新任教師『次元大介』   作:レイゴン

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作者はホシノ推し(基本は箱推し)です


#EX3 アクアリウム!

 とある日の朝。

 今日はシャーレの当番にホシノを呼んでいた。

 

「やっほ~、おはよう先生~」

 

 いつも通り間の抜けた声で挨拶してくる。

 いつもならこのままその時の当番の奴に仕事を任せる所なんだが、今日は違う。

 今日の分の仕事は前日に全部片付けたからな。

 

「先生〜?今日はおじさん何をすればいいかな?」

 

「よく来たな、ホシノ。今日の仕事はねぇよ」

 

「あぇ?じゃあ何で呼んだの?もしかして、おじさんに会いたかったからとか~?」

 

「まぁ、大体そうだな」

 

「……うへ!?」

 

 しばらく唖然としたのちに声を出しながら驚くホシノ。

 そこまで驚くもんか?と思いながら俺は二枚のチケットを取り出す。

 

「こいつをお前さんに渡したくてな。二枚しか取れなかったんだが……」

 

「それは……アクアリウムのチケット!!それ結構高い奴でしょ?いいの二枚ももらっちゃって」

 

 まるで幼い子供が大切なぬいぐるみを愛でるかのように、渡したチケットを見つめている。

 

「あぁ、前にブラックマーケットに行ったときに言ったろ?」

 

 ──これが終わったら連れてってやる

 

 俺はアビドス対策委員会達とブラックマーケットに行ったあの時に約束をしてたからな。

 

「まぁ……まさかそこまで人気だとは思ってなくってな……その二枚で最後だった訳なんだが……シロコとか、ノノミとかアビドスの他のやつらと一緒に行きな」

 

「先生!ありがとう!!!……んん〜。それじゃあ、先生?行こっか」

 

 喜んでいたホシノはお礼を言うとそのまま俺の手を取って立ち上がらせる。

 

「あ?俺は行かねぇよ。お前さんらで行きな」

 

「え~、だって二枚しかないし、それだとおじさんヤキモチ妬かれちゃうからさ?だから、先生と行きたいなぁって」

 

 それを言われると困るな。

 確かにこいつは他の対策委員会からの人望は厚い、となるとホシノともう一人としか行けないとなると、喧嘩になりかねないのか。

 

「おい、いいのか?こんなおじさんと行っても楽しくねぇぞ?」

 

「うへへ……いいの、それとも先生はこんなおじさんとは嫌かな?」

 

 即座にカウンターを食らい黙らせられてしまう。

 流石、キヴォトス最高の神秘、舌戦も強いと来たか。

 

「……仕方ねぇな、分かったよ、なら早速行くか」

 

 シャーレの地下に留めているフィアットに乗り込み、俺たちはアクアリウムへと足を運んだ。

 

 アクアリウムに敷設されている駐車場に車を留めた俺たちは、そのまま歩いてアクアリウムの入り口まで来ていた。

 余り俺は建築のセンスはねぇが、簡単に言うのであれば、近未来的な建築様式でコンクリートを用いて作られている。

 正面はガラス張りになっており、晴天の青を反射して涼し気な雰囲気を出している。

 その建物に圧倒されているようで、隣のホシノは口をポカンと開けている。

 

「うへ~、ここがアクアリウムかぁ、おじさんは田舎者だから、こういうところは見慣れないなぁ……」

 

 そのまま歩いて建物の中に入ると、既に水の冷気が体を包み、少しだけ冷える。

 ホシノはそんな様子が見られない為か、キヴォトスの人間はこういう小さな気温の変化にも強いのかもしれない。

 

 場内に入るための改札に並んでいると、ホシノが何かを見つけたようで少し列を抜けて、とたとたと歩いて何かを取ってから戻ってくる。

 

「先生、これ見て。パンフレット見つけたよ。熱帯魚館に深海魚館、エサやりの体験館もあるみたい!」

 

 顔を輝かせながら、年相応の可愛らしい笑顔でそう語る。

 

「へぇ、イルカショーもあるし……ペンギン館もある。ここはきっと寒いんだよね?」

 

 しっかし本当に楽しそうに見てるな。

 パンフレットだけでここまで興奮できるのもすごいもんだ。

 

「これ見て、先生!海のトンネルだってさ!!」

 

 俺がホシノの様子に感心してると、ホシノが笑顔のまま、パンフレットを指さして見せてくる。

 熱帯魚館、深海魚館を超えた先にあるそれは、一面ガラス張りで水槽の中を通るように設計されているそうだ。

「ジンベイザメもいるんだって!鯨みたいなものかな……?」

 

「ジンベイザメか、鯨は哺乳類だが、アイツは魚類。ものによるが、鯨の方がデカいな」

 

「うへ~、先生物知りなんだね!鯨って哺乳類だったんだ……うへへ、今日一日中で全部見れるのかな……うーん、頑張らないと」

 

「無理して急ぐことはねぇだろ」

 

 うへと首をかしげるホシノを見ながら俺は言葉を続ける。

 

