところで持ち直しつつある。
二人の少年は汗と煤にまみれた顔で、子どものように目を丸くして、ギラギラした目で、ともに戦う相手を意識し対抗し争うかのように連携していた。
それを見たユミナは――少し、悔しそうに笑った。
(妬いちゃうわね。カツヤのあんなイキイキとした戦い方なんか、私じゃ引き出せないわ)
嫉妬。尊敬。憧れ。三つ巴の熱が胸に同居する。
(でも、いつか――私も、あの舞台に上がってみせる。カツヤと歩むって、決めたんだから。)
同じモニターを覗き込みながら、隣でアイリも小さく息を呑む。
「……すごい。あの二人、噛み合ってる。私たちみたいな、連携訓練も何もなしで」
「でしょ」ユミナは短く返す。視線は戦場のまま。
「いいなぁ」
「頑張ろう、アイリ」
「うん」
ぽつりと零れたそれは、労いでも羨望でもなく、次に進むための“宣言”めいた響きを持っていた。
◆
砂塵は焦げの匂いを含み、担架が行き交う。五体満足もいれば、手足のない者、覆いを掛けられた者――外部要員は区別なく回収を続ける。
ドランカム若手たちの姿は死体や負傷者になり、ロケットランチャーで攻撃可能な人間がかなり減ってしまった。
人手の減少は火力の減少につながり、それによって楽勝は辛勝へ、辛勝は長期戦へなりつつある。
このままではいずれにせよ費用も時間もかかってしまいジリ貧となってしまう。盤面を押し切るための“布陣”が、もうない。
「言い方がきついけど、リリーが馬鹿な事をしたせいで、作戦に大きな支障が出た。ガッテム」
指揮車でアイリが乾いた声を落とす。ユミナは唇を噛んだ。外部要員の多くがうんざり顔で後方へ下がり、若手は恐怖と悔恨で気勢を失いかけている。隊列の呼吸が乱れれば、いずれ全体が崩れる。
そのとき、無線が響いた。
『――俺に従え! 責任は俺が取る!』
震えのない一声。腹の底から押し上げるような、カツヤの声だった。
短い沈黙ののち、返答が連鎖する
「了解!」
「カツヤに従うぞ!!」
「敵の潜水艦を発見!」
「「「ダメだ」」」
「ドランカムで動けるやつ集まれ!再編して列を詰めろ!」
「俺たち外部組も援護する!」
「オレ達の
「みんな!!
(なに…これ?)
ユミナは思わず胸の内で呟く。
カツヤは俺たちの味方で俺たちはカツヤの味方で、俺たちは一心同体である、そう思わせるような思いがその一言から戦場へ駆けめぐる。散りかけた意思が束ねられていく。同一化が帰属を生み、帰属が役割を整える。火線は揃い、伝達は短く、迷いが削がれた。戦場が還ってくる。効率は目に見えて上がった。
各ドランカムの班がユミナやアイリの指示なしで再集合し陣形を整える。
外部ハンターたちがそれを補うかのように戦術を変える。
まさにその動きは熟練の正規兵のような動きだった。
「――待って」
それはあり得ないのだ。今ユミナの眼前にはありえざる光景が写っている。
なぜこのような連帯感が、急にチームワークが発揮されているのか。疑問は絶えない。だが今はそのなぜを考えている場合ではなく、目の前にある戦場をどう切り抜くべきか。そちらに意識を向けなければならないとユミナは意識を切り替えた。
それはアイリも同様であった。
◆
その後再編し一体感が生まれた。だが失われた人手や火力は戻ってこない。依然として減少しているリソースを再利用するが、決め手がない。
その時ユミナの視線が別の点に止まる。オタクが運転していた伝説のキャンピングカーのように横転し*1、炎上しかけていた多連装マイマイの主砲が搭載されている違法車。大型ジェネレーター搭載車も、マイマイ砲車もまだ健在だ。
「あれしかない!」
(多分アレは撃てる。遠隔操作機能は駄目になってるから……直接行って誰かが確かめるしかない!カツヤはもうそこにいないし、アキラはさらに遠いし…仕方ないわね)
「アイリ、ここ任せていい?! 私、はあの主砲が動くか確認してくる!!」
「ユミナ!? 危ない――」
「あれが撃てれば勝てるはずなの!」
「でも、危ないことには変わらない。勝負を急ぐ必要はないと思う、よ」
「ええでもこのままじゃ、なにも変わらないから」
アイリは何も言えなかった。
「じゃあ行ってくるわね…これで最期の別れにするつもりはないけど。カツヤを頼むわね」
「ん、任された。あと、私の分も戦ってきて。」
「うん、わかった。じゃあねアイリ。行ってきます!」
「いってらっしゃいユミナ。まってる、から!」
ハッチを蹴り、熱風を裂く。ユミナは荒野用バイクに乗り駆けていく。
◆
