新任教師『次元大介』   作:レイゴン

51 / 136
2-2 要塞都市エリドゥ

 ミレニアムに併設されている病室に俺は来ている。

 そのベットの上で横たわるモモイは安らかな顔をしている。

 念の為言っておくが、死んだわけでもなく疾うに峠は越えている。

 しかしそれでも彼女はまだ目を覚まさない。

 

 あのヴェリタス爆破事件から既に二日が経過している。

 事件の当時は、全身に爆炎による火傷、爆破の衝撃と崩落する瓦礫によって骨折と頭蓋の負傷を負っていたモモイだったが、アスナの手当とシャーレの医療技術によって今は掠り傷がいくつか残る程度で収まっている。

 

 この二日間、ネルとの模擬戦闘と神秘の引き出し方の訓練を併せて行いながら、俺は時折こうしてモモイの様子を見に行っていた。

 神秘の引き出しは少しだけ進展はあったが、未だに安定せず、感覚すら掴めない状態だった。

 他のゲーム開発部の様子も見に行ったが、酷いもんだった。

 大切な友達二人、一人は行方不明、もう一人は寝たきりで目を覚まさない。

 ユズはロッカーに籠り、時折微かに揺れるだけで出てくる事はなく、ミドリも暗い部屋の中でモモイの安否を祈っているだけ。

 モモイという人物がこの子らにとってどれだけ大事なものなのか。

 改めて思い知らされた。

 

「あいつらにはお前さんが必要不可欠みたいだぜ、モモイ」

 

 時折、太陽のような人間が世の中には現れたりする。

 人間関係において、必要不可欠。

 そいつの有無だけで雰囲気も大きく変わるような存在。

 

 便利屋にとってのアルがまさにそれであり。

 ゲーム開発部にとっての太陽がモモイなのだ。

 

 仮に俺がアリスの居場所を見つけられたとしても、太陽の欠けたあいつらが笑顔になるとは思えねぇ。

 それに、これはあくまでも俺の直感だが……モモイの存在がアリスの奪還に繋がる気がする。

 

「…………ん……」

 

 微かに声が病室に響く。

 俺の声じゃない。

 

「…………知らない天井だ」

 

 おふざけを言う余裕はあるみたいだな。

 目覚めたモモイが、ゆっくりと瞼を開きながらそう呟き、ベットの横の椅子に座っていた俺を見つめる。

 意識がハッキリしたようで、恥ずかしそうに顔を赤らめていく。

 

「……聞いてた?」

 

「バッチリとな」

 

「……うわぁあぁぁあああ!!!」

 

「おい。怪我人が叫ぶんじゃねぇよ!」

 

 耳鳴りがするほど叫んだモモイだったが、しばらくして一通り落ち着いたようだ。

 今は、爆発後何があったか、軽く話をした。

 

「そっか……アリスちゃんが」

 

「悪い、俺がいながら連れてかれちまってな」

 

「んーん、大丈夫。連れ戻しに行くんでしょ」

 

「当然だ。そのために今アリスの居場所を探っているところだ」

 

 さっきまで寝たきりだったとは思えないほどの力の籠った目つきをしている。

 アリスも立派なゲーム開発部の一員だ。

 このままおめおめと連れていかれるほど情がないわけがない。

 しかし、行方不明なのはアリスだけではない。

 セミナーの会長、リオ。

 アロナに頼んでそれなりに時間が経つが、未だにその姿が見当たらない。

 確か、今はミレニアムプライス当日の夜の監視カメラの映像をミレニアム全土の範囲で検索をかけていると言っていたな。

 何か手がかりが見つかればいいのだが……

 

「お前さんはもう一日休んでから、ゲーム開発部のところに行きな」

 

「大丈夫、私はもう元気いっぱいだから!先行ってて、私は手のかかる妹と友達に活入れてくる!」

 

 治ったばかりなのだから、まだ寝ててもいいと思うのだが、モモイはそれを拒否し、自分の頬に付いた絆創膏をベリっと勢いよく剥がして、ベットから出る。

 

 自分が二日間寝ていたのもあるだろうが、それ以上にミドリとユズのことが心配だったようだ。

 姉としての意地もあるのだろうな。

 

「分かった。ただ、さっきまで寝たきりだったんだ。無理な動きはするんじゃねぇぞ」

 

「はーい!」

 

 元気に返事をするモモイを背に俺は病室から出ていく。

 そのタイミングで、シッテムの箱に通知が飛んでくる。

 常用のスマホではないということは、アロナからだ。

 

