2-1 悪と悪
『緊急速報です! 現在、D.U.で怪奇現象が発生しております! これは……突如として出現した巨大な塔が落下──サンクトゥムタワーに激突しました!! 未曽有の大災害によるものなのか、正体不明の兵団が住民を襲撃! ヴァルキューレが対応しているものの、その被害は拡大している現状です!!』
この蒼い世界じゃ久しぶりに嗅ぐ死の香りを乗せて、風が吹き荒ぶ。
端末から流しているニュースの音声が、この街の様子を届ける。
音声にノイズが混じっている辺り、通信環境も悪くなっているようだ。
そいつも無理はない、何せあのサンクトゥムタワーが完全にぶっ壊れてやがる。
あのタワーは連邦生徒会の本拠地以外にも色々な役割が存在していた。
それが完全に機能してない以上は、他の機器に分散したところで、いつまで持つか分かったもんじゃねぇ。
シャーレを乗っ取られていた影響もあって、今便利屋達には俺たちがメインで使っていた生活スペースの確認とあとは仕掛けられた爆弾の解除を行ってもらっている。
じゃあ俺が何をしてるかと言えば……。
屋上で風に吹かれながら、煙草を一服している。
にしても、どうしたものか。
じゃあまた今
『ただ今速報が入りました……連邦生徒会……いえ、シャーレからです! 三大学園を始めとした学園のトップを集めて会議を行うようです! その間、黒い塔には決して近づかないように……とのことです!』
今の会議の話は、俺からリンに提案したものだ。
無事にクロノスにも届いたようだ、他の学園に話を通してから最後にクロノスに、連絡しろと言ってあるからな。
マコトとナギサは、エデン条約の件で多少は親睦があるからいいとして、問題はリオ……あのビッグシスターだ。
大分マシにはなったとはいえ、どうにも対人スキルに難があるからな。
「ふーっ……」
吸い殻を踏み消しながら、二本目を新しく吸おうと懐から取り出して咥える。
ZIPPOの蓋を開き、フリントホイールを回し、火を……火を……クソつかねぇ。
「ちっ……」
ったく、肝心なタイミングで……。
そう思っていると、隣から軽い音がなり、火が差し出される。
「ん、悪いな……」
煙草に火をつけ、ポールモールの心に残る甘さが舌の上に広がった。
煙を空に向かって吐き、隣にいる男に向かって話しかける。
火を消したライターを持った手は黒く、綺麗に仕立てられていた黒のスーツは傷だらけで、肌であろう黒からは白い炎が立ち上って、まるで滴り落ちる鮮血のような様相を思わせる。
「久しぶりだな……黒服」
「……クックックッ。御見苦しい姿をお見せしてしまい、申し訳ございません。次元先生」
「気にするな……それよりもどうした? 派手に転んだか?」
隣を向くと白くひび割れた顔面が半壊し、目だったであろう場所の傷が広がり、全身に切り傷や弾丸を撃ち込まれたような跡が確認できた。
何かに襲われた……ってところだろうな。
「クックックッ……そうですね、確かに思いもよらないものに躓いた……というところでしょうか」
「計画性のあるお前さんららしくないミ──「ゲマトリアは壊滅しました」……話を聞かせろ」
「『色彩』が、遂に到来してしまったのです……いえ、正確に言うのであれば『侵略してきた』とでも言うべきでしょうか?」
確かにゲマトリアの一人だったデカルコマニーの相方だったゴルコンダが居なくなり、あのフランシスとかいう男になっていたことから何かがあったことは感じていたが……まさか、ゲマトリアを真っ先に狙ってたとはな。
確かセイアの話じゃ、ベアトリーチェが呼び出したのが『色彩』だったはずだ。
ベアトリーチェとゲマトリアが仲違いでもしたのか……?
