新任教師『次元大介』   作:レイゴン

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2-6 第三サンクトゥム『勇者と二人の魔王』

『にゃはは! わざわざお集まりいただきありがとうございます!』

 

「わざわざ……って、お前さんが会議が終わったら集まってくれって言ったんだろう?」

 

 

 会議が終わった直後、別室に行った俺とセイアの前にニヤの声が届く。

 

 こうして集まっている要件は一つしかねぇ。

 件の『大預言者クズノハ』についてだ。

 

 

『さて、クズノハについてでしたね。いやはや、あそこで話すには少し気の引ける内容でしたので……ご足労頂き有難い限りです』

 

「いいともさ、私としても先生はともかくとしてもう一人の大人についてはまだ信用はしていない。 この三人だけの場を設けるのは合理的だろう」

 

「否定はしねぇな。それで、サッサと本題に入ろう」

 

『相変わらずの即断振りですねぇ。まぁ今は致し方ありません……カホ』

 

 

 ニヤがそういうと、もう一枚お札が現れ、そこからカホの声が聞こえる。

 紙を捲る音が微かに聞こえる。

 

 

『初めまして、セイアさん。私陰陽部のカホと申します。挨拶は程々に──結論から申し上げますと、クズノハという名の生徒は、この「百鬼夜行連合学院」に存在したことがありません』

 

「存在したことがない?」

 

 

 妙な言い回しだ。

 まるで幽霊……いや、妖に向かって使う言い回しじゃねぇか。

 

 俺がその言葉に疑問を返している中で、セイアはどこか腑に落ちたような顔つきをしていた。

 

 

「やはり、か……想定はしていたが……」

 

『分かりやすく言うのであれば、生徒名簿に登録された記録がありません。 なのですが……「大預言者クズノハ」という存在はいるといいますか……いた、といいますか~』

 

「はっきりしねぇな。 まさか噂話にしかなってねぇって感じか?」

 

『えぇ、まさにそんな感じでして、「クズノハ」は百鬼夜行の一部の生徒が、会ったことがあると口にするものの、実態がないのですよ。まさかまさか、その名を百鬼夜行以外の生徒の口から聞くとは思わなかったほどに……にゃははっ』

 

 

 ニヤはそんな乾いた声で笑った。

 あのニヤを持って、完全な予想外か。

 

 事実として、セイアが会ったってのは嘘じゃねぇだろう。

 セイアがそんなつまらねぇことをするタチには思えねぇ。

 

 

『……一点だけ、クズノハの記録が残っています。と言いましても、古今東西の民話や伝承が記録されている奇談集に、僅かな起債があるだけなので……信憑性は決して高くないですが──「上等じゃねぇか」』

 

「お宝ってのは大概そういった童話、御伽噺ってもんで言い伝えられてるもんだ。 ねぇのとあるじゃ話は変わるぜ」

 

『……そうですね。 では、そのクズノハについての文献です。

 

 これは遠い昔、まだ「百鬼夜行連合学院」が連合ではなく──各々が自治区を持ち、互いに憎しみ合っていた戦乱の時代。

 突如として現れた、白き狐の巫女、名を「クズノハ」と名乗る少女は戦火を嘆き、憂いた。

 そして彼女は「百花繚乱」を設立し、百鬼夜行の紛争を調停した。

 

 という逸話です』

 

 

 百花繚乱、その名前には聞き覚えがある。

 確か、前に『和楽姫』の一件でカホが召集してたとかいう……。

 

 

「『百花繚乱紛争調停委員会』……百鬼夜行の均衡を保つために作られた組織だったね?」

 

『お見事、セイアさんにはニヤポイントを差し上げます』

 

「集めると、ろくでもないことが起きそうだな」

 

『酷いですね!……まぁそんな冗談は置いておきまして、かつてクズノハに会ったといった生徒は皆その「百花繚乱」の歴代委員長です。所詮噂でしかないですが……百花繚乱の委員長にはクズノハとの謁見を可能とする権利が与えられるのだとか?』

 

 

 真面目な声色で、ニヤはそういう。

 しかし、そうなると不思議な話だ。

 その大昔にいたっていうクズノハはどうしてセイアに接触した?

 神秘を奉納するだ?

 ったく、哲学的な話は俺の専門外なんだがな。

 

 

「つまりは、クズノハを探す=百花繚乱の委員長を探すということだね?」

 

『えぇ、しかしながら、それがまた難しいことでして……──『百花繚乱は、近々廃部になる予定です』』

 

「そいつは……何を考えてんだ?いや、何があったんだって聞くべきだな」

 

 

 百花繚乱の廃部ってのは他の学園で例えるなら、ゲヘナから風紀委員会が、トリニティから正義実現委員会が、ミレニアムからC&Cが無くなるようなもんだろう。

 そんなことをして、自治区を殺したいのかとしか思えねぇが……ニヤがそんな愚策を働くバカだとは思っちゃいねぇ。

 

 

『カホちゃん、まだよまだ。公的には廃部にはなっとらんでしょ』

 

『ですが、時間の問題です。 委員長と副委員長に連絡が取れないのですから』

 

「ストライキか……ニヤ、お前さんな。そういう役割の連中の待遇はよくしておくべきだぜ?」

 

『し、しっかりやってますよ! あの子達の御屋敷は結構立派なんですからね!』

 

 

 戦国時代の褒章かよと内心思わなくもねぇが、口には出さず溜息をつく程度で済ます。

 にしても、よりによってツートップが両方ともダメとなるとな。

 

 

「人探しか……あんまり大事にするわけにもいかねぇな。こんな最中だ、対色彩で忙しい中でチンピラ共の面倒は見てられねぇ。大方の予想はついてるのか?」

 

『まぁ、そうですねぇ。見当がなくはないんですけど……何分遠い場所でして……』

 

「求められてんのは、持久力と速度……か」

 

 

 俺の知っている中で、求められているそれに満たしているのは……。

 あいつらしかいねぇな。

 

 

『先生、恐らく同じ人物たちを考えているのでは?』

 

「たちってこたぁ、そうだな。俺から連絡を入れておく。俺の懐刀、大切に扱えよ?」

 

『にゃははっ、百鬼夜行の生徒ですのでもちろんですよ~』

 

 

 俺とニヤが会話を進める中、あまりピンと来てない様子のセイアが首を傾げ、考え込んだ後に手を叩く。

 あまりヒントはなかったが、誰のことか察しが着いたらしい。

 会ったこともねぇはずだが、それでも察しをつけれるのはティーパーティーの情報網の力か?

 これだからデカい組織ってのは厄介なんだ。

 

 

「では、クズノハに関しては先生の懐刀三本に頼むとしょうか」

 

「じゃあ、あとのことは頼んだぜ?ニヤ」

 

『にゃははっ、任されましたっ』

 

 

 この部屋の外に居た覚えのある誰かが離れていく気配を訝しみながら、俺は自分の仕事を行うために、同じように出ていった。

 

 あいつらなら大丈夫だろう、さて……俺も仕事に取り掛かるとしよう。

 

 

 ────────────────────   

 

 ────────────   

 

 ──────

 

 

『という訳で、皆さんには今から大雪原に向かってもらいます!』

 

「いや、何が『という訳で』だよ!」

 

『にゃはははっ、そうプリプリしないでくださいよ、ルンルンさん~』

 

「ルンルンさんじゃない! 先生殿からお願いがあるからここで待ってろって聞いたのに……」

 

 

 百鬼夜行のメインストリートはいつだって活気に溢れている。

 行き交う人に祭りの準備を進める大人、響く売りの声。

 深夜ですら人が途切れたことのないこの街で、初めて人の気配すらない夜が来た。

 そんな街中で一際大きい声が響く。

 

 と言っても、その声の主はイズナたち忍術研究部の部長の声なのですが!

