Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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みなさんお久しぶりです()マージで遅れてすいません。ようやく更新です。
多分今までの読者の半分くらい消えたような予感がしますが…まぁ自己満足で始めた作品です。満足いくまで書きたいと思ってます。思ってるだけですけどね。


相変わらず職場は多忙ですし、転職先を探してる状態ですが元気です。それと鬱も治ってきたのでぼちぼち再開します。やっぱり、鬱状態の時よりアイデアが出てきて書きやすいですね。ふさぎ込んでるとやる気も出ないし、書きたい衝動どころか何もかもが色褪せてしまうんですよねーーー

なお、考えた一つのアイデアを採用して文章書いてたらかなーーーり原作乖離してたので書き直しました。原作乖離しすぎるとかえって書きづらくなるゾ
具体的に言えばシェリルに一目ぼれしたクソガキ生物兵器をなかったことにしようとしてました()。彼が消えたら書籍4刊分くらいの導入が難しくなるんだ…

 
なので絶賛また読み直ししてます。

原作読み直しの中でⅥ<下>でシェリルが都市職員の質疑応答のシーンありましたね。多分今作アキラも激怒して殺します。あーあ、またヒカルちゃんが頭抱えますね。それも全部キバヤシってやつのせいなんだよ。

その時アキラが都市と敵対したら普通に別都市にシェリル連れて逃げます。
そっから多分アルファと敵対ルートにも入りそう()


またあとがきの後半にこれからの大雑把なプロットと事情など書いてますので良ければ一読し意見をお聞きしたいです。


さて改めて、今まで感想、評価、お気に入り登録や誤字報告等感謝です。よければ付き合っていってください。同志諸君、すべては大義のため。


超シェリル姫

 

モニカ戦にまつわる報酬額の選定は難航していた。

 

今回の戦闘には複数の徒党やハンターが関わっており、誰の功績をどの程度の報酬に反映させるかで各陣営の意見が食い違ったからだ。

 

原作同様、ドランカムは交渉の主導権を握ろうと動いていた。

だがその動きに対抗するように、シェリルがアキラへの報酬額を釣りに釣り上げた。

 

今回モニカ本線で戦ったのはアキラ、キャロル、そしてレイナ達である。

 

アキラは自身の徒党。

キャロルは個人ハンター。

レイナはドランカム所属ではあるが、現在はアキラの徒党に出向している形になっていた。

 

つまり、この戦闘においてドランカムゆかりのハンターはレイナだけである。

しかもそのレイナも形式上ドランカム所属というだけで、実態としてはアキラの徒党の戦力として動いていた。

 

それにもかかわらず、レイナの功績をそのままドランカムの功績として計上するのはいかがなものか。

 

その点をシェリルが徹底的に突いた。

 

結果として、ドランカム側が一歩譲る形となる。

 

 

 

しかしドランカムも黙ってはいない。

 

交渉を都市とドランカムの二陣営による取引に持ち込むため、他のハンター達に相応のオーラムを前払いして交渉権をまとめ上げるという手に出た。

 

交渉の主導権を確保するための、大きな一手だった。

 

 

 

ただ今回は事情が少し違う。

 

モニカは捕獲されたうえ、彼女が使用していた旧世界製の強化服とレーザーガン一丁も回収されている。

 

そのため戦利品の価値が上乗せされ、本来より報酬総額は増加した。

 

 

 

 

 

 

モニカ関連の報酬総額は九億オーラム強*1

 

そこにレイナからのお貢ぎという名の譲渡分――迷惑料やMVP辞退の意味合いを込めた一億オーラムが加算される。

 

さらに細かな分配や補償などを含め、最終的な調整が行われた。

 

 

 

その案に各陣営は了承し、ドランカムの交渉部からそれぞれ報酬額が支払われることになった。

 

 

 

アキラ自身、金がないわけではない。

 

だがモニカとの戦闘で強化服はほぼスクラップ同然になっている。

修理するにせよ買い替えるにせよ、まとまった金は必要だった。

 

実際のところ金銭的にはそこまで困っていなかった。

ただ、日々交渉に奔走して疲労していくシェリルを見て、多少は報われる形にしたいという気持ちもあった。

 

