Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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お疲れ様です。閲覧感謝です。

仕事終わりにハサウェイ見てきたんですけど、ほぼほぼ意味がわからなくてとりあえずパンフ買ってました。それでも画面外で死んだやつも含めて大学からの友人のガノタに解説してもらってました。

結論:初見じゃわからん!シンエヴァよりむずいんじゃ!もっと分かりやすくせぇ! です。心のノブもそう言ってます。

さてもともと12000字だったんですが、流石に最終編集を含めると今日中に終わらないと判断したので9000字で許してください。


改めて、感想、誤字報告等感謝です。

余談ですが、今話で一番だるかったのは力場装甲と対力場装甲とかのルビ振りです。もう何度省略しようと思ったか。


モニカ事変

 

 

 明確な敵となったモニカへ、倉庫の空気が一斉に冷えた。

 視線が刺さる。呼吸が浅くなる。指が引き金に触れる。

 

 だが、モニカは平然としていた。

 

「全く……。ちゃんと片付けておいてくれれば、もっと奥まで誘い込めたのに」

 

 面倒そうに肩をすくめる。

 

「この程度の片付けもできないなんて。

 まあ、工場の管理システム程度じゃ、その辺の発想までは無理ですかね」

 

 嫌な単語が混じっている。

 だがエレナはまず、別の確認を優先した。

 

「一応聞いておくわ。……なんで彼らを襲ったの?」

 

「お仕事ですよ」

 

 モニカはにっこり笑う。

 

「私、これでも真面目にハンターやってる方なんです」

 

「仕事ね……」

 

 エレナは即座に“雇い主がいる”と判断する。

 他都市の妨害工作か、裏の依頼か。

 

 そこへトガミが噛みついた。

 

「ふざけるな! 強盗が“真面目にハンター”とか言うな!」

 

 トガミの中では整理がついている。

 遺跡でハンターを襲って装備を奪い、売り払う――よくいる連中。

 その一員だ、と。

 

 だがモニカは小馬鹿するかのように笑い、首を振った。

 

「強盗じゃありません。警備ですよ」

 

 平然と続ける。

 

「不法侵入者の排除っていう、真面目なお仕事。

 ドランカムのハンターなら警備の仕事くらい経験あるでしょう? それと同じです。

 雇い主が違うだけです」

 

 理解が追いつかない者たちの顔が固まる。

 エレナだけが、はっきり気づいた。

 

「……あなた、遺跡に雇われてるの?」

 

 モニカは自慢げに笑う。

 

「そういうことです。正確には――工場の管理システム、ですけどね」

 

 そこでトガミが叫ぶ。

 

「なら…なら!なんで俺が助けた時に警備機械に襲われてたんだ!?」

 

 モニカは意外そうに、というか呆れたように嘲笑した。

 

「襲われてませんよ。あれ、私が連れてきただけです」

 

「なっ……!?」

 

「え、いや。本当に欠片も気付いてなかったんですか?」

 

 トガミへ、冷たく刺す。

 

「あなたが部屋に入った時、あの警備機械は私じゃなくて、あなたに銃口を向けてたでしょう?

 あの部屋には“先に私がいた”。なのに私が無傷で倒れてた。……不自然でしたよね?」

 

 トガミの脳裏に光景が戻る。

 確かに――不自然だった。

 

「あなたに突っ込まれた時の言い訳、いっぱい考えてたんですよ?……無駄になりましたけど」

 

 あなたがバカで助かりました。と言われているようだった。

 

 そして、トガミの怒りが膨れ上がる。

 自分たちを殺そうとした相手を命懸けで助けた。

 それが、許せない。

 

 モニカは余裕の笑みを崩さないまま、視線をキャロルへ向けた。

 

「ぶっちゃけ、キャロルさんは気付いてましたよね?だから助けた後、ずっと私の背後を取ってたんでしょ?」

 

 キャロルも余裕の笑顔で返す。

 

「疑ってはいたわ。邪推じゃなかったのが残念だけど」

 

「どうして気付いたんです?