 

 

『まぁまぁ、実の所を話すと、百花繚乱の委員を除いて百花繚乱の委員長の姿を覚えてるのは、貴方くらいなんですよミチルさん』

 

「百花繚乱……? 最近姿が見えないと思ってたら……何か事情があるんだよね?」

 

『まぁ余り詳しくは話せないのですが……──「ならば、話さなくても大丈夫です!」おや、良いのですか?イズナさん』

 

 

 その言葉にイズナは頷いて、ツクヨ殿と部長の顔を見る。

 お二方ともイズナの真意を見抜いてくださっている。

 ふふっ、イズナと同じく忍者魂を心に秘めてるお二人だからこそです!

 お二人の顔を見たのちに、イズナはニヤ殿の事を見つめる。

 

 

「百鬼夜行の治安を何時も守ってくださっている百花繚乱紛争調停委員会の皆様の長。

 それがいないという事は途轍もない一大事!

 それだけで、イズナ達にとっては充分な理由です!」

 

『にゃはは……流石、貴女方を頼るのは正解でしたねぇ。ではこの特別任務、引き受けてもらえますか? 目標は「百花繚乱の委員長の捜索」もしくは「大預言者クズノハの手掛かり」です』

 

「ん~、話の流れ的に、委員長がそのクズノハって人の行方を知ってる感じかな?」

 

『ですです、クズノハを見つけたら「シャーレに連絡を」と言伝をお願いしますね?』

 

 

 シャーレ……やはり主殿からの拝命。

 イズナ達、忍者懐刀の出番と言う訳ですね!

 

 しかし、大雪原は広い雪だけの空間。

 そこで人探しはとても難しい任務になりそうです……。

 

 そう思っていると、ニヤ殿が口を開く。

 

 

『私の読みが正しければ、この事態の最中。百花繚乱の委員長は、ほぼ間違いなく大雪原にある「黄昏の寺院」にいるはずです』

 

「そこに向かえばいいということですね!」

 

「まぁ、ニヤ殿の読みが合っていればね」

 

「ぶ、部長……きっと大丈夫ですよ……」

 

『信用がないですね~……まぁ、今回は事態が事態です。もし寺院に居なければ即帰還しちゃってくださいな』

 

「了解しました!では、百花繚乱の委員長を探しに……忍術研究部、『大雪原』にいざ!」

 

「しゅ、出陣……です!」

 

 

 ツクヨ殿の号令と共に、一斉に夜空へと飛び出し、イズナ達は大雪原へと駆け始める。

 紅い夜空に照らされているご神木がイズナ達の事を見送ってくださる。

 あの木はイズナと便利屋の皆様に、そして主殿との出会いの日を思い出させてくれる大切な木。

 それが今はあんな紅い禍々しい雰囲気を纏ってしまっています。

 あの桜は青空でこそ映えるもの、イズナ達の任務が青空を取り戻す契機になるのであれば、粉骨砕身の覚悟で頑張ります!

 

 

「見ていてください!主殿~!!」

 

「イズナ、それじゃあ先生殿が死んじゃったみたいだよ」

 

「で、でも……やる気は物凄く感じます」

 

「そうだね……私達も負けてられないよ、ツクヨ!」

 

「はい……!」

 

 

 速度をあげながら、私たちは紅い月に照らされ、あっという間に雪原の入り口にまで到達する。

 ここはいつも雪が吹き荒れる土地……此処に噂の百花繚乱の委員長さんが……。

 

 

「確か『黄昏の寺院』だったよね……。うーん、確かこっちの方角だったと思うんだけど~」

 

「おぉ、部長は場所を御存知なんですね!」

 

「一応歴史の授業で習ったんだよ、戦国時代からある歴史的な建造物とか何とか?」

 

 

 三年生がそんなことを学ぶとは!

 忍者たるもの知恵の吸収を怠ってはいけない……。

 部長の忍者魂は流石ですね……!

 

 

「雪の中を走るのは意外と……殺気!」

 

 

 先頭を走る部長が、そう言うと同時に雪原の向こうから大量の光弾が向かってくる。

 放たれる光弾を避け、苦無で弾きながらイズナ達は歩みを止める。

 

 雪原の向こうに見えるのは、紫の装甲に身を包んだ球体上の何か。

 一体だけだと思っていたら、その後ろから続々と現れて……。

 

 

「ぶ、部長……あれって」

 

「うん……間違いなく敵だね。でもどうして……あとを付いて来られるような速度で走らなかったし……」

 

「どちらにせよ、突破あるのみです!」

 

 

 印を組んで、身体強化の術を施して……この速度なら一気に近距離戦で一網打尽です!

 ミレニアムのネル殿の戦い方で習ったこのやり方なら……!

 

 苦無を構えて、一気に突貫する。

 その瞬間イズナの背筋に走る悪寒。

 

 ふと横を向くとイズナの側面へ狙ってたかのように光弾の弾幕が迫ってくる。

 

 迫りくる光に対して咄嗟に印を組み……!

 

 

「う、空蝉の術!!」

 

 

 身代わりにしたイズナお手製狐人形が一瞬で粉々に砕かれた。

 避けなくちゃいけないのは確実……当たった時の事を想像してイズナの背筋に冷たい汗が流れ出る。

 

 

「イズナ大丈夫!?」

 

「はい……しかしこれはまずいですね……最高速度を出したつもりでしたが、完全に読まれました。正面は囮で、側面から攻撃してくるだなんて……」

 

「イズナちゃんの速度が通じない……もしかして誰かが見てる?」

 

「この雪原じゃ探すのも無理だよ、雪も降ってるし、木も多いし……探そうとした隙を突かれて光弾の雨に打たれるんじゃ……先生殿からの特別任務もあるけど……みんなの命の方が大事だし……」

 

 

 緊急回避したイズナの近くに部長とツクヨ殿が駆け寄ってくださった……けれど、ひと塊になるのは良くないです……。

 

 嫌な気配が私たちを中心に集まってくる感覚。

 肌を刺すような殺意の視線がイズナたちに集められています。

 

 空蝉の術は1人にしか使えません……。

 この場合先に行かせないといけないのは……百花繚乱の委員長殿を知っている部長。

 

 うぅ、最悪の想定は良くないですね……。

 

 

「逃がしてもくれなさそうだね……」

 

「……完全に囲まれています。煙幕は……向こうが効くとは限らないですよね」

 

「ここはイズナが、殿を──「馬鹿なこと言わないで!もう、弱音とネガティブ禁止!」」

 

 

 部長から叱責を受けてしまう。

 しかし、ここを突破するには少なくとも誰かが受け持たなくては……。

 せめて5秒立ち止まる時間があれば……。

 

 しかし、そんなことすれば間違いなく蜂の巣……。

 

 いつ殺されてもおかしくない緊迫した空気が流れる。

 任務成功のため、部長だけでも前に行かせるべく空蝉の術の準備をしようとした、その瞬間。

 

 空から声が響く。

 

 

「キキッ! 惹き付け御苦労!」

 

 

 イズナたちの前に何かが落ちてくる。

 それと同時に放たれる無数の光弾。

 落ちてきたとてつもない質量のそれは、地響きと共に雪を舞い上げ、光弾を弾く。

 

 影しか見えないその巨大な物体の上には誰かが立っていて、月明かりの逆光で見えるその影が腕を振るうと、舞い上がる雪を吹き飛ばす。

 

 落ちてきたその物体はどこか見覚えのある白銀の鋼鉄の物体……いや、戦車でしょうか?