そういった事情がいくつか重なった結果、最終的な報酬額は次のように決まる。

 

 

 

アキラが受け取った報酬。

 

延べ 十一億オーラム

 

 

 

シェリルの奮闘、モニカ捕縛の功績、そしてレイナからの譲渡分が積み重なった結果だった。

 

 

 

ちなみにその報酬交渉を最後までやり切ったシェリルは、やややつれた顔のままアキラにドヤ顔をしていたらしい。

 

そんな噂があるとかないとか。

 

 

 

 

 

 

 

モニカ戦の後、アキラはしばらく予備の強化服を使用して生活していた。

 

モニカとの戦闘で使用していた強化服はほぼスクラップ同然になっており、修理には時間がかかるためである。

 

加えて今回のモニカ戦では、対力場装甲弾を五百万オーラムほどまとめて購入していた。

この弾丸は非常に高価だが、ハンターランクが五十以上になれば格安で入手できる。

 

その条件を満たすため、アキラはミハゾノ街遺跡で収集した遺物の在庫のうち五割をハンターオフィスへ納品することを決めた。

もちろんその量は個人で持ち込める規模ではないため、手続きはキバヤシ経由で進められた。

 

その結果、モニカ戦での功績と遺物納品の評価も加わり、アキラのハンターランクは 三十二 へと上昇した。

 

 

 

しかしアキラが遺物を売却した理由は、それだけではない。

 

現在スラムでは、二大徒党である エゾントファミリー ハーリアスが抗争寸前のにらみ合いを続けており、空気はかなりきな臭くなっていた。

 

アキラ達の徒党はどちらの陣営にも属していない。

そのため両徒党からの勧誘――という名目の金銭要求が増え始めていた。

 

 

 

さらに問題だったのは、アキラ達が運営している 遺物販売店 賭博場 である。

 

どちらの徒党からも、明らかに狙われていた。

 

 

 

そのためアキラは、遺物販売店の営業を一時的に縮小することを決めた。

同時に、在庫の一部をハンターオフィスへ納品して換金し、その資金で徒党の装備強化と武力増強を進める方針を取った。

 

 

 

当初は遺物の七割をハンターオフィスへ納品することも検討した。

しかし最終的には、

 

・二割を遺物販売店の在庫として維持

・三割を倉庫に保管

・五割をハンターオフィスへ納品

 

という配分に決まった。

 

 

 

保管用の倉庫は、スラムの徒党が手を出しにくい 下位区画 に借りることにした。

さらにリスク分散のため、倉庫は二か所に分けて契約する。

 

 

 

その契約交渉の際、少しした騒ぎもあった。

 

スラムの小規模徒党が貸倉庫を要求してきた影響で、不動産屋が足元を見てきたのだ。

 

 

 

だがアキラとシェリルはそれに応じなかった。

 

アキラはスーツ。

シェリルは旧世界製の衣装。

 

二人で直接交渉に向かい、逆に不動産屋を手玉に取って好条件を引き出すことに成功する。

 

 

 

そもそもアキラとシェリルには、以前からある噂が流れていた。

 

「二人は実は中位区画出身なのではないか」

 

という噂だ。

 

 

 

もちろん真実ではない。

 

だが二人は、その噂を逆に利用することにした。

 

結果として、その噂をただの与太話だと思っていた不動産屋をうまく騙し、半ば脅す形で契約をまとめることに成功していた。

 

 

 

ちなみにアキラとシェリルは 正真正銘のスラム孤児である。

 

この噂が完全な嘘であることを知っているのは、本人達とごく限られた人間だけだった。

 

 

 

 

 

そうして資金が整ったところで、アキラは強化服の更新に踏み切る。

 

 

 

モニカ戦の報酬のうち 八億オーラム

さらに遺物売却益の二億オーラムのうち 一億オーラム

 

その合計 九億オーラム を強化服の購入費に充てた。

 

 

 

アキラが購入したのは、全身に力場装甲を展開可能で情報収集機能を一体化させた 総合支援強化服

 

その名は カトリーナAnJ*2

 

 

 

元々「カトリーナ」という深緑色基調の強化服が存在するのだが、これはそのアップグレード版として発売された赤色モデルである。

 

