ループって知ってる?
同じ事柄を永遠と繰り返す事、漫画やアニメ、最近ではラノベの原作がハリウッド映画になったりしたよね。
有名なラノベの中では
ゲームなんかじゃ、セーブポイントでセーブすれば死んでも何度でもやり直せるよね?
何でこんな事を説明しているのかって?
そんなの決まってるじゃん!
私、セーブポイントを設置できるんだ!
……ちょっと、そのイタイ子を見るような視線は辞めてよね!
私が言ってることは本当よ、本当!
あー、本当、本当詐欺かーって……だから違うんだって⁉︎
詐欺なんていうちっぽけな物なんかじゃないわ。
私は使えるのよ。
死ぬことで人生をリセットできる力を、ね……。
私の一族は稀にこの能力に目覚める人がいるのよ。
私の曽祖母が同じ能力を持っていたわ。
もう曽祖母はいないから使える人はいない。
否、いなかったわ。私が産まれるまでは……。
何でかよくわからないけど私に能力が発現したのよ。
その事を知った親戚一同大騒ぎ。
財界に影響力を持っていた我が家……桜雨家は代々この能力を利用して財を成してきた。
私の能力は記憶や人を引き連れてやり直せる。この能力は彼らが喉から手が出るくらい欲しがっていた力。
曽祖母の消失以降、荒れる桜雨家だったけど皆私の能力をアテにして再起を図ったわ。
何度も何度も私を殺して……。
殺されてもセーブポイントを設置している限り、私は何度でも甦る。
『全てなかったこと』にして、ね……。
私は今、8歳。
小学生なんだけどもうすでに3桁は死んでいる。
どれも事故死……に見せかけた他殺なんだけどねっ!
さっきも殺されて戻ってきたところなんだよ。
「はあ〜。またやり直しね……」
設置していた砂山を直しながら私は愚痴をこぼす。
側から見れば砂山遊びをしている幼女……に見えなくもない。
小学生2年にしては私は小柄で痩せっぽちだからね。
痩せてるのは認めるわ。だけど砂山遊びをしているわけではないわよ?
今直している砂山に小枝を差して小枝の先端に魔法で火をつけた物、これが私の能力を発動させる『セーブポイント』よ!
砂山を直した際に、『MBS』とアルファベットを書いて火をつければ準備は万全よ!
このセーブポイントがある限り私は何度死んでもやり直せるわ。
死ぬのはものすごく痛いから本当は嫌なんだけどねっ!
「今日、これで5回目……はあー。なかなか変わらないわね」
「キリナ、戻ったの?」
成果が出なくて溜息を吐いてる私を呼ぶのは母のキリカ。
ハニーゴールドの金髪に、モデルのように背が高く色白で肌の艶もいい。
私と違ってメガネもかけてない。
母の視力は両目で6.0もある。
私は乱視でメガネかけても両目で1.0しかないのに。
顔は母親似、性格は父親に似てわりと臆病で慎重派……と言われているけど、実は内面は全く違う。
虚弱な美少女に見えるように演じている。
この事を知ってるのは目の前の母ともう2人。
母にはすぐバレた。
何で猫被りをしているのがわかったの?という質問に、母は……親の感よ!と答えた。
母親センサー半端ねえぇぇぇ……と当時、質問した時(3歳)に思ったわ。
母親は武装職と呼ばれる仕事に就いている。
父親は一族が所有しているホテルのオーナーだ。
まあ、経営は部下に丸投げしているみたいで、現在は世界中をブラブラ旅している。
たまに外国の絵葉書とか写真が送られてくる。
前回はイギリスのウェールズに行っていると知らせがきた。
フードを被った怪しげな人達に混ざってストーンサークルの前でピースしている写真を送ってきたけど、今度も一緒に捕まらないか心配。
二つ前のやり直しで変な人達の仲間として捕まる時間軸も存在した。
すぐに全員脱獄していたようだけど。
「く、苦しい……です、母さん」
私の首、頸動脈を絞めるようにぎゅー!と回してきた細長い腕を絡めせて抱きついてきた母親に抗議したが、母さんは何を感違いしたか今度は私を抱き抱えて自身の局部、そこに存在する広大な谷間。グレートキャニオンに私の顔を埋めた。
「はあはぁ……」
「あああぁぁぁ私の可愛いキリナちゃん。今日は誰に殺られてしまったの?」
訪ねる台詞と行動が合っていないが、我が家では割とスタンダードな光景なのでスルーします。
いや、スルーしたら私は窒息死してしまうんだけどねっ!
「こんな可愛いキリナを殺るなんて……後でソイツに風穴を開けないとね」
人様にとてもおみせできない瞳で母さんは私が作った砂山を見て呟いた。
「んぐー、うもー!(風穴を開ける前に私が先にご臨終します!)」
「あらあら……恥ずかしやがり屋さんなんだから」
がしっ!
さらに腕に入れる力を増して母さんは私の顔を自身の豊富な胸元に抱き寄せます。
母さんみたいなモデル体型な女性のどこにこんな馬鹿力が発揮できるところがあるのか、とても不思議な光景ですが殺られそうな私は必死にモガきます。
_____ドン、ドン。
母さんの背を塞がれてない小さな両手で懸命に叩きます!
どうか母さんに私が嫌がっていることが伝わりますように!
僅かな希望を込めて叩きましたがいっこうに力が弱められる気配がありません。
むしろ込められている力がさらに入ったように感じます。
母さんは嬉しそうに微笑んでいますが現在、私の生命はマッハでピンチです。
私の生命を狙う最大のボスキャラは何と……実の母親でしたっ!