 

 舞い上がった雪が晴れていくと砲身の上に立つ人物が見える。

 銀色の長い髪に、鋭く鋭利な黒い角。

 そして角と同じくらい鋭い射竦めるような目に、牙と形容すべき歯を剥き出しながら、笑う軍服を身にまとった女性……。

 

 

「あ、貴女は……誰ですか?」

 

「何っ!?このマコト様を知らないだと!?」

 

「マコト……?その名前何処かで──「ニンジャのお姉ちゃん達!助けに来たよ!」その声は……!」

 

 

 ツクヨ殿の疑問符をかき消す様に元気な声が同じく夜空に響く。

 

 戦車のハッチを開いて現れたのは、金色の髪に幼げな瞳。

 手に持つのは部長がとあるお姫様にお渡しした約束のニンペロさん!

 

 

「「「イブキ(ちゃん)(殿)!」」」

 

「皆さん、急いで虎丸の中に乗り込んでください」

 

 

 イズナ達の声にピースサインで返すイブキの後ろから、あの時共に試練を乗り越えた盟友であるイロハ殿が顔を出してイズナ達に指示を出す。

 光弾が降り注ぐ中、イズナ達に当たってもおかしくない。

 ですので、お言葉に甘えて急いで中に飛び乗る。

 和楽姫の時以来の……主殿とアル殿の合わせ技による戦車大ジャンプの術を思い出しますね……。

 

 

「イブキ、すごく助かったけども……どうしてこんなところに?」

 

「えっとね、それはね──「それについては私から、皆さんの依頼主であるニヤさんと次元先生の会話をマコト先輩が盗み聞きしていまして」そう!それでね、きっと大変なことになるってマコト先輩が言ってたから、助けに来たの!」

 

 

 イブキ殿がそう説明してくれましたが……確かゲヘナの議長さんは相当厳格な方、利益無しでは動かないのでは?

 ま、まさかこの恩を使って主殿になにかふっかける気なのでは!?

 

 そんなことを思ったイズナの顔を見て、イロハ殿が口を開く。

 

 

「ご心配なく、マコト先輩は本当にただ貴女方を助けに来ただけですよ」

 

「その通りだ! 魔王としては吝かだが、イブキの愛するニンジャのために今宵この時のみ、なってやろうではないか!

 

『正義の味方』にな!

 

 決して誤ってイブキのプリンを食べてしまった『プリン事件』の罪滅ぼしではない!」

 

「まぁ、そういう事です。皆さんはまだこの先の任務があると思いますので、力を温存して、マコト先輩に頼らせてあげてください」

 

 

 なんと心の広い……しかし、イブキ殿の為にわざわざこんな危険な場所に、ゲヘナ学園のトップが……。

 侮っている訳ではないですが、とても戦車一台、人1人で突破出来るような修羅場ではない……。

 

 

「あの光弾の弾幕と、敵の先読みは脅威です。手助けは感謝しますが、ここはイズナ達も!」

 

「いえ、なりません」

 

「何故ですか!」

 

「言葉を選ばない言い方になりますが……邪魔になってしまいますから」

 

「邪魔に……?」

 

 

 イズナ達忍者の実力はある程度知っているであろうイロハ殿がそう言い切る。

 侮辱したい訳では無いのは声色で理解できますが……しかし。

 

 

「キキッ、まぁ休んでいろ、ニンジャ達よ。この戦場はマコト様が引き受けてやる(私の面子を潰す気か?)。」

 

「はぁ、マコト先輩。私もですがそれはあんまりでは? 訳あって先輩が出る戦場に私達が出ると、こちらも無傷では居られないんです」

 

「そ、そんなに荒々しい戦い方をする方なのですか?」

 

「まぁ、荒々しいといえば荒々しいのですが……一先ず皆さんにはこちらを。この中であれば大丈夫だとは思いますが……」

 

 

 そう言って、イロハ殿がイズナ達に手渡してきたのは……耳栓ですね?

 イロハ殿がそれを付ける様子を見て、イズナ達も耳栓を付ける。

 

 そういえば、先ほどからマコト殿の声は聞こえるのに姿が見えません……無線のノイズもありませんし……その割には近くで声が聞こえるような……?

 

 疑問を感じるよりも前に、強い衝撃が体を襲う。

 

 

「───!?───っ!?」

 

 

 部長が驚いている様子が見えますが、何も聞こえない。

 

 それよりも大きな『音』がイズナ達の身体を流れているからだ。

 

 その音は、戦車の外から。

 イズナたちの上に乗る魔王の声でした。

 

 

「傾聴」

 

 

 その一言で、車体が大きく揺れる。

 

 光弾の弾幕を食らってもビクともしなかった、虎丸の装甲と重量を持ってしても揺れるほどの衝撃。

 

 虎丸の中にあるモニターから車外の様子が見れますが……仁王立ちするマコト殿しか見えない。

 

 何か使った訳でもない……本当に『声』だけで?

 

 

「キヒヒッ!!有象無象の機械共!光栄に思うがいい!このマコト様の闘いを『聴ける』のだからな!!」

 

 

 画面に映る光弾の雨が、全て戦車にあたる少し前で弾け、掻き消されています……。

 今の一言であの光弾を相殺し続けているんですか!?

 

 

「余興にかまけても良いが……時間が惜しい。

 ヒナより弱い貴様らにかける時間など一秒たりともない。

 

 ので……。

 万魔殿 議長であるこの羽沼マコト様より勅命だ」

 

 

 車内が再び静かになる。

 鼓膜が破れた訳でも、耳栓の効果によるものでもありません。

 それは耐えるための覚悟を決めさせる時間。

 

 来ると思ったその瞬間車内の全員が、耳を塞ぐ。

 幼い頃、大雨の日に雷の轟く雷鳴が恐ろしかったように、近づいてくるその音に怯えたように。

 

 

「失せよ」

 

 

 車体が大きく揺れ、金属同士が擦れて歪む嫌な音が聞こえて……。

 イズナ達、このまま戦車ごとぺちゃんこになってしまうのでは!?

 

 長く感じるほどの地響きが次第に鳴り止む。

 

 よ、ようやく終わった?

 

 

 耳栓を外すと同時にハッチが開き、マコト殿が顔を覗かせる。

 

 

「キキッ、貴様ら終わったぞ」

 

「お、終わった?」

 

「あぁ、貴様らが纏まっていたお陰で私の『声』の範囲内に奴らは集まっていたようだ。 まだいるかもしれないが、貴様らとて弱者ではないだろう?」

 

「この恩、必ずや返します!」

 

 

 恩を売られて終わっては、忍者の名折れです!

