「主殿っ!三時の方向に曲がってください!」
イズナの分身はどうやら互いの位置が感覚で分かるらしく、お陰でこうやって補習授業部の奴らとの合流が素早く行える。
イズナの指示に従って走ると、同じように走る四人組が見えてくる。
「先生~!!」
「お前ら無事だったか!」
「はい!イズナさんが助けてくれたおかげです」
話を聞くと俺と同じような巨大な守護者を仕向けられたらしく、苦戦していたが途中で手助けに入ったイズナの手を借りて、今に至るらしい。
流石、忍者。
護る戦いには向いてるようだ。
「アリウススクワッドはこの先真っすぐ進んだところにいます」
「ありがとうな、イズナ」
「えへへ、主殿の為なら何だって致します!……っ、先を急いでください」
にこやかに笑うイズナが、何かを察知したようで表情を変えて先に行くことを促す。
俺たちのことを追ってきたのか、それとも先に行かせたくないのか。
後ろから、守護者とアリウス生の部隊が見える。
それもかなりの数だ。
両手で十字に印を組んだイズナが、俺たちの後ろに立ち、口を開く。
「ここは、イズナにお任せください!」
「分かった。頼んだぜ」
「イズナさん!ありがとうございました!」
イズナが任せろと言ったんだ……なら、それを信じてやるのが主の役目ってもんだろ。
ヒフミが、イズナにお辞儀をしたのを見届けてから、俺たちは前へと走り出す。
瓦礫の山を駆け抜けていくと、アリウススクワッドの三人の姿が見える。
「もうユスティナ聖徒会はまともに動作してない。ETOが二つになった時点で、戒律は意味を無くしつつある……」
「辛うじて動く残った聖徒会も、アンブロジウスも、もう……」
「手札がないね……私達の負けだ」
どうやら、リーダーであるサオリを諦めさせようとしているらしい。
今の自分の置かれている状況を、ハッキリと理解している。
あの黒いマスクの少女は、随分と冷静に物事を見れるらしいな。
ただ、問題は、リーダーであるサオリの目が一ミリも諦めてないことだ。
その様子を見ていたアズサが、三人の前に出て言葉を話し出す。
「サオリ……もう諦めて」
「ふざけるなっ!! どうして、どうしてお前だけ……!! 私たちは一緒に苦しんだ、絶望した!この灰色の世界に!全てが虚しいこの世界で、お前だけが意味を持つのか!」
サオリは許せないんだろうな。
同じ境遇のアズサが、自分たちを裏切り、そして……銃口を向けてくることが。
許せないんだろう、虚しいと教えられたものを大切にして、自分の今までを否定してくることが。
「お前だけがそんな……青空の下に残るのか!! 全て否定してやる!お前がトリニティで学んだこと、経験したこと、気づいたこと!全て、その全てを!!」
これ以上は……見てられねぇな。
あまりにも……惨めすぎる。
「させねぇよ。サオリ」
「邪魔をするな!!次元大介ぇ!!!」
サオリの慟哭と同時に、黒いマスクの少女がFIM-92スティンガーを構えて、ミサイルを発射する。
今度は撃ち落とす。
腰からマグナムを抜き取り、素早く空中で誘爆させる。
爆煙によって分断され、その煙に紛れて、スクワッドを包囲するように動く。
煙が晴れると、俺たち五人に囲まれる二人の姿。
水色の髪の少女が見当たらない……抜けられた?
探していると背後から殺気を感じる。咄嗟にその方向を向きながら、回避を行う。
さっきまで自分が立っていた地面に巨大なクレーターが出来上がり、その衝撃で吹き飛ばされる。
いつの間にか、対角にいたアズサの場所まで飛ばされていたようだ。
「アズサ、水色の髪の女が居ねぇ、心当たりは?」
「ヒヨリがいないのか、不味い……ヒヨリは狙撃手。対物ライフルの使い手だぞ」
「……俺が抑える。お前らはサオリと黒いマスクの女を頼む」
あの射撃……手放しにしときゃ、あっという間に詰んじまう。
俺がやるしかねぇな。
四人に任せて、俺はヒヨリを抑えるために動き出す。
直前で殺気らしきものが飛んでくるからか、ギリギリで避けれるが……場所がまるで分からねぇ。
当たるよりも前に移動してるのか?
