Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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しゃあオラ!!孕めオラァ!!連続投稿4日目間に合ったぜ!(多分)前書き時点で11時56分

というわけで、連続投稿4日目です。

ようやく一話とか初期からの伏線というか、設定を書くことができました。一番最後のシーンで書いてます。


改めて、閲覧感謝です。そして感想、誤字報告等感謝です。
まだ記録終わってないけどとりあえず書こう!と思って頑張りました。書き終わったら仕事再開します。


アキラ勇者の成り上がり

 

 

 雨が叩きつける金属音と、遠くで爆ぜる火花の匂い。

 そこに混ざるのは、焦げた樹脂と血の匂いだ。

 

 アキラの前にはモニカがいた。

 そして、キャロルとレイナが──少し距離を取って並んでいる。

 

 モニカは笑っている。

 笑っているのに、目だけが笑っていない。

 その目が、アキラだけを舐め回すように追い続けていた。

 

「はぁい、アキラさん。殺しにきましたよ。……相変わらずイキってて気色悪い子供ですね」

 

「寝言は寝て言え。寝不足か? 毛穴開いてんぞ。帰って一人で慰めとけ」

 

 キャロルが「ほんっとに」と呆れたように息を吐く。

 レイナは一瞬だけ顔を赤くして──すぐに引き締めた。

 赤くなった自分に腹が立ったのかもしれない。

 

「……アキラ。舌は動かしていいけど、手と足は止めないで」

 

「了解。俺の舌が止まったら死ぬ合図だと思ってくれ」

 

「縁起でもないわよ」

 

 言い返す声は硬い。

 

 

 

 アキラが一歩踏み込む。

 モニカも合わせて距離を詰める。

 雨粒が、モニカの周囲で弾かれて奇妙な輪郭を作っていた。力場障壁の淡い球が、雨の幕で浮かび上がっている。

 

「どうしたんですか! 対力場装甲(アンチフォースフィールドアーマー)弾を使わないんですか? まぁ私には効きませんけどね!」

 

「お前みたいな女に金使いたくねえんだよ。通常弾でも勿体ないな!」

 

 モニカの眉が跳ね、キレ始めた。

 

 

 

 

 

 アキラはそれを見逃さず、撃つ。撃つ。撃つ。

 

 

 

 強化徹甲弾。強装弾。徹甲榴弾。

 弾種を変えては反応を見る。

 だが当たっているのに、倒れない。

 爆ぜても、押し返される。

 

「どうしたんですか! 威勢が消えましたね! しんどいならもう死んでくれていいですよ?」

 

「お前の胸の中でか? 俺にだって女を選ぶ権利はある。いったろ? チェンジで、って!」

 

「この、減らず口がぁあああああ!」

 

 

 

(くそ。やっぱり決め手がない。……こっちは手が足りねえ)

 

 焦りが喉の奥に滲む。

 それでもアキラは笑って見せる。笑うしかない。

 

(シオリさんとカナエはまだか……!)

 

 

 

 待つ。待たされる。

 流石にアキラに護衛を任せているとはいえ、完全にレイナをほったらかしてどっかに行っている可能性は低い。

 

 アキラたちとあまり離れていないところにいるんじゃないかと予想した、がそうでもなさそうだった。

 

 

 

 アキラの焦りが強くなる。戦いが長引けば長引くほど、レイナを危険に晒すことになる。だがデメリットだけではない

 アルファが交渉を終え、戻ってくるまでの時間稼ぎにもなるのだ。戦うことをやめる理由にはならない。

 

 

 

 

 

(戦闘力じゃかなわない。なら、もっと煽ってみるか)

 

 

 

 

 

 モニカが嗤う。

 

「必死ですねー。ほらほら、さっさと死んでください。あなたが足掻けば足掻くほど、楽しいので」

 

「楽しみ方が安いんだよ。もっと高尚な趣味持て。読書とか、社会奉仕とか……ああ無理か! オトモダチは工場だもんな! 社会奉仕の前に社会復帰から始めないよなぁ!!!」

 

「黙れ!」

 

 モニカの拳が迫る。

 アキラは瞬間的に力場障壁を斜めに展開し、拳の軌道を僅かに逸らす。

 

(おっっっっっっも……!)

