しとしとと降り続ける雨。
曇天の空に響く銃声。
「この音は……」
「アズサだろうな。銃声からしてサオリと戦ってるんだろうさ」
瓦礫の山と化した古聖堂を前に、俺たちは最後の作戦会議を行っている。
向こうで一人戦っているアズサの元へと向かうため。
あの場所まで、守護者や他のアリウスの生徒に見つからねぇように移動しなきゃいけねぇ。
正直、戦闘能力だけで見れば、絶望的なところ……
「大体アズサは、古聖堂跡の中心点にいる。道中は可能な限り戦闘は控えたいが……」
「え?何で、撃っちゃえばいいじゃん」
「コハル……その通りなんだがな……下手に時間を掛けりゃ、アズサの命に関わるし、その上、援軍を呼ばれるかもしれない。だから戦うにしてもだ。その時間は最低限で済ませたい」
コハルは、正実としての訓練はあるが、まだ頭の傷が癒え切ってない。
ハナコは、どちらかと言えば後方……参謀よりで、隠しちゃいるが疲れが見えてる。
ヒフミは、射撃だけで見たらマシだが……戦闘慣れしちゃいない。
それに全員に言えるが、この後の戦闘を考えたら、ここで消耗してる暇はない。
そう言ったことで悩んでいると、ヒフミが俺に声をかけてくる。
「あの……先生。実は助っ人を呼んでて……」
「助っ人?ゲヘナとトリニティには声を掛けたぜ?」
「両校からではなくて……その……見て頂いた方が早いですかね。みなさーん」
ヒフミが声をかけると、こちらに歩いてくる五人の人影が。
「……くっくっ、そうか!お前さんらだったか」
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サオリの長身から繰り出された後ろ回し蹴りを、銃身で受け止め、後ろに飛んで、勢いを殺す。
「くっ……」
膝を付かされる。
受け流したはずなのに、腕が痺れる……
分かっていることだけど……やっぱり強い……
「何故だ、アズサ……」
泥濘る地面を踏みしめながら、サオリがゆっくりと歩み寄って来る。
「何故そこまで足掻く。そこに何の意味がある?何を証明しようとしている?」
腕はまだ痺れて動かない……
片膝を付く私のことを見下ろすサオリが口を開く。
情けをかけているつもりなのか?
「思い出せ、全ては──「虚しくても、それでも足搔くと決めた」」
その言葉は、もう……私にはいらない。
「そこに、何の意味がある!!!」
激昂したサオリの体から大量の神秘が溢れ出し、私の体を包み込む。
青く冷たい恐怖の色の神秘……
感情のままにサオリが私に向かってアサルトライフルを構え、銃弾を放つ。
この距離じゃ……避け切れない。
急所を銃で守って、吹き飛ばされる。
「はぁ……はぁ……」
サオリの神秘の影響か……体に力が入らない……
倒れたら殺される。
まだサオリを止められてないのに……
ふらつく足元。
痛みと衝撃で麻痺していく脳みそ。
ヒフミたちを守るためにも……倒れるわけには……
無情にも、私の体は言うことを聞いてくれない。
空を見上げて、倒れ堕ちる私の身体を後ろから誰かが受け止めてくれる。
その瞬間、香る優しい花の匂い。
柔らかい感触……
この感触には覚えがある。
「……ヒフ、ミ……!?」
「…………」
黙ったままのヒフミが、私を見つめる。
その後ろには、コハルとハナコが神妙な顔つきで立っている。
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物陰から二人の様子を見る。
出番はまだ早く、今は二人の時間だからな。
「……誰だ、お前は」
「普通の、トリニティの生徒です」
「ヒフミ、駄目だ……どうしてこんなところに……ここはヒフミみたいな、普通の人が来るべきところじゃ……」
アズサが、ヒフミの肩を掴んで話す。
服に皺が出来ていることからも、相当な力で掴んでいることが容易に想像できる。
ヒフミが、普通……か。
「……はい、確かに私は普通で平凡です。先日見せてくれたあのガスマスク……あれがアズサちゃんの本性なのだという事も、理解しました。そんなアズサちゃんが、私なんかが手の届かない暗い世界に生きている……そう言いたいことも分かりました」
淡々と彼女は言葉を続ける。
アリウススクワッド達に見られながらも……喋ることを決して止めない。
「ヒフミ……?──「でも!!!」」
「アズサちゃん。貴女は一つ、大きな間違いをしています!!! 今ここで、私の本当の姿をお見せします!!」
そうして彼女はいつも欠かさず持ち運んでいる鳥のバッグの中から、『茶色い紙袋』を取り出し……そしてそれを被る。
目が見えるように雑に刳り抜かれ、そして額の位置に書かれた5の数字。
「私の正体……それは、『ルパン三世の右腕』である『覆面水着団』のリーダー、ファウストです!」
