新任教師『次元大介』   作:レイゴン

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1-2 ゲーム開発部 死す

 画面に映る『GAME OVER』の文字。

 これで何度目だ?

 

「おい、指示通りにBボタンを押したら何で死にやがったこいつ」

 

「ふっふっふ……引っかかったね!先生!ここは指示通りじゃなくてAボタンを押さなきゃいけないの!ただの普通のゲームじゃ面白くないからね!」

 

「……さっきの説明中の何処かに何かヒントあったのか?」

 

「え?あるわけないじゃん」

 

「…………」

 

 落ち着け、ゲームごときで怒るような柄じゃないだろ俺は。

 俺は今、ミレニアムサイエンススクールの一室にあるゲーム開発部の部室に足を運んでいる。

 

 時間を少し前に戻そう。

 

 

 

「作戦の開始はゲーム開発部の依頼を用いて行うわ」

 

 リオとヒマリからの依頼を受けることにした俺は、その依頼の開始をどうするのか尋ねた。

 それの返答がこれだ。俺が一人で勝手にやってもいいのだがな。

 

「素直に利用すると言ったらどうなのですか?リオ」

 

「……あくまでも偶然を装うためにも、必要なので、セミナーが直接、連邦生徒会が管理していた土地を調査し、何かを手に入れるために動いたとあれば、そっちの方が外聞が悪くなります」

 

「はぁ……同意するのも非常に癪に触りますが、その通りですね」

 

 ヒマリの吐いた毒を無視しながらもその合理性を説明し、ヒマリを丸め込んだリオはその表情を動かしもせずに俺のことを見ている。

 いや、ヒマリのことを見向きもしていないのか?

 ヒマリ自身も相当リオの事を嫌っているようだが、真逆の思考の持ち主だとは思っていたが、ここまでとはな。

 

 吐かれた毒に見向きもしない、そういうところが嫌いなのかもしれないな。

 それは、まぁ分からんでもない。まるで機械のような女だ。

 

「先生が一人で行ったとしても依頼主は私たちセミナーです。

 仮にバレてしまえばゲヘナやトリニティに余計な警戒を抱かれかねません。

 結論から言うと、この作戦を成功させるには、『セミナーの指示を無視した生徒が勝手に動き』、『シャーレの先生に協力を願った上で廃墟に赴き』、『偶然そこで何かを見つけて持ち帰り』、『仕方なくセミナーが回収した』。このシナリオに沿う必要があります」

 

「……随分と難易度の高い要求をしやがるな」

 

 当然のように不確定要素を組み込んでるのはどうなのかと思う。

 どこまで切り詰めたとしても最後は運任せ。

 そういうのは嫌いじゃないが、合理的な思考の持ち主であるリオだとしてもこうするしかなかったというところか。

 

「んでだ、ゲーム開発部が依頼文を出してたってことはそっちの方で既に色々手を打ってるんだろ?」

 

「えぇ、セミナーから既に廃部通告は出しているわ。ユウカに任せたことだから、きっと猶予を持たせるはずよ。ユウカにはミレニアムの予算削減だと言ったから正当性もある」

 

「あのお節介焼きなら確かにそう動くだろうな」

 

 普段からアルたち便利屋68含めてシャーレのことまでお世話を焼いてしまうような甘ちゃんだ。

 とは言え、ミレニアムの仕事である以上そこまでの物は期待できないが、概ね期間以内に成果を出せば見逃すくらいはしそうなものだ。

 

「結果の出せない部活を存続させる意義はないわ。ここミレニアムでは結果が全て。廃部まで追い込めば彼女達も自主的に動くでしょう」

 

「これも、あの子たちの為ですからね……かなり心苦しいですが、致し方ありません」

 

 同じ部活に対して、リオは冷たく無関心な組織として見て、ヒマリはまるで保護者かのようにその中の人物を見ている。

 ここまで真逆な奴らも早々いないもんだ。

 しかし、ヒマリの発言から察するに、ゲーム開発部はかなり幼い子なのか?