 

 逸らすだけで精一杯だ。

 受けたら手が砕ける。

 逸らしても、骨に響く。

 

(右ストレートでぶっとばす 真っすぐいってぶっとばす右ストレートでぶっとばす 真っすぐいってぶっとばす右ストレートでぶっとばす 真っすぐいってぶっとばす右ストレートでぶっとばす 真っすぐいってぶっとばす右ストレートでぶっとばす 真っすぐいってぶっとばす!!!)*1

 

 

 それでもアキラは踏み込んだ。

 右肋骨へ。腹へ。

 強化服越しに叩き込む。

(やはりモニカの力場障壁を解除しなけばモニカは攻撃できないし、部分解除もできず完全なオンオフしかできない!)

 

 

 

(捉えたッ!!)

 

 完全にクリーンヒットを狙えるアキラの拳はモニカの腹にかいしんの一撃を喰らわせた。

 

 入ったが──倒れない。

 

 

 

 旧世界製の強化服が衝撃を殺す。アキラの手の方が折れそうだった。

 

(くっそ、こっちの手が折れそうだ。肋骨粉砕ファルコンパンチでも、モニカの肋骨を折れなかった!!)*2

 

 スマブラなら赤く光って場外KOの横スマ攻撃でもやりきれなかった。

 

(体ピーチ以外なのに吹っ飛び耐性キングクルールかよ)

 

 

 

 

 

 笑いが喉で引きつる。

 それでも、確実に“通った”感触はある。

 

 アキラは息を吐き、わざと見下すように言った。

 

「おいおいおい、やっぱ頭の弱い女は駄目だな。俺を確実に殺せるレーザー銃があるのに、なぜ使わない? ねぇ使わないの? ねえ? 俺を確実に殺せるんだろ? ふふふ、怖いか? *3

 

「だ、ま、れ……!」

 

「お前はただ道具に振り回される哀れな道化よ。そこで動いてる死体どもと何も変わらない!!」

 

「いいからだま」

 

「能無し死体と同じおつむだな。お疲れさん醜女(しこめ)

 

「だまれぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

 

 モニカがレーザーガンを向ける──その瞬間。

 

 モニカの身体が、横に吹き飛んだ。

 

 

 

 同時に、雨の中に細い閃光が走る。

 着弾。衝撃。連続。

 モニカの体が踊るように跳ね、土煙が上がる。

 

 

 

 

 

 キャロルとレイナが撃ったのだ。

 二人は絶え間なく銃撃しながら、アキラへ駆け寄ってくる。

 

「援護、助かる」

 

 アキラは短く言う。

 キャロルが笑った。

 

「いいって。私たちはチームでしょ。

 それにアキラがほんっとにヘイト稼いでくれてたから、当てやすかったのよ。こっちこそありがとうね」

 

 レイナも必死に言う。

 

「私だって……役に立ちたいから!」

 

 

「さすが賢い美女と美少女だ。な、お前とはやっぱり違うよ」

 

 アキラは土煙に向けて撃ちながら、吐き捨てる。

 

「ほらほら! お前の大好きなお高い(スパチャ)だぞ。たーんとお食べ?」

 

 

 

 煽りは効く。

 ブラフも効く。

 絡め手で詰めるのが正解──アキラはそう確信した。

 

 

 

 

 

 

 だが、薄くなる煙の中に──モニカの姿がない。

 

「ッ……モニカがいない!」

 

 その瞬間、キャロルがアキラに背を預けて警戒する。

 レイナも遅れて背を預ける。

 

 

(……逃げた? それとも、回り込んだ?)

 

 

 

 アキラは理解する。

 今追うのは危険だ。

 仕留め切るには、情報が足りない。人数が足りない。

 

「……追わない。確実に倒すためにも、他のメンバーと合流しよう」

 

 キャロルが「賛成」と頷き、レイナも頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 走る。

 死体の群れを迂回し、撃ち、蹴散らし、通路を跨ぐ。

 

 そしてようやくアキラたちとシオリとカナエが合流した。

 

 

 

「無事ですか、アキラ様」

 

「見ての通り。死んでない」

 

 カナエがレイナを一瞥し、からかうように口を開きかけて──やめた。

 今は冗談を言う場面ではない。そう判断したのだろう。

 

 

 アキラが状況を簡潔に説明する。

 

「煽りは効く。ブラフも効く。絡め手で詰めるのがいい。

 あいつ、こっちのヘイトが一点に集まると雑になる」

 

 シオリが頷く。

 

「……なるほど。感情を揺らせば、勝機はありますね」

 

 

 

 

 

 そしてアキラが一つ案を出す。

 

 その案を聞いて、キャロルとシオリは驚愕する 

 

 カナエがニヤリと笑った。

「アキラ少年、やっぱ頭おかしいっすね」

 