キャッチフレーズは―『通常の三倍』

 

 

 

 

また、前回のスタータウンの時と同じく、リオンズテイル社の衣装制作会社にカスタムを依頼することも検討された。

 

だがそれを行えば、再びカナエに借りを作ることになる。

 

シェリルとしてもそれはあまり面白くない。

 

 

 

結局、今回は別の会社の製品をそのまま購入する形になった。

 

 

 

さらに数千万オーラムを追加し、弾倉などを内蔵できる外装アウターも購入する。

 

 

 

こうしてアキラは、ようやく――

 

全身力場装甲を備えた新型強化服

 

を手に入れたのだった。

 

 

 

 

 

さらにアキラは、遺物売却益の残り一億オーラムと徒党の資金の一部を使い、徒党の防衛能力の強化にも資金を投入した。

 

現在のスラムは二大徒党の抗争寸前の状況にあり、情勢は非常に不安定だった。

アキラ達の徒党はどちらにも属していないとはいえ、資金や遺物、事業を持っている以上、いずれ何らかの形で巻き込まれる可能性は高い。

 

そのため、万が一の襲撃に備えて徒党の拠点防衛を強化することにしたのである。

 

 

 

具体的には、

 

・拠点の監視装置の増設

・自動機銃などの簡易防衛設備の導入

・警備ドローンの追加

・徒党構成員の装備更新

・緊急時の避難経路や防衛配置の再構築

 

といった、拠点防衛のための設備投資が行われた。

 

 

 

もちろん、アキラ自身がいれば大抵の襲撃は撃退できる。

 

だが問題は 「アキラがいない時」 である。

 

荒野での依頼中、都市にいる時、あるいは別の場所で戦闘している時。

その隙を突かれれば、徒党の拠点は簡単に壊されかねない。

 

シェリルとしても、その可能性は無視できなかった。

 

 

 

だからこそ、金を惜しまず防衛に回す。

 

 

 

戦力を増やすことは、徒党を大きくすることとは違う。

ただ生き残るための準備だ。

 

 

 

アキラもシェリルも、徒党を巨大化させるつもりはない。

 

だが――

 

 

潰されるつもりも、当然なかった。

 

 

 

 

 

 

そうしてモニカ戦の交渉を一旦終え、装備を更新したアキラは、ある日キバヤシから呼び出しの連絡を受けた。

指定された場所はクガマヤマビルのオフィス。普段のハンターオフィスではなく都市側の施設である。

 

ただの雑談ではない。

そう感じながら、アキラはシェリルと共にクガマヤマビルへ向かった。

 

 

 

「それで、キバヤシ。要件ってなんだ?」

 

アキラがキバヤシに尋ねる。

 

 

 

「まぁ何、少しお前に俺からのプレゼントだ。これはこの前のモニカっていうハンターにステゴロで挑んで、腹に穴あいても?無理やり傷口塞いでもう一回戦って彼女を出し抜いて捕縛した俺好みの無理無茶無謀野郎に対しての礼だ。気にするなよ」

 

 

 

アキラは嫌な表情をする。

 

 

 

「しかもこれは本来お前らに教えないはずの情報だ。」

 

 

 

アキラは内心、

(あぁまたバカをやらされるのか)

と半ばあきらめてしまった。

 

 

 

そこでシェリルが口を開く。

 

 

 

「それで、どのような情報をいただけるのでしょうか?今回はアキラだけでなく私も名指しでお呼びしていただいた事。それと我々の徒党ではなくクガマヤマビルのオフィスで話す事。かなり重要かつ機密性が高いと思われますが…」

 

 

 

「ああ、大きく分けて要件は二つ。情報の開示と、アキラから相談を受けたコロンの使い道に関してだ」

 

 

 

その言葉に、アキラとシェリルは姿勢を正した。

 

 

 

「まずコロンの方だ。これはアキラから前もって聞かれた100万コロンで何ができるのか、という依頼を受けた。いやー俺も驚いた。まさかアキラがコロンを手にしたとは、しかも企業コロンじゃねぇ、実コロンだ。正直耳と正気を疑ったが…さすが俺の見込んだバカだよ」

 

 

 

「そりゃーどーも。わかっていると思うが」

 

 

 

