ちょっと本編のネタバレもあるのでダメな方はバック推奨。
本編の方は筆進まないのに、こっちはスラスラ書けてしまった。
謎だ……。
あれから、8年経ちました。
高校生になった私は、朝は学校行きのバスに乗って普通に学校に通う、普通の日常を普通に過ごす花の女子高生な生活を送る……なんて、当たり前の生活が出来るはずもなく……。
「……何でこうなった、のよ⁉︎」
私、桜雨キリナは現在、人生何度目になるか訳らない、ピンチな状況に陥っています。
手にしている携帯電話。
それから聞こえてくる音は、無機質な機械から流れる人工音声。
『その バスには 爆弾が 仕掛けて ありやがります』
「……そんな……掛かってくるのは私じゃないはずよ」
以前のループでは電話を受けたのは中等部のメガネを掛けた女生徒で私じゃない。
私も確かに視力は悪いけど、普段はコンタクトにしてるから間違いようがないはずよ。
『助けを求めてはいけません。誰かに知らせたり、死のうとしたら……爆発しやがります』
「なっ……⁉︎」
思わず驚きの声を上げてしまいました。
助けを求めたら爆破すると警告されたから、ではありません。
私が驚いたのは後半の部分。
『死のうとしたら爆発する』。
確かにこの声の主はそう言った。
この爆弾犯は私の能力を知っている⁉︎
それは、以前までの時間枠ではなかった出来事。
沸き起こるのは何故? という疑問と私を知るこの声の人物は一体誰だ、という疑問。
『スピードを落としたら その バスは 爆発 しやがります』
爆発する。
爆発してしまう⁉︎
私は死んでもセーブポイントがある温室まで戻るだけだけど。
もし、私が警告を無視して自殺したら……周りにいる関係ない多くの生徒達を見殺しにする事になる。
出来ない。そんなの……私には出来ない。
助けなきゃ!
ここにいる人達全員!
携帯から聞こえてきたその声で我に返った私はすぐ様行動を開始した。
座っていた座席から立ち上がると私は混み合うバスの中を移動して、運転席を目指した。
本当なら爆発物の有無を確認したいけど、こう、混み合うバスの中では誰にも気づかれる事なく爆発物を探す事なんて出来ない。
だから、爆発物が実際にあるかどうかは解らないけど、万が一に備えて運転手には知らせよう。
そう思って移動している時だった。
どんっ! と人にぶつかってしまった。
爆発物の事で頭がいっぱいだった私は、進路上に誰がいるのかよく確認していなかった。
顔を上げて、相手の顔を確認すると私は思わず唸り声を上げてしまった。
私の目の前にいたのは、私がぶつかった相手は。
よく知る従兄弟だったからだ。
「げっ? 何で朝からアンタの顔を見ないといけないのよ。
この、むのー」
これまた、以前までの時間枠にはなかった出来事で混乱のあまり大声を出して叫んでしまった。
ううっ、周りの視線が痛い……。
「朝っぱらからいきなりそれかー⁉︎」
キャンキャン、とチワワのように喚く目の前の男の名前は、八神
私と同じ武偵高に通う一個上の一応先輩にあたる人だ。
従兄妹同士という事もあって、昔からよく知っている間柄なので普通にタメ口で会話している。
「むのー」と呼んでいるのは、昔からループ先で問題しか起こさなかったからで、いつしかそれまで呼んでいたミツル兄から、自然とむのーという呼び方に変わってそれが定着してしまい、今だにそう呼んでいる。
「煩いわね、このむのーは!
喚くなら鳴きなさい。
ほら、ワンと鳴きなさいよ」
「は?」
「「は」じゃないわよ。このむのー!
ワンよ。ほら、言いなさい」
「わ、ワン?」
まさか、本当にいうとは思わなかったわ。
けど、なんていうか。
……この、むのーにむのーって言いながら命令するとなんだかゾクゾクしてくるのよね。
「オッケー。
じゃあ、その頭踏ませなさい」
「へ?」
「踏・ま・せ・な・さ・い・よ〜……このむのぉぉぉ‼︎」
「おい、ちょっと待て!
バカ、止めろ!」
「え、きゃあー⁉︎」
スカートをたくし上げて足を高く上げた私の足を掴んだむのーは、力を入れた私の力を逆に利用して私を床に転ばせた。
ドシーン、と尻餅をついた私を見下ろすように呆れ顔をしながら私に説教をしてくるむのー。
アンタは私の保護者か⁉︎
そう、心の中で叫んだ私は悪くない。
全くむのーなくせに、むのーのくせに……むのーなのに。
そう、思っていた時だった。
「おい、お前。私のパパをむのーとか言ったな……」
気づいた時には遅かった。
私の足が固まって動けなくなった。
足が石になった。
比喩ではない。
本当に足が石みたいに石化したのだから。
「死刑……」
私が最後に見たのは、目を虚ろにした黒髪の美少女の姿だった。
その少女の存在も……やはり、私には身に覚えがない出来事でした。
ああ、また……私は死んで行くのね。
セーブポイントに。