新任教師『次元大介』   作:レイゴン

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1-7 帰宅

「先生!!! ごめんなさいぃぃぃ!!!」

 

 

 そう叫んで抱きついてきたアロナによって、俺は地面へと押し倒される。

 

 こいつに押し倒されたのはこれで二度目だな。

 一度は、叱られて……今度は謝られてか。

 

 

「どうした、お前さんに謝ってもらうようなことされた記憶はねぇぞ?」

 

「だって、だって……!! 二度目ですこれで……! 先生の事を絶対に何が何でも守るって言ったのに……!! 先生の事を危険に晒して……!!」

 

「ガスばっかりは仕方ねぇさ。それに……腹の傷の事だろ? 一度目は。あの時だってお前が居なきゃ、その前のミサイルでアルファ隊ごと死んじまってたさ」

 

 

 この泣き虫ばっかりは直してもらいたいもんなんだがな。

 アロナの頭を撫でながら俺は、体を起こす。

 目と鼻を真っ赤に腫らして、情けないが……それは本気で約束を守ろうとしていることの裏返しだ。

 こいつにはずっと助けられっぱなしだからな、ちょっとくらいは気を抜いたっていいと思うんだがなぁ。

 

 

「なぁアロナ。また手を貸してくれねぇか?」

 

「ぐす……私でいいんですか……」

 

「あぁ、奇跡を起こしてやろうぜ」

 

「……ぐすっ……はい!! これからアロナが再び先生のバックアップに入ります!!」

 

 

 真っ直ぐ目線を上げ、笑ったアロナの顔を見つめ、アロナが差し出した人差し指に俺の人差し指を合わせる。

 

 俺とアロナだけの世界に波紋が響いていくのを確認すると、意識が浮上していき、射撃訓練場へと戻っていた。

 

 体に漲る力、アロナのバリアだな。

 最初は違和感を感じていたが、今となっちゃこれがねぇとかえって違和感を感じるようになっちまった。

 

 

「ちょっと待って、先生と便利屋のみんなが強いのは知ってるけど、流石にPMCが沢山集まってるここを打開するのは難しいって!」

 

「負傷者もいますし……」

 

「安心なさい、この程度の修羅場なんてことないわ!」

 

「見栄を切ったな、アル。 でもお前は前に出るなよ? カンナを守ってやれ」

 

 

 銃を持って迎え撃とうとしている俺たちにフブキとキリノが不安そうな声を出すが、アルの言う通り、この程度の修羅場は何度も潜ってきたからな。

 とは言え……数が数だ。

 一斉に抜けるには弾薬が足りねぇな。

 

 

「フブキとキリノ、お前らも手伝え」

 

「そりゃ手伝うけど……戦力には数えないでね!」

 

「ほ、本官も交戦を開始します!」

 

 

 足音が近づいてくる、PMC達だが……数からして10人ほどか?

 今はその程度だが、時間を掛ければ増援が増えていく。

 そうなれば詰みが現実のものになっちまう。

 

 ドアが蹴破られ、兵士が駆け込んでくる。

 

 

「こっちだ!いた──「死んでください!!!」」

 

 

 報告をしようとしたPMC兵士の顔面をハルカのショットガンによるフルスイングが捉え、吹き飛ばす。

 

 弾薬消費の事を伝えようとしてはいたが……そういう手で来たかぁ……。

 

 まさか銃のフルスイングで相手を倒すと思わなかったのか、比較的常識人よりのフブキが口をあんぐりと開けている。

 

 

「あ、あの、えっと……」

 

「それでいいぜ、弾はあまり使えねぇからな」

 

「ふへ……先生がそういうなら……」

 

「凄いんだね……便利屋って……」

 

 

 しどろもどろになっているハルカを落ち着かせて、俺たちは部屋から飛び出し、包囲網を抜けていく。

 

 カヨコのデモンズロアによる恐怖の余波で止まった兵士を、キリノとフブキの射撃が仕留めていく。

 

 二人共戦闘馴れは、そこまでしてなさそうだからな。

 カヨコはそれを分かって、あえて援護する形で射撃をしてるのだろう。

 

 しっかし兵士な以上、精神の耐久訓練はしてるだろう。

 それなのに余波で動きを止めちまうほどの恐怖を出せるカヨコが、その弾丸を命中させちまえばどうなるんだ?

 ……余談だな、これは。

 

 視界に通路の奥の闇の中で、光が一瞬閃いたのを確認する。

 

 狙撃か!

