Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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閲覧感謝です。遅れて申し訳ねぇ。全然筆が乗らねぇんだ。
それ以上に仕事が忙しくてこの一か月で2キロ痩せてるからしんどいゾ

そして話も全然進んでないですが、一週間出してないからマジでそろそろ出すだけでもやっておかなくてはと思いひとまず投稿してます。


改めて、いつもお気に入り登録や、感想、誤字報告等々感謝です。
(サブタイはサイバーパンク)



サイバーパキランク

 

 

あれからアキラはシェリルに謝り倒し、イロイロ絞られた後日。

 

その「イロイロ」の内容は、徒党の誰も詳しくは知らない。

だがアキラの目の下のうっすらした隈と、シェリルの妙に機嫌の良い様子が、だいたいの想像を許していた。

 

 

 

都市との報告や交渉のために、クガマヤマ都市の巨大な防壁と一体化している高層ビルであるクガマビルの一室に向かった。

 

何度か訪れているはずの場所なのに、今日に限ってやけに天井が高く感じる。

ガラス越しに見える都市の景色は変わらないのに、自分の立場だけが妙に浮いている気がした。

 

いつも通りアキラの代わりにシェリルが交渉の席に座り、アキラはとりあえずその場にいるという事実のために存在した。

 

椅子に座っているだけなのに、なぜか「役目を果たしていない感」がまとわりつく。

だが立場上、いないわけにもいかない。

 

 

 

あのモニカとの戦闘やミハゾノ街遺跡の騒動の報酬や分配などを決めるため、その戦いに関係あるハンターを抜きにする交渉などあり得ない。たとえ自身の報酬や交渉を他者に任せ、本来やることがないものでも参加する理由がある。

 

まぁ、ちゃんとその場にいましたよ。自分の知らないところで勝手に決められた訳じゃないですよ。と言質を取る為に呼ばれたようなものである。

 

自分でもその扱いを自覚しているからこそ、妙に落ち着かない。

 

 

 

そして、全員揃ったところで都市の職員が話を進めていく。

 

その前にシェリルがレイナに向けて笑みを浮かべたことを、アキラは気づいてないふりをした。

 

ほんの一瞬だった。

だが、視線は確実に刺さっていた。

 

気づいた瞬間、見なかったことにするのが最適解だと判断するあたり、アキラは学習している。

 

 

 

都市職員の話の初めの内は大した話は無かった。

既にエレナから提出されている報告書と、各自の情報収集機器のデータの解析結果を元に、細部が不明な部分について聞かれたことを答えるだけだった。 前提認識のすり合わせである。

 

淡々とした確認作業。

だが、その淡々さの裏にあるのは、責任と利権と金だ。

 

 

 

その後、話が本題に入る。

 

空気がわずかに引き締まる。

 

 

 

都市はモニカを賞金首に準じた扱いにして、その賞金を支払う形式でアキラ達に報酬を出すことを提案した。

 

 

 

 

 

つまり都市側の狙いはモニカを賞金首扱いにすることで、モニカの自身と旧世界製の装備の所有権を得ることだ。

 

その意図を理解している者と、理解していない者。

室内の温度差が、微妙に広がる。

 

アキラはその中で、モニカからカツアゲして奪い取ったコロンも都市に回収されないかが心配だったが、モニカの口座や財産も凍結され回収されたとしても、すでに所有者がアキラであるコロンも回収されることはないだろうと踏んだ。

 

頭の片隅で、静かに電卓を叩く。

 

最も取引歴を確認されると、アキラにモニカから金銭的に移動した形跡が見つかるかもしれないが、それはアキラとモニカの個人間での取引であり、ハンターオフィスを介さない取引である。そのため都市がアキラとモニカが交わしたなんらかの取引の存在を認知しても、アキラにその内容を聞くことや、その際の報酬を返却しろという事もないだろうと考えた。

 

なお、だいたいその理由と根拠を考えたのはシェリルである。

 

アキラはその理屈を、さも自分で考えたかのように理解しているだけだ。

 

余談であるが、モニカとの交渉の際にアキラが500万コロン以上をカツアゲしたことに、流石のシェリルも口に含んでいた紅茶を吹いた。

 

その瞬間の、完璧だったはずの淑女の顔の崩れ方は、なかなかのものだった。

 

そしてその紅茶を浴びたアキラが「我々の業界ではご褒美です」とサムズアップした。

 