『次元先生!リオさんの居場所の手がかりを見つけました!』

 

「ほんとか!でかした!」

 

 こっちもようやく進展がありそうだ。

 一先ずは、ヒマリと合流してからその手がかりとやらを見ることにしよう。

 これを本人に向かって言ったら怒るだろうが、一番に心配していたのはヒマリだからな。

 

 

 

 

「彼女の手がかりを掴んだのですか!」

 

「あぁ、と言っても俺もまだ見ちゃいないんだがな」

 

 リオのいない彼女の部屋で、モニターにその手がかりを移していく。

 

 映像の時刻は22時。

 すっかり日も沈んだミレニアム自治区にあるマンション。

 リオはそこの二階のフロアに住居を構えているようで、エレベーターの近くの部屋の中に入っていく。

 その後一時間何事もなく、太陽が昇って、明るくなる映像で映像は途切れる。

 

 マンションなのに低階層、そのうえエレベーターの近く……ここでも彼女の合理性が伝わるな……

 

「ミレニアムプライス後は家に帰ってたのか」

 

『先に説明すると、ここから数時間に渡って、監視カメラのハッキングが行われていました』

 

 アロナが、そういうとハッキングを解除した本来の映像が流れ始める。

 

 映像の時刻は22時30分。

 映像が乱れたのちに、見覚えのある色合いの機械群がリオの部屋へとなだれ込んでいく。

 そしてその数分後、触手によって拘束された傷だらけのリオが機械と共に何処かへ飛んでいく。

 

「こいつは……」

 

「……っ」

 

 球体上のボディに赤紫の配色、そしてそのボディから飛び出た触手のような配線。

 この前アリスを乗っ取った<key>が操っていた機械たち。

 

 リオはそいつらに攫われたのだ。

 しかし何のためにだ?

 

「『不可解な軍隊(Divi:Sion)』……まさか、すでに動いていたのですか」

 

「あの機械たちの名前か?」

 

「……既に危険はないと思っていたため伝えずにいたのですが……アリスちゃんは無名の司祭が崇拝する『オーパーツ』、遥か昔に記録されていた『名もなき神々の王女』……それが彼女の正体です。そして、その王女に付き従うあのロボットたち……未知から侵略する『不可解な軍隊(Divi:Sion)』。彼らの指揮官である人物が『AL-1S』です」

 

「……嘘は言ってねぇな?」

 

「曲がりなりにもミレニアムを代表する天才二人が、あらゆる文献を調べたうえでの結論です。……そして、あの作戦を経て『AL-1S』としての彼女がいないと判断し、リオは在学を許したのです」

 

 一気に情報を頭に叩き込まれるのは苦手だが……状況は理解した。

 俺の考えていた予測も概ね当てはまりそうなことも理解した。

 

「つまりだ……あの<key>って奴は、アリスを『AL-1S』にするための鍵ってことで良いんだな?」

 

「私はそう考えています」

 

 ただそうなると何でリオを連れていく必要があるんだ?

 リオが何かしら障壁になるからか……それなら態々連れていく意味がない。

 その場で殺してしまえば、それで済むからな。

 となると、リオが隠し持っている何かを利用したいから……?

 

「これ以上は俺らで話していてもだめだな。とりあえずアリスとリオ、両方とも同じ場所にいると思った方がいい、それが分かっただけマシか。」

 

「えぇ……そうですね……ふむ……」

 

「ん?何かあったか?」

 

「……リオにはボディーガードがいたと記憶しています。C&Cコールサイン04、飛鳥馬トキ……C&Cながらリオの専属ボディーガードとして仕事をしているのですが……」

 

 アリスが初めて光の剣をぶっ放したときに感じた殺意の持ち主であり、アリスを監視していたのがその04だろう。

 映像を見てもそのような人影は見当たらない。

 既にやられたと見ていいが……知らねぇ奴ではあるが、死んでないことを祈るしかねぇな。

 

「とりあえず……皆さんをお呼びして話を通しましょう」

 

 

 

 ミレニアムの広い会議室の中に、ゲーム開発部、ヴェリタス、C&C、エンジニア部の面々が、そしてセミナーのメンバーが通信越しに集まっていた。

 モモイが合流し、色々あったのだろう。

 ユズもミドリも、二人ともやる気のある顔つきに戻っていた。

 しっかりと活を入れられたようだな。

 

「さて、これで全員ですね」

 

 軽く手を叩いて、場の視点を集めたヒマリが喋り始める。

 背後のモニターに、先ほど見たリオが誘拐される映像と、ドローンで撮影したのであろうアリスが連れていかれる映像が流れる。

 