「今は褒め言葉として受け取っとく」

 

 

 キャロルは目を丸くして、すぐに笑う。

 

「……ほんとに、あなたって」

 

 シオリはレイナをアキラに任せた時以上に渋った。

 口元が僅かに歪み、数秒沈黙し──それでも結論を出す。

 

「……分かりました。

 ただし、あくまで一つの案です。

 それまでにケリがつかなければ、それでいきましょう」

 

 カナエが「了解っす」と軽く拳を鳴らした。

 

 

 

 

 そして、レイナがアキラを見て、深く頷いた。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 そして──リミッター解除したモニカが現れる。

 

 

 強化服と身体が、ひとつの生き物みたいに馴染んでいた。

 

 さっきまでの球状の力場障壁ではなく、皮膚の上に、薄い力場装甲が常時まとわりつく。

 また攻撃に応じて、硬さが勝手に上がる。

 

 

 そしてモニカの銃は吹き飛んだ際にアキラたちが一つ回収しているが、モニカはもう一丁の銃をそのまま持ったままで。なおかつ銃ごと力場装甲を展開し武器破壊が困難となる。

 

 

 さらに、指先からも光が滲む。

 短いレーザーの刃が雨粒を裂き、コンテナの角を焦がした。

 

 モニカの顔は無表情だ。

 怒りが大きすぎて、逆に感情が消えたような暗い静けさを纏う。

 

 

 

 

 

 

 布陣は自然に定まる。

 

 シオリとカナエが近距離。

 アキラが中距離。

 キャロルとレイナが少し後ろから支援。

 

 

 アキラはもともと6発購入していた対力場装甲弾をすでに一発撃っていた。アキラのBSS複合銃でなら対力場装甲弾を撃った場合、モニカにダメージを与えることできると考えた。

 

 だがアキラは対力場装甲弾をあと数発しか使用できないため、キャロルが対力場装甲弾のカートリッジをアキラに貸した。

 その対力場装甲弾を使ってアキラは攻撃する。

 

 

 雨の中を走るモニカに、雨に紛れてシオリが迫る。

 横薙ぎの一閃──刃が届く。

 

 だが斬れない。

 鉄をナイフで撫でたみたいに滑る。

 

 カナエの飛び蹴りが顔面に入る。

 入ったのに、倒れない。

 滑って止まり、反撃の腕が振り抜かれる。

 

 その指先から伸びる光が、雨粒ごと空間を裂いた。

 

 シオリとカナエは躱す。躱す。躱す。

 当たれば終わる。

 だから、当たらないように“読み”だけで戦う。

 

 

 

 

(彼女の動きは素人。近接は不慣れ。……なのに速く硬い。非常に厄介です)

 

 

 

 シオリの冷静な分析と、カナエの直感が噛み合う。

 当てる。だが効かない。

 避ける。だが余裕はない。

 

 そこで、初めて“負傷した”のはモニカだった。

 

 アキラの弾が腹部に着弾し、衝撃で体勢が崩れる。

 すぐ起き上がる。

 だが──嘔吐した。

 

 力場装甲は基本的に出力を上げれば上げるほど強固になる。

 出力装置から離れた位置に作用する力場障壁とは異なり、その出力を特定の箇所だけ上げることが比較的容易い。

 

 その隙間を狙いアキラは発砲した。

 

 

 旧世界の強化服や力場装甲は強い。

 けれど“衝撃の受け流し”には限界がある。

 内臓が圧迫され、反射で吐いたのだ。

 

 

 

 

 

「おうおう似合ってんな。げろまみれでより醜さが際立つぞ? 滑稽だな(笑)」

「アギラァ……!」

 

 モニカの視線がアキラに吸い寄せられる。

 

 

 すぐさまアキラが発砲。

 

 次は眉間に向かって狙うが力場装甲によって止められる。シオリたちの攻撃に合わせていれば決定打となったが、ここで打つべきだとアキラはかんがえていた。

 

(ヘイトを稼ぐ。冷静さをなくし、理性を溶かして、隙を作りだし、その隙でシオリさんかカナエが攻撃すりゃいい)

 アキラは率先して囮になる。

 意図的に、一番目立つ位置に出た。

 

 

 

「誤射は気にしなくて良いっすよ! どんどん撃ってほしいっす!!」

「カナエがそんなへましないことぐらい知ってるさ! シオリさんは知らないけどなぁ!」

「もちろん私も避けますので、容赦なく撃ち続けてください」

 

 

 

(まずいです! なんとかしなくては!!)