「ああわかっている。アキラにコロンの使い道やらを教える代わりに、アキラが俺の無理無茶無謀にこれからも関わって俺を楽しませるための先行投資だ。これは俺とアキラの個人的な依頼であって、他者に情報はアキラの許可なく流さない。それは俺の立場を持って保障する。」

 

 

 

「ああ、頼む。」

 

 

 

「そして俺に相談したのは正解だ。対応がどうであれ、ハンターオフィス職員として真摯に対応しよう。そして俺を楽しませてくれ。」

 

 

 

アキラとシェリルは頷く。

 

 

 

するとキバヤシからデータが転送されてきた。

 

そのデータには、

 

・100万コロンで可能なこと

・購入可能な旧世界技術

・オーラム換算した場合の価値

・さらに100万コロン以上で可能になる取引

 

などが詳細に記されていた。

 

 

 

それはまるで、

 

「お前、本当はもっとコロンを持ってるんじゃないか?」

 

と確認するような内容でもあった。

 

 

 

 

 

二人は軽く目を通す。

 

その内容に驚きや関心は抱いたが、この場では深入りしないことにした。

 

 

 

「さて、次が本題だ」

 

 

 

「「ああ(ええ)」」

 

 

 

キバヤシは椅子にもたれながら言う。

 

 

 

「今ハーリアスとエゾントがにらみ合っているよな。そこが近々潰しあう。」

 

 

 

「まぁ、そんな気はしていたが…それがどうした?」

 

 

 

キバヤシは笑みを深めた。

 

 

 

「実はこの抗争は都市主導で行う極秘プロジェクトの一環だ」

 

 

 

「ファッ?!」

 

 

 

アキラの思考が一瞬止まる。

シェリルも目を見開いた。

 

 

 

「い、いやなんで都市が関わってるんだよ。」

 

 

 

「簡単に言えば、企業同士のデモンストレーションと、都市経済に不都合な徒党の排除だな」

 

 

 

「理由聞きたくなかったな…」

 

アキラがうなだれる。

 

もう逃げることはできないと悟った。

 

 

 

考え込んでいたシェリルが、整理して問いかける。

 

 

 

「それで、私たちはどう動けばいいのでしょうか?」

 

 

 

「賢いお嬢ちゃんだ。話が速いのは好きだぜ」

 

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 

「まず大前提としてアキラにはこの件に首を突っ込まないことをオススメする。そして共倒れになるであろう二大徒党に属さないことをお願いしたい。」

 

 

 

「流石に俺もスラムの抗争に首を突っ込まないよ。狂犬じゃあるまいし」

 

 

 

「念のためだ。別に抗争に割り込んで戦いあってくれてもいいぞ。そんな無理無茶無謀でも大歓迎だ」

 

 

 

「俺はノーサンキューだよ。」

 

 

 

シェリルが補足する。

 

 

 

「それと我々として二大徒党から勧誘は受けていますがすべて断っています。この姿勢は今後も変わらないと思います」

 

 

 

「ああそうしてくれ。そしてこっからが重要なんだが。二大徒党がぶっつぶれた後、スラムを管理する徒党としてお前らの徒党に頑張ってもらいたい」

 

 

 

「え、めんどくさい。いやだよ俺。クーリングオフは可能か?」

 

 

 

「可能は可能だが、よっぽどなことがない限りお前らに話が入ってくるぞ。しかも都市経営戦略科っていう断れない筋からも来るかもしれないぜ」

 

 

 

「ああーーー聞きたくなかった。これのどこがプレゼントだよ、サプライズか罰ゲームだろこれ」

 

 

 

シェリルがさらに問う。

 

 

 

「しかし、なぜ我々なのですか?恥ずかしながら我々徒党は良くて中規模の徒党です。二大徒党属してないスラムの徒党は他にもさまざまあるはずです」

 

 

 

「わかってるくせに。まぁ一応ほかの徒党も候補には入っているが、本命はお前らの徒党だな。なにせすでに都市と共同で賭博場を運営したり、顔を立てたりしてるし。都市の依頼も小さいものでも受け持ってくれる善良な徒党だからな」

 

 

 

「都合のいい徒党の間違いじゃねぇか?」

 

 

 