笑っちゃいけないシーンなんだが……込み上げるものがあるよな。
さてと……そろそろ準備をするか。
なんせ、この都市でアイツの名を広めたのは俺なんだからな。
「……え?」
「見てください、この恐ろしさ!アズサちゃんと並んだって、全然見劣りしないほど不気味でしょう!こっちの方恐ろしくて怖いという人だっているはずです!」
「ひ、ヒフミ……?」
アズサは疎か、スクワッドの方も若干呆れているような呆然としている。
そんな中でも、彼女の口は止まらない。
……やっぱりお前さんは、良い意味で普通じゃねぇよ。
「ヒフミ、一体何を──「だからっ!!!」」
だからと、彼女は叫ぶ。
理不尽な世界に対して、それでもと。
「だから私達は、違う世界にいるなんてことはありません! 同じです!隣にだっていられます!だから世界が違うだなんて、一緒にいられないだなんて……そんなこと言わないでください!」
倒れかけていたアズサは、自分の足で立ちあがり、ヒフミと距離を取ろうとする。
しかし、彼女はそれでも、アズサへと近づく。
一歩ずつ着実に。
「拒絶されても、すぐ近くに行ってみせます!私は……! ……私は、アズサちゃんのそばにいます!こうやって、すぐ触れられるところに……!」
「ヒフミ……でも、私のためにそんな嘘を言ってくれたところで……」
さてと……そろそろ俺たちの出番だな。
「おいおい、誰が嘘だって?」
ヒフミの後ろから現れるのは、五人の人影。
1から4までの数字を額につけた穴の空いたニット帽で顔を隠した少女たちとその先頭を歩く赤いジャケットに身を包んだ猿顔の男。
「いや~、何だか大事なところみたいだね?」
「あの覆面……そして真ん中の男性はまさか……!?」
ハナコが声を出す……お前さんの情報網はかなりのレベルだな。
たった一回しか活躍してないんだが……
ピンクの覆面をつけた少女が隣に来て、口上を語り出す。
……悪いなルパン、普段のツケだと思ってくれ。
「目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く……」
「ん、それが私たちのモットー」
「普段はアイドルとして、活動していますが、夜になると悪人をたおす副業をしているグループなんです♧」
まだアイドル諦めてなかったのか……
「別にそれ私たちのモットーじゃないから!?あと変な設定付けないで!!」
『覆面水着団のリーダーであるファウストさんのご命令で、集合しました!』
ヒフミが呼んだ助っ人ってのは、アビドスの連中だ。
あの時、ブラックマーケットで繋がった縁が、ここに来てまた実を結んだってわけだ。
「ふ、覆面水着団、それにルパン三世……噂に過ぎないと思っていましたが、本当にいたんですねぇ……」
「リーダー、あいつらヘラヘラしてるけど注意した方がよさそう。少なくとも舐めてかかると痛い目に遭う」
あの黒いマスクをしたスクワッドの奴、悪くない読みをしてるな。
サオリに口添えしている辺り、サブリーダーみたいなものか……注意しとかねぇとな。
「ファウストには、借りがあるんでな。俺も手を貸しに来たってわけだ……さてと、嬢ちゃんたち、うちのファウストを泣かせたツケは高ぇぞ」
「そうだよ~、それにうちのファウストさんは怒ると怖いんだから」
「何せファウストちゃんは最終的に、カイザーコーポレーションの幹部を倒しちゃったようなものなんですよ♧」
まぁ、あの迫撃砲がなきゃ、基地を突破することは出来なかったかもしれねぇし……ノノミの言ってることも強ち間違いじゃねぇか。
「ブラックマーケットの銀行だって襲える。朝飯前みたいに」
「No.2、それは俺様の手引きあってだろ?」
「ん、確かにごめん」
若干ヒフミから恥ずかしそうな雰囲気を感じるが……まだ耐えてもらわなきゃ困る。
……というよりかは、アビドスのこいつらが止まる気がしねぇ。
「ま、まぁそれでも、この間なんてカイザーPMCの基地を砲撃で吹っ飛ばしたんだからね!」
「そうだよ、恐ろしいんだよ~?生きて動く災いと言っても過言じゃないし、暗黒街の首領みたいなものなんだから」
「それが、うちのファウストだ。お前ら喧嘩売った相手を間違えたな?」
俺の言葉をきっかけに四人がファウストを称えるかのように囃し立てていく。
完全に調子に乗り始めたな。
ブレーキ役のセリカまで乗っかってるしな。
流石に恥ずかしかったようで、ヒフミは紙袋を取って、いそいそと仕舞いこんでしまう。
「あぁっ、ファウストちゃんが紙袋を取ってしまいました!?」
「あ~~、流石に恥ずかしかったかな?」
「せ、折角乗ってあげたのに!」
「ん、私は何も恥ずかしくない」
他のアビドスの奴らも覆面を脱いでいく。
シロコ、お前さんはいつまで着けているつもりだ?