 

 

「スナイパー!狙撃が来るぞ、アル。銃を貸せ!」

 

「カンナさん、少し激しく動くわよ」

 

「は、はい!」

 

「この程度なら……先生の手を煩わせるまでもないわ!」

 

 

 片手でワインレッド・アドマイアーを構えたアルが闇の中へと銃弾を放つ。

 そして数秒遅れて、大爆発が起こる。

 

 

「ふっ、片手でも当てられるわ!」

 

「アル、かっこつけてるところ悪いが、あんな派手な爆発起こしちまったら人が集まるぞ」

 

「あっ……」

 

 

 こいつ……抜けてるところはほんと直らねぇなぁ。

 白目を剥いているアルにムツキが笑って揶揄っている。

 

 

「あはははっ! ほんとアルちゃん最高! よーし、それじゃ頑張ろっか!」

 

「いつもこんな感じなの?カヨコさん」

 

「まぁ……そうだね、退屈しないでしょ?」

 

「ほらさっさと行くぞ!」

 

 

 どんな時でもマイペースなのは、強みになるが……ったく、命が懸かってるって時にもこうなのは、アイツを思い出しちまうな。

 悪影響を受けてねぇか?

 

 活を入れながら走っていると、フブキが俺に提案する。

 

 

「ここから出るのは良いけど、その先どうするの!? シャーレには帰れないでしょ?」

 

「一番近いのは……そういや子ウサギ公園が近かったな。あいつらなら押し掛けてもいいだろ」

 

 

 建物から出て、走っていると、銃を構えた兵士たちが俺たちの前に現れる。

 ざっと20人ほどか。

 

 その奥に指揮官らしき奴も見える。

 姿が他の奴らと同じなあたりジェネラルではねぇが……ここらの指揮を任されてる奴だろう。

 

 

「か、囲まれてます!!」

 

「うひゃ……す、すごい数……」

 

「くそ……ここまで……か」

 

 

 エンジン音と共に、ヘリが俺たちをライトで照らす。

 意地でも俺たちを封じ込めたい訳か。

 

 絶体絶命、って言葉が似合うそんな状況だな。

 

 

「速やかに投降しろ、さもなければ掃射する」

 

「穏やかじゃねぇな」

 

「当然だ」

 

 

 俺が手を動かすと、銃口が俺の方へ集まる。

 ルーキーは直ぐに銃口を動かすからいけねぇな。

 

 

「おい、勝手に動くな」

 

「まぁ、そうカッカするな、煙草を一本吸わせてくれよ」

 

「ダメだ、次動けば撃つ」

 

「余裕がない奴はいい仕事出来ねぇぞ」

 

 

 そう言うと、俺は素早く手を二回叩く。

 乾いた音が空へ響き、引き金が引かれ、銃弾が放たれる……それよりも早く空を飛ぶヘリが爆発する。

 

 兵士たちの視線が上を向き、撃墜したヘリを捉える。

 

 そしてその次の瞬間には、広場を覆いつくすほどの煙幕が放たれる。

 

 突如として湧き出た煙幕の中で、指揮官が声を上げた。

 

 

「え、援軍!? 何者だ!!」

 

「どんな時であろうとも……」

 

「主の命があれば、駆けつける!」

 

「そ、それこそが……!」

 

 

 その問いに答えるように、何処からともなく聞こえてきた三人の少女の声。

 

 煙幕を吹き飛ばすように舞い上がる桜の花びらが旋風を巻き起こし、少女たちの姿を露わにする。

 

 身に包んだその装束は、彼女たちの憧れを体現するためのもの。

 

 

「「「忍者! 百鬼夜行連合学院、忍術研究部ただ今参上!!」」」

 

「に、忍者……?」

 

「……? し、指揮官!」

 

 呆気に取られてるのはいいが、煙幕が晴れた時に気が付いとくべきだったな。

 

 

「目標が、い、いません!!」

 

「いない……な、なに!?」

 

 

 俺たちが消えていることにな。

 

 といっても、ついさっき俺たちも少し離れた場所に移動していることに気が付いたからな。

 大方イズナのお陰だろう。

 アイツ、ここで見ていてほしいってとこか?

 

 

「ふっふっ、先生殿は既に移動しちゃったよ!」

 

「何っ……この……全員捜索を」

 

「さ、させません! 先生たちを探したいのなら……」

 

「イズナ達を倒してからです!」

 

 

 散らばって俺たちの事を探そうとするPMC達を、忍術研究部の三人がそれぞれ行く手を阻む。

 

 その様子を見ていると、俺の服のポケットの中に何かが入っていることに気が付く。

 取り出すとそれは手紙だ。

 

 筆跡的にイズナだな?