その後顔を真っ赤にしたシェリルにぽこぽこ殴られてイチャイチャしてたという事実は伏せておいた方がいいだろう。

 

伏せておいた方が、都市の威厳的にも、徒党的にも、たぶん健全だ。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

本題に入り、都市の意図や思惑を理解したもの、理解していないものも含め、いよいよ、各自本気の交渉に入った。

 

クガマヤマ都市の交渉担当者。ドランカム所属の交渉人。そしてエレナにキャロルにシェリル。

 

互いに視線を外さない。

言葉より先に、空気で牽制し合う。

 

この手の駆け引きに慣れた者達同士の白熱した交渉が始まった。

 

 

 

熾烈な交渉が続く中、交渉に参加せず時間をつぶしている者同士で話していた。

 

その空間だけ、少し温度が違う。

 

 

 

アキラに、レイナが少し真面目な表情で声を掛ける。

 

「アキラ。ちょっと良い?」

 

暇潰しの雑談には思えないレイナの様子に、アキラも少し態度を改めた。

 

椅子に背を預けていた姿勢を、ほんの少しだけ正す。

 

「何だ?」

 

「その…」

 

レイナは言いにくそうにしていた。

 

視線が一度、テーブルに落ちる。

 

「今日のシェリルさん、私に対してあたりが強い気がして…目線もそうだし、私何かしたかしら」

 

 

 

「ああーーー…」

 

喉の奥で、やばい音が鳴る。

 

アキラは言うか悩んだ。

 

言うのは簡単である。彼女が嫉妬していること。アキラに好意を向けてきているライバル候補に警戒していることなど。

 

言うのは簡単である、が。だからと言って、馬鹿正直に言うのもなぁ…と悩んでいた。

 

その一瞬の間に、脳内でいくつかの未来が爆散した。

 

 

 

アキラは一瞬シオリを見る。(どうすりゃいい?)というような感じで。

 

だがシオリも苦笑いをするだけだった。

 

その苦笑いは、「がんばれ」とも「自業自得」とも取れる。

 

(おい保護者、ちゃんと情操教育をしろ)とアキラは言いたかった。

 

 

 

「まぁ正直俺にもわからん。もしかすると、レイナが直接モニカに決定打を与えたのに、報酬とかを受け取ろうとしてないだろ?その報酬とかが俺に渡るようにシェリルにお願いしたから、シェリルの仕事が増えたんで機嫌悪くなったんじゃね?」

 

全力でごまかすことにした。

 

自分でもわかるくらい、苦しい。

 

 

 

「そ、そう。申し訳ないことをしたわね…」

 

レイナが申し訳なさそうにする。

 

その反応に、アキラの胸の奥がちくりとする。

 

 

 

「というか、ほんとにレイナは報酬を受け取らないでいいのか?金に余裕があると言っても、モニカ戦の功労者って肩書くらいは持って行ってもいいと思うんだが」

 

 

 

「それをアキラが言う?その作戦を立案したのはアキラだし、決定打になった弾も銃もアキラから借りてるものだし。文字通り他人から借りたモノで倒したって、なんにもうれしくないわよ。アキラたちを置いて、そんな借り物で手にした功績を喜ぶほど最低な女にはなりたくないわ」

 

 

 

「実際、レイナの強化服も含めて、その実力がないと銃の反動もリコイルも狙撃も難しいと思うんだけどなぁ」

 

 

 

「それでも、よ。それに他にベテランハンターのシカラベやエレナさんとかより功績が上だと、逆に怪しまれるわ。自分で言うのもなんだけど、いままでパッとしてなかった戦歴の若手ハンターがMVPだなんて、誰も信じちゃくれないわ」

 

 

 

レイナは、それにアキラになら…とボソッとつぶやいていたが、アキラは聞かないことにした。

 

聞いてしまえば、踏み込まなければならない。

 

 

 

(ぶっちゃけ、レイナだったら遠慮してくれるから、俺の報酬の取り分が増えそうだから、レイナを射手にしたって、流石に口が裂けても言えねぇ…可哀そうすぎる)

 

その本音は、絶対に墓まで持っていく。

 

なお、そのアキラの思惑に関しては、シオリやカナエは察していた。

 

視線だけで会話できる人間は怖い。

 

 

 

またアキラは話題を変えるためトガミに声をかけた。

 

交渉の空気と、レイナの真面目な空気から逃げるように。

 

 

 