「ベアトリーチェはどうした、俺の聞いた話じゃゲマトリアが利用している力じゃねぇのか? 現にあいつが使ってたって聞いてるが……」
「とんでもない、そもそも色彩とは我らゲマトリアの不俱戴天の敵です……そしてベアトリーチェは私達の手で始末しました」
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赤い光が晄輪、あるいは円卓を成すその会議室は、キヴォトスの中でも尤も狂気に充てられた天才、あるいは知識に魅入られた狂人たち、ゲマトリアの本拠地にある一室だった。
黒い陽炎が、扉を開くと中には既に3人のメンバーが揃っていた。
どうやら彼が最後だったらしい。
「失礼、少々遅れました」
「らしくないな、黒服」
「クックックッ、後ほどそれについては話しましょう」
木片を軋ませながら、双頭のタキシードを来た木人形マエストロが黒服に話しかけたが、白炎を燻らせて黒服は笑い、卓に着いた。
円卓には彼らの他に二人の人物が見え……。
茶色のタキシードに帽子を被った後ろ姿が映る写真を持った頭の無い怪人ゴルコンダとデカルコマニー。
そして、血のような赤い表皮と眼の生えた純白の白い翼が何層にも積み重なった顔と両足を失った隻腕の婦人ベアトリーチェが二人の様子を苛立たしい形相で見ていた。
「では、会議を始めましょう。 先程連絡があったのですが……『無名の司祭』の遺物が発見されました」
「……黒服、会議早々不勉強で申し訳ないのですが、『無名の司祭』とは一体何を指す言葉なのでしょうか」
ゴルコンダが黒服へと話しかける。
ゴルコンダは、手元の資料を円卓の中央へと映し出す。
そこにはマスクをつけたアツコの姿と空を飛翔するミサイルの姿が映っていた。
「私の解釈であれば、ベアトリーチェが保有する『ロイヤルブラッド』を保護する技術。
そして、古聖堂を壊滅させた『飛翔』と『不沈』の固有名を宿した巡航ミサイル……あれらが、無名の司祭による技術だと──即ち、既存技術を遥かに超越した超科学。 その類のものということで認識はあっていますか?」
ゴルコンダが、そう問いかけると木片が軋み、マエストロが話し出す。
「そうだな、彼らは端的に言うなら、キヴォトス以前の『この世界の主』の事だ」
「ふむ……?」
「『名もなき神』とそれを崇拝する『無名の司祭』──彼らはキヴォトスの神秘の下に堆積し、痕跡だけが残るはずだった存在でした」
黒服がマエストロの言葉を継いで、説明し出す。
「『名もなき神』──それは、『大地』、『海原』、『天災』といった……所謂、太古の昔より存在する『神秘』ないしは『恐怖』と共に顕現する存在。
その姿は、その『固有名』に対応した形を成すとされています」
「『固有名』。全ての神秘には名があり、名には力が宿る。 そして命も同様に……でしたか?」
「えぇ、例えば巡航ミサイルには複雑な固有名が幾重にも織り込まれていました。 余程現代のキヴォトスのことを敵対視していたのでしょう、それら名もなき神を信奉しているという『無名の司祭』達は」
身体を震わせ、至高のエンターテインメントを見ているかのようなそんな視線を黒服は映った巡航ミサイルへと注いだ。
その様子をつまらなさそうな目で見るベアトリーチェは、指で円卓を叩き、話の催促を行う。
「……失礼、私はそんな彼らの遺産に大変興味があるのです」
「以前カイザーを使ってアビドスで探し物をしていたのも?」
「えぇ、結果は残念でしたが……ククッ、流石彼です」
そういって彼は映像を映し出す。
そこには、何かを発掘中の工事現場が見えた。
「これは……」
「……あいにく『箱舟』ではありませんでしたが、それに対を成す存在『本舟』です」
「ウトナピシュティムか。おぉ、つまりこれが見つかったということは……」
「えぇ、『箱舟』も存在するということ……以前ほんの一瞬でしたが、『箱舟』が観測されました」
「観測……? 先程の話と違うのではないか? まさか概念的なものなのか?物質ではなく、知覚される現象と」
ゴルコンダの感嘆の声と共に、マエストロが興奮した様子で木片を軋ませる。
しかし、次に続いた黒服の説明により首を傾げた。
「えぇ、私も『箱舟』とは全ての神秘を集合させた結晶だと考えていましたが、どうやら違うようで……しかし、彼が。そう次元大介が『本舟』を発見したことで話は変わります」
「なるほど、事実対立していた過去がある以上、物質としての『本舟』があるのであれば、物質としての『箱舟』も存在すると」
「クックックッ! 流石は世界一の大泥棒の右腕。 ことお宝に関しての嗅覚はこの世界一でしょう」
黒服の白炎が激しく燃え上がり、共に彼の感情も昂っていく。
最推しがその分野で活躍しているのだから彼の興奮も無理は無いものだ。
尤も、その様子を面白くなさそうに見ている人物もまた同様にいる。
「……黒服、結論を」
「失礼、マダム。論点がズレてしまいました」
