「先生、次元先生が思う『大人』ってなんですか?」
エベレストもかくやと言う程に、積みあがった書類を捌いていると、向かい側に座る生徒が俺に向かってそう聞いてくる。
彼女……いや、正確に言えば、元彼と言うべきその生徒の名は。
「急にどうしたんだ?スバル」
トリニティ総合学園、一年、所属……プレアデス性団。
間島スバル。
黒いメッシュの入った金髪に、黒い片翼が特徴。
通称『トリニティの魔王』なんて大層な二つ名がついているが……こいつにはもう一つ、その二つ名に負けず劣らずの特別な秘密がある。
それが……。
こいつは、転生者だってことだ。
転移だのなんだのは経験したことがあるが……。
この世界ってのは俺が想像している以上に、想像以上のことが起こるらしい。
「ふと気になって……ってのじゃ駄目ですかね?」
「大人な、そういうのに夢見がちな年頃か?」
「なっ、子供扱いしないでくれよ!」
前に聞いた話じゃ、元々大人だったらしいが……
この世界じゃ、体はガキに変わりねぇ上に、エロに興味が尽きねぇバカと来たもんだ。
だから俺はこいつの扱いに関しちゃ一貫して、他の生徒と同じように接している。
「ガキな奴ほどそう言うんだぜ?」
「……今はそうでしょうね。 でも、五年後……十年後は?」
「…………」
「その時のアルちゃんや、シロコや、ミカを想像してみてください。
俺達は……大人にならずにはいられないんですよ」
目の前にいる少女は、そう大人びた声色と顔つきで語る。
転生だなんだってのを未だに信じきれない俺だったが、その言葉には、本当に長く生きてきた人間の重みって奴を感じさせられる。
「なら聞くが……スバル、お前さんの言う大人ってのは何だ」
それなら、俺も一人の大人として対応するとしよう。
黒服に、柴大将以来の……大人同士の会話としてな。
「そうですね……『全ての責任を取り、守りたいものを守れるもの』……でしょうか」
「はっ、そいつは大層な奴だな……お前さんは成れたのか?」
「成れる訳がないでしょう。 なってたら……キヴォトスで第二の人生を送ってない」
そう答えたスバルは、少し考えてから、ハッキリと俺の顔を見ながら話し始める。
その顔には少しだが迷いが見える。
「ですが……そう『答えることができる』と思います。 でも、実際は大人には簡単になれちゃうんじゃないかな……」
「ほう?」
「健康的な食事がいいと言いつつ、ジャンクフードを食っちまうように……
禁欲を掲げてる奴が、裏でゲスな性欲を満たしているように……
そして、正しい事をした人が、悪意ある人間に、無理矢理責任を押し付けられてしまうように………
大人って簡単になるもんなんじゃないかって」
こいつもこいつなりに清濁併せ吞んで、この世を生き抜いてきたんだろうな。
なら……こいつの迷いを晴らすのも、先を生きる俺の役目って奴だろう。
「そいつは……スバル。大人になったとは言わねぇぜ」
清濁も、善悪も見てきた俺だから、この小さな大人のどうしようもない苦悩に応えてやれる……のかもしれねぇな。
「俺たちの世界じゃそういう奴は……ただ、大人になった気になってるガキに過ぎねぇ。
てめぇの吐いた言葉一つ守れない奴が、『大人』とは俺は思わねぇな」
「なら……次元大介、先生。貴方の言う大人って何ですか……?」
スバルは、先ほどの大人びた顔から一転して、俺に何かを求めるような、子供らしい表情で俺に問いかける。
今度こそ、俺がこいつの問いに答えてやる番だ。
「俺が思うにだが……テメェの責任をテメェで取れるかだと思うぜ」
思えば、リオにも似たようなことを話したなと、俺はそう心の中でほくそ笑みながら、言葉を続ける。
「俺ぁ、
俺は、スバルの目を見ながらそう答える。
結局のところ、俺にはこれくらいシンプルな生き方しか出来ねぇ。
小難しいのは、相棒にぶん投げた方がいいからな。
腰に仕舞ってあるマグナムを取り出し、視線をスバルからマグナムへと移す。
俺ぁ、結局のところ俺は撃って盗んでの暮らしに慣れちまった悪党だからな。
「……ハハッ! 次元大介がそういうのなら、めちゃくちゃ説得力がありますね!」
思い悩んでいた顔が晴れるようにスバルは、呵々大笑と声を上げて上を向く。
そのまま倒れねぇか心配になるな。
「あー……本当に次元大介なんだ……」
「あ?何言ってんだお前さん」
「前に話したと思うんですけど……先生にハーレムを作らせようと思ってたんですよね」
以前、サラリとそんな事を言われたなと、記憶の片隅に封じ込めておいたものが蘇ってくる。
確か……片っ端から、全員、数十股をさせて、全員先生に愛してもらうとかいう、まぁろくでもねぇ計画だが……
「ただ、それは白紙に戻ったんだろ?」
「だって先生、ルパンみたいにあの子もこの子も~とか、絶対やんなそうだし」
確かにあいつなら喜びそうだが……
一点だけ理解出来てねぇことがあるな。
「あいつも俺も、ガキは好みじゃねぇぜ?」
「……見た目は10代、中身は30代は?」
「お前みてぇな30代がいるかよ、ガキだガキ」
上目遣いで俺に視線を飛ばしてくるが、手で払いのけながら俺は言い放つ。
「そんな見え見えの芝居に引っ掛かるほど甘ぇ人生は送ってねぇよ。 もっと歳と経験積んでから出直せ」
「ちぇーっ、だめか~……峰不二子さんにはメロついてたのに」
「おい」
お前さんほど頭の逝った30代が、居てたまるかって話だ。
張本人であるスバルは、頬を膨らませて、ちぇーっといかにも不満ですと言いたげな表情と視線を向けてくる。
そのムカつく視線を遮るように、俺の分の仕事を少しアイツの顔に叩きつけて、俺は再び仕事に戻る。
こいつが来てからというもの、色々退屈しない日々を過ごせている……が。
「あっ、新刊の同人誌のネタ思いついた」
「仕事に集中しろ!!」
だが、こいつのこのエロへの奔放さに慣れるのは……まだ当分先の話になるだろうな。
という事で、伝説の超三毛猫様の作品『HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜』より、間島スバルちゃんとのコラボでございました。
伝説の超三毛猫様の作品はこちらから → (https://syosetu.org/novel/311789/)
この場をお借りして感謝を述べさせていただきます。
コラボありがとうございました、伝説の超三毛猫様。
スバルちゃん……死ぬほどキャラが濃いですねほんと……
ただ、自分の中に一本しっかりとした筋を持ってる奴ってのはカッコいいもんです
まぁ、それがエロだろうとなんだろうとですが……
驚異のR-17.9のド派手な珍道中、楽しい旅路でしたね……
三毛猫先生の方でも、既に私とのコラボ作品が上がっておりますので、そちらも良ければ
ではでは……