Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る 作:ロシュ
最初5000字くらいだったのに、追記しまくって9000字超えたぜ!仕事終わりに何してるんだ俺!!
というわけで、連続投稿3日目です。
仕事の合間も含めて書いてるんですが時間が掛かりますね。感想欄でも「力場装甲と力場障壁ごっちゃになってるぜ」って指摘されてたんで、小説読みながら書いてたらさらに時間が掛かりますね。ただ、ようやくモニカとの戦闘とか書きたいところにたどり着けそうなので、頑張って書いていきます。
なお、ミハゾノ街遺跡編があと二話で終わりそうなんですね。
つまり3~4日連続投稿の予定が5日連続投稿になる可能性が9割です。タスケテスピキヲイジメヌンデ…
改めて、閲覧感謝です。そして感想、誤字報告等感謝です。職場で感想欄見て、やっぱりまだ書こう!と思って活動意欲につながってます。ほんとありがとうございます。
全員が中に入ると、キャロルが扉を閉める。
すると壁がガラスのように透け、外が見えるようになった。
「外からは見えないわ。光学迷彩みたいなものよ」
エレナが索敵を確認し、頷く。
「確かに。こっちの索敵も死んでないわね」
「そりゃそうよ。こういうコンテナを、私が選んだんだから。
あ、選び方込みで二千万ね」
「わかってるわ。後の交渉は生きて帰ってから」
エレナの釘刺しに、キャロルは楽しそうに笑った。
するとシオリが疑問を投げる。
「それで、このコンテナはいつここを出発するのでしょうか?」
「そうね。あと十分くらいだと思うわ」
「分かりました。あと十分ですね」
---
その十分の間、それぞれが準備と休息を取った。
アキラも、モニカとの戦闘で使用した加速剤や回復薬の血中濃度を下げるため、意図的に水分を摂っていた。
今はアルファがそばにいない。
あまり使いたくないが、どうしても必要な時の“大人のカード”のような切り札も、今は持っていない。
(まぁ、なるようになるか)
人は死ぬ時は死ぬ。
それは前世でも、この世界でも変わらない。
――だが今、アキラが死ねば。
アキラを待つ誰かが、確実に悲しむ。
だから生き延びなければならない。
だからアルファという悪魔と契約したのだ。
そう、信じ込むことにした。
---
そして――待つ。
---
だが十分、二十分経っても、コンテナは動かない。
キャロルが顔を険しくする。
「……変ね。流石に遅すぎるわ。いつもはもう少し早く動くのに」
アキラが外を見て、気づく。
「前は、他のコンテナが運ばれてたよな? だけど今はそれが全然ない。コンテナ軒並み動いてないぞ」
キャロルも外を見渡し、表情が凍った。
「……嘘。配送システムが止まった?」
その瞬間、通信が割り込む。
『そこにいるんでしょう?』
モニカの声だった。
『無駄です! コンテナ輸送は止めました!
もう脱出なんてできませんよ! 残念でしたね!』
勝ち誇った声が、コンテナ内に響く。
『震えなさい! 怯えなさい!
それとも一矢報いてみますか?
無駄無駄無駄です!
知っているでしょう?
あなた達の攻撃なんて効きはしません!
アキラさんのあの攻撃でさえ、私を倒せなかった!
