Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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閲覧感謝です。
前書き書いてたら間違ってロードしたおかげで書いてた文章消えたので初投稿です。

そして皆さん、メリークリスマス!(出遅れ)そして、今年もよろしくお願いします!(まだ早い)

本日で仕事納めの方もいると思います、そしてまだ月曜日も出勤だよーって方もいると思います。お疲れ様です。
しんどいとは思いますが、ここに12/29と12/31と1/2が出勤の僕がいるので、「ああこいつよりはましだ」と心を落ち着かれてください。くそがよ。

さてサブタイがなーんも思いつかんかったので、いいサブタイ思いついたら多分サブタイ変えます。


今作アキラがワイヤーガン買ったのは、だいたいこのシーンを書きたかったから

 

 

 キャロルとモニカと別れた後、アキラはアルファのナビに従って工場区画の奥へと進んだ。

 

 セランタルビル周辺とは打って変わって、廃棄場周辺はひどく静かだった。

 稼働を止めた生産ライン、崩れた天井、床一面に散らばる金属片。

 旧世界の「使い終わった場所」特有の、乾いた空気が漂っている。

 

『ここが資材廃棄場ね。警備は最低限、清掃もほぼ止まってるわ』

 

 

 工場区画の最奥、資材廃棄場。

 

 そこには――

 アキラの胴体と同じくらいのサイズの箱が、無造作に並べられていた。

 

(うおでっか。これで遺物を運ぶのは無理でしょ)

 

 外装は劣化しているが、破損は少ない。

 簡易的内部スキャンを使用すると、反応も悪くない。

 

『内部構造、旧世界製の複合ユニット系ね。十分当たりなんじゃない?』

 

「だよな」

 

 アキラは四つほど選び、袋詰めにして引きずり出す。

 一つ一つが重い。普通ならソロでは運ばないサイズだ。

 

「だからこういう時のための――」

 

 思考だけで命令を飛ばす。

 

 BT兵器のドレットノートが静かに展開。

 反重力ユニットが低く唸り、箱がふわりと浮いた。

 

 四つはアキラが袋に詰めて持ち運び、もう一つはドレットノートに固定。

 ピットの上に積載され、安定制御がかかる。

 

「……よし。これで帰れるな」

 

『浮遊安定、問題なし。でも目立つわよ、それ』

 

「知ってる」

 

 だからこそ、注目される前にさっさと帰るんだ。

 

 

 

 

◆

 

 

 

 廃棄場を離れてしばらくした時だった。

 

 前方から爆発音。

 金属が叩き潰される音。

 

 次の瞬間――

 

「っ、邪魔!!」

 

 聞き覚えのある声。

 

 通路を曲がった先で、キャロルが逃げていた。

 後方には工場警備用の中型機械モンスター。

 

 脚部が多く、機動力が高いタイプだ。

 

(あー……運が悪いな)

 

 キャロルもこちらに気づいた。

 

「ちょっ!?アキラ!?悪いんだけど、火力貸して!!」

 

「あーーー、まぁいいか!見捨てると夢見が悪いしな!」

 

 即断。

 

 アキラは立ち止まり、複合銃を構える。

 同時にを横へスライド。

 

 逃げるキャロルの進行方向から、一直線の射線を取る。

 

『距離、角度、問題なし』

 

 引き金。

 

 圧縮された弾丸が、暴力的な速度で放たれた。

 

 ――脚部関節、破壊。

 続けて胴体中央。

 

 数秒。

 

 機械は火花を散らし、前のめりに倒れた。

 

 沈黙。

 

「……は?」

 

 キャロルが振り返り、目を見開く。

 

「……一瞬で?」

 

「逃げてる側の射線を邪魔しないようにしただけだゾ」

 

「それを“だけ”って言うの、ほんとやめなさいよ」

 

 キャロルは深く息を吐き、肩を落とした。

 

「助かったわ。ほんと今日はついてない日だわ…」

 

「まぁそういう日もある。当然ツイてる日もあるんだ。気にしちゃ負けだよ」

 

「あるけど……子供に助けられるとは思ってなかったわ」

 

 

話を聞くと、彼女たちは工場区画奥で調査中に警備機械の巡回パターンを読み違え、逃走を余儀なくされたらしい。

 地図屋とはいえ、常に安全とは限らない。モニカの姿は見えない。途中で完全にはぐれたらしい。

 

 

 

 

「それでお願いがあるの」

 