アルの時とは違って、マグナムしかねぇからな……遠距離にいるわけではねぇだろうが……
かなり不利な戦いだ。
絶えず動きながら、射撃を回避していく。
向こうも俺の動きに慣れてきたのか、徐々に弾が体を掠り始める。
ただ、こうして逃げ回っているだけのお陰か、声が聞こえ始める。
「ふふっ、痛いですよね……苦しいですよね……でも、私と違ってすぐに楽になりま──「そこか」」
スナイパーが喋るもんじゃねぇだろ。
声が聞こえた方に向かって、弾丸を放つ。
「いったぁぁい!!うわぁぁあん!」
ヒヨリだったか……こいつ随分と、マイペースだな?
悲鳴の聞こえる方向に歩くと額を押さえて、転がりまわるヒヨリが見える。
小動物みたいな女だが……今は敵だからな。
マグナムを構えると、その銃口を見て更に泣き出し始める。
「うわぁぁぁん!!私はおしまいなんですね!?捕虜にされて凌辱されてしまうんですね!!??どうせ最後なら沢山お肉食べたかったです!!」
「俺にそういう趣味はねぇ!」
なんだこの女……
潔いのか諦めが早いのか……気が抜ける女だな……
俺が頭を掻きながら、どうしようか悩んでいると、ヒヨリの目つきが変わる。
「隙ありです!」
この至近距離でNTW-20を腰だめで構えて撃ってくる。
迫りくる弾丸を、体を逸らし、何とか避ける。
が、無理な体勢の移動をしたせいか、尻餅を付くように倒れちまう。
「えへへ……だ、騙されましたね?悔しいですよね……苦しいですよね……でも、貴方はもうそんなこと思わずに済むんです。いいなぁ……」
倒れた俺に対して銃口を突き付けてくる。
流石に、こいつもプロって訳か。
ただ……その油断は良くねぇな。
「まだ、終わっちゃいねぇさ」
対物ライフルを蹴り上げる。
そのデカブツを振り回せる膂力は、中々目を見張るものがあるが……経験じゃ俺の方がまだ上らしいな。
がら空きの胴体に、マグナムを放つ。
弾の勢いに耐えきれなかったのか、補習授業部たちが戦っている方向へと派手に飛んでいく。
俺が向かうと、飛ばされたヒヨリを抱きかかえる黒いマスクの少女と、無傷のサオリが見える。
補習授業部の四人にも目立った外傷がない辺り……拮抗状態だったようだった。
だが、ヒヨリの様子を見てその事態がようやく動いたらしい。
「……今度こそ終わりかな」
「……うぅ、ごめんなさい、リーダー……」
ヒヨリが、サオリに対して謝罪をしているが、それを聞く様子もなく、血走った目で何かつぶやいている。
「まだだ……まだ古聖堂の地下に……あれが……!」
サオリたちは俺たちに背中を向けて走り始める。
どうやらろくでもないものがまだ残っているらしいな。
「サオリ……!?」
「古聖堂の地下へ!何か手段が残っているような言い方でした、止めなくては!」
俺が合流すると、行く手を塞ぐように、守護者たちが出現する。
大多数を潰したつもりでいたが、まだ生き残っていやがったみたいだ。
「……私が行く」
「あ、アズサちゃん、私も……!」
決意の固まった表情のアズサに対して声を上げるヒフミだったが、サオリを相手に無傷ではいられなかったのか、膝が震え、今にも倒れそうな様子だった。
「ヒフミ、お前さんは無理するな。その怪我ほっとけば大事になるぜ?」
「先生の言う通り、安静にしてて……大丈夫。サオリを止めたら、絶対に戻って来る」
アズサはヒフミの手を取って、目を見つめながらそう話すが、ヒフミは何処か心配そうな顔をしている。
信じたいのだろうが、心配なんだろう。
またいなくなってしまうんじゃないかってな。
「俺が着いていく。また迷子にでもなられちゃ困るからな」
「……ふふっ、ありがとう。先生」
俺とアズサのやり取りで、少しは安心したのか。
ただ頷いて、ヒフミはアズサへと話しかける。
「アズサちゃん……気を付けて!」
「うん……ヒフミ、ハナコ、コハル。行ってくる」
「はいっ!」
「待ってますよ」
「き、気をつけてね!」
三人に見送られて、俺たちは走り出す。
確か古聖堂の地下には、広大な地下墓地があるって話だったな。
まさか、アリウス校ってのはそこにあるのか?
