Re:Build ―スラム転生ハンター、旧領域の亡霊と契る   作:ロシュ

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アキラ遊戯
やおよろ~~(閲覧感謝です)

昨日仕事帰りに超かぐや姫見てきました。面白かったです。
とりあえずもう一回ネトフリで見てから小説版を買おうと思ってますが、正直リビルドワールドの読み直しも買った専門書(看護師の)も読みきっていないので実際に読めるかは別問題ですね。

映画館のポップコーンとドリンクも開始1時間で完食し、残り1時間半ただガム噛んでました。

なお、普通にエンディングrayで泣き、お代わりのrayで死にました。

改めていつも感想、誤字報告、閲覧、お気に入り評価等感謝です。


アキラ遊戯

 

 

キバヤシとの会談を終えた後。

アキラとシェリルは徒党拠点に戻り、すぐに幹部の一部を呼び出した。

 

集めたのは古参の四人だけだった。

 

エリオ。

アリシア。

ナーシャ。

ルシア。

 

徒党の幹部は他にもいるが、今回はあえて呼ばなかった。

この話はまだ広く共有する段階ではない。

アキラとシェリルがそう判断したからだ。

 

粗末な机を囲み、全員が腰を下ろす。

 

「都市と話がついた」

 

アキラが短く言った。

 

「スラムの管理についてだ。都市が裏でバックアップする形で、俺たちが中心になって運営する」

 

その言葉に、四人は互いに顔を見合わせる。

驚きはある。だが動揺は小さい。

 

この場に呼ばれたメンバーは、アキラが徒党のボスになった時から、ある程度の事情を共有されていた。

 

この徒党は、いずれ形を変える。

あるいは売却。

あるいは解体。

もしくは、別の形への移行。

 

アキラが永遠にボスを続けるわけではない。

 

それは最初から分かっていた話だった。

 

「都市のバックアップはある。資金と物資、あと人員も多少回してくるらしい」

 

アキラは続けた。

 

「ただし、どんなやつが来るかはまだ決まってない」

 

その言葉にナーシャが眉を寄せる。

 

「都市の人間ですか?」

 

「かもしれないし、外部のハンターかもしれない。そこはまだ聞かされてない」

 

 

ルシアが静かに頷く。

 

「それで、私たちは何をすればいいんですか?」

 

「基本は今まで通りだ」

 

アキラは答えた。

 

「スラムの管理を少しずつ広げていく。揉め事の調停、遺物の流通、治安の維持。そういうのを都市の後ろ盾付きでやる」

 

「つまり」

 

アリシアが言う。

 

「スラムの元締めみたいなものね」

 

「そんなところだ」

 

アキラは否定しなかった。

 

沈黙が少し流れる。

 

その空気を破るように、アキラがふと口を開いた。

 

「ちなみにエリオ」

 

「ん?」

 

「お前、俺の後を継ぐつもりはあるか?」

 

突然の質問だった。

 

エリオは一瞬だけ考え、そして首を振る。

 

「一切ない」

 

即答だった。

 

「俺がアキラの代わりに戦える保証もないしな」

 

エリオは椅子にもたれながら続ける。

 

「リーダーは別のやつにやってもらいたい。正直管理者なんてガラじゃない」

 

その言葉に、誰も笑わない。

 

ここにいる全員が同じ考えだったからだ。

 

この場にいるのは、全員が子供だ。

 

アキラより年上の者すらいない。

 

 

 

そして誰も、徒党の頂点に立とうとは思っていなかった。

 

アキラがいたから、この徒党は成立している。

 

それを全員が理解していた。

 

「まぁ、最終的にはって話だ」

 

アキラは肩をすくめる。

 

「それがいつになるかは分からない」

 

「俺がハンターランク50くらいになって、他の都市に拠点を移す可能性だってあるしな」

 

その言葉に、アリシアが小さく笑う。

 

「そうなったらそうなったときで身の振り方を考えるわ」

 

軽い口調だった。

 

だが、その目は真剣だった。

 

「別に今すぐどうこうなる話じゃないし」

 

「それに」

 

アリシアは続ける。

 

「私たちはアキラについていくだけだから」

 

「アキラがどこに行くかで、私たちの行き先も変わる。それだけですね」

 

ナーシャとルシアも小さく頷いた。

 

シェリルはその様子を見て、少しだけ目を細める。

 

この徒党は、普通の組織とは違う。

 

野心で集まったわけではない。

利益でまとまったわけでもない。

 

ただ一人の少年を中心に、偶然まとまった集団だ。

 

そして、その少年は今。

 

スラムという巨大な場所を動かそうとしている。

 

