新任教師『次元大介』   作:レイゴン

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1-7 次元一味

「こいつは、おまけだ。喰らっときな!」

 

 先頭を走っていたチンピラの額にマグナムをぶっ放す。

 気絶しながら吹き飛んだチンピラを他のやつらが支えてどこかに逃げ始める。

 

『敵、後退しています!ですが、このままでは……』

 

「仲間を呼ぶつもり?いくらでも相手してあげる」

 

「ま、待ってください!それ以上戦っちゃダメです!」

 

「あぁヒフミの言う通り、ここで終いだ」

 

 シロコの構えた銃に手を触れて下させ、焦った様子で他の人も止めているヒフミを見る。

 

「ん?先生までどうして?」

 

「だ、だって……ブラックマーケットで騒ぎを起こすと、ここを管理している治安機関に見つかってしまうかもしれません!そ、そうなったら本当に大事です……まずはこの場から離れないと……」

 

「あぁ、ヒフミの言う通りだ、あいつらが来るとめんどくさい」

 

「ふむ……分かった。ここのことはヒフミちゃんのほうが詳しいだろうし、従った方がいいかもね……それで?先生なんだかあたかも会ったことありますよって口ぶりだけど?」

 

「……ノーコメント」

 

 初めてここに来た時に少し派手に喧嘩してな。その時に機関相手に大立ち回りしたんだが……言いづらいなこりゃ。

 

「こっちです、皆さん!」

 

 ヒフミが不良のいない方面を見つけ、手招きしている。

 

 

 

 

 

「……ここまで来れば大丈夫でしょう」

 

「ふむ……ヒフミはここをかなり危険な場所だって認識してるんだね」

 

「えっ?それはとっ、当然ですよ。連邦生徒会の手が及ばない場所の一つですから」

 

 着いた先でシロコとヒフミが会話している。

 しかし、このあたりのことかなり詳しいみたいだな。

 まさか、あのペロペロ様だったか?あの鳥の為にそこまでしてるってわけか。

 中々の度胸してんな……

 

「ブラックマーケットだけでも学園数個分の規模に匹敵しますし、決して油断してはいけない場所かと……それに、様々な『企業』が、この場所で違法な事柄を巡って利権争いをしていると聞きました」

 

「様々な企業ね……」

 

 今朝仕掛けたカイザーローンのことをふと思い出す。

 

「それだけじゃありません。ここ専用の金融機関や治安機関があるほどですから……」

 

「使ってる武器も違法改造のものが多いしな」

 

「先生、やっぱりお世話になったことあるんじゃ……」

 

「見ただけだよ」

 

 そうセリカに返すがじとりと、セリカとホシノに見つめられる。

 嘘は言ってねぇぞ。戦った時に見たってだけだからな。

 

「しかし、スケールがケタ違いですね……」

 

「中でも治安機関はとにかく避けるのが一番です、騒ぎを起こしたらまず身を潜めるべきです」

 

 更に俺への眼光が強くなる。やめろ、追い打ちするんじゃねぇよ。

 そうしているとホシノが俺への視線をやめてヒフミに向き合う。

 

「それにしてもヒフミちゃん、ここに詳しいんだねぇ~?」

 

「えっ?まぁ、その、ペロロ様を手に入れる為に、何度か足を運んでいるので……事前準備もしてるからでしょうか……?」

 

「……よし、決めたー!」

 

 ホシノの顔が笑顔になる。あの顔には見覚えがあるぞ、会議の時に爆弾を落とすときの笑顔だ。

 ヒフミの頭の上にはてなが浮かんだようなそんな顔で首をかしげる。

 

「助けたお礼ってことで、ヒフミちゃんには私たちの探し物が手に入るまで案内役をしてもらうねー♪」

 

「えっ、ええっ!?」

 

「わあ、いいアイデアですね☆」

 

「ん、なるほど。つまり誘拐だね」

 

「はいっ!?」

 

 ホシノ、お前は頼み方ってもんを知る必要があるな。

 

「誘拐じゃなくて、案内をお願いしたいだけでしょ?もちろん、ヒフミさんが良ければだけど」

 

「悪いな、ヒフミ、こいつら口が悪くってな」

 

「先生には言われたくないんだけどな~?」

 

 ブーブーと、ホシノ達が文句を言っている。

 

「あ、あうぅ……こんな私でお役に立てるのか分かりませんが、アビドスのみなさんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます」

 

「いい子だなお前さん」

 

「よーし。それじゃあちょっとだけ同行頼むねー」

 