「茶番は、もういいか?……ルパン三世だったか、貴様のそれも変装なのか?」
サオリが、俺へと声をかける。
待っててくれた辺り、どうやら根は生真面目らしいな。
……俺を撃ったのも誰かからの命令か?
まぁ、いい。
俺もあまりこの猿顔で居続けるのも、居心地が悪いからな。
一息に覆面を取り、服を脱ぎ捨て、下に着ていたいつもの姿へと戻る。
「っ……次元大介、生きていたのか」
「生憎、俺は死神から嫌われているみたいでな。まだ地獄には行けねぇんだ」
アビドスの対策委員会の奴らのお陰で、ここまではスムーズに来れた。
そして、助っ人はまだこいつらだけじゃない。
古聖堂跡を囲むように、ゲヘナの風紀委員会に万魔殿の戦車部隊。
トリニティのシスターフッドに正義実現委員会の面々が集まってきている。
これでも戦力的にはまだ向こうの方が幾分か上。
「包囲、されてしまいましたねぇ……」
「これはちょっと厳しいんじゃない、リーダー」
「知ったことか。無限に増殖する『ユスティナ聖徒会』の前では等しく無意味」
やはり厄介だな。あのユスティナ聖徒会の守護者たちは。
無限の兵力ってのは、こと総力戦に於いては最強に近い。
何よりもだ。
「……むしろ好都合だ。アズサだけでなく、この場に知らせてやれ。この世界の真実を……殺意と憎しみに満ちたこの世界で、あらゆる努力は無駄なのだと」
向こうのリーダーが折れちゃいない。
「足掻こうと何の意味もない、全ては無駄なのだという事を!!」
ただそれは……こっちも同じだ。
「ヒフミ、言いたいこと全部言ってやれ」
俺は、ヒフミに一言伝えて後ろに下がる。
この舞台の主役は、俺じゃねぇからな。
「アズサちゃん、私は今すごく怒ってます。すっごくです」
「…………」
「ですが……それ以上に、無事でよかったです。すっごく怒ってましたが、よく考えてみれば、それはアズサちゃんのせいではありません。ですから、私はもう怒っていません」
ヒフミは、アズサの目を見ながら話し、そして目を別の方向へと向ける。
「ですが、あの方々についてはまだ怒っています」
アリウススクワッドにその目は向いている。
瓦礫の山に登りながら、彼女は言葉を続ける。
「殺意ですとか、憎しみですとか……ましてや、それがこの世界の真実ですとか……それを強要して、全ては虚しいのだと言い続けてましたが……それでも、私は……!!!」
彼女が初めて見せる怒り。
激しい感情の発露。
あのスクワッドに睨まれても、引くことのない胆力と、諦めない心。
奇跡ってのは、あぁいう奴に降りてくるんだ。
「アズサちゃんが人殺しになるのは嫌です……。
そんな暗くて憂鬱なお話、私は嫌なんです。
それが真実だって、この世界の本質だって言われても、私は好きじゃないんです!
私には、好きなものがあります!
平凡で、大した個性もない私ですが……自分が好きなものについては、絶対に譲れません!
友情で苦難を乗り越え、努力がきちんと報われて、辛いことは慰めて、お友達と慰め合って……!
苦しいことがあっても……誰もが最後は、笑顔になれるような!
そんなハッピーエンドが私は好きなんです!!
誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます!
私たちが描くお話は、私たちが決めるんです!
終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!