シェリルは静かに息を吐いた。

 

「……まぁ、やることは増えるわね」

 

「そうだな」

 

アキラが短く答える。

 

「都市が動くってことは、スラムも動く」

 

「エゾントとハーリアスの抗争も、その一つだ、一応この話は誰にも漏らすなよ。都市から追われたくなきゃな」

 

その言葉に、全員の表情が少し引き締まった。

 

スラムは、もうすぐ荒れる。

 

 

 

 

 

 

それからというもの、アキラは幹部会の開催を一度見送った。

 

都市からのバックアップを受ける件について、本来であれば全幹部に共有するべきだった。

だが、状況がそれを許さなかった。

 

 

エゾントファミリーとハーリアス。

この二大勢力の抗争が、いよいよ本格化しようとしている。

 

その渦中に、余計な情報を流す理由はない。

 

なにより――

 

「……ハーリアスやエゾントからのスパイがいない保証がない」

 

拠点の一室で、アキラは呟いた。

 

シェリルも同意するように腕を組む。

 

「実際に紛れ込んでるかは別として……あり得る話ではあるわね」

 

スラムの徒党など、金と地位でいくらでも揺らぐ。

忠誠など、最初から当てにしていない。

 

仮にスパイでなくとも。

 

「出世欲や報酬で、簡単に情報は漏れる。上にいるヤツを超えるより、引きずり落とす方が楽だからな。野心家の幹部たちは俺の地位を欲しがるだろうよ」

 

アキラは淡々と言った。

 

古参幹部を除けば、徒党の構成員の多くはそういう人間だ。

上に行きたい。

金を稼ぎたい。

名前を売りたい。

 

その程度の動機で動いている。

 

だからこそ、余計な情報は持たせない。持たせられない。

 

「今は、隠すのが正解だ。というか都市のバックアップが露見すると面倒になるしな。」

 

アキラの判断に、シェリルは異論を挟まなかった。

 

むしろ、その方が自然だと理解している。

 

 

 

 

そして状況は、予想以上に悪化していた。

 

エゾントとハーリアス。

 

その両方から、「お客サマ」が頻繁に訪れるようになっていた。

 

「また来たわよ」

 

シェリルが呆れたように言う。

 

「どっちだ?」

 

「今日はハーリアスね」

 

「帰ってもらってくれ」

 

即答だった。

 

 

 

交渉の余地はない。

 

どちらに付くつもりもないし、付く必要もない。

だがそれは、相手からすれば逆に不自然な態度でもある。

 

「毎回追い返してるけど……」

 

シェリルは窓の外を見ながら続ける。

 

「そろそろ、話し合いじゃ済まなくなるわよ」

 

「分かってる」

 

アキラも視線を外に向けた。

 

この状況で圧力をかけてこない理由はない。

 

むしろ、ここまで手を出してこない方が不自然だ。

 

「実力行使に来るなら、それはそれで分かりやすい」

 

そう言いつつも、アキラの思考は別のところにあった。

 

キバヤシからの情報。

 

――新型の人型兵器。

 

今回の抗争で投入される戦力。

 

それが事実なら。

 

「……壊滅もあり得るか」

 

小さく呟く。

 

ハンターランク32。

 

普通なら十分な戦力だ。

 

だが、相手がそれを前提に動いているなら話は別だ。

 

「過信はできないわね」

 

「ああ。連中はうちの利権や金がよっぽど欲しいらしい」

 

シェリルも同じ結論に至っていた。

 

だからこそ。

 

アキラは別の手も打っていた。

 

 

遺物売買店。

 

その営業を意図的に縮小している。

 

在庫の一斉売却。

納品の前倒し。

 

結果として、店には明らかな品薄が発生していた。

 

「普通なら値上げするのがセオリーね」

 

シェリルが言う。

 

需要に対して供給が減れば、価格は上がる。

 

「でも、やらない」

 

アキラは即答した。

 

「金がないように見せる。売上を上げても逆効果だ。低品質の在庫だけ取り扱いすりゃ向こうさんもその程度の資産しかないって勘違いしてくれるだろ」

 

その一言に、シェリルは薄く笑う。

 

「狙いは二つ」

 

指を二本立てる。

 

「一つは、敵に価値を低く見せること、これは相場操作と資金難をアピールするような手で騙す。もう一つはこの徒党を潰すメリットを減らす事」

 

どんなモノも、そしてスラムの徒党も、価値があるから狙われる。

 

金を持っている。

流通を握っている。

人を抱えている。

金のなる木の賭博場も持っている。

 

だから狙われる。

 

 

 

 

ならば。

 