それが何よりの証拠です!!』
若手二人――トガミとレイナの顔が強張る。
だがアキラと“大人組”は、逆に落ち着いた。
「……なあ。
何回も“俺の対力場装甲弾は効かない”って言ってるけどさ」
アキラが淡々と言う。
「それ、効いてるから気にしてるってことだよな?」
大人組が、揃って頷いた。
「効果はあるけど、実際防御で防ぐことはできるんでしょうね。じゃないとあんな感じのブラフは言わないでしょうし」
エレナが補足する。
エレナがそう付け加える。
ただ今のモニカの行動はなんというかその、から回っているというか――単純に頭が足りてない人のソレ。とも感じた。
「あんなに叫んじゃってーまるで探してくれって言ってるみたいだな、メンヘラかよ。いや、まぁまさかそんなバカな真似しないと思うけど…」
(俺じゃあるまいし)
内心で自嘲する。
だが大人組も、同じ結論に辿り着いていた。
---
シカラベがエレナに聞く。
「エレナ。モニカを見つけられるか?」
「……待って探してみるわ。――いた」
壁の上の通路。
端に、モニカが立っている。
堂々と晒す姿は、挑発というより“確認”だ。
シカラベもアキラも情報収集機器の連携機能でモニカの位置を確認する。
「通信範囲は?」
「広いけど、全域じゃないわね。せいぜい五分の一くらいかしら」
シカラベが息を吐き、空気を整える。
「じゃあまず認識合わせだ。
あいつの言葉、どこまでがブラフで、どこからが誘いだ?」
若手三人の目が、助けを求めるように集まる。主にアキラのほうに。
だがアキラ自身も基本考えなしに行動する事が多いため、なんとなくはフワッと理解はしているが、この事態を理解しきれている自信は全くなかった。
エレナとシカラベが目を合わせ、短く頷いた。
結論は早い。さっさと状況説明を開始した。
* こちらの正確な位置は掴めていない
* 挑発は“反応”を引き出して位置特定する意図
* 輸送停止は一時的(モニカ単独に恒久停止の権限はない)
「あーなるほどね完全に理解した*1」
アキラは惚けるが、おおよその予測が当たっていたのでほっとした。
「だからこの場面での最適解は……待機よ。輸送再開まで待って、脱出よ」
「結局時間との闘いですね…」
(ワンチャン、アルファが遅延行為してくれてないかなーーー。そうだといいんだがな)
エレナが決断する。アキラの冗談もただの時間稼ぎと待機時間の暇つぶしだった。
そうして、根比べが始まった。
◆
だが、残酷にも状況は変わる。
モニカが焦り始めた。
位置が掴めない。
輸送は再開する。
再開したコンテナを破壊する許可は、彼女にはない。
そして――雨が降り始めた。
ただの雨ではなく、空中の色なしの霧の成分を濃く含んだ雨だ。
そのため色なしの霧の影響でで索敵にも銃の威力や射程にも支障が出る。
そしてモニカの索敵精度も下がってしまう。
天井を打つ水音。
金属床に広がる水膜。
「……雨!?
まずい……!」
モニカの声に、初めて焦燥が滲んだ。
雨粒が、光学迷彩を歪める。
余裕が消えたモニカは、極端な選択肢を取ることに決めた。
モニカがその選択を雇い主に要望を出し――承諾された。
◆
やがてコンテナターミナルに、人影が増え始める。
徘徊する影。
百を超える数。
それを見つけたのは意外にもトガミであった。広く索敵しているエレナたちに比べて、一方向に索敵範囲を絞っていた事など様々な要因で発見する事ができた。
レイナが震えた声を出す。
「死体が……歩いてる……」
頭が吹き飛んだまま。
首が潰れているまま。
それでも強化服が動いている。
いずれにせよどこかが欠損している状態でその場を徘徊している影はいた。
「デットがウォーキングしてる!ウォーキングがデットしてる!!」*2
アキラはそう一人言をする。
なおアキラ自身前世の職業柄死体などに慣れているようなものであったため、ゾンビにビビることはなかった。*3
ただ急に何かが目の前に現れ脅かしてくることが大の苦手であったため、ホラゲは大の苦手であった。
アキラのおふざけにかかわらず、トガミが反射で突っ込む。
「死んでるのに、なんで動いてんだ?」
「本人死んでるんだから、誰かが動かさないと動かないだろし。強化服を遠隔操作して強引にでも動かしてんじゃないか?」
「そんなこと、あり得るのか!?」
「あり得ないことはあり得ない。旧世界のナンデモありな技術なら、可能なんじゃないか?」
アキラが光景を見て、低く言う。
実際アキラという存在はその旧世界のなんでも技術で作られたアルファの操り人形に近い。
ゆえに過程をすっとばして、結論にたどり着くことができた。
「アキラお前というやつは、馬鹿なのか賢いのかはっきりしない野郎だな」
シカラベがそう呆れたように言う。
だが大人組はアキラのその意見から推察を深める
エレナが考えをまとめる。
「もしかすると私たちが発見できなかったハンターたちの死体は今ここにあるのかもしれない。もちろん使ってた武器も、ね。そしてそのハンターたちは旧世界の工場によって操作されているのだとしたら、文字通り人海戦術で私たちを捜索するソナーの完成ね。」