「だが実際都市との関係がすでにあって、取り扱いやすい徒党があるなら。その徒党を都市がバックアップして、スラム管理者として擁立する方が手っ取り早いからな。ぶっちゃけすでにこの徒党が都市の下請けをやっていると言われても過言じゃないぐらいずぶずぶじゃねぇか。」

 

 

 

「でもよ。正直俺はこの徒党を大きくしたい欲望はねぇぞ」

 

 

 

「今更だろ。それに普通なら泣いて喜ぶ案件だぞ?正直この話が正式に通れば徒党としての成り上がりも確実で、金持ちになるコース一直線だ。なにが嫌なんだ?」

 

 

 

「俺がしたい事と別な事かな」

 

 

 

「まぁまだお前らの徒党を擁立するかどうかは時間がある。それまでに決めてくれ。」

 

 

 

 

 

その後、雑談のような流れで話題は変わった。

 

 

 

「ドランカムに声かけろよ。ああそうか、あそこスラム徒党じゃねぇな。」

 

 

 

「じゃあドランカムをスラムに堕とすか?ドランカムの古参と若手のエースを潰せばドランカムの名声も地に落ちるぞ?」

 

 

 

「そんな事するわけねぇだろ。よっぽどな事がない限りな。」

 

 

 

「へー?無理無茶無謀してくれないのか?残念だなー」

 

 

 

「そんな可愛く言っても意味ねぇぞ。」

 

 

 

「実際ハンター同士で潰し合う事、徒党間の争い自体は珍しくない。ほんとにカツヤと敵対しても戦わないのか?」

 

 

 

「なるべくはな。ただ仕事なら割り切って戦うよ。それでもなるべく敵対しないようにはしたいがな。」

 

 

 

「私情か?」

 

 

 

「それもある。曲がりなりにも友人だ。手を掛けるのも躊躇うよ」

 

 

 

「なるほど、じゃあもし。だ。何があればカツヤと敵対する?」

 

 

 

「あーー。かなり極端だし、間に合けないでくれよ?」

 

 

 

「例えばカツヤがシェリルに手をかけたら…寝取ったりしたら殺す。たとえ違う次元に逃げたとしても黄金の回転エネルギーでその次元の先まで追いかけて殺してやるよ」

 

 

 

「愛が重いなぁ。スワッピングを推奨するわけじゃないが…で、他には?」

 

 

 

「そうだなぁ、どっかからの依頼で依頼内容や理由に正当性があったりしたらやむをえず受けるな。それこそカツヤが建国主義者と組んだりしたらな。」

 

 

 

「極端だなーまぁいい。とりあえずはスラム同士のつぶしあいは確定事項だ。他のスラム徒党を擁立する可能性もあるが、正直お前らに押し付けられるだろうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キバヤシは椅子の背にもたれたまま、しばらく二人の顔を眺めていた。

 

その視線には、どこか愉快そうな色が混じっている。

 

 

 

「まぁ、嫌がるのは分かってるさ」

 

 

 

そう言いながらキバヤシは肩をすくめた。

 

 

 

「だから一応、案を出してやる。都市と共同経営って形にするのはどうだ?」

 

 

 

アキラが眉をひそめる。

 

 

 

「……共同経営?」

 

 

 

「ああ。お前らが全部背負う必要はねぇ。都市側から人員も送る。運営や管理を手伝わせる。そうすりゃ徒党の規模が大きくなっても回るだろ。」

 

 

 

シェリルがわずかに目を細めた。

 

 

 

「都市の人員、ですか」

 

 

 

「そうだ。どうせお前ら、経営とか面倒だろ?」

 

 

 

アキラは即答した。

 

 

 

「面倒だな」

 

 

 

「だろうと思った」

 

 

 

キバヤシは楽しそうに笑う。

 

 

 

「だから都市が噛む。徒党の運営を手伝う。お前らは今まで通りハンターやってりゃいい」

 

 

 

そこで一拍置く。

 

 

 

キバヤシの口元が、さらに歪んだ。

 

 

 

「その代わり――」

 

 

 

アキラは嫌な予感しかしなかった。

 

 

 

「ちゃんと無理無茶無謀をしてくれ。小さく収まらないでくれよ。そしてこんなとこで終わらないでくれ。もっと俺を楽しませろ」

 