その後ユミナはバイクに乗り戦いながらも横転した車両にたどり着いた。ユミナの強化服では横転した車両をもとに戻すことはできなかったので、ひとまずはひしゃげて開かなくなった車の扉を強引にやぶち開ける。
その後操作画面や簡易整備システムを使用し、一通りの機能が生きていることを確認した。
さらにユミナは再起動ボタンを連打し、マイクを掴んでジェネレーターの再接続を怒涛の早口で指示し、焼けたケーブルをブチ込み、冷却ラインを迂回させる。主砲のパネルがゆっくりと再起動し、虚ろだったインジケーターに光が戻った。
「ビンゴ!やっぱりまだ動くわ!!でも、こっから動かせないから砲の向きは変えれないし、当てるには――射線に“来させる”しかないかも」
そしてユミナはカツヤとアキラに連絡を飛ばし、最終作戦を伝える。
『了解。そっちに誘導すればいいんだな?』アキラの声。
『おい!勝手に話を進めるな!だいたい誘導して、殺しきれなかったらユミナが危険だろ!!ユミナ!大丈夫だ俺がなんとかするからーーーー』とカツヤ。
「ねぇカツヤ、私ってそんなに信用ない?」
言葉に、一拍だけ空白ができた。
ユミナの一言にカツヤが戸惑う。
アキラが付け加える。
『カツヤ、少しは自分の彼女を信頼したらどうだ?』
その瞬間二人の時が止まった、なぜばれているのだと。
「ね、ねぇアキラ?なんで私たちが付き合ってるってわかったの?」
『え、いや。普通に生真面目なカツヤがユミナとアイリをセフレで済ませるわけないだろ。どうせ責任取るとか言って少なくとも二人のうちどっちかと付き合ってるだろうなと思ってな。あとはブラフな』
再度、カツヤとユミナが絶句する
その時声にならない声がアキラの鼓膜を襲ったが、アキラはにやにやしながら聞いていた。
『さて、ひとまずはいい感じに気が抜けたろ?正直賞金首と戦ってるときに話す言葉じゃないけどさ!!』
アキラが空気を入れ替えるように声を洗上げる。
再起動したカツヤが返す。
『あああああわかった!!それで勝てなかったり、ユミナがケガしたら。アキラ、お前を許さないからな!!』
「あら?カツヤ、あなた自分の彼女が待ってるのに迎えに来てくれないの?あの日の言葉は、嘘なの?」
ユミナが真面目なトーンで、しかし真剣に言葉を紡ぐ。
『いや、あの言葉は嘘じゃない。何があっても二人を守るよ』
「そうこなくっちゃ。ーーーさて、どのタイミングで誘導して、どのタイミングで打てばいい?二人に任せるわ。ちなみにすぐ打てるし、時間差で20秒まで待機状態にできるけど…」
そうするとアキラとカツヤは同時にこたえる。
『『1っ分後に発射だ!!』』
次の瞬間、二つのバイク(と一台の軽車両)が“最後の舞”を始めた。
アキラが左へ身を切り、スネークの眼を釘付けにする。巨体が視線を向ける寸前に、右からカツヤが腹を掠め、節間へ徹甲を置いて跳ねる。痛覚が遅れて追いかける。その遅れを、もう片方が必ず叩く。
白熱光が空を裂くたび、二人は半拍だけ早く動いた。尾が地を打つたび、すでにそこには誰もいない。
“阿吽”という言葉が過ぎる。まるで長年組んできたバディのような連携を二人は即興でこなす。
『ユミナ、射線まであと三十秒! 10秒後から発射シークエンスを始めてくれ!』
「了解!!頼むわよ、二人とも!」
ユミナは砲身の冷却をむりやり切り替え、照準線上の瓦礫を撃ち抜いて道を作る。爆煙の幕が風で千切れ、一直線の空間が露わになった。
残り20秒。多連装マイマイの主砲が光を放ち始める。
その瞬間、スネークは“自分を傷付けた砲”へ優先度を引き上げる。眼が砲へ向き、体節が動き、進路が――
直後過合成スネークの目付近で爆発が起こる。
『いきなりキングは取れねぇだろうよい』
アルファの演算により絶妙に過合成スネークの気をそらす程度に火力を調整したA4WM自動擲弾銃による擲弾により、過合成スネークの進みが一秒止まる。
首を振り、そしてまた過合成スネークは進み続ける。
残り10秒
過合成スネークが進行を続ける。
そして突如過合成スネークの懐にバイクが飛んでくる。
『これでもくらえ!!』
カツヤは自分のバイクを投げ入れ、アキラの車体に飛び乗る。同時にアキラのA4WMと、カツヤの高性能銃を二挺で連射。
すると腹部で大爆発が起き、過合成スネークがバランスを崩し、頭を前にまっすぐ倒れる。
残り、一秒。
「――死になさい!!!」
多連装マイマイの主砲が光の閃光を纏いながら、白く咆哮した。
すべてを焼き尽くす光条が、一直線にスネークの頭部からすべてを飲み込み、穿つ。