「価値がないように見せればいい」

 

アキラのやり方は単純だった。

 

だが、その影響はすぐに出ていた。

 

商人たちの反発だ。

 

「価格を上げるべきだ」

「今が稼ぎ時だ」

「需給も理解していないのか」

 

当然の意見だった。

 

むしろ、正論ですらある。

 

だが。

 

「嫌なら、手を切ればいい」

 

アキラは突き放した。

 

その結果、何人かの商人が離れた。

 

徒党の運営を見限り、別の勢力へ移った。

 

だがアキラは気にしない。

 

「むしろ、ちょうどいい」

 

「ふるいにかけられたわね」

 

シェリルが言う。

 

「長期で見れないやつは、いらない」

 

短期の利益に飛びつく人間は、いずれ裏切る。

デイトレーダーのように買っては売ってを繰り返す。

短気は損気、みたいなものだ。

 

 

なら最初から切っておいた方がいい。

 

その判断だった。

 

 

 

 

 

 

 

そして。

 

その裏で、アキラはもう一つの準備を進めていた。

 

コロンを使った装備強化。

 

今回の件で、はっきりしたことがある。

 

「死ぬ時は、一瞬だ」

 

ならば。

 

その一瞬を、どうにかして引き延ばす必要がある。

 

まずは回復物品に金を賭けることにした。

 

 

強化服と連動する半自動投薬ユニット。

 

そして、携行型のブレスレットタイプ。

 

旧世界製のナノ医療剤。

 

脳挫傷や軽度の脳梗塞すら回復させる、異常な性能でさすが旧世界製である。

前世にあれば幾万人の命が救われたのだろうかと思うほどのオーバーテクノロジーだ。

 

 

ただし――万能ではない。

 

即死は防げない。

致命的損傷も無理だ。

 

だが。

 

「戦闘を継続できる程度まで戻す」

 

それだけで、生存率は跳ね上がる。

生き残る時間が増えるだけで、生存率も生還率も上がる。

 

武器よりも、医療品にコストをかけたいという考えは前世の職業が医療者である所以であった。

 

 

 

 

さらに旧領域接続可能な情報端末を購入した。

 

アルファとの接続が切れた場合のバックアップであり保険であり、アキラが旧領域接続者であることを隠すための――偽装。

 

 

この端末自体にも索敵機能はあるがアルファに比べれば劣る。

 

精度も、範囲も、演算も。

 

だが「無いよりはマシ」ではなく「最低限、生き延びるには十分」な性能は持っていた。

元々アルファという高性能ナンデモAIと比べるのがおこがましい。

アルファとの接続が切れても、生きて家に帰るための購入であった。

 

 

 

 

さらに自身の視界上にARとして表示させるためのゴーグルを購入しようとしたのだが、最近流行りのコンタクト型ARレンズーーー通称、スマートコンタクト*1

 

それもカツラギに薦められ購入した。

 

 

視界に情報を重ねる旧世界技術の再現によりアルファなしでの簡易的な敵識別、弾道補助、地形把握等が実現可能となった。

 

アルファほどの補助はないがアルファがいなくても戦える状態に近づく装備だった。

 

 

 

 

 

アキラは今。

 

二重構造の戦闘体制を整えた。

 

アルファありの最強状態。

アルファなしでも戦える最低限状態。

 

どう転んでも、生き残るために。

 

 

 

 

コロンで購入した医療品や薬品などを見てアキラが零す。

 

「しかし二つで50万コロンか……。高い買い物だが、命より安いと考えるしかないか」

 

アキラがぼやく。

 

「そうですね。アキラの予備も含めてですし、死んでしまうと元も子もないですからね」

 

シェリルは当然のように頷いた。

 

「?違うぞ?」

 

「え?」

 

そう言って、アキラはブレスレットを差し出した。

 

「これシェリルのだぞ」

 

「……へ?」

 

 

一瞬、意味が理解できなかった。

 

嬉しさはあった。

 

自分をそれだけ大事にしてくれているのだという実感。

 

だが同時に。

 

恐怖もあった。

 

コロン払いの装備。

しかもブレスレット型で、隠しようがない。

 

 

スラムの子供で、ハンターの恋人程度の自分が持つには――明らかに過ぎた代物だった。

 

「う、受け取れません!」

 

「受け取ってくれないと困る。返品不可だからな」

 

「なら、アキラが付けたらいいじゃないですか?!」

 

「俺は俺の分買ってるし」

 

アキラはあっさりと言う。

 

「シェリルに死なれた方がキツイ。脇目もなく泣き叫ぶぞ。年甲斐もなく」

 