 マコト殿にイロハ殿、そしてイブキ殿に頭を下げて、車外に飛び出すと……。

 

 周りに生えていたはずの森林が何処にもなく、ただ広い雪原だけが広がっていたのです。

 

 

「あ、あれ? 森林は?」

 

「キキッ、ついでに風通しも良くしてやった。感謝はいらないぞ?」

 

「マコト先輩、環境破壊はめっ!」

 

「イ、イブキ……そう気を悪くしないでくれ……そうだ!これが終わったら、木を植えに来ような」

 

 

 拍子抜けした声をあげる部長に対して、高笑いするマコト殿を叱り付けるイブキ殿。

 なんだか和やかな空気が流れています……はっ、こうしてはいられません!

 

 

「イズナちゃん、部長……行きましょう」

 

「はい! それでは万魔殿の皆さん、オサラバです!」

 

「イブキ!次会う時には大きなプリンご馳走するからね!」

 

 

 イブキ殿達を背にイズナ達は再び雪原を走り出す。

 

 万魔殿の皆さんに手伝っていただいたのですから、この任務必ず成功させてみせます!!

 

 

 ──────

 

 ────────────

 

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「あっと言う間に見えなくなりましたね」

 

「キキッ、先生の懐刀にしておくには惜しいな」

 

「マコト先輩……」

 

「マコト様ジョークだ」

 

 

 戦車の上から雪の中に消えていった忍者を見つめる3人は、彼女達が消えたことを目視すると彼女達が向かった方向とは逆の方を向いて戦車を進ませる。

 

 イブキとイロハが、戦車の中でオート操作に切り替え、温んでいる中でマコトは主砲に足を載せながら、空を見上げていた。

 

 

「マコト先輩、イロハ先輩! その、イブキのワガママ聞いてくれてありがとう!」

 

「えぇ、どういたしまして、イブキのお友達を助けたいというその言葉はワガママなんかじゃないですよ」

 

「キキッ、イブキ。どうだった?私の華麗な活躍は!」

 

「うん!かっこよかったよ!あの時は嫌いだったけど、今は大好き!!」

 

 

 その言葉にマコトは口元を抑えて、震え始める。

 

 姿こそ屋内からは見えないが、何かを察したイブキがマコトに対して話しかける。

 

 

「マコト先輩? 大丈夫? 寒いならこっちで一緒に温まろ?」

 

「……キッ、キヒヒッ、大丈夫だとも。ありがとう」

 

「そうですね、マコト先輩は大丈夫ですよ。イブキは優しいですね」

 

「えへへ〜」

 

 

 イロハはイブキの頭を撫でながら、大方マコトはイブキに好きと言われて感極まっているで、それを見られたくないだけだろうと察して、イブキの頭を撫でながら寝かしつけてしまう。

 

 

「イブキは寝ましたよ」

 

「そうか、御苦労。イロハ」

 

「ところで……本当に行かなくてよかったんですか?」

 

 

 そうイロハは静かな声色でマコトに問いかけた。

 

 

「キキッ、連邦生徒会からの達しだろう? 『第三サンクトゥム』の参戦要請」

 

「はい、うちの学園の陸八魔アルが啖呵を切ってましたが……長い目で見ても、ここは協力した方が良かったのではないかと」

 

「そうだな。確かにこちらの支援はサツキとチアキで充分だったかもしれない……それでもだ」

 

 

 空を見上げながら、マコトは呵々大笑し、その笑い声で分厚い雪雲を吹き飛ばし、浮かぶ赤い満月を見上げる。

 先程とは違い、耳栓をしていないイロハや寝ているイブキがその耳を破壊されることはなく、ただ空高く浮かぶ雲のみ払ってしまった。

 

 

「この私は確かに強欲だとも。この世の総てを手中に収めたい。 しかしだ、世界とイブキ。どちらかしか取れないとなるなら……どちらを取るべきかは迷うまでもない」

 

「……相変わらずですね」

 

「キキッ、当然だろう? それに向こうには別のやつを行かせた。マコト様の代わりには丁度いいだろう」

 

 

 紅い月を見上げるマコトは、大きく笑い……。

 

 

「へっくち」

 

「戦車の中に入ってきてください」

 

 

 ────────────────────   

 

 ────────────   

 

 ──────

 

 

 荒れる風が、髪を靡かせ、スランピアの動かない遊具の金属たちが軋み、悲鳴を上げる音が響く。

 それに負けないくらいの元気な声もまた聞こえる。

 

 

「モモイ!ミドリ!ユズ!緊急クエストです! 突如現れたダンジョンを攻略すると大量の経験値を獲得できる特別イベントです!」

 

「あちょっちょっ、アリス!しーっ!重要な作戦みたいだから、声を落として!」

 

 

 作戦の集合場所に向かっていると、そんな声が聞こえる。

 連邦生徒会長代行が用意した資料には目を通したけど、本当に大丈夫なのかしら。

 

 声のする方に歩くと、そこには地面につくほどの長い髪をした自分の身の丈と同じほどの鉄の塊を背負った小さな少女と桃色の着け耳をつけた少女と緑の色違いの耳をつけた少女が、楽しそうに話しているのを見つける。

 

 あれが今回の作戦の協力者のミレニアムの『ゲーム開発部』ね。

 

 そこに合流しているうさ耳をつけた集団……あれは情報部から連絡のあった『SRT特殊学園』のRABBIT小隊かしら。

 

 近づいてきたことで、作戦部隊の無線に接続される。

 

 

『RABBIT4、し、視界不良……南東の風で35ノット……あまりいい環境じゃないかな……で、でも……狙撃に大きな影響はないよ』

 

「風速時速65km……かなりの強風なのに『狙撃に大きな影響』はない?」

 

 

 その信じられない発言に、思わず私の口が開く。

 現地にいる全員の顔が私の方を向く。

 唐突に現れて開口一番に口にする言葉じゃなかったわね。

 

 

「き、来た!とっても強い味方その2……! ゲヘナ風紀委員長、空崎ヒナ……!」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

 

 一応私の方が年上だと思うのだけれど……緊張はあれど、私に対して恐れの感情がまるでないのは、なんだか新鮮ね。

 それよりも……この無線のRABBIT4は狙撃手なのかしら。

 

 

「RABBIT4……だったかしら。狙撃手の貴女、目標との距離は?」

 

『ひゃ、はい!? わ、私ですか!? あ……えっと、そのここから約950mほどです……』

 

「銃種は?」

 

『RABBIT39式、狙撃用ライフルです……! 弾薬は7.62mm×53mmRを使っていて……装弾数は5発、えと、じゅ、銃番号は──「あの……ヒナさん」』

 

 

 つい問い詰めてしまう形になってしまった。

 そんなつもりはなかったのだけれど……話を聞く限り殆ど既製品ね。

 特別なカスタムはなさそう……。

 それでこの悪条件での狙撃を難なく……。

 

 

「……ごめんなさい。問い詰める意図はなかった。貴女ほどの狙撃手は私の知る限り一人しかいないわ。 凄いね、RABBIT4、頼りにしてるわ」

 

『へ、えっと、こ、光栄です! ありがとうございます……!?』

 

「ミユは次元先生の背後を取れるほどの隠密と過去に2000mでの狙撃に成功しています」

 

 

 この場にいるRABBIT小隊の面々を見れば、かなりの手練れであることは一目で理解できる。

 こんなこと言ったら、アルファ隊とブラボー隊のみんなに嫉妬しちゃうだろうけれど……。

 

 

「うん、一目見ただけで想像できる。きっとこれからももっと強くなるのでしょうね……。 貴女達のような後輩がいるのなら、SRTもきっと大丈夫よ」

 