装甲がめくれ、内部の繊維が弾け、青白い蒸気が噴き出す。
遅れて、野太い悲鳴。頭から胴体まですべて一直線に貫いかれた巨体が沈黙した。
◆
ややあって、荒野は歓声に包まれる。
動かない巨体。蒸気が晴れ、空が抜けていく。
指揮車の中、アイリは肩の力が抜けるのを感じながら、無線の雑音を整理する。救難のシグナルは“回収済み”に切り替わっていく。
画面の片隅では、ユミナが主砲車のハッチから顔を出し、彼女に向かってくる一台の車に視線を固定していた。
車から降りてきたカツヤがユミナに駆け寄る。
「大丈夫かユミナ!?ケガはないか!?無事か!?」
「はいはい落着きなさいカツヤ。私は無事だし、カツヤも無事。それに私に労いの言葉は?」
息を整えたカツヤが笑う。
「ありがとう。お疲れさま」
ユミナは不覚に胸が跳ねたのを隠し、「こっちこそ」と返す。
その甘ったるい空間にアキラは車から離れて見ていた。決して主人公とヒロインのラブコメを邪魔しないようにと、珍しく気を使っていた。
『あっま。コーヒー入り練乳*2みたいに甘い空気だな。同じ空間にいるだけで糖尿病になりそうだ。それも一型*3な。このラブコメは放射能みたいに遺伝子に直接届くぞ』
『練乳入りコーヒーじゃなくて?しかもコーヒーに練乳なんて馬鹿げてるわね。*4あと糖尿病なんて贅沢病は感染しない病気よアキラ。というかそんなマイナーな病気よく知ってたわね』
この世界では残留ナノマシンを完全に回収しクリーンにする医療がすでにある。そのため過剰摂取した糖分を元に戻す治療は存在しており、また一型糖尿病のような自己免疫疾患でも自己免疫を正常に戻す治療も存在していた。
ちなみにその治療法はナノマシン治療よりは安いがスラムの住人には手の届かない値段であるため、スラム生まれで自己免疫疾患の人間だとろくな治療も受けれず死んでしまう。スラムでは人の命は軽く、そして資本主義はこの世界でもそうだった。
なお、アキラはそんな治療があるんかい!!と前世の医療技術ではなしえなかった技術体系があることに深く驚いた。
ちなみにこの世界だとスタップ細胞はあります。*5万博で展示されてた人工心臓も余裕であったりする。*6
その後イチャイチャを終えたカツヤとユミナがアキラにもねぎらいの言葉を言い渡した。アキラはそれを素直に受け取った一方でしっかりとインセンティブはいただくからなーと伝えた。情緒もくそもない。
やがて二人はアキラの車に同乗し、部隊と合流した。
胴上げされるカツヤを横目に、アキラはやっと息を吐く。アルファは既に反省点と改善点を箇条書きにして読み上げ始め、アキラはそれを半分だけ聞きながら、エレナたちとの再会と、また食事でもどうかとデートの約束を取り付け帰還した。
――こうして、過合成スネークの
ハンター極道たち「オレ達の黄金時代(オウゴン)が還ってくる!」「みんな!!加速剤(ヤク)キメろォォ!!」「加速ヤクで御座いますな 加速ヤク汁じるに浸した紙加速ヤクーー… 回数券クーポンの如く千切り舐めてキメるわけです哉」「ガキモツ、回収していいんか!」「回収してヨシ!」「有難(アザ)っス…オレ無能辞めます」「幻想(ユメ)じゃねえよな…」
エレナ(なに…これ?)ほんそれ
読了感謝です。
これにてドランカム若手による過合成スネーク公式戦が終わりました。次は非公式戦です。
書き続ける気はあるんですが、いかんせん展開がおせぇ!漫画版超えたから読み直しなうです!はやくキャロルとカナエが書きたいよ!!
ちなみにアキラは交渉せずに帰ってますが、すでにシェリルが交渉に動いてます。さすがは俺らの天使。
さて、原作との相違点ですが
・カツヤの洗脳に、ユミナとアイリが飲み込まれない
→愛のパワー()です。ご都合主義とも言う。原作より三人の仲がいいので不安定じゃないのと、無意識の洗脳でさらに無意識にユミナとアイリに隷属化させたくなかったとかそんな感じです。原作でもエレナやサラが違和感を持ったりするので、洗脳の効き目が薄い人もいますしね。
・過合成スネークが覚醒カツヤと絶好調ノリノリアキラによってリンチを喰らう。
→正直やりすぎた感はありますが、原作よりアキラの装備がいいので可能。もちろんトドメはレーザービーム。
・過合成スネーク中身が空洞になるくらい貫かれてる
→なんか穴あいてるけど…気のせいだよね!脱皮して逃げたとかないよ!()ハハハとハンターオフィス職員は笑ってます
余談
忍者と極道は漫画で読んでました。内容も首もぶっとんでておもしろいです。