 

 

『ここはイズナ達に任せてください! アル殿の背中にいる方、相当怪我をしているようですし、後でイズナ達も合流するので、お先に向かってください!』

 

 

 ほんとよく出来た忍びだ、イズナは。

 閃光煌めく花火と投げ飛ばされる兵士、そして桜の旋風が吹き荒れる戦場を眺め、その光景を目に焼き付けてから俺は背を向ける。

 その様子を見ていたアルが俺に声をかける。

 

 

「先生、私達も参戦しないのかしら」

 

「イズナが任せろってよ」

 

「そう……なら問題ないわね、カンナさんもう少し頑張って」

 

 

 俺の一言で理解したアルも歩き始める。

 それなりの時間を共に過ごしたんだ。

 イズナが任せろと言ったのなら、何も心配することはねぇさ。

 

 女を信じろってのは中々難しい話だが……仲間は違ぇからな。

 

 

 派手な音と光によってこの辺り一帯の兵士たちが向こうに集まっているのか、道中兵士たちに会うことなく、月灯りに照らされながら目的地へと辿り着く。

 

 

「先生ここって……」

 

「相変わらずの罠の多さだな……おい、いるか!」

 

「むにゃ……だれ……ん?先生?」

 

 

 野宿用のテントからのそのそと出てきたのは、眼鏡を掛けた茶色の髪の少女。

 その少女の頭には特徴的な兎耳のカチューシャが……。

 

 そう、ここは子ウサギ公園の外れにある元SRT学園のRABBIT小隊のキャンプ場だ。

 

 

「連絡も無しに悪いな、モエ。ミヤコを呼んでくれねぇか」

 

「ただならぬ様子って感じだね、分かった。ミヤコー!」

 

「どうしたんですか……。あれ、先生珍し……血の匂い?」

 

 

 何となくだが事情を察したモエが、ミヤコを呼ぶと彼女がテントの中から這い出てくる。

 目を擦って眠そうな雰囲気だが、カンナから流れる血の匂いを感じてすぐさまこっちに駆け寄って来る。

 

 

「アルさん……その背中の方は……公安局長さん。まさかこんな形で出会うなんて、それにその傷は……」

 

「ごめんなさい、色々気になるでしょうけど、彼女の手当をさせてくれないかしら」

 

「そうですね……どうやら気を失っているようですし、血もかなり流してるようです……こちらに」

 

 

 そういってカンナを最後まで背負ったアルと、ミヤコが別のテントへと向かう。

 

 何とか間に合ったみたいだが……一瞬見えたアルの背中、純白のシャツが赤黒く染め上げられるほどの血の量……後遺症がなければいいが。

 残ったモエに話しかける。

 

 

「一先ず、ここで一晩過ごさせてくれ」

 

「うん、一応替えの寝袋もあるから、みんな使って……先生はどうする?」

 

「俺は……少しここに居させてもらおう。あと三人来るはずなんだが、いいか?」

 

「まぁ、いいよ。先生にはお世話になってるし……じゃあ、おやすみ」

 

 

 そういって、モエは欠伸をしながらテントの中に戻っていった。

 

 一人、月灯りに照らされながら俺は懐から血のにじんだ煙草の箱を開き、そこから一本吸い始める。

 ほんのわずかに香る鉄の臭いがカンナの死闘を感じさせた。

 

 まさか、あの堅物が……規則違反をしてまで……な。

 

 細く吐き出した煙が宙へと溶けていくのを眺めながら、俺は手を短く二回叩く。

 

 

「これが合図になればいいんだが……」

 

「もちろんなりますとも!!!」

 

「っ!?」

 

 

 独り言に大きな声で返されたその驚きで、思わず俺は飛び跳ねながら横を見る。

 そこには少し煤汚れたイズナ達が全員揃って立っていた。

 

 

「主殿!イズナ達無事に任務を完了しました!」

 

「あぁ、お前ら……よくやった、流石だぜ」

 

「ふふん、先生殿からのご用命は最優先だからねぇ~」

 

「あのPMCさんたちを……全滅……はさせれませんでしたが……出来る限り打撃は与えました……」

 

「充分だ、そこテントで休憩してくれ。もう少しだけ力を借りるぜ?」

 

「もちろんですとも! あ、でもその前に……主殿のその……!」

 

 

 イズナはそういうと、俺に近づいて頭を差し出してくる。

 幾ら経ってもこればっかりは馴れねぇ。

 後ろの二人がニマニマした表情をしてるのも気に食わねぇ。

 

 少し溜息をつきながら、俺はイズナの頭を撫でる。

 手を動かすたびに、耳と尻尾が嬉しそうに揺れる。

 何がいいんだかな……。

 

 

「……充分か?」

 

「はっ、すみません……でももう少しだけ……」

 