 

 

キバヤシは愉快そうに笑う。

 

 

 

「お前みたいなバカが安全圏に収まったら面白くねぇだろ?」

 

 

 

アキラはため息をついた。

 

 

 

「それがプレゼントの本体かよ」

 

 

 

「当然だ」

 

 

 

キバヤシは平然と言う。

 

 

 

「俺は面白いものが見たいだけだからな」

 

 

 

その言葉を聞いて、アキラはシェリルを見る。

 

 

 

シェリルもアキラを見る。

 

 

 

そして――

 

二人同時に、小さく苦笑した。

 

 

 

都市の思惑。

 

キバヤシの悪趣味。

 

そして自分たちの立場。

 

 

 

どれも今さらだ。

 

 

 

「……ほんと、ろくでもない話ですね」

 

 

 

シェリルが呟く。

 

 

 

「だろ?」

 

 

 

キバヤシは楽しそうに笑った。

 

 

 

アキラは肩をすくめる。

 

 

 

「まぁいいさ。考えとくよ」

 

 

 

そう言いながら、アキラは内心で思う。

 

 

 

結局、逃げ道は最初から無い。

 

 

 

だがそれでも――

 

 

 

キバヤシの言葉は、どこか楽しそうだった。

 

 

 

そしてそれが、少しだけ悔しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キバヤシとの話を終え、二人はクガマヤマビルを出た。

 

 

 

都市の高層ビルから見下ろす景色は、いつも通り整然としている。

スラムとはまるで別世界だった。

 

 

 

しばらく二人は黙って歩いていた。

 

 

 

先に口を開いたのはアキラだった。

 

 

 

「……めんどくせぇ話になったな」

 

 

 

「ええ」

 

 

 

シェリルは短く答える。

 

 

 

二人とも分かっている。

 

あれは相談ではない。

 

ほぼ決定事項に近い打診だ。

 

 

 

アキラは空を見上げながらぼやく。

 

 

 

「スラムの管理者とか言われてもなぁ……俺、そんなのやる気ないんだけど」

 

 

 

「知っています」

 

 

 

シェリルは淡々としていた。

 

 

 

だが少しだけ考え込んでいる。

 

 

 

「ただ、断れるかと言われると……微妙ですね」

 

 

 

「だよなぁ」

 

 

 

アキラは苦笑する。

 

 

 

都市経営戦略科。

 

キバヤシが出したその名前は、軽く流せる相手ではない。

 

 

 

少し沈黙が落ちる。

 

 

 

やがてシェリルが口を開いた。

 

 

 

「……一つ、考えがあります」

 

 

 

アキラが横目で見る。

 

 

 

「なんだ?」

 

 

 

シェリルは少し間を置いた。

 

 

 

「もし本当に私たちの徒党がスラムの管理徒党になるなら――」

 

 

 

「なるなら?」

 

 

 

「将来的に、都市に売却するという選択肢が現実味を帯びます」

 

 

 

アキラが一瞬止まる。

 

 

 

「確かにそうだな。本来の予定に近くなった。」

 

 

 

「はい」

 

 

 

シェリルは平然としている。

 

 

 

「徒党を法人化するか、都市と共同運営にするか。どちらにしても運営主体は必要です」

 

 

 

「……なるほど」

 

 

 

アキラは少し考える。

 

 

 

「俺らが運営する必要はないってことか」

 

 

 

「ええ」

 

 

 

シェリルは頷く。

 

 

 

「最初だけ形を整え、都市に引き渡す。そうすれば責任も管理も都市側に移ります」

 

 

 

「……それいいな」

 

 

 

アキラは素直に言った。

 

 

 

スラムを統治する気はない。

 

だが都市に押し付けられるなら、利用すればいい。

 

 

 

「他の徒党がトップになるよりは、私たちの徒党の方がまだマシです」

 

 

 

シェリルの声は静かだった。

 

 

 

「少なくとも、私たちなら無意味な抗争は減らせます」

 

 

 

「まぁな」

 

 

 

アキラは軽く頷く。

 

 

 

少し考え、肩をすくめた。

 

 

 