「そういやお疲れ様。元気だった?」

 

軽い口調。

だが視線はほんの少し探るようだ。

 

「一番重症だったのはアキラだからな、俺はぴんぴんしてるぞ。ただあまり活躍できなかったのが悔しいが」

 

トガミは肩をすくめる。

 

その言葉に、ほんの少しだけ本音が混じる。

護衛役という立場は、派手な戦果とは無縁だ。

 

「トガミは俺たちの代わりに護衛してくれてたんだし、適材適所だよ。それに俺は護衛とか苦手だしな」

 

言いながら、アキラはほんの少しだけ視線を逸らす。

 

本当は、苦手なんて言葉で片づけられるほど単純ではない。

 

守る側に立つということは、

自分の命を賭けるよりも、重い。

 

「まぁ、そういうことにしとくよ」

 

トガミはそれ以上踏み込まない。

 

互いに踏み込まない距離感が、今はちょうどいい。

 

 

 

交渉卓の向こうで、誰かの声が少し強くなる。

空気が一瞬だけ張り詰める。

 

だがこちらには波及しない。

 

 

 

「そういえばカツヤは元気なのか?」

 

アキラが何気なく口にする。

 

その言葉に、トガミの眉がわずかに動いた。

 

「おま…いや悪気はないんだろうな。アキラはカツヤの信奉者じゃねぇし。」

 

言いかけて止める。

 

その間に、ほんの少しだけ警戒がある。

 

「ただの友人だぞ」

 

あっさりと返す。

 

そこに含みはない。

少なくともアキラの中では。

 

「だよな。悪い。実はカツヤの派閥がかなり力つけててさ。めちゃくちゃ連携がすごくてよ。なんか総合支援強化服?ってやつで部隊全員が同じ強化服着てさ。なんかすごいんだよ」

 

トガミの声に、わずかな興奮が混じる。

 

強い部隊の話は、単純に心を掴む。

 

「確かにカツヤの部隊は連携とかすごいってよく聞くしな。だけど俺の印象だとカツヤは部隊指揮とかより前線で凸って部隊を引っ張る方が得意そうじゃん?どっちかというとカツヤハーレムの第一婦人(ユミナ)第二婦人(アイリ)の二人の方が部隊指揮うまいと思うんだけど、その二人が指揮してる感じじゃねぇのか?」

 

軽口。

 

だが観察は鋭い。

 

トガミが少しだけ吹き出す。

 

「第一婦人第二婦人て…言い方がもう少しあるだろうが。ただ俺もそこまではわからねぇ。正直俺は一応反カツヤ派ってことになってるから内情があんまわかんねんだよ。ただ()()()()()カツヤと活躍してるって聞いてるぞ」

 

反カツヤ派。

 

冗談めいた響きだが、

スラムでは立場がそのまま命綱になる。

 

「そうか。ありがとう。」

 

アキラは短く返す。

 

必要以上に掘らない。

 

「おう。なんなら今度なんかおごってくれよMVPサマ?」

 

トガミの視線がレイナに向く。

 

一瞬の沈黙。

 

「おいレイナ言われてるぞ」

 

アキラが横から突く。

 

レイナは少しだけ頬を膨らませる。

 

「MVPは私じゃないでしょ!」

 

その声に、ようやく場の空気が緩む。

 

若手ハンターは盛り上がっていた。

 

ほんの少しだけ。

 

ほんの少しだけ、

戦場の匂いが薄れる。

 

 

 

だが交渉は終わらず、都市、ドランカム、各ハンターたちの利益のため会議は踊り、されど進まずの状態だった。

 

向こう側では未来が決められている。

 

こちら側では、まだ若さが笑っている。

 

その距離が、

今のスラムの縮図のようだった。

 

 




読了感謝です。
ぶちゃけコロンの取り扱いがわからないゾ。
とりあえずモニカからカツアゲしたものの、もともとコロンを手にする予定(プロット)はなかったので扱いに困ってます。武器や強化服をこの時点で買ったらもうクライマックスに王手かけちゃうんですよね…

もういっそ終わらせるか?この物語。
と思うくらいには疲れてますし、完全にエタる前に終わらせないと…


家で記録書きながらアニメ見てるんですけど、最近サイバーパンクというアニメを見てました。
リビルドワールドもこれくらい動いてくれたらいいなぁ。と思います。スラムや退廃的な描写もあれくらいやってくれ。
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