新任教師『次元大介』   作:レイゴン

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※注意書き※
作者の筆が異様に乗ってしまったため、一部キャラ(アコと次元)が崩壊してしまいました。それでも平気な方のみお楽しみください


#EX9 THREE IN THE BLACK

『お忙しいところすみません、先生。少し先生に手伝っていただきたいことがありまして』

 

 お昼時のとある日、携帯端末にメッセージが入る。

 誰から来たのかと、画面を立ち上げると、天雨の文字が目に入る。

 前に、風紀委員会への訓練をした際に、そういや交換してたっけな。

 ヒナからは時折、連絡が来たりするが、アコから来るのは珍しいな。

 

『別に構わねぇが、仕事を片付けてからでもいいか?』

 

『はい、先生のお仕事が終わり次第で結構です』

 

 若ぇ奴らってのは、すぐに成長するもんだ。

 最近は、リオで実感させられたが、アコも初対面の時に比べると、随分と大人しくなったものだ。

 ……いや、風紀委員会の劣悪な職務のことを考えれば、あの時のアコが異常だったって可能性もあるわけか。

 何せ、長のヒナが、睡眠不足でガタガタになるような委員会だからな。

 そこに関しちゃ、随分とマシになったはずだが……

 何だかんだでアコもかなり抱え込むタチだ。

 そんなアコが、わざわざ俺を呼び出したんだからな。

 

 さっさと仕事を終わらせて、向かうとしよう。

 

 

 

 

 

 さっさと終わらせようとしたんだが……

 すっかり日が沈んじまった……

 

 流石に居ねぇよな、と思ったが念には念のため、俺はゲヘナ学園まで出向いていた。

 

 歩いていると、正面から風紀委員の奴が歩いてくる。ありゃ、アルファ隊のメルナか?

 

「あっ、教官!お疲れ様です!」

 

「教官じゃなくて先生な。行政官のアコは、もう帰ったか?」

 

「アコ先輩なら、今別館の倉庫の整理を行っているはずです」

 

 俺の方に気がついたのか、気持ちがいいくらいビシッと敬礼をされる。

 教官って呼ばれんのはむず痒いから訂正はさせてもらうけどな。

 

 しっかしこんな時間まで仕事してるのか……

 随分マシになったと思ってたんだが、案外そんなことは無いのか?

 

 外はすっかり日が落ち、月が昇り始めたころ、明かりがついている倉庫が俺の目に入る。

 周りの建物の電気が落ちている中で、その建物だけ電光がついているため、よく目立つ。

 明かりが漏れる扉を開くと、その部屋の中央に、俺を呼び出したアコが立っている。

 

「アコ、来たぞ」

 

「来ましたか……先生」

 

 倉庫の整理をしていると聞いていたが、倉庫に何か整理する必要がありそうなものは見当たらない。

 ……罠か?

 

「只ならねぇ雰囲気をしてやがるが……嵌めやがったな?お前」

 

「申し訳ないですが、私は今、冷静を欠こうとしています」

 

 いや、もう既に欠いてるだろうが、と突っ込みたくなったが、まさかこの俺を嵌めるなんてな。

 さっきのメルナも仕込みか?

 それとも前に教えた、敵を騙すならまず味方からってのを実践しやがったか?

 どちらにせよ、今大事なのは、俺が今絶体絶命だってことだ。

 

「へぇ、俺は教えたはずだよな。何があってもテメェは冷静沈着にってよ」

 

「えぇ、あの演習で先生から叩き込まれたその全てを忘れたつもりはございません」

 

 それならその体から溢れ出す殺気を収めろよと言いたくて仕方ないが、下手に刺激したらどうなるか分かったもんじゃねぇからな。

 

「先生……これはどういうつもりですか?」

 

 アコが見せてきたスマホの画面には、俺の膝の上で寝ているヒナの画像が乗っている。

 

 ……待て、一体いつ盗撮しやがった。

 

 その画像は、前にヒナがシャーレの当番をしてくれた時に俺がお礼に何かしようかと言った時に、頼まれたもんだ。

 あの時、シャーレ内には俺とヒナしかいなかったはずだ。

 ……俺とヒナの索敵から外れるだと?