 この前のゲヘナで出会ったイブキ。

 あれを想定しておくべきか。

 というか、目の前の二人もだが、ヒナやホシノ、マコト、リンなど、今まで会ってきたガキどもが大人びすぎてるんだよな。

 どいつもこいつもガキらしくねぇというか、責任の本質を理解してる達観した奴らが多い。

 それなら、年相応なゲーム開発部はむしろ当たり前ってもんだろう。

 

「私からの策として、ゲーム開発部たちに私から『G.Bible』が廃墟にあるらしいと情報を流しておきます」

 

「なんだその、G.Bible……ってやつは」

 

「なんでも伝説のゲームクリエイターが作ったプログラムで、最高のゲームを作る秘訣が書かれたものらしいですよ?」

 

「胡散臭いな……」

 

 そんな眉唾なものを信じて廃墟に向かうのか?

 余程、ヒマリは自分とゲーム開発部の繋がりに自信があるようだな。

 普段から頼られているのか?

 

「まぁ、そこは信用しよう。んでだ、俺が一緒についていく可能性があるとでも思うのか?俺自ら提案するのもあるだろうが、そいつらが勝手に先行する可能性もあるだろ」

 

「それはないわ」

 

 きっぱりとリオはそう言い切った。

 あり得ないとその言葉の裏に意味を残して。

 

「随分な自信だな。その根拠は」

 

「ミレニアムでも既に先生の腕前は噂になっているもの。それに廃墟には多くのロボットが残っている。その大量の野良オートマタを対処するのにゲーム開発部は貴方を必ず頼る」

 

「……ったく、どこから漏れてんだ?」

 

 マコトもだったが、今度は学校規模だぞ。一体どこのどいつが言いふらして回ってんだ?

 いつかとっちめないとだな。

 

「俺でなくとも、学校のやつに頼るとかあるだろ」

 

「それもないわね。彼女たちは友達が少ないので」

 

「どこかの誰かさんと同じですね」

 

 きつい物言いをしたリオの言葉に素早く鋭いヒマリの返しが刺さる。

 あの返しをノータイムでいうのは流石全知といったところか……あいつには口喧嘩で挑まないようにしよう。

 しかし、驚いたのは、あのリオがその鉄仮面を少し脱いだからだ。

 

「…………それは今関係ない」

 

 否定しない辺り友達が少ないのは事実らしいが、それを気にしている様子もある。

 機械のような女だと思っていたがどうやらしっかりとした人間のようだった。

 全く、苦労しそうな面倒な性格をしてやがるこいつは。

 

「話を戻すと、最終的には俺を頼るはずだから大丈夫ってことでいいんだな?」

 

「えぇ……」

 

「はぁ……私からも同意です」

 

 再び元の無表情に戻ったリオと俺からの追撃を期待していたのか不満げなヒマリが返答する。

 いないのならともかく少ないだけなら別に問題ねぇだろう。

 0と1は全くの別物なんだからな。

 

「おい、ヒマリ。お前さんがもしリオの友人なら、喧嘩も程々にな」

 

「はい?私がこんな浄化槽に浮かぶ腐った水のような女と仲良くしろと?」

 

「仲良くしろとは言わねぇよ、ただ、0ほど虚しいものはないだろ」

 

「……むぅ」

 

 リオも大概だが、こいつもだな。

 酷い言いようをしたが、友人ではないと否定しない辺り、余程拗らせていると見たな。

 

「……ヒマリの言う通り、仲良くする必要はないわ」

 

 思わず、額に手を当ててしまう。

 恐らくだが、今回の作戦には不必要だという判断なのだろうが……

 本当に面倒な性格をしてるなこいつは。

 

 合理的……ったく、嫌になるな。

 

「……先生がいる以上下手な口出しは止そうと思ってましたが……その考え方、相変わらずのようですね。そこは普通、表面上だけでも繕うところでしょう?」

 

「ここで取り繕うのは無意味。それに先に否定したのは貴女の方でしょう、ヒマリ」

 

「あれは全知にして聡明かつ俊英たるこの私のちょっとしたジョークです。そもそも、今回の作戦についても私はまだ納得していません。無関係なゲーム開発部を利用するなんて、本当に性格が悪いですね?」

 

「……前に説明したはずよ。ゲーム開発部が『何か』を持ち帰ることができたら、それをミレニアムへの貢献として認め、実績とする。この作戦が成功すれば、彼女たちの廃部はしばらく免れる……それで貴女も納得したはずでしょう」

 

「それはセミナーの事情であって、この件に巻き込むのは……」

 

「一度合意した話を蒸し返すのは非合理的よ、ヒマリ」

 

「テメェらそこまでにしろ」

 