「なんせ、お前さんらは前よりも自由になったんだ。追われることもねぇんだし、今日見れなかった分はまた別の日にくればいいさ」

 

「……うへへ、そうだね。うん、ありがとう!先生!」

 

 なにか納得したような顔をしたのちに笑顔で俺に礼を言われる。

 特に大したことを言ったつもりはなかったんだがな。

 

 そのまま、俺たちは中に入って、熱帯魚館で生きた化石と言われるピラルクを見たり、深海魚館で、冷凍されたシーラカンスや、デカいダンゴムシみたいな見た目のダイオウグソクムシを見たりした。

 あのグソクムシ……俺は結構好きだな。

 

 そうして、道なりに進むと視界が青一色に開けた空間に辿り着く。

 海のトンネルと名付けられた場所だ。

 想像以上の絶景がそこには広がっていた。

 ガラス張りのその先には数多くの魚が泳いでいて、その奥には巨大な魚影が悠々と泳いでいる。

 

「あれがジンベイザメってやつなの?」

 

「おう、デカいだろ?」

 

「うん!すごい。こんなところ初めて!」

 

 目をキラキラと輝かせながら水槽に張り付いて見ているホシノの視点の先にはパンフレットに記載されていたジンベイザメが泳いでいた。

 

「あれ見て!お魚だ!あははは、カワイイ!!」

 

 好きなものにはここまで白熱できるタイプだったとはな。

 この元気な笑顔のために頑張ったと思えば、あの事件の時の苦労もよかったと思えるもんだ。

 

「……。私一人、こんなに楽しんでよかったのかなぁ」

 

 ぽつりと漏らしたそれは、俺がチケットをホシノに渡したことで、自分がこんなに楽しんでよかったのかと少し苦悩したものが漏れたのだろう。

 誰と行こうとしても、結局は自分が楽しむことに変わりはないのだから。

 そんなところを気にしちまうのはまだ、彼女が完全に自罰的な思考から抜け出せれてない証拠なのかもしれない。

 まぁ、これに関しては時間と周りの環境でどうにかなるものだからな。

 

「余計な心配すんなよ、ホシノ」

 

「えっ……そうかな?」

 

「お前さんは、あの日それこそ命を張って頑張ったんだ。お前さんの好きな鯨もずっと息を止めてるわけじゃない。たまにはこうやって息抜きしても誰も責めやしねぇよ」

 

「うへへ…… ほんと……先生には敵わないなぁ

 

「……? ま、気になるのなら、次こそはあいつらと一緒に来るとしようか」

 

「……うん!よぅし、それじゃあ先生も言ってくれたし、思いっきり楽しんじゃおうかな?次はエサやりの体験館に行こっ!ね、先生!」

 

 頭を撫でながらそう話すと、彼女の悩みもどうやら飛んだようで、そのまま手を引かれて俺らは歩き出す。

 

 その後、クラゲ館やウミガメ館、グッズショップまで行って、時間の許す限り俺たちはアクアリウムで遊んだ。

 まぁ、当然と言えば当然だが、その全ては回り切れなかったがな。

 

「うへ~、本当に楽しかった」

 

 巨大なデフォルメされた鯨のぬいぐるみを抱えたホシノが恍惚の表情でそう話す。

 グッズショップで、欲しそうな目で見つめてたから思わず買ったものだが、喜んでいるようで何よりだった。

 

「そりゃよかった、エスコートした甲斐があるってもんだ」

 

「うん、アンコウのエサやり体験、めちゃくちゃ面白かったねぇ。すっごい大きい口だった。夜光クラゲも、光でちょっとめまいがしたけど、かっこよかったし。海のトンネルも大きくてすごかった……ふぅ」

 

 夕日を浴びながら、俺たちは車に乗り込む。

 ホシノはぬいぐるみを抱きかかえたまま椅子に座る……そんなに嬉しかったのか?

 

「ヘトヘトになるまで遊んだから、もう家に帰ったらそのまま倒れて24時間は寝れちゃいそう」

 

「お前さん、普段から深夜までパトロールしてんだからそのまま寝ちまいな」

 

「うへへ~、そうさせてもらおうかなぁ?」

 

 走り出した車は、そのまま夕陽にむかって進みだす。

 

「ねぇ、先生。次は私が招待するからさ、期待してていいよ!」

 

 そういって、俺の方を向いて笑うホシノの笑顔は、今日見たどの魚よりもどの笑顔よりも、可愛く素敵なものだった。

 




ホシノのメモロビは絶対するって決めてたんだ、ワイは。

次は、どうしましょうかね?風紀委員会回するか、アルのメモロビ回をするか……
風紀委員会の演習が終わったら、風紀委員会メンバーのメモロビやろうかなという予定。
アコのやつ考えるとどう考えてもR18ギリギリになるバグが発生する。

今の話のタイトルが分かりにくいとの意見を得て変更するか否か

  • 例:殺し屋の矜持
  • 例:1-10
  • 例:1-10 殺し屋の矜持
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