「ッ〜〜〜〜!!??」

 

顔が一気に熱くなる。

 

言いたいことは山ほどある。

 

だが――飲み込む。

 

この男がどれだけ自分に執着しているか。

 

そして、自分も同じだけこの男に執着していることを。

 

 

 

理解してしまっているからだ。

 

「……わかったわ」

 

シェリルはブレスレットを受け取る。

 

そして、付け加える。

 

「でも、次からは相談して。サプライズは嬉しいけど、心臓に悪いわ」

 

「ご、ごめんて」

 

しゅんとするアキラ。

 

その様子に、シェリルは少しだけ力が抜けた。

 

「でもありがとう。すごく嬉しいわ」

 

「喜んでくれて何よりだ」

 

 

 

 

 

それからというもの。

 

シェリルはそのブレスレットに見合う装いへと変えることを決めた。

 

最高級の装備に、安物の服。

 

それは違和感であり、隙でもある。

 

スラムでは、それだけで舐められる理由になる。

 

二人はクガマヤマビル内の旧世界製衣服店へ向かった。

 

 

 

 

だが。

 

「……今の私の体にあう商品が、少ないわね。あるにはあるんだけど…」

 

シェリルが小さく呟く。

 

少女から大人へと変わりつつある体。

 

だがまだ完成していないその体型は、既製品と合いづらい。

 

それでも何着かを選び、購入する。

 

「かなり買いすぎたかしら」

 

「まぁ、いつものお礼だし。気にしないで買ってくれると助かる」

 

「そうは言うけど気するものよ?」

 

財布の中身など関係ないように振る舞う。

 

それが男の意地だと、アキラは思っていた。

 

 

「そう、なら遠慮なく♩」

 

シェリルは小さく笑った。

 

 

 

 

 

 

その後。

 

二人は久しぶりの休暇を過ごす。

 

買い物をして。

食事をして。

何でもない時間を楽しむ。

 

スラムでは得られない、穏やかな時間。

 

――だが。

 

それは、長くは続かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

なお。

 

その流れで、アキラはシェリルに強化服の試着を勧めた結果。

 

体のラインがはっきりと浮き出る強化服に、シェリルは強い羞恥を覚えた。

 

少女の身体から、確実に女性へと変わりつつあるその輪郭。

 

栄養状態も良く、健康的な生活を送っている分、原作よりも明らかに女性的な膨らみを持っていたためかなり扇情的であった。

 

「これ恥ずかしいんだけど!?」

 

「いや、いいだろ、非常にいい。100億点やろう」

 

「よくない!!」

 

即答だった。

 

シェリルにとってもこんな姿を他人に見せるなど論外だ。

 

 

 

結局、強化服はインナーとして運用することになった。

 

外から見えない形での着用であれば体のラインが見えるような服でも問題ないだろうとの判断だった。

 

 

なおシェリル用の強化服はエリオのものより高価であった。

 

 

 

 

エリオは泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
超かぐや姫に出てきたものと同じようなモノ






読了感謝です。
スラムに住んでて栄養状態がクソ雑魚な原作アキラくんがちゃんと飯食って治療したら身体的成長を遂げたように、今作シェリルも栄養状態は確保してますし、原作並みのストレス(主に地雷源アキラ関連)がないのでちゃんと育ってます。へへへ。



以前からコンタクト型の情報端末機とかそんなのどうです?って感想に書かれてたのもありましたんで、スマコン投入してみました。

原作でも漫画版でも、アルファとの接続が切れたらできない事が多すぎるので、代用できる技術をコロンなどで買う事にしました。

実はそういった便利アイテム類は元々買う予定なかったのですが、あって困らないだろうと思い描写しました。

ちなみに元々コロンで買う予定だったモノが医療品です。
モンハンで言ういにしえの秘薬とか、そういったハイテクなお薬くらいあるだろうと考えて旧世界製の医療品を購入した方が、安全や健康を金で買うと言う医療従事者の思考を反映している設定にぴったりだと思いました。


なお、現実の看護師は健康を犠牲にして日々夜勤に入っている模様。
更に、現実の看護師より多忙で健康犠牲にして働いてるのが大学病院のドクターです。当直明けの朝イチからオペに入って、オペ終わったら病棟業務に戻るとかマジで鬼畜ダゾ。
もう少し夜勤手当とか危険手当とかクレメンス。
そして医者にもう少し待遇良くしてクレメンス。


余談
超かぐや姫視聴中のワイ
「スマートコンタクト一つで視神経どころか、嗅神経も味覚も触感も作用するクソハイテク機械が12万円で買えるの?!iPhone17より安いじゃねぇか!」
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