賢者の弟子   作:Yunice

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第二話 授業

いつものように授業を聞く。今日は必須科目の属性魔法についてだ。

 

「属性魔法は古くから生活に身近なものであると同時に、戦いの基本攻撃手段でもある。」

 

教科書通りの内容をつらつらと説明する先生にあきれながら窓の外を見る。

 

思った以上に退屈だな。

 

なんでこんなとこに行かせようと思ってたんだかマイマスターは…

 

「ちょっと、ちゃんと先生の話聞かなきゃだめでしょ?」

 

となりのセラがあるを注意する

 

「そうはいっても、暇なもんは暇なんだよ」

 

「それでも、よ!」

 

アルが教科書を忘れていることに気づいたのか、教科書を共有する。

 

「ありがとう」

 

「…もう」

 

 

先生は同じようなトーンで教科書の内容を説明する。

「魔法は神から与え給うたもの。属性魔法だけに限らず、魔法を行使する際は、神への感謝を忘れずに。そうすれば神は我々を神秘的な力へといざなってくれるでしょう」

 

「「「おおおおおお!!!」」」

 

学生が素晴らしいとばかりに拍手する。

そんな様子を見ていら立ちを覚える

 

 

「なあ」

 

「なに?まだ授業中よ?」

 

 

「魔法」

 

「ん?どうしたの?」

 

アルが呟いたことに疑問に思ったのか、

 

「いや、魔法の学校だからそうなのかもだけど、魔法を神聖視し過ぎじゃねえかなって」

 

「…どういうこと??」

 

「いや、魔法を発動できなくする魔法とかかけられた場合何もできねえじゃん?そんなことになったらどうすんだろってね」

 

「確かにそんなことになったら私たちは何もできないわね、でもそうなっても有効範囲外から術者を攻撃して倒せば、その術式は解除されるわ。」

 

「狙撃にしても、有効範囲内に入れば魔法が霧散するとしたら?」

 

「そうね…確かにそれだと物理攻撃しかなくなるわね…」

 

「だからまあ危ういなぁって」

 

話をしていると、先生が注意する。

 

「私語は厳禁だ。もし何かあるのであれば挙手して発言なさい。」

 

「ではそれでは」

といい、アルは挙手し、セラへ投げかけた疑問を言った。

 

「そんなものはない。仮にあったとしても、有効範囲外から術者を攻撃して倒せば、その術式は解除される」

 

「いや確かにありました…そして実際有効範囲外からの攻撃でも解除されませんでした。記録によると大陸歴405年(エルノアの大厄災から405年)の大陸30年戦争でその存在が確認されました。青の山岳地帯で、ヴィシス連邦の前身である、中立国家オズニカ共和国が神聖アウグストゥス帝国により侵攻され、籠城戦を強いられた時です。無知の世界という魔法無効領域を形成したことで、半年も粘ったと言われています。これは明らかに長射程による魔法攻撃を防いだという証拠です。」

「」

 

「これを防ぐためにはどうすればよいと思いますか?皆さんもよく考えてみて下さい。魔法攻撃を無効化された場合に私たちができることを。」

 

あたりがざわつく。

何人かの学生がアルに言う。

 

「ならお前はどう考えてるんだよ。初級魔法しかできないやつが考えても無駄だけどさ!」アハハ

 

冷やかされても毅然とした態度でその質問に答える。

 

「私が思うに、魔法とは別のやり方で敵を排除するやり方を新しく考える必要があると思います。例えば、玉を安定した軌道で飛ばす装置とかね。魔法は決して万能ではない。実戦経験を積んでいくとともにそれを理解できるとは思います。」

 

 

 

「初級魔法しか扱えないお前が実戦の話ししてんじゃねぇ!」

 

「そうだそうだ!」

 

 

「それを言われると確かに耳が痛い。だが、一度考えてみるのも良い機会だと思います。」

 

 

 