「そ、そうか? 風紀委員長、あんたの噂は聞いている。そんなあんたから褒めてもらうなんてな」

 

 

 鉄帽を被ったRABBIT小隊のメンバー、空井サキが照れくさそうに頭の後ろをかきながら話すが、その立ち姿も訓練された兵士のように、重心がブレていない。

 普段から立ち姿を意識していないと、無意識下で緊張していない時にも同じようには振る舞えない。

 伊達に、先生が駆けこんだ逃げ場になって、共にシャーレを奪還したことは嘘じゃなさそう。

 少しだけ嫉妬しつつ、その感情をそっと抑え込み、私はゲーム開発部の方を向く。

 

 大きな鉄の塊を背負った少女。

 

 

「貴女が噂の天童アリス……」

 

 

 先生と仕事をする中で一度話を聞いたことがある。

 ミレニアムにいるとある生徒は、人が扱えないようなレールガンを自身の得物としていると。

 それと、情報部からの報告にあった……『エリドゥ』での戦いでの中心人物。

 

 天童アリスは私のことを幼子のような純粋な目つきで、じっと見つめてくる。

 私に何を見出してるのかしら。

 

 

「パンパカパーン! レベルカンストのガチ勢が仲間になりました!!」

 

「れ、れべるかんすと?」

 

「わわっ!あ、アリス!ゲーム用語での会話はキヴォトスじゃ恥ずかしい事なんだよ!」

 

「ごめんなさい! アリスちゃん、少しだけ訳あって語彙が変わってるんです」

 

 

 勢いよくアリスの口を塞いだ桃色の少女『才羽モモイ』と、私に謝ってきた緑色の少女『才羽ミドリ』が言うように変わった子なのね……。

 話に聞いていたような凶暴さというのは、ただの噂なのかしら。

 マコトから命令された時には嫌な予感しかしなかったけれど……何とかなるのかしらね。

 

 

「アリス、ゲヘナの風紀委員長の話を先代勇者である先生から聞いたことがあります!」

 

「……先生が?」

 

「はい! ゲヘナの風紀委員長はとってもいい人で……それから──!」

 

 

 先代勇者という言葉を少し聞かなかったことにして、私はアリスに問いかける。

 

 

「それから?」

 

「決して戦いたくないというほどの強さと、それに負けないくらいの優しさをもつ凄い人だと言っていました! 先代勇者が認めた凄い人である風紀委員長とアリスはパーティーを組めて光栄です! とても嬉しいです!」

 

 

 眩しいくらいの笑顔で、アリスはそう言った。

 何の躊躇いも無しに、そして一ミリの嘘もなく言葉を言い切る。

 こんな子がまだキヴォトスにいるなんて。

 マコトにこの子の爪の垢を煎じて飲ませようかしら……なんて、そんなことを思ってしまう。

 

 これでは、警戒していた私が道化じゃない。

 それに、あの人ったら……少し盛り過ぎよ。

 

 

「そう……ふっ」

 

「わ、笑った?」

 

「……こちら第三サンクトゥム。作戦担当応答願うわ」

 

 

 無意識に微笑んでたらしく、才羽モモイに指摘された私は口元を手で隠して、無線に連絡を入れる。

 

 こういうタイプの生徒はうちにはいないから慣れないわね、本当に。

 

 

『あ、ひゃい。え、えっと第三サンクトゥム攻略戦の作戦担当の花岡ユズです……』

 

 

 自信の無い震えた声が無線に入る。

 ……本当にこの子なのよね。

 連邦生徒会が適材適所を見誤るとは思えないし……。

 

 

「大丈夫ですよ、ユズ! ユズの作戦なら上手く行きますから!」

 

「ユズなら行けるよ!格ゲーだと思って、私達に指示出しお願い!」

 

『う、うん……すぅ、はぁ。 今回の攻略対象は、スランピアのアミューズメントドールのシロ&クロです。 鋼鉄のコーヒーカップに爆発するボールの召喚、それとキグルミの使役がメインの攻撃方法になって──』

 

 

 驚いた、まるで人が変わったように敵の情報をツラツラとあげていく。

 まるで完全に相手の行動パターンを記憶しているような……。

 

 そんなことを考えていると、隣にいるアリスが誇らしげに胸を張る。

 

 

「部長のユズはキヴォトス1の最強ゲーマー、UZQueenなんです! 相手の行動パターンを全て暗記するなんて朝飯前なんです!」

 

「ゆず、くいーん?」

 

 

 きっとこれもゲームの用語なのでしょうけれど……。

 矢継ぎ早に私たちの脳に叩き込まれる行動パターンはどれも合理性に満ちている。

 どの行動にはどの攻撃と動きが最適なのか。

 僅かな情報しかなかったはずなのに、そこまで導けるのは……彼女もまた部長という長だからなのかしらね。

 

 

「作戦概要は頭に入りました。ユズさん具体的な指示をお願いします」

 

『はい、守護者であるシロとクロが同時に襲ってくることはない……というのが情報源の黒服さんからの話です。 それでも常に湧いてくるキグルミとロボットの兵団たちが妨害してくると思います……ですので、チームを二手に分けます。 モモイとミドリ、そしてRABBIT小隊の現地部隊の皆さんはキグルミとロボットたちを、アリスちゃんとヒナさんで守護者の攻略をお願いします』

 

 

 才羽姉妹の実力……あのエデン条約での戦いでチラリとだけ見た記憶がある。

 特に目を引いたのは才羽モモイの方。

 無数の斬撃を飛ばしながら、ユスティナの聖女達を斬り飛ばすその姿。

 

 才羽ミドリはそのアシストとしてカバーの立ち回りを行っていた。

 

 戦闘のプロであるSRTと組むのなら、サポートとしては今ある手札では最適解……。

 

 そして、守護者には火力のあるレールガンを打ち出すアリスと、風紀委員長の私を宛てがう。

 

 作戦に穴があれば、指摘しようと思ったのだけれど、これも今の手札なら充分適解足りうるわね。

 

 

「……分かったわ。花岡ユズ」

 

『え、あ、ひゃい!』

 

「貴女の指揮に従うわ。私を存分に使いこなして」

 

『うぅ……は、はい、頑張ります……プレッシャー……』

 

「おぉ!ユズのPPが多く減るようになってしまいました!」

 

『アリスちゃん! ……緊張しないようにしてくれてありがとう。 すぅ、ふぅ……これより、第三サンクトゥム「シロ&クロ」攻略戦を始めます……!』

 

 

 その合図と共に前進を始める。

 虚妄のサンクトゥムは、スランピアの中央に位置している。

 つまりは、この廃遊園地に入らないといけないのだけれど……そうもいかないみたいね。

 

 ある程度前進したところで、行軍が止まる。

 

 濃厚な神秘がスランピアの入口に集まってくる。

 

 

「……早速ね」

 

「レイドバトル開始です!」

 

 

 形成される黒いボールの上に白いネズミのようなマスコットが現れる。

 あれが、『シロ』。

 まずはあれを倒さなくちゃならないのね。

 

 シロが腕を振るうと同時に彼女の周りへと、一斉にキグルミの雑兵が湧き、私達に向かってくる。

 単純な突撃しかして来ない。

 これなら私が蹴散らそうとデストロイヤーを構えると、引き金を引くよりも速く何かが飛び出す。

 

 

「雑魚たちの相手は任せて!」

 

 

