新任教師『次元大介』   作:レイゴン

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#EX2 便利屋と見る!次元大介の墓標 後編

 後編の映像が流れ始める。

 

「先生は……大丈夫なのでしょうか」

 

「あの先生がやられっぱなしでいられるわけないじゃない、あんなの死んでも死にきれないわ」

 

 前回のあらすじを見ながら、ハルカは不安そうに話し、それをみたアルが、肩を触りながら宥める。

 場面は、峰不二子の見世物へと移る。

 

「このピアノの音と言い、ほんと最悪」

 

「私もムツキに同感かな……相容れない感性ってこういうことなんだね」

 

 ムツキとカヨコが不機嫌そうに話す。

 タイトルコールが入り、ヤエル奥崎の食事シーンへと移る。

 

「口でっか……アルちゃんあぁいう食べ方どう?」

 

「顎外れちゃうわよ、ちょっとだけいいなとは思うけど……」

 

「やんないでね?」

 

「え、えぇ分かってるわよ、レディだもの」

 

 少しだけ圧強めにムツキに言われたアルは少し残念がりながら、そう話す。

 

「エレガントってどういう意味だっけ」

 

「……少なくともあの機械に対して使う言葉じゃないのは確かだよ」

 

 ピアノの音が一音下がる。

 クライマックスに近づいたそれは、乱入者によって止められる。

 

「ナイスタイミング!」

 

「堂々と正面からの参入……かっこいいね」

 

「カヨコ、あぁ言う人がタイプなの?」

 

「嫌いじゃないかな」

 

 サラリとムツキからの返事にそう答える。

 

「あ、ほんとだ。あの女の人……不二子さんだっけ?消えちゃった」

 

「やっぱり、ルパンを囮にしたんだ……」

 

「色仕掛けができると、あぁ言うこともできるのね……」

 

「アルちゃんには厳しいと思うよ?」

 

「さ、参考にする程度よ!」

 

 ボコボコに殴られたルパンが、不二子のバイクに乗り込み、逃げていくシーンへと移る。

 

「あのルパンって人、ほんとすごいね……ふざけながらも仕事にちゃんと繋げてる」

 

「うん。それにしても……カラミティファイル……縁起でもないわね」

 

「あ、クイーンマルタ……それに次元先生」

 

 カラミティファイルに描かれたクイーンマルタと次元の姿に便利屋たちは嫌な予感を覚える。

 

「もしかして、クイーンマルタを殺したのは、西じゃなくて東?」

 

「平和を願う歌手をなんで……」

 

「戦争をするためよ」

 

 ムツキとハルカの疑問にアルが答える。

 場面は、クイーンマルタと次元の会話へと移る。

 

「ほんと、なんで次元先生はこの仕事を受けたのかしら……」

 

「クイーンマルタさん……いい人だね……このマネージャーさん私嫌ーい」

 

「まぁ、仕方ないところはあるよ……でもほんと、律儀なんだね先生はこの頃から」

 

 カヨコはそう語る、その顔は優しそうな微笑みだった。

 そうして、ヤエル奥崎はルパン殺しの任を受ける。

 

「ルパン三世……先生の相棒なら、何か策があるんだよね」

 

「あんな、分かりやすい位置にいるんだもの……」

 

 画面は、ルパンの狙撃へと、移っていた。

 ヤエル奥崎の必殺の一射が、放たれる。

 しかしそれは、かすりもせず、近くの床へと命中した。

 

「え……」

 

 部屋の中に誰かの困惑の声が響く。

 

 そして、ヤエル奥崎の胸に血が流れる。

 

「次元先生!!!!!」

 

「やっぱり生きてた!!!」

 

「ふっ……でも、どうやって……?」

 

 三人が立ち上がり、歓声を上げる中、カヨコが考え込む。

 

「先生の言っていた通り、本当に度胸がある人なんだね、ルパンさんは」

 

「うん……そしてこれが、からくりだったんだ。この街の」

 

 明かされる東ドロアという国の犯罪率の低さのからくり。

 自分を囮にしてまでヤエル奥崎の隙を作ったルパン三世の度胸にムツキは声を上げ、カヨコはそれを肯定する。

 

「街中に監視カメラを隠してた、のね……あの機械があれば確かに狙撃は楽に出来ちゃうわね」

 

「ほんと、名演技だね……次元先生」

 

「渋い……カッコいい……!」

 

 アルも仕事ではスナイパーとして立ち回る以上、自分が同じものを使った想像ができる。

 それゆえにその眼帯を作れてしまうヤエル奥崎の技術力に恐ろしさを感じ……

 ルパンと次元の掛け合いを聞いたムツキとアルがあまりのハードボイルドさに歓喜している。

 

「あれが、大泥棒ルパン三世……」

 

「東ドロア政府……ほんと汚いわね……許せない」

 

 ハルカが、ルパン三世の推理を聞く中で、自分の予想が当たってしまったことを知ったアルは、唇を嚙み締める。

 どこまでいっても彼女の善性は、汚い手を使う者を許せはしないのだろう。

 