そうして一行が考えをまとめ次の行動を考えている中、モニカが先に動いた。
コンテナターミナルの中を跳躍し、何かを探すように飛び回る。
そしてアキラ達の近くにある積み上がったコンテナの上に立つと、周囲を索敵し始めた。
そして――何故かこちらへ視線が向いた。
薄く笑い、レーザー砲を構える。
「きっしょ、なんでわかんだよ!!」
アキラが叫ぶ。
砲口から漏れる光で、ハッタリじゃないと理解した。
「キャロル……あれ食らったら、このコンテナ保つのか?」
「……分からないわ」
エレナが即断した。
「脱出する! キャロル、開けて!」
扉が開き、全員が飛び出す――はずだった。
だがシオリとカナエだけが残る。
「カナエ」
「了解っす」
カナエがレイナを掴んで止める。
レイナが体勢を崩し、トガミが思わず足を止める。
そしてシオリは、モニカへ向けて抜刀の構え。
次の瞬間――レーザーが放たれる。
濃密なエネルギーの奔流。アキラはアルトリアのエクスカリバーを連想するようなまばゆい光に目を焼きかける。
その瞬間、シオリが抜刀した。
柄と鞘、両方のエネルギーパックを使い切る。
刀身が崩壊し、粒子になり、しかし力場で束ねられ――巨大な光刃となる。
コンテナを紙みたいに裂く光刃と、旧世界製レーザーが正面衝突した。
接触点が白く爆ぜ、雨粒が吹き飛ぶことで衝撃が“球”として可視化される。
破壊の塊が、その一帯を呑み込んだ。
――
モニカが闇雲に放ったレーザーは、コンテナの腹を正確に貫いた。
偶然か。必然か。そんなことは、撃たれた側には関係ない。
光やエネルギーの奔流など風圧などが発生する。
隊列は、爆発に飲まれてばらばらになった。
だが――それでも。
サラとエレナ、そしてキャロル以外のメンバーは、なんとか合流することができた。
合流できた、というより、合流せざるを得なかった。
動く死体――強化服ゾンビが、こちらを“追い込むように”集まっていたからだ。
アキラも一度は離れ離れになった。
アキラは
(止まったら死ぬ。動いてれば、まだ運が拾える。奇跡は待つもんじゃない、掴みとるものだ)
アキラは動き回りながら、他のメンバーと合流すべきだと考えて走り続けた。
視界は雨と煙で濁り、索敵は利かない。
それでも、銃声と金属音と怒鳴り声、敵が追い込んでくる流れ、それらから方向だけは教えてくれる。
そして、そこで――見つけた。
強化服ゾンビを必死にさばいているシカラベを発見した。
銃弾が強化服を叩き、制御装置が焼け、死体が崩れる。
だが次が来る。次が来る。次が来る。
その中でシカラベが、アキラに気づいた。
「生きてたかアキラ!」
「勝手に殺すな! とりあえず手伝うぞ!」
「助かる!」
「おうとも、チームだろ! あたり前田のクラッカーだ!」
「相変わらずわけのわからないこと言いやがって! いつも通りで何よりだ!」
“いつも通り”という言葉が、アキラに効いた。
この状況で、その言葉が出るのは――シカラベがまだ折れていない証拠だ。
アキラは笑って、撃って、走った。
そしてそのまま、墜落し大破した“さっきまで入っていたコンテナ”付近まで押し戻される。
そこは、爆発の中心に近いはずなのに、妙に死体の群れが集まっていた。
まるで“ここに誰かを寄せたい”みたいに。
そして――そこにいた。
シオリ。
カナエ。
レイナ。
トガミ。
大人組とアキラの目が合った瞬間、空気が変わる。
その場にいる全員が、同じことを理解したからだ。
((((まずはせん滅して合流!!!))))
4人の圧倒的な武力により、包囲していたゾンビたちは壊滅した
◆
しかし、束の間の休息であった。
「ここにいる中で――モニカを殺せる可能性が高いのは私とカナエです」
カナエとシオリが二人で行動し、おそらくこのメンバーの中でモニカを殺せる二人で一気に叩く作戦を提案した。
今、モニカはかなりの深手を負っている可能性がある。そしてモニカを先に殺さないと、ジリ貧でレイナが死んでしまう可能性の方が高かったため、シオリは苦渋の
選択をした。
アキラが、そこで待ったをかけた。
「待て。それは理解できる。だが護衛対象のレイナはどうする?誰が護衛するんだ」
実際シオリとカナエを抜いた4人で耐久しつづければなんとかなるかもしれない。
シカラベはベテランハンターでドランカムのハンター。ドランカムのハンターが後輩ハンターを守るという理屈は成り立つ。もっともシカラベは不服だろうが。
トガミの喉が鳴った。
(俺が守るって言えよ)
頭は言う。
でも口が動かない。
言った瞬間、その言葉の重さが“自身を殺す重し”になるからだ。
シカラベは顔をしかめる。
ドランカムのベテランとして、“理屈”は理解している。
そして理屈の通りに動くなら――
「……俺が守る手もある。アキラと俺が戦って、トガミとレイナをフォローすればいい」
合理的正論だ。
実際この場の男三人の脳内では、それが最適に見えた。
だが、レイナの心臓が「嫌だ」と鳴った。
(嫌。……それは嫌…?なんで嫌なの?)