 あの時、気付く要素なんて無かったはずですけど」

 

「いろいろよ。だだそうね――一番はね」

 

 キャロルは軽く肩をすくめる。

 

「アキラと初めて会った日に、あなたが死んでなかったから」

 

「えー? 酷くないですか?」

 

 モニカが笑う。

 

「っていうか、なんでそれで分かるんです?

 自分で言うのも何ですけど、演技は完璧だったと思うんですけど」

 

「だって、あの状況であなたが死んでないの、不自然だもの」

 

 キャロルがアキラと出会った日、モニカは大量の機械系モンスターの中で“生き延びた”。

 秘密の脱出経路を使った、と言っていた。

 

 だが――

 その実力でそこまで辿り着けるなら、そもそも分断されない。

 分断されたなら、そこまで生き残れない。

 

 辻褄が合う答えは一つ。

 「襲われた側」ではなく「襲った側」なら生き残れる。

 

「まあ、全部憶測よ。

 “遺跡に雇われてる”なんて突拍子もないこと、想像はしてないかったけど何かあるとは思ってた。だから念のため警戒してただけ」

 

「なるほど。じゃあ次はその辺も気をつけないと――」

 

 モニカが言い切る前に、空気が変わった。

 

 シオリとカナエが、いつの間にか間合いを詰め終えていたのだ。

 

 銃が支配する世界で、敢えて近接を選ぶ者は例外なく“異常に強い”。

 そして先ほどもアキラの体術でモニカに対する効果はあった。そのためこの状況では近接戦闘は得意ではないだろう、なら使えると断定した。

 シオリは忠義で研ぎ澄まし、カナエは嗜好で研ぎ澄ませた。

 

 そして二人は、目配せもなしに同時に踏み込んだ。

 

 刃と拳がモニカへ――

 

 

 

 

 

 

 

 届く、はずだった。

 

 

 

 

 

 

 次の瞬間、衝撃変換光が飛び散り、モニカの姿が光の中に消える。

 

 

 

 

 光が消えたその先。

 

 そこにいたのは、余裕の笑みを浮かべたモニカだった。

 キャロル以上にきわどいデザインの強化服。

 そして、彼女を球状に包み込む透明な力場装甲(フォースフィールドアーマー)が展開されていた。

 

 

 

 シオリの刀とカナエの拳は、見えない壁に叩きつけられたように止まっていた。

 

 

 モニカが嗤う。

 

「もしかして、私が黙って突っ立ってるだけだとでも思ってました?

 そんな訳ないじゃないですかー」

 

 

 

 シオリとカナエは止まらない。

 二人は即座に対力場装甲(アンチフォースフィールドアーマー)込みの全力の連撃を放つ。

 それでも、薄いガラスみたいな障壁は割れない。

 

 

 

 カナエが面白そうに笑い、シオリは険しく歪む。

 

「無駄です! 効きませんよぉ!」

 

 モニカが腰のレーザーガンに手を伸ばす――その瞬間。

 

 空中で着弾音。

 そして激しい衝撃変換光がひときわ輝き、モニカの力場装甲(フォースフィールドアーマー)ごと大きく吹き飛んだ

 

 

 

 

 

 

 撃ったのはアキラとキャロルだった。

 

 キャロルの弾丸は障壁がなければ、モニカの顔面を貫く軌道だ。

 

 だがモニカを跳ね飛ばしたのはキャロルではない。

 

 

 

 

 

 アキラのBSS複合銃から放たれた対力場装甲(アンチフォースフィールドアーマー)弾によって、モニカは吹き飛んだのだ。

 モニカの力場装甲(フォースフィールドアーマー)には、敵の攻撃に合わせて出力を自動で調整する機能が備わっている。その機能によってアキラの銃撃に対して過剰なまでの出力を調整し、なんとか耐えた。

 

 

 

 

 耐えてしまった。

 

 

 

 

 「ちっ、殺しきれなかったか。最高速度でぶち抜いたはずなんやけどな。」

 

 アキラは舌打ちをした。今の一撃で仕留めるつもりであったのだ。

 

 モニカの生け捕りという案も考えたが一瞬でその選択肢を捨てた。

 

 

 

 

 なぜならモニカについているのは旧世界の工場の()()()だ。

 

 

 そのナニカがどれほどの支援をできるか不明であるが、アルファ同様旧世界のなんでもありチートを扱う敵を、アキラが油断するつもりはなかった。

 