コホン、と咳払いのような動作をした後に、黒服は4人の姿を画面に映し出す。
「シャーレの出現」
一人は、先生である次元大介の姿を。
「キヴォトス最高の神秘の確保失敗」
一人は、アビドス高校三年生である小鳥遊ホシノの姿を。
「唯一残されたアリウス領の剥奪」
一人は、アリウスのロイヤルブラッドである秤アツコの姿を。
「そして、『名もなき神』の兵の出現」
一人は、キヴォトスに遺された魔王であり、勇者であるミレニアムの天童アリスの姿を見つめた。
「本来の我々の計画から大きくはみ出る結果となったこの事態……。 遠い遥か未来でさえ、到達することが──いえ、訪れることがない現象だったかもしれません。
最初の変数の出現の時点で気付くべきでした」
「……くどい、結論ベースで話しなさい。黒服」
冗長的な話し方をする黒服に対して、イラつきを隠すことをやめたベアトリーチェが、牙を見せながら黒服に向かって言った。
しかし、次の句を発したのは彼ではなく、マエストロの方だった。
「『色彩』がここを発見してしまった。 ベアトリーチェ、貴下が行った儀式のせいでな」
「……。」
「ベアトリーチェ、私は貴下の頭脳を高く評価している。 その上で、あの儀式は『色彩』と接触するためのものだった。 アレが招く狂乱は……アレが接触したことによる改変を理解していないはずがない」
マエストロが、ベアトリーチェへと詰問する。
何故理解した上で、儀式を行ったのかとそう問いかけた。
無言でマエストロを睨みつけるベアトリーチェに、助け舟を出したのはゴルコンダの方だった。
「擁護できない点はあれど、あの儀式は『接触』が目的ではなく、力を利用するためのものだったかと。 マダムにアレを呼び寄せるつもりではなかった事は留意して頂きたい」
「では尚の事も問題では無いか! 『色彩』を利用し、自分を偉大なる者に仕立てあげようとした……そんな、そんな『低俗』な目的のためにアレを──「低俗?」」
「口の利き方がなっていませんね、木偶。 芸術家を名乗るかと思えば……己の駄作を偉大だと言い張り、そうだと願うというのに、他者の願望は見下すとは……。 はっ、そのような傲慢さが貴方の本性でしょうか?」
ゴルコンダがフォローしようとしたことが結果として、マエストロの琴線に触り、それによって生まれた発言によりベアトリーチェが牙を剥き出しにしながら、マエストロを罵った。
当然それを見過ごすようなゴルコンダでもない。
「マダム、落ち着いてください。 先程の発言は──「貴方も同じですよ、デカルコマニー」」
「貴方のその二面性。 虚像と非在の隠喩……絵画なんぞに喋らせることで表現しているとでも? ふっ……大道芸や猿芝居と何ら変わりありません」
「そういうこったぁ!!」
「デカルコマニーもそうカリカリしてはなりません。 私達と違い、彼女は彼と闘い、その身体を失っている。 その侮辱を理解してあげねば」
顔のないその絵画から冷ややかな視線をベアトリーチェへと注ぎ、彼はそう結論付けた。
会議室の中に、冷たい張り詰めた空気が流れる中で、黒服が発言する。
「皆さん、大人になりましょう。 ベアトリーチェも決して、色彩を呼び寄せたかった訳では無いでしょう。 まだ色彩がこちらを発見したとは断定出来ません。 かの改変能力が発動していたとしても、到来するまでは確定事項ではありませんから」
「そうです。 全てはシャーレの次元大介先生が現れてから起こった事柄。 あの遺物が全ての元凶であることは、皆さんもよく存じているでしょう?」
そのベアトリーチェの発言により、再び会議室の中に冷たい空気が流れ、ゴルコンダが軽くため息をつく。
「……マダム」
「何度も申し上げた通り、あの者は一刻も早く始末するべきでした。その機会は幾らでも合ったはずです」
「マダム。ここが学園都市というテクスチャーで存在している以上、『先生』を纏った彼に我々が通せる矛はありません。そして何より、貴女はその身をもって感じたはずです」
「『紛争』がなんだと言うのです!! たかが『人災』如きのちっぽけな神風情が! 学園都市?『先生』? 物語の作法などどうでもいいでしょうに!!」
残された右腕を晄輪へと叩きつけ、激昂するベアトリーチェは、狂気的な笑みを浮かべ、身を乗り出しながら語り始めた。
「えぇ、えぇ、分かりました。私が腰抜けの皆さんに解を示して差し上げます。 『無名の司祭』も、『次元大介』も、『箱舟』も──全て一度に解決する策を、究極の解を」
「ほう……?」
「『色彩』は既に此処を発見しております」
そのベアトリーチェの発言により、三人、いや四人に激震が走った。
ベアトリーチェの発言は、究極の解ではなく最悪の解であるという事実に気がついたからだ。
「より正確に言うのであれば、私が伝えました。
『色彩』は今、キヴォトスに向かっております。
かの『改変』の力を用いれば、如何なるテクスチャーも概念も意味を成さないでしょう?」
