Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る 作:ロシュ
そして、ある日。静かな荒野の風が吹く、いつもと変わらない一日だった。
だが、その日もまた、アキラの“平穏”は踏みにじられた。
工場跡地の拠点周辺に設置した簡易センサーが、低く震えるようなアラームを鳴らしたのは、昼を過ぎてすぐのことだった。何者かが、接近している。
即座に監視用カメラを確認すると、三人……いや、五人。バラけて歩いているが、動きには統率がある。子供が近づいてくるような気配じゃない。明らかに獲物を狙う「狩り」の動きだった。
アキラは即座に判断した——“来たな”。
(……まーた来たか、やっぱりこの工場に金目のものがあるって噂が流れてると探りに来るわな)
それに加えてその工場に子供が出入りしているという噂も流れているため、スラムのガキですら無事に出入りできるなら大人でも余裕だと慢心するヤツは多い。しかもガキのくせにアサルトライフルを背負い、装備も小綺麗で、それなりに稼いでる雰囲気が漂っている。こんなやつが単独でスラムの外を歩いていれば、目をつけるなという方が無理な話だった。そしてそのガキが持ってる装備や物資を奪おうとするのはスラムの大人としてフツーの考えだった。
敵は、とあるそこそこ大きな徒党のボスのシベア。以前見かけた、粗暴でいかにも襲撃慣れした中年の男だ。噂によると元ハンターで、背中にでかいナイフ、腰に短銃、手には銃ではなく鉄棒を持っている。射線を警戒しているというより、獲物にばれないよう“音”を避けてる動き——本気で殺りに来てる。
今までもこの拠点が襲撃されたことがある。だが今回は違う。いつもより重装備な襲撃者、そしてハンター崩れの徒党のボス。否応にもアキラの警戒心は上がっていく。
(よしお客様だ、きちんとお出迎えしてあげないとっな!)
アキラは静かに工場の奥へと下がりつつ、設置していたトラップの一部を手動で作動させた。
まずは入口近くの瓦礫の山を崩す。ガラガラッと大きな音とともに舞い上がる砂埃。敵の視界を遮ると同時に、そこを通ろうとした一人が足を滑らせて転倒。
「くそっ、なに——!」
その声を遮るように、足元で何かが跳ねる音——ブービートラップ。仕掛けたのは空薬莢と針金で作った簡易爆竹。パン、と小さな破裂音が鳴った瞬間、男たちは本能的に身をかがめる。
そこへ、アキラの初弾が放たれた。
——パン、パン、パン。
隙間から狙撃するような角度で、単発撃ちのアサルトライフルが吠える。膝、肩、腹部。徹底的に急所を狙い撃ち抜く。
「このガキ、どこから撃ってやがる!?」
「罠だ! ここ、全部囲われてる!」
「くそ、戻——ぐっ!」
退路を断つように、背後の非常口に仕掛けたスモークが炸裂。中には石灰と油を混ぜた刺激性の粉が含まれており、目を開けていられない。男たちはパニックに陥り、ついにはリーダー格の男シベアが単身突撃を決断した。
「チクショウがあああッ!!」
雄叫びとともに工場内に踏み込んできたその男を、アキラは静かに迎え撃った。背後の遮蔽物から飛び出し、至近距離から発射。
——ダダダダダッ。
フルオートで浴びせられた弾丸の半分以上は男の胴体に食い込み、残りは周囲の壁を穿つ。数発は外れたが、それでも十分だった。男はその場に崩れ落ち、最後に吐き捨てるように呻いた。
「クソ……ガキが……」
「ハッ、そのクソガキにやられる気分はどうだい」
さらに乾いた音が三発。男の身体が後ろに弾かれるように倒れ、その場に動かなくなった。
アキラは銃を構えたまま、数秒その場に立ち尽くしていた。足元の男から、じわじわと赤黒い血が広がっていく。
「……やったか!」(フラグではない)
念には念を入れ、他の襲撃者の頭と心臓めがけて二発の銃弾をプレゼントしていく。いつも通り手慣れた作業だ。
「今回攻めてきたヤツらは強かったし、結構トラップ使っちゃったけど……まぁこいつらの身包み全部剥いだら全然収支プラスだ。やったぜ」
そうしてアキラは襲ってきたシベア達の死体から物資を抜いていく。その後、使ったトラップの補充と武器のメンテナンスを簡易的に行う。
「とりあえずある程度はトラップの再設置が終わったし、残ってる分は明日やるとするか。さてこれで今日も安心して熟睡できる」
そう独りごち、アキラは夢の中へと落ちていった。
夜が明ける頃には、残党の足音すらもう聞こえなかった。そしてそのシベアが率いていた徒党は、後ろ盾のボスの死亡により崩壊した。
読了感謝です。いい感じにお気に入りや評価いただくとやっぱりモチベかなり上がりますね。自分で好きなタイミングで書くよりこうやって投稿するほうが心理的にも続きそうです。引き続きご意見感想評価誤字報告評価感想評価おねがいします
なお進撃の巨人は全巻もってますがアニメはファイナルシーズンまで観れてないです。好きなキャラはサシャです。蒸かした芋にマヨネーズとコショウかけるのが好きです