 二人の論争がこれ以上熱くなる前に俺は二人を止めさせる。

 ヒマリの見たことかと言いたげな表情を見るに、リオの行き過ぎた合理性を見せるためにやったのだろうな。

 リオが、機械的に人間の感情を軽視した人なら、ヒマリは個人の感情でリオを攻撃しすぎ、特に今回のはどっちも悪いってところだ。

 

「今のはどっちもやりすぎだ、それに依頼主の前で争うのは愚策だろ」

 

「……そうね、謝罪するわ、先生」

 

「……取り乱しました、ごめんなさい先生」

 

 どちらもお互いの顔を見ずに俺の方を向いて謝罪を行う。

 そこが互いの譲れない一線なのだろうか。

 これは、見てられないな。

 今回の依頼ついでにこれも直してやりたいものだ。

 

「はぁ……まぁいい、リオ。お前さんがここのトップなら一個学ぶべきことがある」

 

「それは何かしら?」

 

 俺もユウカの事を言えないなとそう思う。

 ここに来てからの俺は随分と世話焼きになったものだ。

 

「人が動くのはいつだって感情だぞ。てめぇのいう合理だけじゃ人は動かないし着いてこねぇよ」

 

 俺はやりたいことのために動く。

 合理性も時にはいるが、それだけじゃ人間は動かない。

 死を恐れる恐怖も、立ち上がるための勇気も。

 人間にとっては大事な感情なんだからな。

 

「…………」

 

 リオは、それに何も返すことはなかった。

 何もだ。

 

 

 さて、話を現代に戻そう。

 

 

 

 俺は今、ゲーム開発部にて、件のクソゲーランキング1位を取ったゲーム『テイルズ・サガ・クロニクル』とやらをプレイしている。

 

「おい、モモイ。」

 

「ち、違うよ! 今のは引っかけじゃなくて、普通に敵のスライムの銃撃に負けただけだから!」

 

「手足がねぇのにどうやって銃が撃てんだよ」

 

 俺は……

 

「そこは……ほら? 油断大敵ってやつ? 簡単に倒せたら面白くないというか……」

 

「…………」

 

 見た目で判断するな、戦場の鉄則だからな。

 そう言われればその通りなのだが……

 

 俺は今……ゲームごときでキレていた。

 

「お姉ちゃん……先生の顔が怒りたいけど怒るわけにはいかないって表情してるから煽っちゃダメだよ」

 

「煽ってないよ!?」

 

「いや、お姉ちゃんの顔がさ……」

 

「顔なのッ!?」

 

 このゲームの物語を書いた才羽モモイと絵を描いたその妹である才羽ミドリ。

 この姉には苦労させられているのだろうな、非常に親近感がわく。

 しかし、このゲームの人の神経を犬を撫でまわすかのような勢いで逆撫でしてくるかのようなイラつき具合はもはや神ゲーなのではないか?

 

「っぐ……この……」

 

「ほ、ほら!先生も熱中してプレイしてくれてるじゃん!」

 

「お姉ちゃん、先生の顔見ながら言って」

 

 何とか、敵を撃破して先に進もうとすると画面に『GAME OVER』の文字が表示される。

 

「はぁああ!!?!?何で死にやがった!?」

 

「ほら、その……地雷って見えたらおかしいじゃん?」

 

 思い出したくもない。

 俺がここまで感情的にキレたのは何時振りか。

 ヒロインが、自分の母親だの……実は前世の妻だの……

 悪意の道は善意で舗装されているという言葉があるが……

 もう思い出すのもやめよう。腹が立ってくる。

 

「く、クリアおめでとう!先生!最短記録だよ!」

 

「久しぶりに感情的になれたな。モモイお前さんは才能があるよ」

 

 不安そうな表情のモモイに俺はそう声をかける。

 

「才能!?え、どんな才能?やっぱゲーム作りの?」

 

「人の神経を逆撫でする才能がな」

 

「ひぃん……!」

 

「まぁ、そうだよね……」

 

 シワシワになるモモイを見ながら俺は言葉を続ける。

 

「要するにだ、それは人の心を盗む術を理解してるってことだ」

 

「「人の心を盗む術……?」」

 

 俺の言葉に姉妹は首を傾げて考え込む。

 

「このゲームをやってると、ハッキリ言って凄くイラついた。それは概ねお前さんが狙ったことでもあるんだろう?」

 

「ま、まぁゲームって台パンするのも楽しいし……」

 