 そうして仲間を増やした俺たちは、ブラックマーケットの中を進んでいくのだった。

 

 ──────

 

 ────────────

 

 ────────────────────

 

 

 

「はい、便利屋68です。」

 

「私だ。これまでの練習は拝見したよ。で、実践はいつだ?」

 

「練習……申し訳ありませんが、今の言葉は聞き捨てなりません。」

 

「ほう、あんな汚い髭面の手を取った貴様に発言権があると思っているのか?」

 

 アルの顔が歪む。こうなることは分かっていたのだ。

 でも、私は私のなりたい姿の為に、それを覚悟して、あの決闘を受けた。

 

「……あれは。あれは、練習じゃなくてちゃんとした人と人の決闘よ!それで負けた私たちがなかったことにするだなんてアウトローじゃないもの!!それに先生の顔はダンディーなんだから!!」

 

「それが貴様の答えか、どうなってもいいんだな?」

 

「えぇ、かかってきなさい!先生の悪口いったこと後悔させてあげるんだから!!」

 

 そういって、私は受話器を叩きつけて電話を切る。

 

「社長……」

 

「くふふ〜。アルちゃんかっこよかったよ~?」

 

「ど、どうしましょう……」

 

 つい、勢いで言ってしまった。

 とはいえ、先生との約束を破るなんて……」

 

「そんなのアウトローじゃないもんね~?」

 

「口に出てたかしら……?」

 

「まぁ、やったことは仕方ないよ……先生に相談する?」

 

「大丈夫ですアル様……アル様のためなら、い、命を張ってでも守りますから……」

 

 ────────────────────

 

 ────────────

 

 ──────

 

 

 

 カヨコから、連絡が来ていた。

 なんでも相談したいことがあるとのことだ。

 今度、柴関ラーメンで話でもするかと連絡を返し、疲れ果てている面々に顔を向ける。

 

「はぁ……しんど」

 

「もう数時間は歩きましたよね……」

 

「うへぇ、これは流石に、おじさんも参ったなー。腰と膝が悲鳴を上げてるよー」

 

「えっ……ホシノさんはおいくつなのですか……?」

 

「ほぼ同年代っ!」

 

 数時間、この広大なブラックマーケットの中を歩き進め、シロコと俺以外のメンバーは疲れた様子を見せている。

 この辺になら確か休憩できそうなところが。

 

「あら!あそこにたい焼き屋さんが!」

 

「あれ、ホントだー。こんなところにも屋台があるんだね〜」

 

「あそこで、ちょっと一休みしましょうか?たい焼き、私がご馳走します!」

 

 そういって屋台に向かうノノミに俺も後を追いかける。

 

「先生?今回は私に奢らせてください。最近先生に奢ってもらってばかりなんですから」

 

「まぁ、待ちな。そこまで払いたいのならこっちからは何も言わねぇけどよ」

 

「なら、どうしてついてきてるんです?」

 

「あれ?兄貴?次元の兄貴じゃないですか!」

 

 屋台の店主が俺にそう話しかけ、それを聞いたノノミが俺の方を向く。

 

「知り合いの店には顔を出すもんだろ?」

 

「あれ?デートですかい?兄貴流石ですなぁ」

 

「てめぇ、次、この前みたいに襲われてても見捨てるぞ」

 

「じょ、冗談ですって、この前の恩に感じてんですから」

 

 前にブラックマーケットの中でこいつが、カツアゲに遭ってる現場に遭遇して、その際に助けたんだが、まさかたい焼き屋の店主してるとはな。

 

「先生、この前柴大将のこと見て、初めて男見たみたいな顔してましたけども」

 

「ノノミよく見てんな……こいつこんな口調と成りしてるが女だぞ、なんでも趣味だってよ」

 

「へへっ、後ろの子らも兄貴のツレですかい?」

 

「まぁな」

 

「そんならちょっとオマケしておきやすよ」

 

「ありがとな」

 

 そういって比較的安い値段で、袋いっぱいのたい焼きを買えた俺たちは近くの椅子に座って、たい焼きを食べ始める。

 

「……おいしい!」

 

「いやぁ、ちょうど甘いものが欲しかったんだよね〜」

 

「まさか、店主と知り合いだとは……」

 

「ん……人脈の力を感じる……」

 

「それが大人ってもんだ」

 

 みっちりと詰まった小豆と生地の甘さが、口の中に広がる。

 

「今度来た時も買ってやるか」

 

「アヤネちゃんには、戻った後にちゃんとご馳走しますね。私たちだけでごめんなさい……」

 

『あはは。大丈夫ですよ、ノノミ先輩。私はここでお菓子とかつまんでますし……』

 