 モニカは焦っていた。

 

 

 アキラは短期決戦のため、発射レートを最大にし、すべての弾を出し切るくらいの弾丸の雨を浴びせていた。

 その弾丸の雨をシオリ達はチームの情報収集機器の連携機能を利用し回避していた。各自の情報収集機器が装備者自身の動きを常に調査し、その情報を仲間に送ることで、シオリ達は遠距離のアキラ達の位置と行動を、その四肢の動きまで正確に把握していた。そこから射撃位置と射線、発砲のタイミングを予測することで、視界の外から合図無しに撃ち出される銃弾を躱していた。

 

 アキラにそんな真似はアルファのサポートがないと不可能であるが、それを前提にした援護と自身の本命を混ぜる銃撃をするくらいはできた。

 

 

 

 

 

 

 だが先に限界がきたのはモニカでもシオリでもカナエでもアキラでもなく──残弾だった

 

「くそっ……玉切れだ!!」

 

 アキラが叫ぶ。

 BSS複合銃に装填していた対力場装甲弾も含め、撃ち尽くした。

 

 苦虫を嚙み潰した、ような表情をする。

 

 

 

 アキラもカナエもシオリも加速剤を使用している。さらにアキラは加速剤を利用しつつ体感時間圧縮やドレットノートの操作も行っていたため、制限時間があり、勝負を急いでしまっていた。

 

「くそが!! レイナすまん! 預かっててくれ!」

 アキラはBSS複合銃をレイナに預けて、サブウェポンのA2D突撃銃を構え突撃する。

 

 

 モニカが嗤う。

「はははは焦りましたね! あの銃や対力場装甲弾じゃないと、私を倒すことはできません! 勝負ありですね!」

 

「何をほざいてやがる。第二ラウンドの開始だよ!!」

 

 

 アキラが近接戦に混ざる。

 あり得ない選択。

 だが、アキラは“役に立つ”ために前へ出た。

 

「アキラ様……!?」

 

 シオリが驚愕する、ような表情をする。

 カナエは歯を食いしばる。

 

「もう俺に手段はない! 少しでも、役に立ってみせる!」

 

 

 だがモニカは余裕の表情で笑う。その顔には今、戦況は自身に傾いたと理解した顔だった。

「いいえ、あなたは役立たずで終わるんです、さぁ負けて死ね!」

 

「お前がな!」

 

 アキラは回避して、回避して、拳を振るい、ゼロ距離射撃を押し付ける。

 ダメージを通すためじゃない。

 相手に出力を使わせるため。

 相手の意識を自分に固定するため。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ楽しいです! さっきまで威勢よく吠えてたバカが、死に際になって、滑稽に足掻き苦しむのは最高です! ああそうなんです、相手がいい気になったところで一気に叩きつぶす感覚が、さいっこうに気持ちいんですよ!」

 

 

「く、そ、が。だ、まぁ、れよ、ブスが!!」

 アキラは息も耐え耐えで、脳も酷使し頭痛やめまいがしてくるがなんとか耐える

 

「ず──っと気色悪いんですよ! さして才能も感じないただのガキが! 大人ぶってんのかガキなのかわかんない事ばか言いって! いびつなんですよ、あなたは!!」

 

「だから、どうした!!」

 

 

「ははは図星ですか? そうですよね! 今も頑張って私を煽って! でもどう攻撃しても手の足も出ないカスが、調子に乗るんじゃねぇよ! すかした気になって、人の上に立つのは楽しいか? お前がいま立ってるのはな! ただのゴミ山の上なんだよ! ゴミ山に居座ってる虫けらは! ゴミ事燃えて、死んでしまえ!!」

 

 

 

 モニカの理性が融解し、口調が本性のものへと切り替わる。

 

 

「おまえが、しねや!! だれも、おまえに、きょうみなんて、ねぇよ!!」

 

 アキラが叫ぶ。

 叫びながら、心の奥は冷えていた。

 

(もっと来い。もっと俺を見ろ)

 

「ツッ、まだそんな減らず口を!! そんなんだから。そんなんだから!! いつだってそんな事を言うのは常に強者! 成功者だけだ! 私たち敗者はいつだって血反吐吐きながら生き延びるしかない! だから求めた! 力を! そして手に入れたこの力を! 今まで虐げてきた奴らに報いて何が悪い!」

 

 モニカの大振りの攻撃に合わせてアキラが後退し、息を整える。

 

 

 

 