「なら、それはお前さんがプレイした人間の心をしっかり盗めてるってことだ。あとはそれを敵キャラに向かわせるようにしてやれ」

 

 相棒曰く、優れた芸術と泥棒は似ている。どちらも人の心を盗む術を知っているからだそうだ。

 泥棒をするうえで、大事な要素は人の心の動きを読むこと。それと何かを伝える芸術ってのは似ているって話だろう。

 

「そっか、そうすれば没入感が生まれるもんね……」

 

「なるほど!」

 

「モモイ、お前さんのやってることは優れた芸術に近しいものだ。だからあとはそれの方向性をしっかりと定めてやれ。あと、一つ言うなら一回王道を作れ」

 

「うっ……でも誰もやったことのない名作を目指すには……ありきたりなものじゃ……」

 

「世の中既に大抵のジャンルはやりつくされてんだ。王道ってのはその中でも面白いと思われたもの。そもそも、ロマンを求めるならまずは王道をしっかりと作り切ってからやるもんだ。そのあとにそこでの経験を踏まえてロマンを求めろ」

 

「先生のいう通りですよ。お姉ちゃん」

 

 俺が今のマグナムに辿り着く前もそもそも最初の射撃訓練を行って基礎を固めてからやったんだ。

 基礎ができてないやつがいきなり応用なんて出来やしない。

 

「うぅ……そんなぁ……」

 

「はぁ……とは言えだ、この作品には愛が籠ってた。お前さんがやりたかったこと、目指したかったことは伝わる。それに悪評であれ、一番を取るのは難しいことだからな。中途半端な作品に比べればお前さんらが作ったゲームはよく出来てると思うぜ」

 

 流石に言い過ぎたと俺も思ってフォローを入れたが……

 

「そ、そうだよね! いやー、先生は見る目があるね!」

 

「……お姉ちゃんは、こういう性格なんで気にしなくていいですよ」

 

 モモイ、お前さんかなりのお調子者だな?

 すぐに復活したモモイをみて思わずため息をついてしまう。

 

「さて……依頼の話をするか」

 

「あ、うんそうだったね」

 

 何でおれがゲームをしていたかというと、まず俺自身がこいつらの人柄を把握したかったことと。

 そして、まぁ、ヒマリから聞いたこいつらの悪評がどんなものなのか、俺はあまりゲームをしてこなかったが、一位の作品がどんなものなのか気になったからだ。

 そのせいで酷い目に合ったがな。

 

「先に言っとくが、シャーレにはミレニアムに直接介入して、部活動の廃部を撤回させるなんてことは無理だからな」

 

「えっ!?じゃあ先生を呼んでも無駄だったってこと!?」

 

 何というか、モモイという少女は随分と自分の感情に素直な人間のようだ。

 俺が話した言葉に対する反応が一々面白い。話しやすくそして進めやすい。

 

「撤回とか阻止はな、交渉って形なら可能だ」

 

「……というと?」

 

「具体的に言えば、お前らと相談したのちに、ユウカと交渉することはできるぞ。例えば……お前さんらの成果次第で、廃部を撤回させるとかな」

 

「そ、れは……ユウカにも、言われたけど。『規定人数を満たすか、ミレニアムの部活に見合う成果を出せれば』って」

 

「できなかったら廃部、部費も部室も没収とも言われましたが……」

 

 もう言われてんのかよ。

 俺がどうこう言う前にユウカは既に温情をかけていたようだった。

 既に手を打たれている以上は、俺にやれることはあるのか?

 

「そこから先は私も一緒に交えてお話しましょうか」

 

 いつの間にか開けられていたドアから、声が聞こえる。

 

「その声は!出たな!生徒会四天王の一人!『冷酷な算術使い』の異名を持つ生徒会の会計、ユウカ!」

 

「っぶふ……!」

 

 思わず吹き出してしまったが仕方ないだろう。あのユウカにそんな異名がついていたなんて初めて知ったぞ。

 

「勝手に人に変な異名を付けて呼ばないでくれる?先生も今度は完全禁酒にしますよ」

 

「モモイ、お前のせいだぞ」

 

「そんなッ!?」

 

 部屋に入ってきたのは、『冷酷な算術使い』の早瀬ユウカだ。

 モモイのせいで俺の禁酒に王手をかけられてしまったが、あれは笑ってしまうだろう。

 