「熱いねぇ、ツクヨもそう思わない?」

 

「は、はい……でも、イズナちゃん嬉しそうです……」

 

 

 ミチルとツクヨの言葉に顔を赤らめながら、イズナがそっと離れる。

 満足した……ってよりかは、イズナにも恥じらいの心はあるらしい。

 

 

「で、では……イズナ達はこれで!!」

 

「明日も仕事を頼みたい、しっかり寝てくれ」

 

「はい! おやすみなさい!!」

 

「んじゃ、先生殿も夜更かしは駄目だからねぇ」

 

「おやすみ、なさい……!」

 

 

 三人に手を振ってから、俺は再び煙草を吸い、煙を空へ吐き出す。

 

 まさかカイザーがここまでの手を取って来るとはな……。

 連邦生徒会を裏から操る程度までは理解できる、しかし表立って動くとは、そうしたって問題ねぇくらいの武力……あの本船の事だろうな。

 

 

「アロナ、状況整理を行うぞ」

 

『はい、先生。現在、D.U.は戒厳令が発動されたため、全ての通信・物流・移動が禁じられました。行政関連もシャットダウンされた状態です』

 

「その通信ってのは、アロナお前さんの力をもってしても厳しいってことであってるか?」

 

『うぅ……はい……サンクトゥムタワーに直接触れられるならともかく……現時点では……スーパーアロナちゃんでも、先生へのサポートを止めても3秒繋がるかどうか……』

 

 

 アロナの力には絶大な信頼を置いている、そんな彼女が出来ねぇというのならそれは事実だろうし、他の奴にも出来ねぇことだ。

 

 

「謝る事でもねぇ……それにシャーレに行けば何とかなるだろ」

 

 

 かつてサンクトゥムタワーの行政権をアロナが奪った際、俺とアロナはシャーレの地下室に居た。

 どういう理屈かは知らねぇが、あそこならサンクトゥムタワーに繋がるのは間違いないだろう。

 

 

『そうですね! あそこにある「クラフトチェンバー」ならサンクトゥムタワーの行政制御権を物理的に阻止できます……しかし、あのクラフトチェンバーはシッテムの箱の所有者にしかアクセスできないはずです……』

 

 

 クラフトチェンバー……使う機会はなかったが、シャーレ地下室にある謎の石板みたいなもんだ。

 連邦生徒会長の残した物質製造機……だったか?

 ここに来た最初の頃、リンに渡された説明書の中にそんなことが書いてあった気がするが……。

 

 今は物置部屋に様変わりしてある。

 よく分からねぇ技術程信用ならないものはないからな。

 

 

『それと関連しているのかは分かりませんが、リン行政官は不信任決議を通されて、連邦生徒会長代行の権限を剥奪、そしてカイザーの手によってシャーレに幽閉されているようです』

 

「どちらにせよ、リンも行政権も纏めて取り返すにはシャーレに帰るしかねぇわけか……」

 

『先生、それと……先生から離される直前、シッテムの箱内で不吉な流星が目撃されました……何か不吉な、嫌な予感がします』

 

 

 アロナの勘と、その不吉な流星、俺がセイアから託された最期の預言。

 とてもじゃないが、偶然とは思えねぇな。

 

 胸の中に沸き立つ不安感と共に夜が明ける。

 

 朝一番、起きてきたRABBIT小隊、便利屋68、生活安全局、忍術研究部達に昨日起きた事、アロナと話したことを伝える。

 

 

「……なるほど、カンナ局長が居なかったら、本当に危ないところでしたね」

 

「あの狂犬が、先生を助けるために自分を犠牲にか……にわかには信じられないな」

 

「でも、事実だよ。先生と私達を狙った弾から守ってくれたんだ……」

 

「あの包帯と輸血パックの消費量を見れば、嘘じゃないのは分かっている」

 

 

 サキとムツキがそう話し合っているが、確かに今までのカンナであればやらなかったであろう行動な時点で疑う気持ちは理解できる。

 良い背中でも見つけたか。

 

 

「カンナ局長は現在もテントの中で眠っています」

 

「あのタフなヴァルキューレの公安局長だし、休んだら勝手に起きるだろうし大丈夫だよ」

 

「そうね……それで、先生。話を聞く限りはシャーレに戻るってことでいいのかしら?」

 

 

 アルの言葉に俺は頷く。

 相手はカイザーの大軍勢、対してこっちは俺を含めて14人。

 武装も少し不安だが……。

 

 

「そう簡単にはいかないんじゃない~? 相手はキヴォトス屈指の大企業、カイザーだよ? 大方私達が来ることも想定してるだろうしね」

 