「先ずは皆さんの情報を整理いたします。今回皆さんをお呼びしたのは、先日のヴェリタス爆破事件、その際に誘拐されたゲーム開発部のアリスちゃん、そして、ミレニアムプライスの翌日から行方不明のセミナー会長のリオ。この二名の生徒が恐らくですが、同じ場所に連れていかれたと我々は考えております」

 

『なるほど。それで私達セミナーが呼ばれたのですね』

 

 ユウカの隣に座っている白い長髪の少女が声を出す。

 セミナーの人間なのだろうが、初めて見たな。

 

「あー、すまねぇ。お嬢さん、初めましてだよな?」

 

『そうでしたね。セミナーの書記を務めている生塩ノアと申します』

 

 話を途切れさせちまったが、先生という仕事をしている以上生徒の名前は憶えておきたいもんだ。

 まして、初めましてなら尚のことな。

 

「話の途中だったが、リオとアリスを連れて行ったこのロボットたちは同じ機種なのは間違いない。だから、同じところに連れていったのは間違いないんだが……俺が気になっているのは、なんでリオを連れて行ったかだ。権力狙いってわけでもねぇだろうし……シビアなことを言えば、殺した方がまだ見当はつく」

 

『つまり、先生はリオ会長が隠し持っている何かが狙いだと?』

 

「アイツが生きてなきゃ出来ない何かがあると俺は思っている、セミナーのお前さんらなら何か見当が付くんじゃないかと思ってるんだが……」

 

 ユウカの質問に俺はそう返す。

 ミレニアムの技術力だ、生体認証の何かはあるだろうし……

 合理主義のアイツでもてめぇの死亡をトリガーに動くような機械を作るほど肝っ玉の据わった奴とは俺は思っちゃいない。

 

『最近何か裏で進めている気配はありましたけど……少し調べてみる必要がありそうですね』

 

『えぇ、アリスちゃんもリオ会長も大事な人です。全力をあげて協力します!』

 

 ユウカはそういって通信を切り、調べものを始めた。

 義理堅い性格のユウカだ、アイツに任せておけば大丈夫だろう。

 

「さてと、C&Cのお前さんらに聞きたいんだが……コールサイン04の行方は分かってるか?」

 

「コールサイン04?アタシは知らねぇな、初めて聞いたぞ」

 

 まさか、部長であるネルが初見だとはな。

 リオのことだ、完全に秘密で入れたのだろう。

 一応、正規のメンバーではあるのだろうが……

 

「コールサイン04……リオ会長専属のメンバーですよね、存在自体は知っておりましたが……会ったこともないですね……」

 

 唯一アカネだけがその存在を知っていたが、それだけだった。

 せめて手がかりでもあればよかったんだがな……

 

『先生!とんでもないことが発覚しました!』

 

 通信を繋げ直したユウカが声を上げている。

 随分とまぁ焦った様子をしているが……リオが何かやらかしたのか?

 

『その……セミナーのデータベースから、削除された……意図的に隠蔽されたような痕跡があるデータを調べたところ……』

 

『予算の一部に不透明な流れを発見。それを追跡することに成功しました』

 

「ちょっと待て……それってつまりは……」

 

『はい、リオ会長が横領していた証拠です』

 

 何やってんだアイツ!?

 立派な犯罪行為じゃねぇか!

 

 ノアが冷静にそう話した事実を聞いたヒマリが頭を抱えている。

 俺も頭を抱えている。

 

 ──それは……その、今すでにやっているプロジェクトに関してもかしら

 

 リオはかつて俺に対してそんなことを言っていたが……それがこれか……

 

『そうやって追っていった先がここです……今、画面に映します!』

 

 画面に広がる近未来的な大都市。

 まさかだとは思うが、この都市全てなのか?