 

「アコ、それどいつから──「いくら先生と言えどヒナ委員長の枕になるなんて、ライン越えですよ!!!」……」

 

 呆れた。

 こいつのヒナに対しての偏愛は知っちゃいるがよ……

 

「だから、ヒナ委員長を賭けて決闘してください!次元大介先生!」

 

 ビシッと指を指される。

 はぁ、こいつさては疲れてるな?

 それ以前に、本人の知らねぇところで、そいつを賭けるんじゃねぇよ。

 

「テメェの言い分は分かったがよ、俺のメリットがねぇな。決闘っていうんだ、俺にもそれ相応の報酬がなきゃなぁ?」

 

「……もし私が負けることがあれば……」

 

 そういって、アコは懐のポケットから、首輪とリードを取り出す。

 待て。

 どこから取り出したそれ。なんでそんなものが懐からさも当たり前かのように出てきた!?

 

「負けたらこの首輪をつけて犬のようにワンと鳴いて上げますよ!」

 

「…………」

 

「な、なんですかその目は」

 

「いや……てめぇの趣味趣向に、とやかく言うつもりはねぇんだが……」

 

 絶対お前の趣味だろ……

 まぁ、見るからにストレスが溜まってるみたいだが……

 それの発散を手伝うのも『先生』の役目……なのか?

 ガキのお守りをする気はねぇんだが……

 

「う、うるさいですね……!」

 

「はぁ……それで、肝心のルールはどうするんだ?早撃ちでいいか?」

 

「それじゃ、ヒナ委員長以外勝てないじゃないですか!」

 

 まぁ、確かにあいつなら早撃ちに対応してくるだろう。

 とは言え、早撃ち勝負ならあいつにも負ける気はしねぇがな。

 

「勝負は、これで行います!」

 

 そういって、アコは、ダーツを手に持つ。

 なるほど、射撃なら俺には勝てねぇから、違うものでってことか。

 よく見ると、ダーツのボードがセッティングしてある。

 倉庫の整理……ってのはこういうことだったわけか。

 

「ルールは?」

 

「クリケットで……一本勝負で行きましょう」

 

 クリケット……真ん中のブルと20~15までのナンバーにダーツを入れて、より多くの点数を取ったやつの勝ち、って内容のルールだったな。

 

「…………」

 

「ふふ、先ほどからダンマリを決め込んでいますが、先に降伏しても構いませんよ?」

 

「ふっ……あっはっはっは、降伏なんかしねぇさ。それよりも……」

 

 相変わらず自分が優位だと思ったら、勝ちを確信しちまうその悪癖は健在だな。

 もっとしごいてやんねぇとな。

 まずは、手厳しい敗北からか。

 

「一本勝負でいいんだな?二言は許さねぇぞ?」

 

「……っ。と、当然です!先行は、私がもらいますからね!」

 

 そうして、真夜中の俺とアコの勝負が始まろうとしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、言うんだろ?」

 

「くっ……なんでこんなことに……」

 

 俺は今、椅子に座って手綱を握り、そのリードが伸びる先にいる首輪をつけたアコに声をかける。

 

「あ、あり得ません……WHITE HORSE二連続に、THREE IN THE BLACKなんて……」

 

「……はぁ、おい。いつまで人の言葉を喋ってるつもりだ」

 

 俺にこういう趣味は一ミリもねぇんだが、これもアコのためか……

 心を無にして、声を低く保って、威圧感を。

 やるからには、当然全力でだ。

 まずは、アコの意識を俺の方に向けさせる。

 

 手綱を、強く引いてアコを前のめりに倒す。

 地面にぶつかりそうなる、その顎を足の甲で受け止めて、上を向かせる。

 俺とアコの視線が絡み合い、見つめ合う。

 

「今のてめぇは、犬なんだろ?……それなら、相応しい姿勢ってもんがあるよな?」

 

 アコの両手が、地面に着いたことを確認してから、俺は顎を支えている足を離して、立ち上がり、アコの顔の傍に来るようにしゃがみ込む。

 

「それでいい、そのまま俺の声を聴いてろ」

 

「……は、はい」

 

「あ?そうじゃねぇよな?賭けの内容はよ」

 