 アキラがアルファを警戒してるように、モニカの警戒度を最大限までアキラは上げた結果、攻撃される前に殺すという選択肢を取った。

 

 

 

 アルファの支援、アキラの脳内時間圧縮、BSS複合銃の火力、対力場装甲(アンチフォースフィールドアーマー)弾の使用、そしてシオリたちが戦っているその意識の隙間を狙った。

 

しかし仕留めきれなかった。

 

(モニカは反応しきれてない様子。それでもガードできたって事はマニュアルじゃなくてオート発動の力場障壁バリアか?あの一瞬でオート発動できて今の攻撃に耐えれるとかふざけんなよ糞が!!)

 

 

 

 

 

瓦礫の向こうからモニカが怒りながら出てくる。

 

「なにするんですか!!!!」

 

対力場装甲(アンチフォースフィールドアーマー)弾を撃っただけだが?高い弾丸だったが高威力で助かったよ。お味はどうだい?お代わりもあるぞ!」

 

周りのメンバーたちはアキラが500万オーラムもする対力場装甲(アンチフォースフィールドアーマー)弾を持っていること、使用したことに驚いたが。同時にそれでも殺しきれないモニカへの警戒度を引き上げた。

 

 

同時に、モニカもアキラへの警戒度を一気に上げた。

 

 

「まぁいいです。結局私に攻撃は通じてないですから、調子に乗るだけ乗っておいてください。どうせ今日で皆さん死ぬんですから」

 

モニカは無傷。

 だが笑顔が、わずかに硬い。

 

 

 

 力場装甲(フォースフィールドアーマー)は、都合よく「内から外だけ素通り」ではない。

 力場装甲(フォースフィールドアーマー)の向こうから撃つには障壁の解除が必要だ。

 

 

 

 

 

 だがそのネタバレはまだアキラたちは知らない。モニカは今もまだ自分が優位であると確信していた。

 だからこそ、今この場で戦う必要はない。優先度を考えたモニカはこの場を去ることに決めた。

 

 

 モニカは舌打ちを飲み込み、笑いながら後方へ飛ぶ。

 跳躍ではない。それはまるで飛行のようだった。

 

 

 

 

 モニカはそのまま跳躍した先の扉を破壊し、倉庫を抜け通路を飛んで離脱する。

 

『あなた達は後回しです! すぐ戻ってきますからね!』

 

 通信だけ残し、モニカは索敵圏外へ消えた。

 

 

 

 

 

 部屋の中に、重い沈黙が落ちた。

 

 アキラが、短く息を吐く。

 

『アルファ。一応確認だ。あいつの強化服、旧世界製か?』

 

『ええ。旧世界製。力場障壁も含めてね』

 

『……くそったれが。』

 

 

 

 

 

 エレナが数秒で事態を整理し、指示を出す。

 

「撤退を前提に、行きのルートとは逆方向に移動しましょう。追う必要はないわ。」

 

 

 

 エレナはシカラベへ視線を向ける。

 

「シカラベ。彼を頼んでいい?」

 

「分かった」

 

 シカラベはイージオへ向き直る。

 

「首から上だけで、どれだけ保つ?」

 

「完全仮死モードで四十八時間くらいだ。

 ……分かった。首から上だけでいい。運んでくれ。ちゃんと起こしてくれよ」

 

「ちゃんとやる。――俺たちが無事に脱出できればな」

 

「期待してるよ」

 

 イージオが苦笑して目を閉じ、反応が消える。

 

 シカラベが切断を迷った瞬間、シオリがすっと前に出る。

 

「私が切ります」

 

 一閃。

 迷いのない手際で、イージオは“生存可能な最小単位”になった。

 

 シカラベはそれを持ち上げ、トガミへ渡す。

 

「お前が持て」

 

「……っ」

 

 トガミは半ば啞然としながら、首を抱えた。

 

 

 

 アキラこの瞬間に首置いてけ!と叫びたかったがさすがに自重した。もちろんその首が星の一族の体を乗っ取りそうとも思ったが口にはしない。

 

 

 

 

 

 

 その間にキャロルがエレナへ言う。

 

「脱出経路なら案があるわ。

 前に私がアキラと一緒に工場区画から抜けた時のルートがあるの、どう?一枚噛まない?」

 

「…分かった。案内をお願い」

 

 エレナが全員を促す。

 

「行くわよ」

 

 

 

 

 ――その時、トガミが叫んだ。

 

「待て! 残りはどうする!? なんで撤退なんだ!?