 キャロルは一度、壁に手をついて呼吸を整えた。

 逃走の緊張が抜け、ようやく話ができる状況になったのだろう。

 

「本部近くまで、護衛してほしいの」

 

 その言葉に、アキラは即答しなかった。

 複合銃を下げ、周囲を確認してから、ゆっくりと彼女を見る。

 

「……悪いが、そのつもりはない」

 

「は?」

 

「俺もこれから帰るところだが、ソロだ。護衛を引き受ける理由がない」

 

 合理的な判断だった。

 キャロルは強いが、今は逃走中。

 余計なリスクを背負う必要はない。

 

「待って。話は最後まで聞いて」

 

 キャロルは即座に言葉を被せる。

 

「私、裏口を知ってるの」

 

 その一言で、アキラの視線が鋭くなった。

 

「……裏口?」

 

「ええ。この遺跡を“安全”に脱出できるルートを知ってるの」

 

 キャロルは周囲を一瞥し、声を落とす。

 

「警備ラインをほぼ通らずに、基地方面へ出られる非公開ルートよ」

 

「そんなもんがあるなら、最初から使えよ。てか安全なルートなら一人でいけるだろ」

 

「本来は“帰路専用”なの。それに――」

 

 キャロルは一瞬、言葉を選ぶ。

 

「いまの遺跡の状況だと、私一人でその場所にたどり着けないの」

 

 アキラは小さく息を吐いた。

 

「……で、タダじゃねぇんだろ?その情報はいくらだ」

 

「二千万オーラム」

 

「高いな」

 

 即座に返したが、声色は冷静だった。

 相場としては、決して法外ではない。

 

「払えなくはないけどな」

 

 アキラは少し間を置き、正直に続ける。

 

「俺が一人で帰るなら、その金は払う必要のない額だろ」

 

「……」

 

「この荷物もある。単独行動の方が安上がりだ」

 

 キャロルは唇を噛んだ。

 

「……それは、そうだけど」

 

 悔しそうに言いながらも、否定できない。

 だからこそ、次の一手を出した。

 

「じゃあ、条件を変える」

 

 キャロルは一歩、アキラに近づく。

 

「私を裏口まで護衛して。そこから基地近くまで安全に戻れたら――」

 

 一拍置いて、はっきりと言った。

 

「その情報、タダでいい」

 

「……」

 

「二千万分を、護衛費で相殺。どう?」

 

 アキラは黙って考えた。

 

(アルファに聞けば、似たルートは引き出せるだろう)

 

 だが――

 

(それを当然のように使い倒すのも、なんか違う)

 

 それに、条件は悪くない。

 

・護衛は帰路ついで

・高額情報が入手できる

・帰路の安全性が上がる

 

「……合理的だな」

 

「でしょ?」

 

 キャロルは小さく笑った。

 

「私も、ただで命を預けるほど図々しくはないつもりよ」

 

 アキラは一度だけ周囲を確認し、頷いた。

 

「いいだろう」

 

「ほんと!?」

 

「契約成立だ」

 

 キャロルは心底安堵したように息を吐いた。

 

「ただし条件がある」

 

「なに?」

 

「無駄に前に出るな。俺の指示に従え」

 

「了解。今だけは大人しくするわ」

 

 ――今だけは、という言葉を、

 アキラは聞かなかったことにした。

 

 

 

◆

 

 

 

 キャロルの案内で辿り着いたのは、

 工場区画のさらに奥。

 

 そこには――

 無数のコンテナが並ぶ、大規模な集積所が広がっていた。

 

 異様だった。

 

 コンテナの一部が宙に浮き、

 次の瞬間、半透明になって空間に溶けるように消える。

 

 別のコンテナが、

 何事もなかったかのように別の位置から出現する。

 

「……なんだここ」

 

「物流用の転送集積所よ。

 旧世界の自動管理エリア」

 

 キャロルが息を整えながら言う。

 

「人間の立ち入り、想定外。

 でも逆に言えば――」

 

「モンスターも入りにくい」

 

「その通り」

 

 コンテナの影に身を潜めながら、

 二人はさらに奥へと進んでいった。

 

 ここが――

 ミハゾノ街遺跡の裏口だった。

 

 

 

 キャロルが足を止め、コンテナ群の一角を指さした。

 

「……あった」

 

 一見すると何の変哲もないコンテナ。

 だが、近づいた瞬間――輪郭が歪み、わずかに光が滑った。

 