でも、アリウスはトリニティから迫害されてたはず。
それが何でユスティナ聖徒会が所有しているこの古聖堂の地下に存在してるんだ?
……まさか、迫害しながらも支援してたのか?
アズサの後ろを走りながら、思考にふけっていると、やがて古聖堂の地下へとたどり着く。
洞窟にしては随分と広く、削られた跡がいくつも見られる。
そして、特別広い空間の中央に彼女は立っていた。
「アズサ……」
「サオリ、もう終わりにしよう」
「……良いだろう。全てをかけて、最後の戦いにしてやる」
地下洞窟にしては不思議と太陽光が届いているようで、その空間の影の中からアズサが、サオリへと歩み寄りながら、話しかける。
向こうもこの鬼ごっこを終わりにしたいようだ。
「……まだ私と1対1で、正面から勝てるとでも思っているのか?」
「いや、私は一人じゃない」
俺も影の中から足を踏み出し、光の中へと入る。
「……っ、先生」
「お前さんには、俺のスーツに穴を空けたツケがあるからな。きっちり払ってもらうぜ」
「何もかも……全て片付けてやる。お前も、その大人も……! 全てが虚しいこの世界で、真実を思い知れ!!」
彼女の言葉は、もうアズサには届くことはない。
アズサにはもう立派な芯が通っているからな。
「サオリ……私は、もう負けない」
俺が正面へと出て、アズサがバックラインから援護を行う。
こいつのCQCはかなりの練度だ。
俺ぁその辺はからっきしだがな。
体術だけなら……もっと上の侍を間近で見て来てる。
「くっ、ガンマンが間合いを詰めるとは……正気か」
「この間合いじゃ、お前さんのアサルトライフルは使えねぇだろ」
アサルトライフルの引き金に指をかけたのを見てから、銃身を叩いて左にずらし、マグナムを突き付け、発砲。
首を傾けて避けられる。
こいつも見てから避けられるのか。
アサルトライフルじゃ分が悪いと判断したのか、アサルトライフルを捨てて、ハンドガンとナイフを取り出し、右手に持ったナイフを振り上げる。
半歩引き、避ける。
サオリが詰めよるが、その瞬間を狙ってアズサがサオリに弾丸を当てる。
アズサに気を向いた隙を狙って、腹部に蹴りを入れる。
「ぐぅっ……重い、蹴り……だな……」
「前までの俺ならしなかったかもしれねぇな」
今までの俺なら確かにガキに手を上げるなんざしなかっただろう。
ただ、あの腹部への射撃。あれでようやく思い出せた。
俺ぁどう生きようとも結局は、血生臭い世界でしか生きられねぇってことにな。
あの調印式の時にみた地獄を俺は今まで何度も見てきた。
腐敗、損傷……血だけじゃねぇクソみてぇな臭い。
どんな生き物であったとしても、あの焼けた大地じゃ全て等価値として扱われる。
そんな中で俺は生きてきた。
────その『紛争』に身を焦がされた貴方が……!
俺は確かにその炎で焼き焦がされたのだろう。
────優しい瞳と、そして『紛争』が見えます
俺は何処まで行っても、てんとう虫にはなれねぇ。
それでもだ。
背負ってきたものがある。
背負わされたものも、託されたものも。
「貴様……その神秘……どこで」
「俺ぁ、託されたものがあるんだ。だから死んでやれねぇし、止めるためには容赦は出来ねぇ」
俺の言葉と同時に、アズサがサオリへと弾丸の雨を降らす。
サオリのマスクが剥がれ落ち、地面へと叩き伏せられる。
「う、くっ……アズ、サ……」
立ち上がろうとした彼女だったが……完全に地面へと体を横たえる。
あの弾丸にありったけの神秘を込めて放ったのだろう。
力の抜けたアズサが、背後で倒れる。
倒れた彼女を支えるために近づくと、背後から足音が聞こえる。
さっきの二人かと思って振り向くと、そこには紫髪の少女がサオリを立ち上がらせていた。
その少女を見たアズサが口を開く。
「アツコ……」
「げほっ!姫、どうして逃げなかった……!」
血を地面へと吐きながら、サオリが姫と呼んだ少女アツコへと話しかける。
しかし、アツコは、血に濡れることを厭わず、傷だらけになったサオリを支えながらも、視線をアズサへと向ける。
「私たちの負けだよ、アズサ」
「だ、駄目だ、姫!喋ると、『彼女』が──「大丈夫、もう全部終わりだから」」
「それにどちらにせよ、『彼女』は私を生かしておくつもりはなかったはず。だから良いの」
アツコの言葉で、俺は前に見たサオリの表情を思い出す。
あの時見せた怯えの顔。
あれは、何かしらの任務に失敗した奴が見せる恐怖の表情。
サオリがここまで執念深かったのは、アツコが殺されることを恐れてか?