 彼女を追わなくていいのか!? それに――」

 

 混乱が言葉になる。

 

 だがシカラベの怒声がそれを叩き潰した。

 

「後にしろ!

 お前を納得させるためだけに貴重な時間を使わせるな!」

 

 トガミは言葉を飲み込むしかなかった。

 

 そこでアキラが、エレナに言う。

 

「まず移動しましょう。いずれにしても時間との闘いですし、移動中に伝えれることは伝えましょう」

 

「ええ、アキラの言う通りよ。みんな急いで!」

 

 

 

 部屋を出た一行は、キャロルの先導で工場区画を進み始めた。

 

 

 

 

 撤退を前提に。

 敵が“戻ってくる”前に。

 

 

 

 

 倉庫を飛び出したモニカは、工場の通路を“飛んでいた”。

 

 推進装置が吐き出す高エネルギーが、空中に光の軌跡を描く。

 その顔は、さっきの余裕がどこか薄れ――少しだけ不機嫌に歪んでいた。

 

「……あんな連中、すぐに殺せます。あのアキラという少年だって後で殺せばいいんです。先に通信を潰すだけです。優先すべきはこっち、です!!」

 

 愚痴めいた独り言。

 逃げたわけじゃない。退いたわけでもない。合理的に動いただけ。

 そう自分に言い聞かせるような“歪んだ笑み”が張り付く。

 

 背負っていたリュックが弾け、内部の機械が変形する。

 透明な補助アームに取り付けられ、背中にレーザー砲が固定された。

 

「本気でやれば一瞬です! 現代製装備の連中なんて蹴散らしてやります!」

 

 旧世界製の装備を剥き出しにし、モニカは外へ向けて加速した。

 

 

 

 もう隠す必要はないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 A棟の外。

 

 アキラたちの帰還を待っていたヘックス機とハウンド機が、工場内から高速で接近してくる反応を捉える。

 

「……速いな。しかも反応がブレてる。飛行してるのか?」

 

「突入部隊じゃないな。いや、それっぽいユニットを持ってるアキラというハンターはいたが。あのユニットじゃこのスピードは出せても維持できないだろう。しかも連絡も無い。――敵性と見なそう。迎撃準備だ」

 

 

 

 

 索敵で映像が抜けた瞬間、二機の操縦者は即断した。

 

 

 

撃て(ファイア)!」

 

 最大火力の弾幕と砲撃。

 並のモンスターなら群れごと粉砕される暴力が、通路出口へ叩き込まれる。

 

 

 

 

 

 ――だが、通じない。

 

 

 

 モニカの周囲で衝撃変換光が派手に散り、透明な“球”が浮かび上がる。

 

「効きませんよー!はははははははは!!」

 

 凶悪に笑いながら、モニカはレーザー砲の照準を二機へ向けた。

 砲口から光が漏れ、充填が完了しているのが分かる。

 

「惨たらしく吹き飛びなさい!」

 

 一瞬、力場障壁が“薄く”なる。

 その瞬間に放たれた光の奔流が弾幕を薙ぎ払い、二機を呑み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光が収まった時、そこにあったのは焼け焦げた残骸だけだった。

 ヘックス機もハウンド機も、大破。乗員は即死した。

 

 

 

 モニカは残骸の上に降り立ち、笑みを取り戻す。

 

「当然です……当然! 私が勝つに決まっています!」

 

 ひとしきり悦に入り、満足したように息を吐く。

 

「これで中継役は死んだ。前哨基地にバレる心配も減りました。順調です。……さあ、戻りますよ。あのガキを、殺しましょう。」

 

 そう言って、彼女は再び飛翔し、A棟へ突入した。

 

 ――アキラたちを皆殺しにするために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、部屋を出たアキラたちはキャロルの案内で撤退を開始していた。