その発言により、ベアトリーチェ以外の全員の心中に同じ感情が到来した。
黒服の白炎が燃え上がり、マエストロの木片が激しく軋み、ゴルコンダとデカルコマニーはただ沈黙を持って思考を巡らせた。
そしてしばらくの時間が経った頃、黒服から発言をする。
「ベアトリーチェ、貴女と言う人は……」
「到来した場合、このキヴォトスすらも『色彩』は消し去ってしまうだろうな」
「マダム。貴女は、私達の探求を台無しにするおつもりで?」
マエストロに続いた、ゴルコンダの発言にベアトリーチェは即答を持って返した。
「えぇ、探求など、そんなものどうなっても構いません。 私が求めていたものは、別のものだということに気が付いたのです。 一部ではありますが、儀式を通じて『色彩』と接触した際に、本当に私が求めているものを悟りました。
為すべきこと……それはくだらない実験や探求ではない。 そう偉大なる存在になる為には──世界の滅亡と、創世の権限を所有しなくては……。
そう『破壊』と『創造』そのふたつを持って、『改変』と成す絶対的存在。これこそが唯一の方策。
解釈も、理解も、疎通さえも、全てから干渉されない。ただ到来するだけの不吉な光。目的すらないあの不可解な概念そう……それこそ、それこそが。
『次元大介』という男を全てから抹消する唯一の方法!」
この世だけではなく『全て』から、たった1人の男を消し去るためだけに、彼女は世界を差し出した。
その狂気と憎悪は、彼女が元来ここにいた彼女ではなくなってしまったことの証左である。
彼女とは最も相入れず、されどその能力を信用していたマエストロの木片が軋み砕けた。
「何という体たらく。『改変』されたか、ベアトリーチェ」
「……そうですか、貴女は接触した際に憎悪に呑み込まれてしまったのですね……とても残念です。
ゲマトリアは、探求者であり、求道者……狂気こそ、我々が打破すべき宿敵であるのですが……ベアトリーチェ、貴女はゲマトリアである資格を失いました」
黒服は歩みだし、彼女の前へと辿り着くと、冷静にそう言った。
お前は最早、名すら冠する資格はないと。
その言葉に、ベアトリーチェが激昂し、彼女の体から終ぞ生えることのなかった腕と足が再生していく。
「誰に向かって口を利いていると思っているのですか? 今の私には……『色彩』が宿っているんですよ。 あなた方があれ程恐れた『狂気』の力が──「えぇ、ですから」」
「我々がその対策をしていないはずがないと、何故思わなかったのですか?
我々が、宿敵に対して何の備えもないと、何故思わないのですか?
それが、貴女が既にゲマトリアではない証拠ですよ。ベアトリーチェ……ゴルコンダ、送って差し上げてください」
「はい。──楽しい時間でしたよ、マダム」
ゴルコンダは、手に持った杖の先をベアトリーチェへと押し当てた。
その瞬間、彼女の体の中心が崩れ落ちる。
その破片は地面に落ちることなく、血飛沫すらもその全てが体の中央に産まれた赤点へと吸い込まれていく。
「っぐ、ぁ、ぁぁぁああああ!!」
「ふむ、ヘイロー破壊爆弾、あれは神秘に対しての特攻を持っていましたがこれは……存在に対しての特攻へと解釈を広げましたね?」
「やだ、いやだ、まだ私は!私は!!」
「えぇ、彼女の存在は分かりやすいので。当たりさえするならどのような存在であろうとも崩壊を与えれるはずです」
「何時だ、こんなもの一体何時から!!」
「貴女が色彩に接触したその日からですよ。ベアトリーチェ」
「そういうこった!!!!」
「あぁぁああああああ!!!」
「貴下とは、異なる世界観思想を持つが故に、何かと対立が多かったな。 だが貴下の野望には敬意を表そう、ベアトリーチェ。 さらばだ」
ベアトリーチェの体が崩壊していき、その右腕も、叫びも、命も何もかも吸い込み、一点へと集まり
そして、何も無くなった。
静寂が訪れた会議室で、ゴルコンダが話し出す。
「残念です。『神たらんとするエキストラ』は、いずれこうなる運命を知らなかったのでしょうか?」
「えぇ、しかしこれでまた席が空いてしまいました……ん? この反応は?」
居なくなった仲間を惜しむ声を上げながら、黒服がふと映し出していたキヴォトスの全域マップを見る。
その白炎に映る6つの極点を見て反応を示した。
その刹那、空気が淀む。
一ヘルツの異音も無く、ただいつの間にか現れたその異空から、死神が世界へ侵入した。
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「死神?」
「えぇ、狼の神が『色彩』と接触した結果……とでも言いましょうか」
「……まさか、行方不明になったってのは」
「えぇ、色彩によるものです」
ベアトリーチェを取られたのは気に食わねぇが、クズがどう死のうが俺に関しちゃ気にしたことでもねぇ。
それよりもシロコの方だ……さっきの話を聞く限りじゃ、『改変』だのなんだの言っていたな?