「なんだ、フブキ。お前さんは降りるか?」

 

「…………まぁ、めんどくさいけどさ。私も一応ヴァルキューレだから、降りるなんてしないよ。でも無策で突っ込むのは無し」

 

 

 頭を掻きながら、フブキはそう言った。

 めんどくさがりでマイペースな奴だが、しっかりと正義ってものを持っているらしいな。

 少し見直したぜ。

 

 

「あぁ、無策で突っ込むのは俺も反対だ。カヨコ、ミヤコ、作戦を建てるから準備が終わったら来い」

 

「分かったよ……はぁ、まさか自宅を襲う日が来るなんてね」

 

「いつかシャーレをぶっ飛ばしてみたいと思ってたんだ」

 

「サキ殿、その言葉は聞き捨てなりませんよ!」

 

「じょ、冗談だって、先生にリベンジしたいだけだからな」

 

「そうだね。私とツクヨも一度シャーレに潜入して返り討ちにあったから……これはいいリベンジの機会かも! ね、ツクヨ!」

 

「は、はい……アルさんのいないシャーレを相手にするので……厳密には違いますけども……」

 

 

 サキの言葉に忍術研究部達が反応してるが……そういえば、ミチルとツクヨは一度シャーレに潜入を成功させてたな。

 その後にアルにやられちまってたが……。

 そのルートがまだ使えるかもしれねぇ。

 

 

「ミチル、お前さんも作戦建てるときに来い」

 

「んぇ? まぁいいけど」

 

「ミヤコ、作戦名を決めてくれ」

 

「そ、そうですね……ではこれより、シャーレ奪還の『パセリ作戦』の準備を──「待って、なんでパセリなの?もっとカッコいい奴ないの?」えっ、その……ウサギが好きな食べ物なので……」

 

 

 号令をかけようとしたミヤコに待ったをかけたのはフブキだった。

 折角の一大作戦だ、もっといいネーミングにしたいってのは分かるが……別にそこまで重要なものでもないだろう。

 

 牙が抜かれるような空気が流れる中、キリノが手を上げて、提案をする。

 

 

「なるほど、それならニンジンの方が可愛くありませんか? ニンジン作戦!」

 

「ニンジン……確かにまだ使ってなかったね」

 

「いやいや、ここは折角だしもっとカッコよく──「そうよね、ムツキ室長! ここはアウトロー作戦で行きましょう!」」

 

「いや、それはないでしょ……半数は秩序側だからね。 だからグレーズド・ドーナッツ作戦で!」

 

「クリスマスシーズンか?」

 

「では!カイザー討伐二ンニン作戦はいかがでしょうか!!」

 

「忍者は三人しかいないってば!」

 

「…………ブラック・デス・ポイズン作戦」

 

 

 あーでもないこうでもないと、白熱した議論が続く中で、ミヤコが手を叩いて場の視線を集める。

 

 

「……『シャーレ(S.C.H)奪還作戦』にします」

 

「なんだ、つまんないの」

 

「ぶーぶー、もうちょっとムツキちゃん遊びたかったなぁ」

 

「決まったことだし、全員準備を始めるぜ」

 

 

 そうして、今度こそ作戦会議を立てて、俺たちは出発した。

 仰々しい帰宅だが……。

 

 まぁこういうのも乙なもんだろう。

 

 作戦は上等、火薬は不安だが……それでもやるやつらが一流なら何の問題もねぇな。

 

 

「こちら、BOSSRABBIT。予定位置についたぜ」

 

「ねぇねぇ、アルちゃん。ボスラビットだって……先生にうさ耳ありじゃない?」

 

「………………確かにアリね」

 

 

 真面目に集中してくれ……お前さんら。

 

 俺たちが今いるのは、シャーレの正面入口から大体300mほど離れた位置だ。

 ここから狙ってもいいんだが……俺たちの役割は少し違うからな。

 

 さて、派手な帰宅を始めるとするか。

 

 

 

 




企業相手に正面から戦うなんざ、滅多にする経験じゃねぇ。
尤も、相棒が手にない今、俺はそこまでの戦力でもねぇが……。
ん? この声は……そうか、なら背中を預けるとしようか。

次回 シャーレ奪還作戦

折角のパーティーだ、客は多いに越したことはない







フラグ管理が多いのですなぁ、最終編は……。
先達の皆様凄すぎません?
まぁ、私も頑張りますが……。

傍さて、実は裏でコラボの相談をしてたり、色々と読者の皆様へのサプライズを準備しております……是非ともお楽しみに!

では、最後に、評価・感想・ここすき等お待ちしております!

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  • 例:1-10 殺し屋の矜持
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