 エレナは移動しながら説明をまとめる。悠長に立ち止まれる状況ではないが、説明しないとトガミが爆発しそうだった。

 

 ただトガミが爆発してもアキラやシカラベがなんとかするだろうとは思っていたが、前提として互いの認知をすり合わせる必要があると考えた。

 

 

「状況整理するわ。」

 

 エレナは淡々と続けた。

 

「モニカの装備は旧世界製で、力場装甲(フォースフィールドアーマー)がバカみたいに、異常に強い。あの余裕は虚勢じゃない、自信の現れだと思うわ」

 

「まず飛んでったモニカは、中継役の重装強化服を潰しに行った可能性が高い。通信の目を潰せば、“皆殺し”の後でも誤魔化せる。前と同じようにすればいい、そう思ってるんでしょうね」

 

 トガミがぞっとする。なおレイナも顔を青ざめていた。

 アキラはこの状況でレイナを護衛して帰る可能性があると考えゾっとした。

 

 

 

「前科があるから、疑われるかもしれないけど、改ざんしたりなんとかしたら押し切れるでしょうね。

 そして死体は――」

 

 エレナは言葉を切る。

 

「工場側の清掃機構に片付けさせた可能性が高い。死体ごと。

 ログを回収されると困るから」

 

 そして結論。

 

「だから、追わない。

 追えばモニカに有利な場所へ誘われる。

 こちらは先に脱出して、情報を都市に持ち帰る。それが最優先」

 

 

なお、あの場で戦闘を開始し、追いかけようとしたアキラは「へーそうなんだー」と思っていた。

アキラはバカである。

 

そんな中アルファがアキラに声をかける。

 

『ねぇアキラ。私、少し席を外すわね』

 

 アキラの思考が止まる。

 

『はぁ!? この状況で!?トチ狂ったか?!餅ついて死にに行けっていうのか!』

 

『違うわアキラ。私はこの状況を何とかするために、少し離れるわ。具体的にはこの工場の管理人格と交渉して、勝つ可能性を上げるために席を離れたいの』

 

 言われれば、拒否できない。あのアキラの最大火力でもどうもならなかった。

 向こうさん(モニカ)旧世界の技術(チート)を使っているのだ。こちらもアルファ(チート)を抜かねば不作法というもの。

 

 

不条理には不条理をぶつけるしかない。アキラはそう結論づけた。

 

『くそが、分かったよ!俺が死ぬまでに頼むぞ!』

 

『まかせなさい最大限努力はするわ。アキラも頑張ってね』

 

 アルファが視界から消えた瞬間、アキラの身体が“一瞬”乱れた。

 だがアキラはすぐに立て直した。

 

 あまりアルファのサポートを使いたくないアキラはもともと自身で強化服の制御はできていたため、若干動作に違和感を覚えたが脳内処理制度を上げて対応した。もちろん今は移動してるだけなのでそこまで脳内処理をする必要はないと考え出力をついでに落とした。  

 

 

 そして、アキラは後方に違和感を感じた。

 

 

 

 

 

 

 アキラは幸運ではない。

 ただ悪運は強かった。

 

 

 そしてこういう時の直観は、信じるべきだと一瞬で悟った。

 

 

 今のアキラにアルファ(チート)はない。

 そしてアルファという監視もない。

 

 アキラはアルファという心理的枷から放たれ、前世からの本能や本性を発揮した。

 

 

 

 

 

 

 本能のおもむくままに、アキラはBSSを後方に向けて連射した。次いでに擲弾も打っておく。違和感と勘を払拭するように掃討していく。

 

 

 

 

 

 擲弾が通路の奥へ吸い込まれ、次の瞬間、通路全体が爆風で膨れ上がった。

 

 爆風が戻ってくる。

 

 

 エレナとシカラベが、爆煙の奥を睨む。

 

「どうした?まさか来てたのか?」

 

「わかんない!だが嫌な感じがした!!」

 

 断言できない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、答えはすぐ来た。

 

 

『無駄です! そんなもの効きませんよ!』

 

 モニカの勝ち誇った声が、通信に割り込む。

 

「いたわね!さすがよアキラ!」

 

「やったぜ!そのまま死んでくれたら助かるんですけどね!」

 

 

 

 

 

 

 エレナは通信を一方通行で繋いだままにしていた。

 こちらの会話は漏れない。向こうの声だけ拾える。

 

『外で待ってた連中は破壊しました!