シカラベが嫌いなわけじゃない。
むしろ戦力的にもシオリやカナエの次に強いのは間違いない。
でも、今この瞬間に“守られる”なら、横にいるのは――
アキラがいい。
理由は分からない。
理屈でもない。ただ、純粋にそう思った。
そしてカナエが、はっきり言った。
「はーこれだから男子は。女ごころってのをわかってないっすねーーー^^」
女性陣代表カナエのセリフは、男たちの“正しさ”を一刀で切り捨てる。
危険な場面で
だが戦場では、時に理屈より感情が作用することもある。
アキラは知っている。
無理を通し、道理を引っ込ませて生き残ってきたのは、他でもない自分だ。
シオリが一歩、アキラの前に出た。
そして、頭を下げる。
「アキラ様にレイナお嬢様の護衛をお願いしたいのです」
アキラは目を瞬く
「……は?」
シオリは言い直す。
今度は、逃げられない言い方で。
「これは“お願い”ではありません。
あなた方と私たちの契約上、あなたは“レイナお嬢様が死なないよう助ける”条件を加えました。
その条件を――申し訳ありませんが、ここで使わせていただきます。」
確かにアキラとシオリたちの契約上では、アキラはレイナが死なないように助けるといった条件を加えていた。
良かれと思って譲歩した条件がここで発揮されることになったのだ。アキラはまた自分の首を絞めた。
「うわ、ここでそれ出すのかよ……」
アキラが顔をしかめる。
だが、シオリはさらに畳みかけた。
「加えて、これは正式な依頼として成立させます。
報酬も、責任も、契約も。
あなたが求めるなら――」
シオリの瞳が、鋼のように真っ直ぐになる。
「お求めであれば、私のすべてを差し上げます」
「重い!!」
アキラが即ツッコミを入れる。
だが、その声は――不思議と震えていなかった。
シオリたちは知っている。
アキラは死ぬ間際、最終的にはレイナを見捨てる
ただ同様に、そうなるまで足掻き続け戦う
カナエとの模擬戦。
戦闘センス。
諦めの悪さ。
そして何より――“守れないと分かっても、守ろうとする”愚かさ。
それは今、この場で必要な愚かさだ。
だから、シオリはシカラベではなくアキラを選んだ。
ベテランの“確実性”より、子供の“執念”を買った。
アキラも分かっている。
これは、半分は依頼で、半分は脅しだ。
シオリも分かっている。
これは、合理的でなく、感情で決めていると。
ただ、シオリもすでにレイナへの情を覚えていた。自身がすでに感情で行動しているのだ。何をいまさら取り繕う必要がある。今際の際だぞ、と。
それにアキラは手を出した女に責任を持とうとする男だ。
責任を取れと。そうアキラは言われている気がした。
「待って。私、別に――」
だが言葉が続かない。
だって本音はーーーー
正直、心情的にもドランカムの二人と動くより、アキラの横の方が安心する。
今まで何度も救ってくれた男だ。
安心感。信頼。
それを自覚してしまうのが怖くて、レイナは視線を逸らす。
アキラが、ため息をついた。
「……分かったよ。
護衛、引き受ける」
シオリの肩から、わずかに力が抜けた。
カナエが、珍しく真剣な目をする。
「あとは頼みます」
その一言が――アキラに刺さった。
(あのカナエが、真顔で言った)
答えないのは、人として終わり。
男として終わり。
アキラはバカで、単純で、年相応の男子だった。
◆
時間がない。
チームは例外的にツーマンセルで動くことになった。
例外だ。普通ならやらない。
でも今は、それしかない。
役割分担はこうだ。
シオリとカナエ:斥候と突撃。モニカ討伐を狙う
アキラとレイナ:遊撃と陽動。はぐれた味方の捜索と安否確認
シカラベとトガミ(+イージオ):防衛しつつゾンビ殲滅
そうして、アキラとレイナは、二人で戦場を駆けていた。
アキラが即座に発砲し、強化服の制御装置を狙って破壊する。
ゾンビは頭を吹き飛ばしても止まらない。
強化服の制御が死んだ時だけ、動きが止まる。
(フィクションのゾンビと違って、頭で終わらねえのが面倒くせえ!)