「くっ……わ、わん……」

 

 耳元で囁きながら、アコがようやく人語を捨てたことを聞いた俺は、うなずいて、立ち上がり、リードを引っ張りながら歩きだす。

 その後ろをゆっくりと四つん這いでついてくるアコ。

 

「ったく、ヒナのやつめ……躾しとけって言ったんだがな」

 

「な、それを──「テメェで言ったことも守れねぇのか?駄犬」……きゅぅ……ん」

 

 反抗しそうになったアコのリードを引っ張り、顔を近付けて脅すと、すぐさま大人しくなる。

 

「Good girl」

 

 直ぐに、俺の言うことを聞けたからな。

 ペットなら褒めてやるべきだろう。

 アコの頭を、撫でまわしたあと、そのまま倉庫内をぐるりと一周散歩する。

 時折、頭をなでたり、褒めてやりながらな。

 

 そうやって撫でてやると、本当の犬みたいにダラリと情けなく舌をたらし、俺の指を嘗め回してくる。

 

「おい、舌を出してどうした。仕舞えよ」

 

 その舌を撫でまわしながら、口の中に収めてやると、指先に吸い付いてくるアコの唇。

 

「なんだ?ご主人様の指を舐められて嬉しいのか?」

 

「ひゃ、ひゃい……うれ、しいれ、す」

 

 俺の言葉に反応して、指を口に含みながらも、言葉を綴るアコ。

 その言葉に俺は、指を止める。

 

「ふぇ、な、なんれ」

 

「同じことを何度も言わねぇと分かんねぇのか?」

 

「あっ、わ、わん!アコは、犬れす!わんわん!」

 

 その言葉を聞いて、俺は、頭ではなく、舌を撫でまわす。

 今日俺と出会った頃のアコなら、俺の指に歯を立てて噛み切ろうとでもしただろうが……その狂犬さは見る影もない。

 

「……はっ、はっ、わん」

 

 ……ずっと無心でやり続けたが……これは、そろそろ、本格的に不味いな?

 

「……アコ、流石にそろそろ止めるか」

 

「……くぅん」

 

 雨に濡れた子犬かのような目で俺の事を見てきやがる。

 それでいいのか、行政官……

 

「……アコ」

 

「わ、……きゅぅん」

 

 俺は、アコの顎を掴み、上を向かせる。

 アコが目を瞑って、そっと唇を差し出すが……俺は、ケツの青いガキとやる気はねぇんだ。

 

「悪いな、寝てろ」

 

 掴んだ顎を勢いよく横に振り、強制的に脳震盪を起こさせて、アコの意識を奪う。

 完全に体の力が抜けたことを確認してから、俺は指を拭き取り、アコの首に着いている首輪を外して、リードをその辺に投げ捨てておく。

 そして、懐から携帯を取り出して、直前に会ったアイツに連絡を入れる。

 

「……メルナか、俺だ。悪いが第一倉庫に来てくれ、アコが眠りこけちまった。そのまま家に連れ帰ってくれねぇか?」

 

 程なくしてから、メルナが、やってきてアコを背負って帰って行った。

 

 …………

 ……

 俺はとんでもねぇことをやらかしたんじゃねぇか?

 

 

 その翌日、アコからの鬼電ととてつもない長さのメールが届くことになるのだが、それはまた別の話だ。

 

 

 

 

 






……てへっ!
ミレニアム始まる前から温め続けたネタの為、筆が乗りすぎちゃいましたよね。
いやぁ、しかし、あの写真一体誰が撮ったんでしょうね?
キヴォトス屈指の実力者であるヒナと次元の気配察知を抜けるだなんて
とんでもない奴ですよニンニン

最近、ブルアカの歌を色々聞いてるんですけど対策委員会の夏イベの歌神ですねあれ、あのイベストやりたいところ……でも時系列的には先にイワン・クパーラなんすよね、どうしたものか……

ダーツのあれこれは是非、皆様の手で調べて頂いて、実践して頂ければ、作者はできません。化物かよ次元ちゃん

今の話のタイトルが分かりにくいとの意見を得て変更するか否か

  • 例:殺し屋の矜持
  • 例:1-10
  • 例:1-10 殺し屋の矜持
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