 手に持った二本の包丁を持った才羽モモイが、キグルミの群に飛び込み、その次の瞬間には無数の斬撃と共にキグルミ達が真っ二つにされていく。

 

 あれが話に聞く『ネット』の神秘。

 

 キグルミ達も決して硬い訳じゃ無いはずだけれど、それでもまるで何も無い空気を切り裂くのと、同じように抵抗感なく次々と真っ二つにしていくのは凄まじい斬れ味ね。

 

 

「お姉ちゃん!」

 

「ミドリ!」

 

 

 阿吽の呼吸で才羽ミドリが才羽モモイに銃口を向け、その引き金を引くと放たれた弾丸を次々と切り裂き、逸らし、弾き、周りの敵を撃滅していく。

 

 余程呼吸が合わないと出来ない技。

 流石姉妹……ってことかしらね。

 

 

「やるじゃないか、ゲーム開発部」

 

「そうですね、これは負けていられません。 RABBIT1、RABBIT2。戦闘を開始します」

 

 

 空井サキと月雪ミヤコが無線に連絡を入れて、銃を持ち、モモイの後を追う。

 

 

「私達もやりましょう、天童アリス」

 

「はい!ヒナ! 魔力充填開始します!」

 

 

 アリスが軽々とレールガンを構えるとその銃口に光が集まっていく。

 宇宙戦艦用に開発されたと聞くその武装の威力、あの守護者にも充分に効くものでしょう。

 なら私がやるべきなのは……彼女の護衛。

 

 玉乗りをし続けているシロの手から白い球体が現れ、それをジャグリングしていく。

 

 段々とジャグリングされていく玉が増えて……私達に向かって、連続で投げ込んでくる。

 

 デストロイヤーを構え、何が起こるか分からないからこそ、アリスに当たるよりも前に引き金を引いて、銃弾を放った。

 私の放った弾幕は、次々と投げ込まれる白い玉に当たり、大爆発を起こす。

 

 遊園地のマスコット……私がもっと幼かった頃、この遊園地は笑顔と笑い声の溢れる素敵な場所だったと聞く。

 シロとクロは、その頃の思い出を再現し、再びパレードを行おうとしている……そんな素敵な思いを兵器運用し、そして少なくとも目の前のシロは、その思いすら忘れて、ただあの塔を守るための存在として利用されている。

 

 原点が美しくても、こういう扱いをする……そういうことは許せないわね。

 

 

「ヒナ、ありがとうございます!」

 

「私がカバーするから、貴女はあの子を止めてあげて」

 

「あの子を……はい!アリスは勇者ですから、悪の心を植え付けられてしまったシロとクロを救い出してあげます!」

 

 

 勇者……ね。

 自分のことをそんな風に呼ぶ人を初めて見たわ。

 でも、そんな彼女を笑いはしない。

 

 何故なら彼女の瞳が本気の目つきをしている。

 それを嗤うなんてことはしないたったそれだけの話よ。

 

 

「魔力充填50%……!」

 

「全力で、でも走り切ることを考えて」

 

「はい!……80%! 撃ちます!」

 

 

 アリスの銃口がシロを向く。

 その集まっていく膨大な光と神秘……これで、8割?

 末恐ろしいわね……。

 

 当然その威力を察知したシロは次々と爆弾の玉を放ってくる。

 

 

「その程度の弾幕で、私と張り合うつもり?」

 

 

 引き金を引き、次々と撃ち落としていく。

 私の弾幕と張り合うつもりならこの倍を用意しなさい。

 

 シロが立っているボールが大きく凹む。

 

 天童アリスの射撃タイミングに合わせて避けるつもり?

 

 

「天童アリス──「アリスでいいです!」……分かった、アリス。そのまま構えて。狙撃手、シロが跳び上がったタイミングで撃ち落とせるかしら?」

 

『タ、タイミングが分かったら……ジャストで撃ち落とせるよ』

 

「ユズ! お願いしてもいいですか!」

 

『わ、私!? わ、分かった……5カウントいきます!』

 

 

 アリスの頼みを聞いた花岡ユズが、戸惑ったのちに5カウントを始める。

 戸惑った声とは裏腹にカウントダウンされていくそのタイミングは、精密そのもの。

 

 

『3……2……今!』

 

「光よ!!!」

 

 

 飛び跳ねたシロを静かに、そして確実に遠距離からの狙撃が当たり、その跳躍を中途半端なところで止める。

 落ちるその巨体に、レールガンの銃口から光の帯が撃ち抜く。

 

 勢いのまま、シロの巨体が廃遊園地の扉へと叩きつけられ、大きな音を鳴らしながら破壊した。

 

 

「たった一撃で……やるわね」

 

「アリスは勇者ですから!」

 

 

 シロはこれで倒れたと思っていいだろう……つまり残すところはクロだけ。

 でも、それが何処にいるのか。

 廃遊園地の中を探索すれば見つかるのかしら。

 まずは才羽姉妹とRABBIT小隊の人たちと合流をしないと思い、そっちの方を見ると彼女たちがキグルミ達と戦っている姿が見える。

 あの殲滅力でキグルミ達を全滅させられないはずがない……つまりまだ増え続けている?

 

 

『異音? まるで滑車が進むような……もしかして、ジェットコースター……?』

 

 

 花岡ユズの疑問が私たちの耳に入ると同時に、高速で何かが迫って来る音がする。

 音が聞こえた時点で身構えておくべきだった。

 咄嗟に飛んだ私の足元に、高速でレールが無から敷かれていく。

 それは私の右方面から敷かれて行き、視界が光に包まれ……。

 

 強い衝撃と音が響く。

 

 

「ヒナ!!!」

 

 

 意識が遠のいていく。

 

 

 ────────────────────   

 

 ────────────   

 

 ──────

 

 

 微睡む感覚と共に、遥か昔の記憶を思い出す。

 

 

「ようやく終わったわね……マコト」

 

「あぁ……これで、忌々しい雷帝の時代は終わる」

 

 

 ゲヘナの領土の一角にある瓦礫の山に私とマコトは座り、空へと登る煙を見届けていた。

 そう……高校に入ったばかりの頃、あの頃はまだ奴が居た。

 

 今は、もうとっくに卒業して何処で何をしているのか分からない……。

 

 そんなことをハッキリと理解している自分と、あの頃の自分。

 その二つが確かに存在している。

 

 なんで今……こんな事を思い出しているのかしら……。

 

 

「ヒナ、お前と共に長く情報部で一緒にやってきたが……」

 

「そうね……」

 

「「ねぇ(なぁ)」」

 

 

 私とマコトが互いに向いて、同時に声を出す。

 

 そう……あの頃の私たちはゲヘナでも最高のコンビだった。

 情報部で出会ったあの頃から、何かと私とマコトは共に仕事に就くことが多かった。

 

 戦闘になったとしても、私の絶対防御とマコトの不可避の攻撃でどんな敵も叩きのめせた。

 

 最強の二人。

 

 私とマコトが組むなら、誰が相手でも負ける気がしなかった。

 

 

「ふふっ、いいわよ。マコトから」

 

「いつもお前に譲られてばかりで悪い。たまにはお前に譲らせてくれ」

 

「そう……ねぇ、マコト」

 

「なんだ、ヒナ」

 

 

 私は、この発言を後悔しているのかしら。

 この言葉さえなければ、あの人とまだ一緒に居られたのかしら……。

 

 でも、もうこれは過ぎてしまったこと。

 