アキラは悪態をつきながら、手は正確に敵をせん滅していた。
レイナは取りこぼしを刈り、後方警戒を維持する。
だが負担は、原作より少ない。
アキラが高価で高威力の装備を使っているからだ。
「まさか、私がシオリたちと離れて、アキラと二人になるなんて思ってなかったわ!」
「俺もだよ! まったく!まぁこの際だ、どこまでも付き合うさ!!」
レイナの胸が、少しだけ軽くなる。
この男は、こういう時ほど“いつも通り”にする。
「……さすがね、アキラ」
レイナの声が、急に曇った。
「こんな死地でも、いつも通りなんだから」
アキラは否定する。
「いつも通りじゃないと生き残れないからな!
虚勢と暴言と行動で、相手に俺の得意なことをぶつけて、俺が有利な状況じゃないと
そのまっすぐな本音に、レイナは笑った。
「なんか、いつものアキラと違うわね」
「は? 変わんないだろ!男子三日会わざれば刮目して見よってか?てかほぼ毎日会ってるだろが!」
「違うわ、その……。
いまのアキラって、いつもより自由な気がするのよ。
ギラギラというか、きらきらというか……
いつもより、かっこいい……」
言ってしまって、レイナの顔が熱くなる。
「や、やっぱりなんもない! 忘れて!」
アキラは「はぁ?」と返しかけて――言葉を止めた。
実際、今のアキラはアルファがいないのに、アルファがいる時以上に動けている。
それはアキラが常にアルファに向けている警戒を今はしなくていい、自由だとストレスが解消されたからだ。
心が解放されて――抑えていた本性がむき出しになっている。
その“自由”が、レイナの目には眩しく見えた。
そしてそれを保護者たち――シオリとカナエも見て、今の状態のアキラならレイナを任せられると判断した。
もちろんシオリは渋った。悩みに悩んだ。
だが、今のアキラなら。
そしてレイナが、アキラに反発することは――まずないだろう。
そう、決めていた。
彼と彼女――二人は知らない。
だが、保護者たちの予想通り。
いまのアキラに、レイナはまた光を見出し、手を伸ばそうとしていた。
---
一方、トガミは歯を食いしばっていた。
誰もトガミを見ていない。期待していない。
この中で最弱は自分だ。
アキラにも、レイナにも負けている。
悔しい。情けない。
自分を殺したくなる。
だが――それで、その程度で諦められるなら、今ここにトガミはいない。
反カツヤ派という傷を舐めあうような仲間たちとの関係。そんなぬるま湯を捨て、マグマのような戦場に身を置いた。
トガミが見出したアキラという
そしてアキラのような諦めの悪さを真似て、あきらめず自身を高め続けたトガミだからこそ。
シカラベの隣やこの戦場に立つ資格を得たのだ。
他のドランカムの若手がたどり着けなかった場所にトガミはいる。少なくともそれは、それこそがトガミの存在証明と、いままでの苦労を証明するものだった。
(俺はアキラにも、カツヤにもなれない!!)
だからこそ、伸ばす。
みっともなくても手を伸ばし続ける。
「トガミ! さっさと動け! 死にたいのか!!!」
シカラベの怒鳴り声が、背中を叩く。
以前、アキラが言った言葉が、脳裏で蘇る。
――「憧れとは理解から最も遠い感情だよ」
その時のアキラは、たぶん深い意味なんて考えていなかった。*4
だがその言葉は、トガミの心の奥の奥に突き刺さった。
(憧れが理解から遠いとしても――――俺は、それでもと手を伸ばし続ける!!)
(俺は、俺だ!)