私たちの物語……
私たちの、
雨雲が過ぎ去り、朝焼けが昇る空に掲げた、たった一人の少女の宣言。
神秘の有る世界で、奇跡というものが身近になった世界で。
彼女は、本物の奇跡を引き起こした。
止まない雨はなく、永遠の曇りはない。
分厚い雲の向こうには、必ず青空が広がる。
「あ、雨雲が……」
「気象の操作……?いや、神秘の行使は見当たらなかった……」
「奇跡……ですか?──「っ、奇跡なんて無い!何これ……!」」
スクワッドの顔に明らかな動揺が見える。
彼女の起こした本物の奇跡に、目を奪われている。
逆転の一手はここしかありえない。
俺は懐からとあるものを取り出す。
このキヴォトスに来てから、いつの間にかスーツの胸ポケットに入っていたそれは、この世界における俺の身分証明書であり、俺が『先生』たる証。
『連邦捜査部S.C.H.A.L.E』の紋章を手に持ち、俺は宣言する。
「……ここに、宣言する。
連邦生徒会 生徒会長。
ゲヘナ学園 万魔殿議長 羽沼マコト。
トリニティ総合学園 ティーパーティーホスト 桐藤ナギサ。
以上三名の代行として、連邦捜査部S.C.H.A.L.E 先生 次元大介が宣言する。
俺たちが新しいエデン条約機構だ」
アリウスが、大昔の頃のお話を持ち出して、戒律を捻じ曲げた。
なら、ここにいる風紀委員会と正義実現委員会を代理として、シャーレが代行となれば……
戒律的には問題がない。
効果は……見ればわかるな。
全員ってわけじゃねぇが、それでも多数の戒律の守護者の動きが完全に停止している。
戒律を守ることしか出来ないあの亡霊には、考える機能はなかったようだな。
「……っ、知ったことか!!!! ハッピーエンドだと!?ふざけるな!そんな言葉で、世界が変わるとでも!? それだけでこの憎しみが、不信の世界が変わるとでも言うつもりか!? 何を夢のような話を……!」
残ったユスティナ聖徒会が、ヒフミ達や、古聖堂へと入ったゲヘナとトリニティの連中へと襲い掛かっている。
そんな中で聞こえるサオリの慟哭。
過去に何があったのか。
徹底的に教え込まれたそのクソみたいな教え。
お涙頂戴と行きたいところだが……今はそうはいかねぇんでな。
「あぁ、変えられるさ。夢の見れねぇ奴になって何が面白いってんだ。人生楽しめよ」
「っ、貴様一人で何が出来るというんだ!」
「……お前さんには、俺が一人に見えるのか」
サオリが慟哭に反応して、巨大な怪物のような姿の守護者……確か、文献に乗ってたアンブロジウスが俺に襲い掛かって来る。
が……俺は銃を抜かずに、それを見守る。
分かってるからな。
あいつらは、絶対にクライマックスを逃さねぇって。
遠くから飛来した銃弾が、守護者の頭に当たって、爆発する。
煙の中から飛び出す鋭い爪をショットガンが吹き飛ばし、がら空きの胴体へと弾丸と苦無が襲い掛かり、アンブロジウスは消滅する。
遅れて、俺の背後から複数の足音が聞こえる。
「全く、先生? 生き返ったのなら連絡一つくらい入れなさい!
……貴方のお墓にかけるお酒、買っちゃうところだったじゃない!」
分かり切ってたことだが……そこに立っていたのは、便利屋とイズナ達だった。
「お前ら、来ると信じてたぜ」
「くふふ、来たのは私達だけじゃないよ?」
「うん……ここに来る前に、連絡を入れたの先生を助けるためにって」
瓦礫の山に登って見渡すと、別の場所で、嵐の如く爆発が起こっている地点。
無数のロボットが群れを成してアリウス生を拘束している地点。
そして、青い光の帯や斬撃が乱れ舞う地点が見える。
「ミレニアムの奴らか」
「そ、そうです……その私達だけでは、少し不安だったので……あぁ、そのアル様や皆さんの実力を信じてないわけじゃなくて、私が足を引っ張るかもしれないので……」
「よくやったぞ、お前ら。このまま他の奴らの援護に回る。頼んだぜ」
サオリがいつの間にか姿を消していた。
まだ諦めちゃいないはずだからな。
便利屋達とは別行動を始め、そのまま戦地を走る。
紫色の弾幕が見え、それを搔い潜りながら、桃色の閃光が次々とショットガンでアリウス生を吹き飛ばす。
「ヒナに、ホシノか」
「あ、やっほ〜、先生。さっきの宣言かっこよかったよ~」
「ホシノ。今は集中して」
さっきの桃色の閃光は、ホシノだったか。
あれが本気の速度なのか、それともだな。
ここは、こいつら二人がいるから問題ないか……
「先生、アルファ隊のことは聞いたかしら」
移動しようとすると、ヒナから声をかけられる。
背筋がヒヤリとする感覚がする。
「あぁ、死んじまったんだろ?」
「……え? 聞いてないのかしら?」
ヒナと俺でどこか意見が食い違う。
あの沈黙はてっきりそういうものだと思ってたんだが?