「もうやめよう、サオリ」
「やめる?……アリウスに帰るという事か……? 帰ったところで、私たちは殺されるだけ……」
「だから、逃げよう。一緒に」
俺は俺の為に死ぬことは出来ない。
だが……こいつらにもこいつらの生きる理由。
殺さなくちゃいけない理由ってのがあった。
まぁ、どちらが正しいかなんざ野暮ってもんだが、少なくともそれを命令したクソ野郎がいることは間違いない。
「逃げる……」
「うん。アズサが教えてくれた。いつからか持っていたこれは……私たちの憎しみじゃない。この憎しみを、私たちは習った。それからずっと、私たちのものだと思い込んでいた」
「アツコだったな。お前さんらの裏にいるのは誰だ」
話に割り込むのは失礼だったかもしれねぇが……
それでもだ。
あのクソみてぇな教えに、その空っぽの憎しみ。
どうにも臭う。
「……『ベアトリーチェ』。アリウスの生徒会長で『マダム』と呼ばれる大人だよ」
「……ベアトリーチェ……か」
こいつらに命を狙われたのは事実。
こいつらのせいで調印式が台無しになったのも事実。
だとしてもだ……そのベアトリーチェとかいう大人が命令したのであれば……
そいつを殺さない限り、この憎しみは消えない。
またこいつらのような被害者が生まれる。
前にアズサが言っていた奴と同じ人間ではあるんだろうな……
その時、拍手が空間に響く。
「素晴らしい……実に素晴らしい」
「誰だ……テメェは」
「知性と品格、礼儀と信念、そして培ってきた経験と知恵……実に素晴らしい」
足音が聞こえる。
そして光の中へ足を踏み入れる一つの影。
頭が二つある木人形のような姿にタキシードを着た、とても人間とは呼べない姿の何かがそこに立っていた。
「私はそなたの友人ではないが、敵でもない。そしてそなたを助けることもないが、邪魔しようという訳でもない……失礼、私のことは芸術への敬意を込めて、『マエストロ』と呼んでほしい」
その木で出来た体を軋ませながら、マエストロと名乗った彼はお辞儀を行う。
随分と急な登場をしてきたもんだ……
しっかし、こいつの話し方と言い……どこかあの黒いアイツを思い出させるな。
アツコが、マエストロへと話しかける。どうやら知り合いらしいな。
「マエストロ……何のつもり」
「ふふっ、先生。そなたの姿を見て、つい気が高ぶってしまった……そなたならば、私の『崇高』を理解してくれるに違いない……!」
しかし、マエストロはそんなアツコを無視しながら、俺へと話しかける。
崇高……?
何の話だ……?