「しばし、ブレイクタイムだねー。そういえば先生道中何買ってたの?」

 

「秘密だ」

 

「え〜ケチ~。わざわざ大人のカードで買ってたから気になるのに~」

 

 みんなと賑やかに話していると、ヒフミが口を開いた。

 

「うーん……ここまで情報がないなんてありえません……妙ですね。お探しの兵器の情報、絶対どこかにあるはずなのに、探しても探しても出てきません」

 

 ヒフミの言葉に一同が耳を傾ける。

 

「販売ルート、保管記録、その全てを何者かが意図的に隠しているような、そんな気がします。いくらここを牛耳っている企業でも、ここまで徹底的にブラックマーケットを統制することは不可能なはず……」

 

「そんなに異常なことなの?」

 

 シロコが疑問を口に出す。

 

「いえ、異常というよりは……ここまでやりますか?という感じですね。ここに集まっている企業はある意味開き直って悪事を働きますから、逆に変に隠したりしないんです」

 

 例えば、と指差した先には、大きなビルがあり、入り口には銃を構えたガードがいる。

 

「あそこのビル。あれがブラックマーケットに名を馳せる闇銀行です」

 

「闇銀行?」

 

「ブラックマーケットで最も大きな銀行の一つです。聞いた話だと、キヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているようです。横領、強盗、誘拐などなど、様々な犯罪で得られた財貨が、違法な武器や兵器に変わって、また他の犯罪に使われる……」

 

「悪循環そのものってわけか」

 

 耳が痛い話だ。俺も前はそれと近しいことをしていたわけだからな。

 俺の呟きにヒフミが頷く。

 

「……そんなの、銀行が犯罪を煽っているようなものじゃないですか」

 

「その通りです。まさに銀行も、犯罪組織の一員なのです……」

 

「ひどい!連邦生徒会は何やってるの⁉︎」

 

 全くだ、何をしているんだリンは。

 

 まぁ、俺がどうにかするべき事案でもあるか。

 しかし、はぐれ者には、はぐれ者なりの居場所ってのが必要なもんだ。

 ならむしろここの存在も必要なものなのかもしれないな。

 

『お取り込み中失礼します!武装集団がそちらに接近中!』

 

 焦った様子のアヤネの通信が入り、それを聞いた俺たちは路地裏に入り、武装集団を確認していると。

 

「……え、あれって」

 

 武装集団に護衛されている現金輸送車がやってくる。

 今朝見たものにとても良く似たトラックが中に入っていく。

 どうやら、中で何か行っているようだな、集金か?

 

「先生!」

 

「あぁ、確認した。送信機の信号はあそこを示している。集金にしろなんにしろ、黒だな。」

 

「カイザーローンが、闇銀行に……」

 

 シロコがその名前を口にすると、ヒフミが驚いた声を出す。

 

「か、カイザーローンですか⁉︎」

 

「ヒフミちゃん、知ってるの?」

 

「カイザーローンといえば、かの有名なカイザーコーポレーションが運営する高利金融業者です……」

 

「有名な……?何かマズいところなの?」

 

「いえ……カイザーグループ自体は犯罪行為を起こしてはいません。ですが、合法と違法の間のグレーゾーンで上手く振る舞っている多角化企業で……カイザーは私たちトリニティの区域にもかなり進出しているのですが、生徒たちへの影響を考慮して、『ティーパーティー』が目を光らせています」

 

「『ティーパーティー』……あのトリニティの生徒会が、ね……」

 

 ホシノがそうつぶやく。

 何か因縁でもあるのか?まぁ、実質政府のトップが目を付けているのと同じってわけか。

 

「……もしかして、アビドスはカイザーローンから融資を……?」

 

「そこは、どうだっていい。大事なのは、恐らくだが、あの中に集金確認の書類があるかも知らないってことだ。それは紛れもねぇ黒の証拠だろ?」

 

「確かにその通りですね……」

 

 ただ、どうしたものか、既に紙は銀行の中、潜入任務は専門外なんだがな……

 

「先生、あれしかないよ」

 

 キラキラした目を向けながら、シロコが俺のスーツの裾を引っ張る。

 

「だよね、ホシノ先輩。ここは例の方法しか」

 

「あー、あれかぁ……あれなのかぁー……」

 

 シロコがホシノにも呼びかけている。

 頭をポリポリと書きながらホシノは返事する。

 

「あ……!そうですね、あの方法なら!」

 

「何?どういうこと?……まさか、あれ?もしかして、私が思ってるあの方法じゃないよね?」

 