 

『データベース上から消去された資料を復元したところ……とある都市のデータを見つけたんです。コードネーム「エリドゥ(Eridu)」。リオ会長が秘密裏に建設していた……「終焉に備えるための要塞都市」だそうです』

 

 ユウカはそう説明する。

 終焉に備える……この場合は、『AL-1S』のことだろうな。

 話の筋としてはそっちの方が通っている。

 

「そこのシステムにリオが必要だってのなら、アイツが連れていかれた先としての可能性は高いな……しっかしわざわざ都市を作るなんざ……しかも横領までして」

 

『リオ会長は、ご自身がやると決めたことに関して絶対に迷いません。合理的な判断を……時には重大な決断が必要な場面でも何ら迷うことはなく、目標達成のためであれば、ブルドーザーみたいに強引に事を進めてしまう』

 

「そうして、あのお馬鹿さんが、危険を排除し、キヴォトスの終焉を防ぐべく奔走した結果がこれと……」

 

 ヒマリが頭を痛そうにしながらも、ノアの言葉を続ける。

 アイツが頑固者なのは分かっていたがここまでとはな。

 

『システムを少し調べてみた所、中央のタワーは、リオ会長のみ入ることが出来る様に設計されているようです。恐らくですが、そこにアリスとリオ会長はいる可能性が高いです』

 

 そして、ユウカからエリドゥの座標が送られてくる。

 相手は、古代のオーパーツ。

 アロナと同レベルの技術力だと思って相対するべきだろう。

 

『本来ならば、私たちも肩入れしたいところなのですが……』

 

『リオ会長がいなくなってから増えた仕事を回さないと、ミレニアムが立ち行かなくなってしまうので……ごめんなさい』

 

「いや、お前さんらは充分な仕事をした。あとは俺らがどうにかしよう。連れ帰ったリオに説教する準備でもしときな」

 

 頷いたユウカとノアが、通信をきる。

 

「さて、相手の居場所の予測は着いた……リオが相手の手中にある以上、向こうの防衛システムが牙を向いてくる可能性は高い」

 

「つまりは、どう侵入したものか……と言ったところだね?」

 

 ウタハが俺の言葉を続けて言ってくれた。

 実際にどうしたものか、仮にもあのリオが本気で終焉に備えて作った『要塞都市』だ。

 

「会長のことだから、余程強力なものを用意してるに違いないだろうね」

 

「じゃ、じゃあどうすればいいの!?」

 

 モモイが慌てた様子でウタハに返事をするが、その通りだ。

 居場所が分かったところで潜入の方法が分からなきゃどうにもならない。

 

「ふふっ、私達エンジニア部は別のルートを知ってるんだ。防衛システムが働かないような特別なルートをね」

 

 微笑みながら、ウタハは、映画の黒幕かのように会議室の机の上に両膝をついて手を組み、話始める。

 

「都市建設には『人手』が必要だ。それだったらリオ会長のドローンで事足りるだろうが……『資材』となると話は変わってくる。無から有は作れないからね」

 

「ミレニアム自治区の郊外には、輸送用の無人列車が沢山ある……」

 

「なるほどな、それに乗って入れば防衛システムは働かねぇって寸法か」

 

 確かにあの規模の大都市、いくら細々と作っていたとしても、相当な資材が必要になる。

 それを運ぶなら列車を使うのが合理的だな。

 

「で、でも……どの路線がエリドゥに繋がっているか。分からないのではないですか?」

 

「あぁ、だから、その辺をエンジニア部がサポートしようじゃないか」

 

 ミドリの真っ当な疑問にウタハは簡潔にそう答える。

 しかし、ありがたいことこの上ないが、何故そこまでしてくれるのか。

 アリスはまだわかるにしろ、リオとのつながりはそこまでないと俺は思っている。

 

「先生、どうしてそこまで協力するのかって顔しているよ」

 

「顔に出てたか、悪いな」

 

「ふふっ、構わないとも。それに簡単なことさ。あの機械たちは勝手にエンジニア部最大の発明品を盗んでいったからね」

 

「最大の発明品……?」

 

 ウタハのその言葉にモモイは疑問を浮かべているが……俺には心当たりがあった。

 アリスと一緒に奪われた、エンジニア部の半年分の部費が注ぎこまれた発明品のことだろう。

 

「スーパーノヴァか」

 

「ご明察。うちのデータ実測を邪魔するなんて、それは明確な妨害行為に他ならないよ。

 これは私達エンジニア部に対して手袋を投げつけられたに等しい。

 エンジニア部の部長として、到底看過することは出来なくてね……」

 

「……ウタハ先輩の恥ずかしがり屋……」

 

 随分と冷静な理由だなと思い、関心していたが、ヒビキが口に出した言葉に少しだけ空気が凍る。

 恥ずかしがり屋だ?