彼が、話し終えると空間が揺れ始める。
まるで、何かが出てくるかのように。
この空間そのものが悲鳴を上げている。
「……まさか、あの『教義』が完成した?」
「不完全な姿でお見せすることは、汗顔の至りだが……紹介しよう。こちらが『
空間を切り裂き、赤き天使が降臨する。
金色の意匠をつけたその存在は、この空間を支配し、その存在感は見るものを圧倒する。
「さぁ、先生……!見せてくれ!あの力を……人生を、時間を代価として得られる力……その根源も限界も、私達ですら把握できない不可解なものを……!!」
こいつは……本気でやらなきゃいけなさそうだな……
野放しにしておくもんでもない……
「せ、先生。これは……マズい、逃げないと……!」
アズサが、俺の服を引っ張って逃げようと声を出す。
悪いが、それは……出来ねぇな。
「おい、アズサ。これ預かってくれねぇか?」
俺は、懐から、シャーレの紋章をアズサへと預ける。
あの死に際に掴んだ感覚。
あの奇跡の前で感じた実感。
俺の中での足枷。
これで恐らく……いいはずだ。
「先生……?」
アズサに受け取ってもらったあと、俺は前に歩き出す。
「マエストロとか言ったな。悪いが最初から全力だ」
歩き出しながら、俺は煙草を手に取る。
「なんだ……その力は……!?」
「仕事はスマートにやるもんだ。そうだろ?」
手に持った煙草を咥え……ジッポで火を灯す。
いつだって、このルーティンは変わらねぇ。
「これが……ガンマンの……」
ライターを手から離す。
地面へと落ちていくその光が、大地へと当たり、小気味いい音が空間を支配する。
全身に力が漲る感覚。
恐らくこれが神秘ってものなんだろうな。
ミネとセナには感謝しなくちゃな。
手を治す時と体を治すときに、神秘を使った治療を行ってくれた。
どうにもその時の感覚が、残ってくれたらしい。
「マエストロとか言ったな。覚えておけ。俺はな……芸術家って奴が大っ嫌いなんだよ」
ヒエロニムスが杖を振り上げると、光線が俺の方へと飛んでくる。
光の速度だったらどうしようもねぇが、ゆっくりと見えるそれを避け、ついでに煙草を掠らせて火をつける。
前へと歩き進めていくと、地面から光が漏れだす。
世界がスロウに感じる。
前へと踏み出すと、遅れて背後へと光の柱が昇る。
「なんだ……その力は……知らない、聞いていないぞ!嗚呼、ゴルコンダならあれをどう呼称しただろう……何か高次的な表現を教えてくれただろうか……!」
何かマエストロがごちゃごちゃ言ってるが、どれも知ったこっちゃねぇことばかりだ。
あぁいう芸術家しかり、研究者ってのは理解できねぇもんだ。
余り時間もかけてられねぇな。
とっとと終わらせちまおう。
「マエストロ、お前さんの芸術は……」
俺はマグナムを構える。
今なら分かる。
こいつらに込められていく神秘ってものが。
「俺に言わせりゃ……」
銃口にヘイローが浮かび上がる。
赤黒い照準が重なる。
「ロマンに欠けるな」
引き金を引くと、銃声が響き、ヒエロニムスの胴体に巨大な風穴を空ける。
崩れ落ちながら、その赤い天使は光の粒となって消える。
その赤い天使の神秘も消え、元の空間へと戻っていく。
「さて、マエストロ。お前さんには聞きてぇことが……」
いつの間にかマエストロ、それにサオリとアツコの姿が見えなくなっている。
何処かに行っちまったらしい。
「……サオリ」
アズサが、言葉を零す。
憎悪はあれど、それでも仲間だったのだからな。
「帰るぞ、アズサ。ヒフミたちが待ってる」
「……うん、行こう」
俺たちは再び青空の元へと戻っていく。
深い闇から背を向けて。
……ベアトリーチェか。
その名前覚えたぜ。
その面を必ず拝ませてもらう。
これで決着は着いた。
全てが丸く収まった訳ではないが……
その闇に目を背けるわけにはいかない。
次回 エピローグ?
大人のカードはまだここでは使いたくないのでね……本当なら後で出すつもりだった『神髄』をここで出すことにしました。
エデン条約編始まる前に言っていたやりたいこと全部第三章なんですよね。
長かった……
さて、ようやく使い熟せるようになった『紛争』の神秘。
元々次元大介に宿っていたその神秘はとあるものが原因で、銃の方へ移動していました。
それの要因があのシャーレの紋章です。
紛争の神秘の力は、己の意思に応じた分、火力を増していく力。
早撃ちの神秘は、弾丸を加速する力、加速した分の偏差は、無意識下で補正が掛かる便利機能。
紛争自体は、彼が託されてきた思いが結晶となったもので、早撃ちは彼の愛銃が彼のためにと発現したものです。
あ、あと神髄は、次元ちゃんだけのものではないとだけ。
では、ここすき、評価、感想お待ちしております。
今の話のタイトルが分かりにくいとの意見を得て変更するか否か
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例:殺し屋の矜持
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例:1-10
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例:1-10 殺し屋の矜持