「光学迷彩か?」

 

「それだけじゃないわ。中身、空洞よし。ナイスよ私!」

 

 キャロルが手を触れると、外装だけが存在しているのが分かる。

 内部は完全に抜けていた。

 

「輸送用のダミーコンテナね。転送ルートの調整とか、偽装用に使われるやつよ」

 

「わざわざ補足説明サンクス。さすがにそれで金を取るなよ。で、これに乗ると?」

 

「ええ。このまま基地方面の集積ラインに流されるから。それにこの情報はあくまで私の予想だから確証性のないデータを請求するわけないわ」

 

 アキラは一瞬だけ周囲を確認し、頷いた。

 

「悪くない。行こう」

 

 二人はコンテナ内部へ滑り込む。

 直後、外装が完全に透明化した。

 

 

 

 

 浮遊。

 重力感覚が一瞬だけ狂い、視界が流れる。

 

「……はぁ」

 

 キャロルが背を壁にもたせ、息を吐いた。

 

「助かったぁ……。さすがにさっきまでの戦闘は、ちょっと焦ったわ」

 

「裏口使っても油断は大敵だな」

 

「それ、私のセリフなんだけど」

 

 緊張が一段落し、空気が少しだけ緩む。

 

「しかし……ほんとに一人でハンター稼業でやってるのね、アキラ」

 

「だからそう言ってるだろ」

 

「普通、こんな目に遭ったら二度と一人で潜ろうと思わないわよ?」

 

「慣れだ。あと……逃げ道を考えながら動いてる。複数人で逃げるより一人の方が逃げやすいんだ」

 

「それが一番難しいのよ」

 

 キャロルは苦笑した。

 

 ――その時。

 

『アキラ』

 

 アルファの声。

 いつもより、明確に切迫していた。

 

『攻撃が来るわ!今すぐ離脱しなさい!』

 

「……来るか」

 

 次の瞬間。

 

 轟音。

 

 コンテナの外装が弾け飛び、衝撃が内部まで叩き込まれる。

 

「っ!?」

 

 砲撃。

 多脚機械モンスターの遠距離攻撃。

 

 浮遊制御が破壊され、二人の体が空中へ放り出された。

 

 

 

 落下。

 

 

 

 視界が回転する。

 

「くっ……!」

 

 アキラは即座にワイヤーガンを射出。

 フックがビル側面に食い込み、落下速度を殺す。

 

 だが――

 

「ちょ、ちょっと!?

 無理無理無理!!」

 

 キャロルが空中でじたばたしている。

 

(さすがに空中行動手段は!持ってないか!)

 

 一瞬の判断。

 

 アキラはワイヤーをたぐり寄せ、ビル壁面を蹴った。

 

「捕まれ!」

 

「えっ――」

 

 キャロルの腕を掴み、強引に引き寄せる。

 

 

 

 衝撃。

 二人の体がビル側面に叩きつけられた。

 

「痛っ……!」

 

「文句は後だ!」

 

 その直後、上空から再び砲撃。

 

 爆風が、ビルの外壁を抉る。

 

『多脚型。重砲装備。この位置だと、逃げ切るのは難しいわ』

 

『……だろうな』

 

 アキラは歯を食いしばり、壁面に体を固定する。

 

「キャロル。しっかり掴まれ」

 

「ちょ、ちょっと待って!

 ここ、高層ビルの側面なんだけど!?」

 

「今さらだろ!いまここで戦わなければ、勝って帰れはしない!!」

 

 アキラは複合銃を構え、ドレットノートを展開する。

 

 落下しながら。

 ビルの側面で。

 

 即席の空中戦が、始まった。

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 敵は、戦車だった。

 

 正確には、多脚の警備機械モンスター。

 だが背中に搭載された砲身は、どう見ても戦車砲クラスだ。

 

 旋回。

 照準。

 そして――

 

『来るわ!アキラ避けなさい!!』

 

 砲撃。

 

 ビルの外壁が抉れ、破片が嵐のように吹き荒れる。

 

 

 

 

「ひっ――!!」

 

「離すな!」

 

「無理無理無理無理!!」

 

 重い。

 視界が揺れる。

 落下速度と反動が、同時に襲いかかる。

 

(……くそっ、想定外だ)

 

 落下しながらの戦闘訓練は、やっていない。

 姿勢制御が追いつかない。

 

 次弾。

 

 爆風が身体を弾き、ワイヤーが軋む。

 

『アキラ、姿勢が崩れてる!』

 

『分かってる!』

 

 だが、どうにもならない。

 

 そこで、アキラは即座に判断を切り替えた。

 

『アルファ!