トガミは銃を握り直した。
レイナと同じように、立ち上がる。
その二人の再興や復帰、覚醒は原作同様の規定路線だ。
だが結果が同じでも、そこに至る過程は違う。
この世界のアキラの行動や言動が、確実に影響していた。
---
レイナとアキラはモニカを捜索する。
見当たらない。
シオリたちが戦闘を始めたのか。
サラやエレナ、キャロルはまだか。どこにいるのか。
その中で、レイナがアキラに聞いた。
「ねぇアキラ。モニカに勝つ方法はあるの?」
「ああ。何個かはな」
「あるの!?」
アキラの本命は、アルファがどうにかしてくれるだろうという他力本願だ。
だが、それ以外にも手段はある。
モニカは油断している。
そこを突くしかない。
「ああ。それは――」
アキラが語りかけた“もう一つの作戦”に、レイナは驚愕した。
冗談だと思いたかった。
だがアキラの目は真剣だった。
信じるしかない。
普段のレイナなら否定したかもしれない。
でも否定しなかった。
自分でも理由が分からない。
だから、考えるのをやめた。
恋は盲目だ。
---
同時刻。
エレナとサラは、死体の部隊相手に限定的優位を保っていた。
吹き飛ばされたが、負傷はわずか。装備も健在。
だが数が多すぎて、合流に動けない。
「ねえエレナ。他の人達、大丈夫かしら」
「……私達も生きてるんだし、大丈夫よ」
気休めと分かっていて、サラは笑う。
エレナも笑う。
「そうよ。あれぐらいで死んでたら、私たちを救ってくれた小さい勇者に面目が立たないわ」
「そうね、アキラより先に死ぬなんて、考えたくないわ!」
「まあね。じゃあサラ、とっとと片付けて合流しましょうか!」
「了解! ぶっ飛ばすわ!」
エレナ達が攻勢を強める。
まるでそれに合わせるように、周囲から死体の部隊が集まってくる。
---
そして――その後。
アキラはキャロルを見つけ、合流できた。
だが同時に。
一番会いたくない女とも合流した。
モニカだ。
「はぁい、アキラさん。殺しにきましたよ。
いやー相変わらずイキってて気色悪い子供ですね。
あ、ついでにキャロルも死んでください」
「寝言は寝て言え。
あ、そうか。寝不足か。毛穴開いてんぞ?
さっさと家に帰って一人で慰めとけよ」
「「ははははは」」
「「殺す」」
キャロルが即座にレイナを庇い、距離を取る。
――闘いの火蓋が、開いた。
シェリル「なんか私よりヒロインしてない?」
レイナ「き、気のせいですよ。ハハハ…」
後方腕組みメイド二人は微笑ましく見守っていた。
読了感謝です。
いままで書くのしんどいと思ってたのにこの数日で3万5000字書いてます。あほやろ()
腱鞘炎なりそうです。
さて申し訳ありませんが、モニカとの戦闘導入までしか書ききれませんでした。とはいえ、後2話の前編後編で終わる見通しです。文量は未定です()
実はトガミとレイナの内心のシーンとかでめちゃくちゃ追記したり修正したりしてました。やっぱりキャラ的にもトガミとレイナが好きなのか、すらすら書けるんですよね。まぁその結果こんな時間(11時40分)まで書いてたんですけどね。
そして、内容説明ですが。
アキラがドランカムからレイナを引き抜くときに。「できるだけ助けます」って内容を書いた伏線はここで回収するつもりでしたのでうまく着地できてよかったです。
また原作以上にアルファを警戒してるアキラが解放されたらこうなります。とはいえアルファサポート全開時よりは総合力は無論落ちますが、ストレスフリーで籠方抜けだした鳥のように自由に羽ばたきます。
その結果またレイナとトガミの脳をやきました。どんどん焼いていきましょうねーーー☆
そしてレイナは結局アキラへの恋愛感情を爆発してしまいますが、本人若干無自覚です。
レイナ「これが…恋?!」なんて平和ぼけした反応はレイナにしかできないからね。仕方ないね。
そしてアキラが放った愛染の名言がバタフライエフェクトして、トガミの感情を月光蝶のように滅ぼした結果。ニュートガミの誕生です。やったね。
次回モニカVSアキラVSダークライ。夏はーポケモン!!
余談
ゾン100のパロタイトル使ってないのを思い出してちょうどいいやと思い採用しました。
ゾン100は漫画から入ってハマった作品の一つですね。
アキラ(作者も)ゾンビものは結構好き(脅かしてくるのが苦手)なので読んでました。なろう小説でもパンデミック系作品好きですしね。学園黙示録ハイスクールオブザデッドとかも好きでしたね。
加えて僕の趣味の一つが旅行なので、日本旅×ゾンビ系で結構はまってました。続きも展開も遅めですが…無事完結することを期待してます。