 あとはあなた達だけです! 助けなんか呼べませんよ?それとも命乞いでもしてみますかーーー?どうせ死にますけどね!!!』

 

 エレナの顔が険しくなる。

 

 ――やはり重装強化服の彼らはやられてしまった。

 その推察が当たってしまった。

 

 

 

 

 

 

 ただ、良いことも一つある。

 

(やっぱり無敵じゃないわね。あいつの障壁は、無尽蔵じゃないわ)

 

 撃った瞬間、モニカが“少し離れた”のも事実。

 恐怖か、警戒か、エネルギーの都合か。どちらにせよ「理由として通じる」。

 

 

 

 

 

 その時、シカラベが奥を見ていた照準器越しの視界が、突然遮られた。

 

 

 

 隔壁が――奥から次々に降り始めたのだ。

 

 

 

 通路を塞ぐように、連鎖的に閉鎖。

 そして不運にも、その隔壁が彼らの間にもあり――隊が分断される。

 

「まずいっ――!」

 

 アキラは隔壁へ駆け寄り、拳をぶつける。

 びくともしない。

 

 だが、向こう側からシオリの声が飛ぶ。

 

「アキラ様。危ないので壁から離れてください」

 

 言われた通り離れた瞬間、斬撃の線が走る。

 切り取られた壁片を、カナエが蹴り飛ばして穴を開けた。

 

 エレナたちがこちら側へ合流し直す。

 

 

 

 

 安堵するアキラに、シカラベが難しい顔で言った。

 

「……多分これ、工場内で災害が起きた時に被害を区画外へ広げない隔壁だな。

 そう簡単には起動しない。あれくらい“爆破”しないとな」

 

 アキラは、嫌な汗をかく。

 

 つまり――今の爆破が引き金になった。

 

 だがシカラベは続ける。

 

「結果として、あいつが追いにくくなった。

 壁を壊すには時間もエネルギーも要る。

 開けるにしても、雇い主に頼む必要がある。

 ……それは“接近の予兆”になる」

 

 

 

 

 アキラは納得しかける。

 

 

 

 

 だが、シカラベの視線が刺さった。

 

「お前、そこまで計算して撃ったのか?」

 

「ももももちろんさぁ!!!」

 

「だよな。アキラがそこまで考えるわけないか。」

 

 シカラベは短く言って、話を切った。

 そしてエレナが指示を出す。

 

「――行くわよ。時間がない」

 

 全員が気を切り替え、足を速めた。

 

 モニカが戻ってくる前に。

 戻ってきたとしても、備えるために。

 

 

 

 

 隔壁の前で、モニカが舌打ちした。

 

「……全く。私を雇うくらい柔軟なら、もうちょっと融通利かせてほしいですね」

 

 雇い主は工場区画全域の管理人格ではない。

 あくまで“一つの工場”の管理システム。その割に、妙に人間臭い判断をする――だからモニカはそこに付け込めた。

 

 だが同じ理由で、困ることもある。

 

 隔壁を開けてくれと頼むと「システムの都合でできない」。

 じゃあ壊していいかと聞けば「器物破損は認められない」。

 閉じ込められるのが自分でも、だ。

 

「……前も似たようなのあったな」

 

 結局その時は壊して脱出した。

 “損害賠償が来たら払え”と警告されたが、実際には催促など来なかった。

 管理システムは、そういう通知から目を逸らす程度の柔軟さがある。

 

「……今回も大丈夫でしょう。壊して進みますか」

 

 モニカはレーザー砲の出力を落とし、隔壁を丁寧に溶かし切る。

 最大出力で吹き飛ばすのは簡単だが、無駄にエネルギーを食い、雇い主の機嫌も損ねる。

 

 壊しながら、モニカはアキラたちの動きを推察した。

 

(それにしても……なぜあんな方向に?)

 

 あの先はコンテナターミナルしかない。

 脱出ルートには見えない。キャロルがいるなら迷うはずもない。

 

(私を避けて遠回り?