 姿勢制御補助、最優先で強化しろ!

 反応遅延は無視していい!』

(こっちには立体機動装置があるんだ、駆逐してやる。これは自由への進撃だ!!)

 

『了解!リソース再配分、即時実行するわ!』

 

 次の瞬間。

 

 強化服内部で、感覚が変わった。

 

 空間が“掴める”。

 

 落下角度、反動、キャロルの体重。

 それらが一つのベクトルとして整理される。

 

「……よし」

 

 形成逆転。

 

 

 

 アキラは複合銃を構えた。

 

 まず――メインカメラ。

 

 圧縮弾が、砲塔正面を正確に貫く。

 

 

 

 火花。

 視線は喪失する。

 

 

 

 

 

 次に脚部。

 

 

 

 

 一本、また一本と関節を破壊していく。

 

 砲撃は止まらないが、狙いが乱れる。

 

「こ、こだ!」

 

 最後の一脚を撃ち抜き、

 だるま状態になった警備機械に、アキラは掴みかかった。

 

「な、なにするの!?」

 

「決まってんだろ、ここは高層ビルだ。俺たち矮小なモノたちに全て地に縛り付けるーーーー」

 

 

 

 

「重力を利用して地面に叩き落とすッ!!!」

 

 強化服の腕力。

 アルファの姿勢制御。

 

 

 

「墜ちろ!カトンボ!!」

 アキラはそのまま、機械をビルから放り投げた。

 

 空中で回転し、

 地面へ――落ちて、墜ちて、おちていく。

 

 地に向けて墜ちていったダルマとなった多脚警備機械はアキラたちのその先でーーーー地面と接触した。

 

 

 

 

 大破音。

 

 

 

 そして沈黙。

 

 

 

 

 

 

 アキラは即座にキャロルを抱え直し、

 ワイヤーガンを再射出。

 

 地面スレスレだが、アキラとアルファの操作によって警備機械のように地面に接触しない。

 

 衝撃を殺し、二人は辛うじて着地した。

 

 

 キャロルは数秒、呆然として――

 次の瞬間、叫んだ。

 

 

「い、い、生きてる!!私生きてる!!」

 

 そのまま、アキラに抱きつく。

 

「死ぬかと思った!!ありがとう!ありがとうアキラ!ほんっっっとうに最高よあんた!!」

 

キャロルは落下して死ぬと絶望していたため、命を救われ大歓喜し、アキラを抱きしめる。

 

「痛い!かたい!いいにおいする!かたい!ありがとうございます!ありがとうございます!!」

 

 

 

 ようやく落ち着いたところで、アキラは周囲を見回した。

 

 そして――気づく。

 

 袋詰めにしていた、四つの遺物。

 

 衝撃で、全部粉々。

 

「……」

 

 視線を上げる。

 

 ドレットノートに固定していた分だけが、

 辛うじて原型を保って浮いていた。

 

「……まぁ」

 

 アキラは小さく息を吐いた。

 

「全損じゃないだけまだましって考えるかぁ・・・」

 

 キャロルは呆然と、その背中を見ていた。

 

「……ねぇ」

 

「なんだ」

 

「今の戦い、

 普通のハンターなら“事故死”で人生終わるんだけど?」

 

「知ってる」

 

「……墜ちながらの戦いより、遺物の方にさっさと意識を持っていくなんて。ほんと、何者なのよあんた…」

 

 アキラは答えず、ワイヤーガンを巻き取った。

 

 

 

 

 何者と聞かれても、ただ転生しただけの元社畜であるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アキラ「落下していくopは好きだけど!よふかしのうたとか!まどマギとか!でも実際怖いわ!!」
キャロル「あばばばば」


読了感謝です。
今作アキラがワイヤーガン買ったのは、だいたいこのシーンを書きたかったからです、まぁさっくり終わりましたけど()
というわけで脱出編でした。年内にあと2話くらいかけたらいいなぁ…



明日は音楽Fesだし、ホープフルステークスだし、明後日は有馬記念だし。忙しいっすわ!
あと月が導く異世界道中をレンタルして読んでたり、fgoのレイドとかで忙しいわ!!

でも学生の時の古戦場よりはましだな!!(定期試験直前まで古戦場回ってて無事欠点追試した人)
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