「不幸自慢は終わりか? さっきから言ってんだろ。誰もお前に興味はねぇ、あるとしたら天から見てる傍観者気取りの神サマだけだよ」

 

 

「この、クソガキがああああああああああ!!」

 

 

「おうおうよく吠えるな! シワが増えんぞアバズレ!」

 

 

「殺す! 殺してやる! そしてお前のあなたを、アキラをそして全員殺す!! ぐちょぐちょにして、惨めな状態で、殺してくださいと嘆願してくるまで! 無惨に殺す、殺してやる!」

 

「ハッ、勝手にしろよ、妄想は誰しもが持つ権利の一つだから、思うことは自由だ。そんでもってその理想妄想を抱いて溺死しろ。夢に溺れ敗れていつも通り負けて死ね!」

 

「どこまでも、どうしてこんなに私をバカにするんですか! 人をなんだと思ってる!」

 

 

 

「あ? どこに人がいる? 俺の目の前にはヒトデナシしかいねぇぞ? あとはドブカスだな」

(あと口調がばらばらだぞ?)

 

 

 

 そしてブチギレたモニカが出力を上げる。

 

 シオリとカナエを振り切り、アキラへ肉薄する。

 

 モニカは一気に出力を上げて、シオリとカナエを引き離し、アキラへ肉薄する。

 たとえ急激な行動でモニカの体がGによって破壊寸前であっても、今のモニカを止めることはできなかった。

 

 

 そのモニカに対し、アキラはとっさに近接戦闘の防御姿勢を取った。

 

 

 

 すると突撃しようとして加速したモニカは急停止し、まだ使っていなかったレーザー銃をアキラに向け。

 

 

 間に合わない。

 

 発射。

 

 

 

 腹部を貫通する光。

 背後で爆ぜる爆発。

 アキラの身体が、紙切れみたいに吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 アキラは致命傷を受け、戦場から脱落した。

 

 完全充填なら消し炭だった。だがモニカはとっさに打ったため、レーザー充填は間に合ってなかった。

 

 

 

 

 

 だが、──それでも。

 

 レーザー銃と、爆発によって、アキラが意識を飛ばすのには十分な威力だった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 アキラが致命傷を受け吹き飛んだ。それを見ていた全員が衝撃を受けた。

 

 そしてシオリとカナエの負担が増えてしまい、アキラを助けに行きたいが目の前の敵で精一杯であり、余裕が無くなる。

 

 キャロルも向かおうとして、歯を食いしばって止まる。

 

(今行っても間に合わない可能性が高い。

 ここで私が離れたら、全滅する可能性が高くなる!)

 

 キャロルは、援護を続ける。

 “見捨てる”という選択を、してしまった。

 

 

 

 

 レイナは唖然とした。

 

 信じたくない。

 見たくない。

 

 

 

 

 だが、それは紛れもなく現実だった。

 

 

 

 吹き飛んだ先で、腹部に大きな穴をあけ、流血し、動かなくなったアキラが。そこにいた。

 

 

 

「アキラァァァァアアアアアアアアアアア!!???!!」

 

 少女の慟哭が戦場を奏でた。

 

 叫びは、喉を裂くみたいに出た。

 

 

 レイナは走りかけて──止まる。

 止まるしかない。

 前に出た瞬間、自分が殺される。

 そうしたら、アキラが守った意味が消える。

 

 分かっているのに、足が震える。

 

(嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ)

 

(私、まだ──何も返してないのに)

 

 レイナの手の中に、BSS複合銃の重みがある。

 託された重みがある。

 その重みが、泣き叫ぶ心臓を押さえつける。

 

 

 

 

 

 

 戦場はまだ終わっていない。

 ◆

 

 

 

 遅れて、アルファが戻ってきた。

 

『……ああ。ダメね』

 

 冷えた声。

 交渉を終えた。支援を取り付けた。

 だが契約者が虫の息なら、その支援は実施されない。

 

 アルファは戦っている他者を支援しない。

 契約者が死ねば、契約は終わるからだ。

 

 

 

 

 アキラの傷は、レーザーによって傷口が焼けて出血は幾分かマシだが。

 いずれにせよ出血が止まらないアキラを、冷めた目見ていた。

 

 

 

 アキラの持っている簡易医療キットでも治す事はできないだろう、彼はこのまま死ぬ。

 

 

 

 

 

 アルファはアキラの死を悟った。

 

 

 

 

 