「色彩による改変は理解したが……情報が足りねぇな」
「神秘の反転した領域……『恐怖』へと踏み入れた彼女は月夜に吠える狼から、月夜へと命を誘う死の神『アヌビス』へと到達したという事です」
「専門用語を並び立てるんじゃねぇよ……」
今ある手札を落ち着いて見直すと、何かが引っかかる。
色彩によって変化したシロコが、この都市に終末を齎す死神だってのは理解した。
ただ、なんでシロコに接触したんだ?
他の奴だっていたはずだ。
つまりシロコじゃなくちゃいけねぇ理由があったはず……。
「黒服、色彩ってのは意思のないただの現象のはずだな?」
「えぇ、我々ゲマトリアはそう解釈していたのですが……」
「「明らかな計画性と意志がある」」
俺と黒服は同時にそう結論を付けた。
この男と同じ結論に至るのは、嫌な気分だが……こと色彩に於いて、俺よりもこいつの方が詳しいことは確かだ。
なら……仕方ねぇ。
俺のプライドよりも今は今だけは優先しなくちゃならねぇもんもある。
仕事の関係上女装する時もあるくらいだしな。
これも同じようなもんだ。
「黒服」
「何でしょうか、次元先生」
「昔、俺と話した時の事を覚えてるか」
「それは、えぇ、アビドスでの事ですね」
「気に食わねぇが……今は俺よりもお前さんの方がこの状況で遥かに詳しい」
「ほう……」
そう呟いた黒服に俺は、手を差し出す。
俺の差し出した手を見て、少し呆けたのち、奴の白炎が激しく燃えだし、そして赤空を見上げながら大声で笑いだした。
「クックックックッ……!! なるほど、そうですか……えぇ、貴方ほどの大悪党であれば、私の知識が要る……ということですね」
「あぁ、色彩も、どうせアビドスに眠ってる本船もテメェの方が詳しいだろう? お前さんも色彩に此処を壊されるのは敵わねぇだろう。何せ実験場が無くなるわけだからな」
「えぇ、そうですね。 ここはカリオストロでの貴方の相棒と警部のように、一時休戦と致しましょう」
黒服が俺の手を握り返す。
交渉は此処に成立した。
こいつを生徒の前に出すのは不服だし、何よりホシノにどう説明するかどうケジメをつけるかを決めなくちゃならねぇが……それでも。
目の前の男と組まなくちゃ、この事態を乗り越えられねぇ。
その判断に迷いはなかった。
クックックッ……黒服です。
よもや、私が舞台に上がることになるとは……
このような脚本はありませんでしたが……全ての脚本が破り捨てられたからこその蛮行でしょう
さて、私という異物を抱えて、貴方はどのような明日を見せてくれるのですか?
次回 キヴォトス会談
クックックックッ……チャンネルは決まりましたね
オリチャー発動、黒服初登場時からここはこうすると決めてました
が……皆様が受け入れてくれるといいのですがね、あのファンボーイを……
え?それよりもホシノをどうするかって? まぁ、次元ちゃんが何もないしにするわけはないのですな
それと、実は大物とのコラボを果たしておりまして、EXEX5にて更新しております
それと、実は前回の投稿とそして執筆中に、総文字数百万文字&総合評価9000に到達致しました!!
これも全て楽しく読んでくださる皆様がたのお陰です!
是非最後までお付き合いいただけますと幸いです!!!
では最後に、感想、評価、ここすきよろしくお願いいたします!
今の話のタイトルが分かりにくいとの意見を得て変更するか否か
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例:殺し屋の矜持
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例:1-10
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例:1-10 殺し屋の矜持