「ヤエルオクザキ、嫌な男だけど、その徹底したスタイルは……少しカッコいいわね」

 

「うん、でもあぁいうのにはアルちゃんならないでほしいなぁって思うかな」

 

「私だって御免蒙るわ、私が憧れた人はただ一人だもの」

 

 ムツキの返答にそう言い放つアルの瞳は次元大介を映す。

 

「ねぇ、このシチュエーション……」

 

「うん。社長と先生の決闘そっくり……多分意識したんだろうね」

 

 ムツキの質問にカヨコは自分の推察を話す。

 世界最高峰のガンマン対決が、これから始まる。

 

「先生なら、絶対に勝つわよ……」

 

 アルは自信をもってそう答える。

 あの日自分を打ち負かした先生の腕をこのキヴォトスで誰よりも信じているから。

 

 そして、風が──止まる。

 

 二つの銃声が晴天に鳴り響く。

 

 次元の頬が抉れる。

 部屋の中に僅かな悲鳴が流れる。

 

 そして、歓声が上がる。

 ヤエル奥崎の左腕に風穴が空いている。

 

『お前の銃は俺の銃より軽く、口径が小さい。つまり俺とお前の弾がぶつかれば、弾道変化が少ないのは俺の方だ。』

 

 二つの銃弾がぶつかり、ヤエル奥崎の弾がへこみ、削れて反れていく。

 

『お前がどれだけ軽い銃を使おうが知ったこちゃないがな。俺に言わせりゃ、ロマンに欠けるな』

 

「あの重い銃で、利き腕でもないのに……ほぼ同じ速度で……」

 

「そっか、ロマン。自分にとってカッコいいと思うからそれを使い続けてるんだ」

 

「やっぱり、私たちの先生はカッコいいね。ね?アルちゃん?……アルちゃん、ハンカチ」

 

 ムツキが固まっているアルの方を見ると、アルは感涙に咽び泣き、しきりに頷いている。

 否定でもなく、ただ、そのロマンを追い求め、自分の美学に準ずる生き方に共感し、頷いているようだった。

 

「世界一のガンマンは決まった。大切な腕が死んだ以上は命までは奪わない……それ以上のものを殺したから……凄くいいね」

 

 しみじみと、カヨコはそう話す。

 画面は夕焼けの中を走る。ルパン三世と次元を映している。

 

『しかしひでぇ話だな』

 

『俺が言ってるのはその話じゃねぇ、母国の平和を心から願う歌手を、自ら手にかけるなんてよ』

 

「戦争、そんなにしてまでほしかったのかしら」

 

 アルはそう独白する。

 

『簡単な話じゃない。みんなお金が大好きってこと』

 

 まるで返事をするかのように画面の中の峰不二子がそう話す。

 

「やっぱり、あの人……」

 

「うん、あぁはなっちゃだめだね、同じ悪党として尊敬するけど」

 

 ムツキとカヨコはそう話す。

 

 夕日を見ながら、ルパン三世と次元は話をする。

 何故、次元はマスコミにクイーンマルタのカラミティファイルを送ったのかと、ルパン三世は問う。

 

『俺はただ……』

 

 次元は、かつてクイーンマルタからされた質問を思い出す。

 何故自分のボディーガードを引き受けたのかと。

 

『美味い煙草が吸いてぇだけだ』

 

『そりゃ気が合うね』

 

 ルパン三世の手によってカラミティファイルは燃やされていく。

 そっちこそいいのかと、次元はルパン三世に問う。

 

『別に俺たちは正義の味方じゃねぇ……』

 

『ちげぇねぇ、一介の泥棒と……』

 

『一介のガンマン』

 

 二人は笑い合い、そして腹いっぱいに煙草の煙を吸い込む。

 

『格別の味だ……』

 

『確かに……』

 

 映像はそうして、幕を閉じる。

 謎の小柄な男性を残して……。

 

「先生の過去にこんなことがあったなんてね……」

 

「これ、先生に見せずに、私達で保管しない?」

 

 ムツキがそう提案し、みんなでひとしきり悩み込む。

 

「この持ち主には悪いけど、そうさせてもらいましょうか、とても貴重なものであることには変わりないし」

 

 アルのその一言で決まり、そのDVDファイルは本棚の中に仕舞い込まれる。

 今後、このシャーレ秘密部隊にメンバーが増えるたびにこの映像を見せるのが一つの通例儀式となるのだが、それはまた別のお話。

 




休憩終わり!また本編更新頑張ります!

次元大介の墓標、あのガンマン対決ももちろん大好きなんですが、個人的に最後の二人で煙草を吸うシーンが滅茶苦茶好きなんですよね。

二人の生き様とかそういうのが詰め込まれていてすごく味わい深いシーンだと思ってます。

今の話のタイトルが分かりにくいとの意見を得て変更するか否か

  • 例:殺し屋の矜持
  • 例:1-10
  • 例:1-10 殺し屋の矜持
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