 ◆

 ◇

 ◆

 ◆

 ◇

 ◆◆

 ◇

 ◆◆

 ◇

 ◆◆

 ◇

 ◆◆

 ◇

 ◆◆

 ◇

 ◆◆

 ◇

 ◆

 

 

 アキラは走馬灯を見ていた。

 

 いや、これは夢だろうか

 

 

 もしかするとさっきまでのアキラとしての人生が夢で、目の前のいつもの光景が現実なのかもしれない。

 

 

 

 

 ■■ ■■は意識を取り戻す。

 

 アキラとしての生活は仕事中のうたた寝で見えた妄想だと■■は────俺は思った。

 

 

 

 

 

 白い部屋。見慣れた機材が並ぶ。

 

 オリンパスのモニター、同じ音を奏で続ける電子音。

 

 目の前で行われるプロの手捌き、それを手伝う同僚と■■ ■■の自分。

 

 

 

(……ああ、そうだ)

 

(さっきまで寝てたんだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今は、手術(オペ)の途中じゃないか。ちゃんとしろよ俺。

 

 自分で自分に言い聞かせる。

 

 

 

 

 

 見慣れた人間の臓器、医者が使う電気メスの音と人体の脂肪が血液が電気メスで焼かれて放たれる独特な匂い。

 

 次々指示が来る、術野に休む暇はない。

 

 

 

 さっきまで意識を飛ばしていた■■ ■■は気持ちを切り替え、目の前の手術に集中する。

 

 見慣れた閉鎖された白い部屋に、心も体も人生も封じ込められた■■ ■■は、今もただ手術の介助を行う。

 

 

 

 

 

 

 

 ──ああ。これが現実だ。

 

 

 

 

 そうして■■ ■■もとい、アキラは走馬灯を見ていた。

 

 

 

*1
『幽遊白書』の主人公・浦飯幽助の啖呵。読心能力持ちのチンピラボクサーに対し、心を読んだとしても物理的に反応が追い付かないスピードでブン殴るシーン

*2
なお、アキラはスマブラ下手。最初に勝ったスマブラはWiiのやつ

*3
某艦これの天龍型




■■ ■■「ほんと、くだらない妄想だな」
アキラ「そうだな」



読了感謝です。
というわけでこうなりました()
ずっと匂わせてた(つもりの)アキラの前世についてです。設定等の方に記載していた
【アキラ:本作の主人公であり転生者。前世ではオタク気質の人間で、(ネタバレ)関係の仕事に就いていたが、過労死によって命を落とした。】
の(ネタバレ)に、『看護師』もしくは『手術室看護師(オペナース)』が入ります。誰もアキラの前世の職業の考察してくれなかったから悲しかったゾ。



で、アキラは前世で手術室看護師だったので医療知識がかなりある状態で転生してます。
そのため医療知識とか薬の知識とか、健康管理とかに気を使っている描写を意図的に書いてたりしてました。
具体的には、麻薬編での麻薬知識や、アキラの所持品にほぼ必ず医療キットがあったこと、死体や臓器糞尿に抵抗がないこと、脳内神経伝達速度を上げるような加速剤や脳内時間圧縮や過集中などをすんなり受け入れたこと、ヤツバヤシとの初対面時に治療や医療知識を話していたこと。
とか諸々です。

本編での例)
1話「職業柄、人の死にある程度慣れていた」
「前世で死体を見慣れていたわけではないが、瀕死の人間や排泄物の臭いにはある程度耐性があったので、発狂はしなかった。」
7話「スラムで手洗いうがいを徹底して感染予防」「食糧を確保して免疫力を上げる」
23話「院患者はとりあえず従えという考え」「廃用性症候群とか寝たきり」「フェンタ(ニル)とかモルヒネ」
他だと「麻薬や医療麻薬に関する理解が速かったこと」「しれっと加速剤とかを血管に注入したこと」「麻薬組織の売人への拷問時に点滴使って肺塞栓症狙ったこと」「全身麻酔薬のプロポフォール」

etc…



などようやく(ネタバレ)を一つ埋めました。やったぜ。

さてあとがきを書いてる時点で12時30分でしたのでさっさと閉めていきましょう。


致命傷を受けて走馬灯を見ている■■ ■■(アキラ)。次回、決着です。


ちなみに、アキラが致命傷を負う事以外、すべてアキラが提案した策通りに事が動いています。




余談
盾の勇者の成り上がりのパロサブタイまだ書いてなかったんですね()
槍直しの方が好きです()

さらに余談
作者(僕)がもともと手術看護師してました()。今も看護師として働いてます。そして今から家で記録を書きます()
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