俺とヒナの動きが完全に止まる。
その隙を狙ってたのだろうな。
まだ残っている守護者の集団が俺たちに襲い掛かって来る。
「っ、しま──「何やってるんすか!教官!!」」
赤い弾幕が放たれ、守護者たちを蜂の巣にする。
この異様なほどの精度の弾幕を実現できる部隊は……キヴォトスには彼女らしかいないだろう。
振り向くと、そこには、顔や手足に火傷の傷を負ったアルファ隊の面々がいた。
全員誰一人かけることなく。
「……あいつら何で黙っていやがった」
「あの、それは……顔に火傷負ったのを見てほしくなくってですね……」
アルファ隊の一人、ラーナがそう説明する。
幹部組以外の風紀委員は、報復防止のために見た目を統一してるって話だったが……
火傷跡のせいで、全員素性がバレるから……
まさか、それで実質死んだってことか?
「その、アルファ隊とブラボー隊は、ヒナ委員長の両翼として通常部隊とは別枠での扱いになるそうなんです……」
セナは、風紀委員会だから理解してないのは分かるが……他のアイツら……
騙しやがったな……はぁ……
「まぁ、お前さんらが無事で何よりだよ……とりあえずここは任せたぜ」
この場を風紀委員会たちに任せて、次の場所へと移動する。
甘い安堵感を覚えながら。
「ぶっ殺す!!!」
「ぎゃはははは!!!!」
移動していると、明らかに物騒なセリフが聞こえてくる。
声の聞こえる方向に向かうと、挨拶代わりの爆風が俺の体を打ち付けてくる。
「随分と派手なお出迎えだな」
「あ、先生……」
声をかけられ、隣を向くとハスミがそこに立っていた。
まさか本当に治し切るとはな……改めて、こいつらの頑丈さを思い知らされるな。
「……あれは、ネルとツルギか?」
「はい……途中から応援に来たネルさんとツルギが競争を始めてしまって……かれこれ30分はこの調子です……」
流石の二人だな……周りを寄せ付けることなく殲滅し続けてやがる。
「……ここは、任せても平気だな。やりすぎねぇように抑えろよ」
「病み上がりの仕事としては、ハードですね……」
「お前さんなら出来るだろ?ハスミ」
俺の言葉を聞いたハスミが、その大きな黒い翼を羽ばたかせて、綺麗なカーテシーを見せる。
「その信頼に応えましょう。ここはお任せください」
キヴォトスってのは、真面目な奴が多くて助かるな。
話そうかと思ったが……あの様子じゃ俺の入る隙間はなさそうだな……
今度礼を言いに行くとしよう。
「主殿~!」
「イズナ、何の用だ!」
「話されていたアリウススクワッドの居場所を発見しました!トリニティの方も分身が連れて向かわせております!」
走っていると、いつの間にか並走していたイズナに声をかけられ、そのままついていくことにした。
さて……いよいよクライマックス。
アイツらに見せてやろう、青い空と夢の力って奴をな。
己の精神性、生きてきた道。
それら細部にこそ神は宿る。
故に……
次回 神髄
いよいよ、大詰め。
あの宣言のスチル滅茶苦茶好きなんですよねぇ。
あのシーン、オーケストラ版『Constant Moderato』聞きながら読むと無限に味するんですよね、両方好き。
実は今回少し、いやかなり大事な設定を書いたんですよね。
昔に活動報告での書いた以来のものなんですが……
そういえば、総UA40万突破ありがとうございます!
この先も長く読んでいただければ嬉しい限りですね。次元先生概念流行れ
ではでは、評価、ここすき、感想お待ちしております。
今の話のタイトルが分かりにくいとの意見を得て変更するか否か
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例:殺し屋の矜持
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例:1-10
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例:1-10 殺し屋の矜持