「こら皆さん、誹謗中傷は良くないですよ?あと、確かに魔法無効化については再考の余地があると思います。ということで、どのような案が挙げられるか、これを今日の課題としたいと思います。以上、今日はここまで。」キーンコーンカーンコーン

 

 

 

 

授業が終わり、学生たちは教室を後にする。

アルはセラと一緒に廊下を歩いていたが、さっきの議論のせいか、周囲の視線が少し気になった。

 

「…目立っちゃったわね」

 

「まあ、しょうがないだろ。疑問に思ったことは聞くべきだし」

 

セラは少し複雑そうな顔をしながらも、アルの意見を否定はしなかった。

 

「でも、みんな魔法が全てって信じてるのよ。神が与えたものって言われ続けて育ってきたんだから」

 

「だからこそ、もし魔法が使えなくなったらどうするか考えとくべきだろ」

 

アルがそう言った瞬間、後ろから声が聞こえた。

 

「おい、アル!」

 

振り向くと、そこにはさっき授業中にアルを馬鹿にしてきた生徒の一人、ガルシアが立っていた。

 

「お前、さっきは偉そうに語ってたけど、結局初級魔法すらまともに使えねぇんだろ?だったらご高説を垂れる前に、まずは魔法の訓練でもしたらどうだ?」

 

周囲の生徒たちがクスクスと笑い始める。

 

「……」

 

アルは反論しなかった。ただ、まっすぐ彼を見つめたままだった。

 

「なに、言い返せないのか?」

 

「まず君の名前を聞いていいかな?」

 

「は??この俺を知らないだと?随分ナメられたもんだなあ!!俺はレオ、レオガルーダだ!ガルーダ伯爵家の次期当主だ!」

 

「ほう、あの商務卿ガルーダ伯爵の長男か。彼とはいつも話をしていたもんだよ」

 

「は…?なんで父上とお前が話をするんだよ!」

 

「あー、いや別に、以前偶然野盗から助けてもらったことがあるだけだよ。それより、初級魔法しかできないって話だけど、初級魔法を抑えていれば、基本生活には困らんだろう。」

 

「そんな事を言ってんじゃねーよ!俺はただ…」

 

「いや、俺は別に魔法を否定したいわけじゃない。ただ、頼りすぎるのは危ういって言ってるだけだ」

 

「はぁ?何言ってんだよ、お前。魔法なしでどうやって戦うってんだ?」

 

「たとえば、こういう方法とか?」

 

次の瞬間、アルは床に落ちていた木の棒を拾い、レオの足首を素早く引っ掛けた。

不意を突かれたレオはバランスを崩し、後ろに尻餅をつく。

 

「お、おい!何しやがる!」

 

「魔法を使えなくても、こういう方法なら戦えるってことさ」

 

「……!」

 

レオは悔しそうに顔を歪めた。

 

セラはそんなアルを見て、呆れたような、それでいて少し楽しそうな表情を浮かべていた。

 

 

「手荒な真似をして申し訳ない。ただこうするのが一番理解してもらえると思ってね」

 

「て、てめえ……」

 

「まったく、そういうのも大概にしなさいよね?」

 

「悪かったと思ってるよ」

 

 

 

「そういうことじゃなくて…。でも、面白いわ。私も、魔法以外の戦い方を考えてみようかしら?」

 

レオは驚いたようにセラを見た。

 

「お前もヤツの口車に乗るのか?!」

 

「だって確かにアルくんの言うことにも一理あるもの。魔法が使えなくなったときのために、何か備えておくのは悪くないでしょ?」

 

その言葉に、アルは少しだけ微笑んだ。

レオは顔をゆがませながら認める。

 

 

「ちっ…そうかもな」

 

そしてレオは続ける。

 

 

「おいアルノート・エルノア!次こんな真似したらただじゃ置かねえからな」

 

 

 

「次会うときは理解してくれることを信じているよ」

 

 

「ちっ…」

 

 

 

 

 

 

なんだかんだこの学園生活も退屈しないな。

 

 

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