「で、ある程度安定したら売る」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「都市に丸投げ」

 

 

 

「ええ」

 

 

 

二人は顔を見合わせる。

 

 

 

そして――

 

 

 

小さく笑った。

 

 

 

「ほんと、ろくでもない計画だな」

 

 

 

「ですが合理的です」

 

 

 

スラムの風が吹き込む。

 

 

 

都市の高層ビルの影の向こうに、スラムの街が広がっている。

 

 

 

その中心に、自分たちの徒党が置かれるかもしれない。

 

 

 

アキラは空を見上げる。

 

 

 

「まぁ……とりあえず様子見だな」

 

 

 

「ええ」

 

 

 

シェリルも頷いた。

 

 

 

まだ決まったわけではない。

 

 

 

だが――

 

 

 

流れは、もう動き始めている。

 

 

*1
原作ではモニカ戦でアキラが受け取った報酬は七億オーラムに届かない程度

*2
元ネタはにじさんじのアンジュカトリーナ。前回は星町すいせいだったが、ただの趣味。決して胸部装甲が一致しているというだけで推してはいない()




読了感謝です。

とりあえずコロンの使い方に関してはキバヤシを頼ることにしました。
またキバヤシからコロンの使い道などのカタログのようなものをもらってますがアキラは買うものは既にだいたい決まってます。

そして今作アキラ君だと二大徒党抗争に介入するビジョンがやっぱりなかったので二大徒党抗争編は割とダイジェストになると思います。
アキラ君に対してのスリは起きないし、シジマの兄貴がガクブルすることもないです。トメジマとの交渉も多分起きないのでキャロルとのデートも多分ないです。
キャロルファンのニキはすまない。ワンチャン書くかもしれないけど…わかんないっピ
ただ清楚バージョンのキャロル相手だと今作アキラくんは割とタイプです。

余談
超かぐや姫はまだ見てないですが、カバーバージョンのrayは毎日聞いてます。ネトフリで見れるんですが、近所の映画館に見に行きたい気持ちはあります。
スタァライトもそうですが、やはり大画面、大音量で見る魅力も捨てがたいんですよね。
やはりスタァライト。スタァライトはいいぞ。



ここから今作ネタバレを若干含みます。






この先の大まかなプロットはあるのですが相変わらず詳細なプロットは皆無です。
現段階の案としてコロンをどうにかやりくりして最前線の装備をある段階で早期に手にしてそのままアルファの依頼を完遂しにいくプロットの方で考えつつあります。
具体的には書籍Ⅷの偽アキラ編の前くらいからオリジナル展開でそのまま最終構想や最終話までへシフトチェンジしようとしてます。
理由としてはアキラもアルファも互いに信用しきれていないため、どちらかが反意を翻し敵対する前に依頼を完遂しないとまずいと二人とも考えている為です。

アキラとアルファはあくまで互いの利益のために手を組んでいるだけです。それが不利益になればすっぱりと手を切ります。
まずアキラはアルファへの不信感と本性と前世バレをしないなどを隠してます。
対してアルファはアキラへの警戒や前契約者のような裏切りの警戒やシェリルなど大きな変数への対処と抹消の思索など

互いに疑いあっている状態です。

アルファの目的を完遂するために、アキラが本当に欲しい切り札を確保するまでアキラはアルファの依頼遂行には動きたくないという思いがあります。
メタ的かつ具体的にはとある3人との協力関係が成立してから動きます。またこの三人に対して既にアキラと接点があるのはまだ一人です。
他の2人はまだアキラと合っていません。
またこの3人との協力関係の必要性については、私が予測する原作最終話の内容、その内容に対する解決策として必要だと考えた手段、その手段を実現するためのシナリオなどから考えてます。


極論、その三人との協力関係とそれに付随する切り札を手にしたらアルファの依頼に動くので。それ以降の話とかは書く必要がないんです。

あとはただ単に書くのがやはりしんどくなってきたこともあります。
ぶっちゃけ見切り発車で書いて、まさか10か月も連載してるなんて思ってなかったんです!!!なんでこんな書いてんだ!?よくいままで続けてるな!?と思う今日この頃です。



以上がこれからの大雑把なプロットと事情です。
良ければ意見をお聞きしたいです。
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