 

「え、えっと、一体どういう話、なの?」

 

 エンジニア部の前で疑問を口に出すことは暗黙の了解だ。

 何故なら、彼女が全て話してしまうから……

 

「えぇ!私が説明しましょう!ウタハ先輩の論理の流れは次の通りです!」

 

 そう、コトリが詳らかにしてしまうのだ。

 恐らく、ウタハが言ってほしくないであろうことも……全て……

 

「友達を助けに行きたいけど、それを口にするのはこの歳になってちょっと恥ずかしい……そうだ!いっそ物を奪われた事を口実にしてしまおう……そうすれば部ち──「ちょっと、コトリ」」

 

 静かにコトリの背後に回ったウタハが、コトリの口を手で塞ぎ、その喉に人差し指を押し当てる。

 見事なまでの暗殺術だな。

 伊達に部長をやっていないってことか。

 

「しーっ……よし、これで秘密は守られた」

 

「流石にもう遅ぇと思うぞ」

 

「……守られたんだよ」

 

 必死に首を縦に振るコトリを見て、ウタハはその手を放し呟く。

 腕前は見事なものだが、幾分か遅いと思う。

 茶々を入れようとしたが、真剣な表情のウタハの圧に俺は負けた。

 そんなこんなで、エンジニア部の協力は得られ、これで侵入の手立ては着いた。

 

「問題は、どうやってアリスたちを奪還するかだな……」

 

「うん……前に確認しただけでも20体以上は居た」

 

 ハレがそう声を出すが、問題はあの大量の機械の軍隊をどう対処するかだ。

 一体一体はそうでもないが、数がとんでもない。

 リオを連れ去った映像を見ただけでも全体を考えると三桁以上は覚悟しておくべきだろう。

 

「……今、あたしらに必要なのは作戦だな」

 

 ネルがそう話を切り出す。

 意外な顔をしている奴らが大多数だが、ネルは結構真面目なタイプだ。

 俺の訓練の時も、こまめにアドバイスをくれたり、かなり長時間手伝いをしてくれた。

 

「仕事モードになった部長はと~っても真面目なんだから!」

 

「我々のリーダーだからな」

 

「ふふっ、普段の振る舞いで勘違いされる方が多いですが、実はそうなんです」

 

 他のC&Cの面々が自慢げに周りにそう説明している。

 あんな不良のような雰囲気だが、仮にもメイド部だ。

 まぁ、それでもあの振る舞いあってのネルなのだろうがな。

 

「それで、作戦ってのは?」

 

「仮に無事、要塞都市に着いたとしてもだ。リオが取られちまってる以上こっちの動きは向こうに筒抜けだろ?」

 

 都市中に監視システムが張り巡らされている可能性は……確かに高いな。

 システムである以上それが掌握されていると踏んで動いた方が確かにいい。

 

「それなら、あれこれ浅知恵こねくりまわすよりも、初っ端から突っ込んだ方がいいってことだ」

 

「……なるほど、陽動作戦か」

 

「あぁ、このゲームの勝利条件は単純明快。『あたしらがやられる前に、あのチビとバカ(アリスとリオ)を救い出す』あたしらC&Cが正面から突っ込んで騒ぎを起こしてやる。向こうがどれだけいても烏合の衆。その全軍引き受けてやる」

 

 胸をドンと叩いて宣言するその姿は随分と頼もしく映る。

 確かにこいつらなら行けるかもしれねぇな。

 

約束された勝利の象徴(コールサイン・00)』が言うんだ。その言葉に二言はないだろう。

 

「分かった、任せてもいいか」

 

「おう!」

 

「それでは、これで決まりですね。正面は部長と一緒に私達C&Cが担当いたします」

 

「後方から潜入するのはその他、ゲーム開発部と私達……そして先生だね」

 

「この全知たる私とヴェリタスが遠隔からの支援を行います」

 

 不安は残るが、それでも目標が定まった。

 あの手のかかるあいつらを取り戻しに行こう。

 




潜入した要塞都市エリドゥ
襲い掛かる無数の軍隊と……そして見覚えのないメイド服

次回 maid vs maid




皆様の暖かなご声援あって何とか復帰することに成功しました。
ご迷惑をおかけしましたことと同時にあの活動報告は少しお恥ずかしいため、消させていただきました……

元の路線を入れながらのオリチャー、彼女をどう出すか苦悩していましたが……こうすることにしました。ピースピース

毎度のことながら、誤字報告助かっております。ここまでやっていながらいまだに過去の誤字が出てきて、そのたびにうわああぁぁと声を上げている作者です……この場をお借りして御礼申し上げます……

さて、最後に、感想、ここすき、評価、もしよろしければお願いします!

今の話のタイトルが分かりにくいとの意見を得て変更するか否か

  • 例:殺し屋の矜持
  • 例:1-10
  • 例:1-10 殺し屋の矜持
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。