 ノノミが手を叩きながら理解したように話し、セリカが焦りながらシロコに問いかける。

 

「……!」

 

 それにただ、無言で頷き肯定するシロコ。

 

「ええっ、嘘っ!?本気⁉︎」

 

「……えっと、全然話が見えないんですけど……『あの方法』って一体……」

 

「残された方法はたった一つ」

 

 そうしてシロコは鞄からとても見覚えのある青い覆面を被り、そして他の全員に向かってこう話す。

 

「ん、銀行を襲う」

 

 俺はシロコの頭に拳骨を落とした。

 

「ん゛っッ!!!!」

 

「お前ら自分が何を言ったのか分かって言ったんだろうな?」

 

「せ、先生だって、学校でノリノリで手伝ってくれたじゃん……」

 

 拳骨を落とされ涙目でしゃがむシロコが俺を見ながら話す。

 

「あぁ、確かに息抜きがてら手伝いはしたさ。だがな、お前ら、まさかだとは思うが悪い銀行をやっつけるだとかそんな程度で考えてるわけねぇよな?」

 

「それは……分かってるわよ、でも悪い奴からとって何が悪いのさ!」

 

「セリカ、お前の言うことは尤もだ」

 

「なら、──「ただ、犯罪を犯すことに仕方ないだとか、悪くないってもんはねぇんだぞ」」

 

「俺は、ここに来る前、泥棒だった」

 

 言うつもりはなかったんだがな。だが、ガキが俺と同じ道を進む必要はねぇ。

 

「悪人がどうなろうと、死んでしまおうとそれはそいつの運命だと思うのは分かる。だがな、盗むって行為自体を軽んじるのは駄目だ。その責任から逃げるつもりなら、俺は許すつもりはねぇ」

 

 銀行強盗なんざ、何千回とやってきたが、捕まること、つまりは悪だと分かって俺たちは仕事をしてきた。

 それを正当化することはこの先死ぬまでするつもりはない。

 

「お前ら、その覚悟があるんだな。俺のような汚い大人になる覚悟が」

 

 全員の顔が暗く、考え込む姿を見せる。

 

「もし、ねぇのならここで待ってろ。手を汚すのは汚れてる俺だけでいい」

 

 こいつらの意思を軽んじるつもりはない、だけど、手を汚すまでもねぇ。

 それが俺の考えだ。随分と甘くなっちまったもんだと、今の俺を見たら笑われるだろうな。

 

「先生、先生だけに手を汚してほしくない。先生にはこれまで沢山助けられてきた。でも私たちの居場所は、私たちに守らせてほしい。だからそのために、銀行強盗をする。それが私達の覚悟」

 

 シロコが前に出て、俺の目を見ながらそう話す。

 

「はぁ……分かった。ならお前らはあくまでもサポートだ、マニュアルはあるな?シロコ」

 

「ん!いつも持ってる!」

 

 シロコの頭を撫で、そう話し、ヒフミの方を見る。

 

「ここまで巻き込んでしまってすまない。だから、ここからはお前まで手を汚すことはねぇと思う」

 

「……私も参加します。ここまできて今更、なんて、かっこ悪いですもん」

 

「そうか、ありがとうな」

 

「あ、でもヒフミの分の覆面ない」

 

「えぇっ!?じゃあ、えっと……えい!」

 

 そういってヒフミはたい焼きの袋を被った。

 こいつ意外と大胆だな……。

 

「それじゃあ、ヒフミちゃんは五番目ですね☆」

 

「見た目はラスボス級じゃない?悪の根源だねー、親玉だねー。まぁボスは先生だけどね?」

 

「先生はどうするの?」

 

 シロコにそういわれた俺は懐から、人の顔をした覆面を取り出す。

 

 まさかまたこいつの顔になるとはな。

 モンキー面の馴染のある顔の覆面を俺は被る。

 

「よし、それじゃあ、いっちょやるとするか」

 




見覚えのあるサル面……一体何三世なんだ……
さて、次回予告詐欺をしてしまったので今度こそ

次回 大泥棒参上。

活動報告の方で読者の皆様へ向けてのお願い兼リクエストを募集しております。
もしよろしければ参加のほどお願い申し上げます

ついにUAが36000、役満確定な数に到達し嬉しい限りです。
これも皆さんの応援あってのものです。
そろそろ投票者数も100に届きそうなので、何かした方がよいものかと考えているこの頃でございます。

最後に、感想、ここすき、評価等々お待ちしております。

また、土曜はアルバイトがあるので、更新はございません悪しからず。
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