 

「私と一緒に、此処から離れて、静かな場所で過ごさない?」

 

「……は?」

 

 

 その時のマコトの顔は今でもよく覚えている。

 驚きと失望が混じった表情。

 マコトの身体が震え、私の肩を掴む。

 

 

「ヒナ、お前。今何て」

 

「えっと……その、私と一緒にゲヘナから離れてどこかで静かに暮らさないかって……提案なんだけど……」

 

「お、お前は……この学園の後釜になるんじゃないのか?」

 

 

 マコトの声が震える。

 いつも凛々しく大胆で、そして戦場では誰よりも前で戦うことを望んだマコトが。

 今、私の前で弱々しい声を振り絞りながら話しかけてくる。

 

 

「えっと……私にそういうのは向かないわよ……それにめんどくさいし……」

 

「き……」

 

「き……?」

 

「貴様ほどの力がありながら!何故立とうとしない!」

 

 

 マコトが私の身体を持ち上げて、瓦礫の山へと投げ捨てる。

 戦いが終わったばかりなのに、マコトはその疲労も気にせずとばかりに投げ捨てた私に向かって歩み寄ってくる。

 

 

「貴様、何故この光景を見て、何故見捨てることが出来る!」

 

「だからって……人の上に立って……雷帝の真似事でもするつもり?」

 

「っ……ヒナ、お前なら出来るだろう。魔王であるお前なら」

 

 

 私を竦める鋭い目つき。

 あんなに怒った顔を見たのは今までも、そしてこの先もない。

 私にはアレの後釜に成れるほどの素質がある……。

 

 よりによって、アレと比べられるなんて。

 

 

「なら、マコトだってそうじゃない。貴女なら出来るわよ、魔王さん」

 

「私に……。キ、キキッ……!」

 

 

 再びマコトが私の襟を掴んで持ち上げると、怒りの混じった笑い声を出しながら、頬を殴り飛ばす。

 神秘で守れば、マコトの拳なんて簡単に壊せたのに、私にはそれが出来なかった。

 

 地面を転がり、倒れ伏した私はマコトを睨みつける。

 

 

「なんだ、その目は」

 

「貴女、だって……」

 

「ヒナ、貴様とは絶交だ。

 貴様は貴様の道を歩め。

 私は……私の道を往く。

 

 二度と……その面を見せるな」

 

「っ……」

 

 

 雷帝が沈んだあの日。

 ゲヘナの転換期であったあの日。

 

 私とマコトは、喧嘩別れをした。

 

 二度と互いの顔を見ない……って、そう決めたのに。

 

 結局、ゲヘナ学園に残ることにした私は学生生活を続ける中で風紀委員会に入った。

 

 先代の風紀委員長の失踪。

 そして後釜を決めるために行われた会議、そして厳しい適正テスト。

 その全てを私は満たしてしまった。

 そんなつもりなんかなかったのに……。

 だって、上に立つということは……議長にまで昇りつめた彼女に。

 

 羽沼マコトと出会ってしまうから。

 

 

 ────────────────────   

 

 ────────────   

 

 ──────

 

 

 全身に鈍い痛みが走る。

 

 瞼を開くと、どこかの建物の中で私は寝転がっていた。

 倒れたまま、ふと視界を下の方に向けると私が飛び込んできたであろう壁が破壊された穴と、瓦礫が見える。

 視界を動かすと、地面に突き刺さる私の愛銃も確認できた。

 

「……私は……跳ね飛ばされて……」

 

『ヒナさん!大丈夫ですか!』

 

「え、えぇ……頑丈さが取り柄だから私は、戦況は?」

 

 

 長い夢を見てしまっていた私は、体に走る痛みを回復させながら、無線で戦況を聞く。

 何であんな夢を……でも、そうね。

 あんなことがあったのに……今、私とマコトは同じ方向を向いている。

 

 それに、私がここに来たのはマコトの代わりだった。

 それもマコト自身の申し出で。

 

 あの人はバカをやらかすし、助長する時はトコトン駄目になるけど……でも、人の采配を見誤ったことは過去一度たりともない。

 あの言葉……。

 

 

 ──この学園の後釜になるんじゃないのか?

 

 

 あの言葉は、きっとあの人が私に期待していたからこそ出た言葉だったのかもしれない。

 真相は分からないけれど……でもね。

 私は、貴女の後ろだったら着いていっても良かったのよ。

 

 

『今は、アリスちゃんとモモイとミドリがクロと戦っていて、RABBIT小隊の皆さんでキグルミを抑えてくれています!』

 

「分かった……すぐに行くわ」

 

『え、でも……ジェットコースターが直撃したのに……』

 

「大丈夫……魔王がすぐに向かうってみんなに連絡して」

 

 

 風紀委員会に先生が初めて来たのも、マコトの差し金だった。

 絶交だってあの人から言ったのに……。

 正直じゃないんだから……。

 

 体の傷を治した私は翼を大きく広げて、地面に刺さったデストロイヤーを引き抜くと、飛ばされてきた方向へと飛び立つ。

 

 暫くすると、カラスのようなマスコットである『クロ』とゲーム開発部達が戦っている様子が見えてくる。

 

 クロがゲーム開発部に向かって、召喚した遊具のコーヒーカップをぶつけようと杖を振るう。

 完全に死角……あのままじゃぶつかってしまう……だから、私は私の役目を全うする。

 

 デストロイヤーの銃口を向けて、引き金を引きながら、地面へと降り立ち、彼女たちを守る。

 

 

「ごめんなさい、待たせたわね」

 

「ヒナ!」

 

「遅いよ~!風紀委員長!」

 

「私の代わりをありがとう、才羽モモイと才羽ミドリ。その二人の代わりを引き受けてくれたRABBIT小隊の皆さんも……もう大丈夫、ここからは魔王である私が受け持つわ」

 

「魔王……」

 

 

 アリスが私の言葉に反応して呟く。

 

 そういえば、彼女は勇者だったわね。

 

 

「えぇ、そうよ。私は魔王……もう一人の魔王からのお墨付きよ」

 

 

 心臓が戦いの高揚で激しく高鳴る。

 一度情報を仕入れて見たことがある。

 先生の隣を歩く彼女が見せた、偉業。

 

 一度目にしたのなら……私にだって出来るわ。

 

 だって、私はゲヘナの風紀委員長(最強)なんだから。

 

 

「クロだったかしら……ここからが、本番よ」

 

 

 紅い月に照らされる世界が、一瞬にして鮮やかな紫に染まる。

 

 

「例え重くても、例え苦しくとも、風紀の二文字を私は背負い続ける」

 

 

 高鳴る鼓動と共に、あの人(マコト)の声が夜空で聞こえた。

 

 

「何故なら……それが……魔王の」

 

 

 大きく上がる口角と共に、私は世界に名を刻みつける。

 

 

「『神髄
「『神髄
「『神髄
「『神髄……」

 全身に沸き上がる神秘をその勢いのままに全身へ、武器へと流し込んでいく。

 

 

「アリス」

 

「は、はい……!」

 

「まだやれるかしら?」

 

「もちろんです! 二人で、クロさんを救って……」

 

「「パーフェクトゲームで完全勝利よ(です)!」」

 

 

 クロがステッキを振ると同時に足元にレールが引かれる。

 これは……さっき私が吹き飛ばされたジェットコースターね?