「話を戻して……諦めなさい、モモイ。あなたたちのような部活がこのまま活動していても、かえって学校の名誉を傷つけるだけよ。それに、その分の部費を他に回せば、きちんと意義のある活動をしてる生徒たちのためにもなる」

 

 真っ当な言葉ではある。

 ただ、そうだな……その合理性じゃ人はついては来ないし、納得できるものでもない。

 何がどうあれ、ここが彼女たちの居場所であることには間違いないのだ。

 

 

「それでも、もし自分たちの活動にも意義があるのだと主張したいのなら……証明してみせなさい」

 

「証明……」

 

「何度も言ったでしょう。きちんとした功績や成果を証明すれば、廃部は撤回するって」

 

「……例えば、何かの大会で受賞するとか?」

 

「そう、スポーツならインターハイに出るとか、エンジニア部なら発明品を公表するとか、そういう類のものよ。ゲーム開発部なら、そういうコンテストも色々あると思うけど……とは言え、出せば何とかなるとも思えないわね。あなたたちの能力は、あのクソゲーランキングが証明済み」

 

「ぐっ………」

 

「どうせなら、お互い楽な形で済ませましょう? 今すぐ部室を空けて、この辺のガラクタも捨てて」

 

 ユウカ、その言葉は俺でも聞き捨てならない。

 例え他人にはガラクタに見えたとしても、本人にとっての宝であるのなら。

 

「……っ、ガ、ガラクタとか……言わないで!」

 

「じゃあ、何なの?」

 

「そ、それは……」

 

 先ほどまでと打って変わって震えながらも真剣な面持ちで、モモイは声を上げ、そして……

 

「……分かった。全部結果で示す」

 

「……へぇ」

 

 そう言い放った。

 その雰囲気の変わりようにどこか感心した様子のユウカは声を漏らし、俺は口角を上げた。

 やるじゃねぇか、モモイ。

 

「だから、次元大介先生!!私たちに力を貸して!」

 

 覚悟を持ったその目。

 俺はそういうのが好きなんだ。

 

「今回のミレニアムプライスに私たちのゲーム、『TSC2』……『テイルズ・サガ・クロニクル2』を出すためには、先生の力が必要なの!」

 

「……!?」

 

「あ、ミレニアムプライスっていうのは、ミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合う、ミレニアムでも最大級のコンテストだよ! ここで受賞さえすれば、いくら何でも文句は言われないはず!そうでしょ!ユウカ!」

 

 自信を持ったその表情でモモイが問えば、ユウカは、少し驚いたような顔をして答えた。

 

「……まあ、そうね。受賞できたなら、の話だけど。けどねモモイ、今あなたが言ってるのは運動部がインターハイに出るとか、そういうレベルじゃなくて……いや、それよりもそもそも先生が協力してくれるはずが」

 

「いいぜ、その案乗った」

 

「ホント!?」

 

「先生!?」

 

 当然リオらの作戦もあるのだが、それ以上に俺はこういう馬鹿を見捨てられないらしい。

 何よりも、自分にとっての宝物を守ろうとしたあの表情を俺は気に入ってしまった。

 

「ユウカ、そのミレニアムプライスとやらはいつに始まるんだ?」

 

「え……あ、あと二週間ですが……」

 

「なら、充分だろ。ケツに火がついてることだしな」

 

 ユウカから正気ですかと言いたげな表情をしているが、本気も本気だ。

 

 恐らくこのやり取りを聞いているであろうアイツに向けての俺からのアピールもあるが。

 

 いつだって、人を動かすのは感情だからな。

 




ダンジョンに潜り込むパーティー
その先で待ち受ける者とは

次回 AL-1S


本日抜歯した作者です……死ぬほど怖かった。
もう行きたくないですよほんと……

そんな私から皆様へのご連絡です。
4月に入りまして、もう数日もすると投稿頻度がガクッと落ちます……週一投稿出来たらいいなぁくらいには考えてますが、ご了承くださいませ。
また、評価者がもうそろそろで200人を突破しそうですので、その際の記念イベントも現在予定しております!

毎度のことながら、いつも感想やここすきなど送っていただきありがとうございます!
良ければ、感想、評価、ここすきやっていただければ幸いです!

今の話のタイトルが分かりにくいとの意見を得て変更するか否か

  • 例:殺し屋の矜持
  • 例:1-10
  • 例:1-10 殺し屋の矜持
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