 それとも……そこから抜ける秘密のルート?)

 

 思い至って、顔をしかめる。

 

(まさか、コンテナに乗って脱出?

 ……そんなこと可能? いや、可能でも――“あれ”に乗る?)

 

 怪談の元ネタ。

 下手に乗れば二度と帰れない。

 

(私と戦うより、死なずに済む可能性があると思った?

 ……有り得ますね。面倒)

 

 隔壁を抜けると、また隔壁。分かっていたが嫌になる。

 

(これじゃ追いつけない)

 

「……一応、頼んでみますか」

 

 駄目で元々。

 モニカは雇い主に“要望”を投げた。

 そして――通った。

 

「通るんですか……。ほんと判断基準が分かりませんね」

 

 人間じゃない相手の奇妙さに溜め息を吐き、モニカはさらに急ぐ。

 

---

 

 一方、アキラたち。

 

 コンテナターミナルに辿り着いた瞬間、初見の者は思わず足を止めた。

 

 工場区画の中に突然現れる、巨大なコンテナの海。

 積み上げられ、並べられ、動くはずの物流が止まって見える。

 

 シカラベが周囲を確認し、キャロルへ視線を投げる。

 

「で、ここからどうやって抜ける。

 絶対バレない抜け道でもあるのか?」

 

「違うわ」

 

 キャロルがあっさり言った。

 

「コンテナに乗って運ばれるの」

 

「……マジか。怪談の元ネタだろ」

 

「安全なコンテナを選べば大丈夫。

 間違えれば怪談通りの末路よ。――選び方は内緒」

 

 得意げに笑うキャロルに、シカラベが深く息を吐く。

 

「分かってる。有料だろ。

 その手の交渉は後だ。さっさと選べ」

 

 キャロルに続いて一行が進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キャロルが選んだコンテナの前で、全員が足を止める。

 

 扉は密閉され、取っ手もボタンも見当たらない。

 だがキャロルが手元を操作すると、扉はあっさり開いた。

 

「なあ、どうやって開けた?」

 

 トガミが思わず聞く。

 

「秘密よ」

 

「……有料か。幾らだ?」

 

「二千万オーラム」

 

「……二千万!?」

 

「たったの二千万だな。トガミよかったなさっさと買えよ」

 

 キャロルが妖艶に微笑み、アキラがトガミをからかう。

 

 

 

「払いたくなったらいつでも言って。

 おまけで、こっちもサービスしてあげるわ」

 

 自分を指差すキャロル。トガミが固まる。

 

「よかったなトガミ。俺の代わりにそっちも買っておいてくれ」

 

「そうね!アキラの相手は私がするから!」

 

アキラの悪ノリに、サラも乗ってきた。

 

 

だがその顔は普通に羞恥心を持つ顔であった。

 

【恥ずかしいなら別に乗ってこないでいいですよ】

アキラは近距離汎用通信の個別通信でサラを宥めていた。

 

【だってーー最近アキラって私のこと相手にしてくれないじゃん!私のこと嫌いになった?】

少しトーンを低くしたサラだったがアキラはすぐに応対した。

 

「嫌いだったら相手にしないし、こうやって一緒に仕事しないですよ」

 

「えへへーーーだよねーーー!アキラは私のことも!好きだもんねーーー!」

 

急にラブコメが始まったが、それを気にせずにほかのチームメンバーは行動をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




アキラ「いくよ!エターナルファランクス!発射!大ダメージだ!」
モニカ「絶対☆許サンバ」
アキラ「絶対☆裏切りヌルヌル!」
元ネタXXハンターゆうき

読了感謝です。
まだ舞える。まだストックはある。でも編集時間がねぇ!!

という事で概ね原作通りの流れですが、一番の相違点はアキラが初手ぶっぱした事です。
よくわからないし、怖いし強そうだから最高火力で一気にころころしようとしました。
基本脳筋なのでね彼。

加えて返信が遅くなるかもしれないですがご容赦ください。投稿次第さっさと布団に入る俺を許せサスケ。これで最後(じゃない)だ

余談
ダーウィン事変は漫画一巻で読むのを断念しました。しかも読んだのだいぶ前なので内容覚えてないです。
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