 

 分かっているのなら……問題ないわ。

 

 

「ヒナ、また来ます!避け──「問題ないわ」」

 

 

 仁王立ちする私に向かって、ジェットコースターが再び側面から迫り来る。

 

 風を切って進んでくる高速の鉄の塊が私に当たり、衝突音を響かせる。

 そして宙を舞う……ジェットコースター。

 硬めた私にぶつかると同時に急速に止まって大きく車体が浮かび上がったから。

 

 

「アリス、貴女は魔力を貯める事だけを考えて。 迫りくるもの全て、私が防ぐから」

 

「分かりました!!」

 

 

 私の言葉に返事を返したアリスはレールガンを構えると神秘を込めていく。

 

 シロを一撃で倒したレールガンを向けられたクロは当然アリスを狙う。

 大丈夫……私はもうあの時のように守れない人間じゃない。

 

 迫りくるコーヒーカップを叩き壊し、反対方面から迫って来るコーヒーカップを撃ち落とす。

 

 それすら効かないと分かったクロは再び杖を振るうと、ユニコーンや馬達を召喚する。

 陶器のような質感……もしかしてメリーゴーランド?

 

 波のように迫りくるそれに対して、私は手を前に突き出す。

 

 普段ならこんな事をしても意味はない。

 

 でも今なら……。

 

 出来る。

 

 

 私ごとアリスを飲み込もうとするその大群が、一定の距離にまで迫ると次々と破壊されていく。

 

 私の神秘は、私自身の威圧を増幅・強化し、それを硬めることが出来る。

 普段なら出来ても、人一人を包み込むことが出来る程度しかない。

 それでも調印式の時、イブキを守れる程度には役に立つことが出来る……。

 でも、その結果私は傷ついて……そのせいで、先生のお腹に銃弾が撃ち込まれる事になった。

 先生は、自分の判断だからと言うだろうけど、それでは駄目。

 

 守るためには、私自身も守る対象に入れないといけない。

 

 今の私なら、範囲をさらに広げて、見えない絶対に破れない壁として神秘を発揮することが出来る。

 

 次々とぶつかり続けるメリーゴーランドの馬たちの破片すら通さずに、守り抜く。

 

 

「ヒナ!魔力充填完了しました!100%MAXです!」

 

 

 アリスの声が聞こえる。

 その声が聞こえたのは私だけではなかった。

 クロにもそれが意味するとこが理解できたのか、クロは翼を傍目かせて飛ぼうとする。

 

 させるわけがないわ。

 

 手をクロにむけると彼女の飛翔が止まる。

 左右にも行かせはしない。

 クロの左右と上、そして背後に私の神秘で作り出した鉄壁を配置する。

 

 その壁が破れないことを理解したクロはそのまま身を翻すと、アリスに向かって突進する。

 

 

「ヒナ! もう大丈夫です!ここはアリスにお任せください!」

 

 

 正面から迫るクロの巨体に対して、アリスは怖気づくことなくしっかりとレールガンを構え……そして声をあげる。

 

 

「魔力出力臨界点突破! これぞ、悪を撃ち抜く正義の一撃……!」

 

 

 光が夜空に輝いた。

 

 

「この光に意志を込めて……貫け!バランス崩壊!」

 

 

 打ち出された光はクロに当たり、そして拮抗する。

 あの威力を前に押し留まるなんて……。

 加勢するべく銃を構えると、アリスが更に声を出す。

 

 

「アリスは言いました!お任せくださいと! だから……大丈夫です!

 

 光……よぉ!!!」

 

 

 光が更に増し、威力も神秘も増大していく。

 まだ余力があるなんて……。

 

 クロを飲み込む光の一撃は、スランピアの城へと当たり、崩落させた。

 

 

『シロ&クロの反応消失……討伐完了です!』

 

 

 花岡ユズの報告が聞こえる。

 戦闘で上がった心拍数を落ち着かせていく。

 

 そんな私にアリスが近付いてくる。

 

 

「お疲れ様、アリス」

 

「はい、お疲れ様でしたヒナ」

 

「……何か浮かない顔ね?」

 

 

 アリスの表情が何か思いつめたような顔をしている。

 そこまで親しいわけではないけれど、それでもこの戦場を生き抜いた仲。

 気にしないほど冷酷ではないわ。

 

 

「……その……ヒナは、魔王なんですか?」

 

「…………そうね。昔、大切だった人にそう言われたわ」

 

「大切だった人に、悲しくなかったのですか?」

 

 

 悲しくなかったか……ね。

 

 私は少し考えて、胸の中の気持ちを整理する。

 

 

「うん……その時は悲しかったわ。でも、それでも人生は続いていくの」

 

「……ヒナは、強いですね」

 

「色々あったもの。それに、別に魔王って言葉が嫌なわけじゃないわ」

 

「嫌じゃないんですか? だって悪者ですよ?」

 

 

 確かに魔王は、いつだって物語ではお姫様を攫ったりする悪役として出てくる。

 

 悪は根絶させるものってそう思ってきた。

 風紀委員になった日からずっと問題児や悪党を潰してきた。

 

 

「そうね……悪者は罰されるべき、それは今でもそう思うわ」

 

「なら、何故……」

 

「先生のお陰かしらね。 どんなに悪い人でも、何を成すのか何をしようとしたのかの方が大事よ。 それに悪党に恐れられるのなら、この魔王って呼びも悪くないわ」

 

「何をするのか……何をしようとしたのか……」

 

 

 マコト。

 貴女は貴女の道を。

 私は私の道を歩いている。

 でも、もしかしたらその先は同じ場所に繋がってるのかもしれないわね。

 

 紅い月を見上げながら……私は静かに笑った。

 

 

 




次元大介だ。
地下聖堂……色んなものを思い出しちまう。
血と硝煙。涙と赦し。
あの二人ならきっと成し遂げるだろうさ。

次回 第四サンクトゥム『両翼と涙と共に響けよ、キリエ』

怨みの中で聞こえた賛歌をアンタは覚えているかい。






お待たせいたしました。
2週間に1回のペースで投稿……?
誕生日に間に合うのか……?と震えている作者です。
そんなこんなで、拙作におけるマコト様の設定をちょろっとだけ。

彼女の固有名である『サタン』は、己の声を際限なく増大させ、指向性を持たせることができる力を持っています。
リーダーの素質には色々あるが、声の大きさもそのひとつ。
議長にして魔王である彼女の神秘としては相応しい。
また、天敵であるヒナの持つ神秘である『バアル』の絶対防御を完全無視できる唯一の力です。 ヒナのバアルはあくまでも空気や音は通しますからね。

だからこそ、組んだら最強なわけです。

最後に、感想、評価、ここすきよろしくお願いいたします!

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総合評価:5300/評価:8.26/連載:71話/更新日時:2026年03月23日(月) 21:12 小説情報

連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの七海建人と申します。(作者:馬鹿め!そっちは本体だ!)(原作:ブルーアーカイブ)

2018年 10月31日 23時14分▼東京都渋谷区 渋谷駅地下構内 ▼東京メトロ副都心線 渋谷駅地下5階▼『―――後(あと)は頼(たの)みます』▼1級呪術師 七海建人 死亡▼pixivでやっていたのを引っ越しました。▼https://www.pixiv.net/novel/series/13296246▼連載はハーメルンで進みます。▼


総合評価:4318/評価:8.77/連載:16話/更新日時:2026年06月07日(日) 22:53 小説情報


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