SEED世界に転生したら特大厄ネタクローンだった   作:ハピエン主義

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遅くなりましたが申し訳ない


7話

「識別番号、バーミンガム級七番艦ミラノです!」

 

 ミラノ!?しかも単艦で!?いや、たしかに“浮かぶ要塞”バーミンガム級なら、一隻で艦隊級の戦力を誇るけど……まさかボクたちのために、ジェシカ・ハイマン准将本人が来るなんて!?こ、困るって……。

 

「ハイマン准将も人が悪い、補給のためならわざわざミラノでは無くネルソン級なり、ドレイク級なりを送ればいいものを、これではわざわざザフトに襲ってくれと言わんばかりだ……」

 

 オム少佐は、呆れたように愚痴を吐き出した。

 

 とはいえ、バーミンガム級は、かのカニンガン中将が「落とすには一個艦隊が必要」と評したほどの堅牢さと、対空火力・ビーム耐性を兼ね備えた戦艦だ。素直にMSで攻略しようにも、ザフトの戦力では、要塞攻略用のD装備に変更したジンで蜂の巣にするしかない。だが、D装備のジンでは、ミラノの高性能な対空砲火の前では的同然だ。

 

「それだけこの船には──アークエンジェルには価値がある、ということですかね?」

 

「そうなら良かったんだがな、ザフトにはバーミンガム級を落とせる戦力がないことを踏まえると大西洋連邦宇宙軍は未だにドレイク級一隻すら惜しまないといけないようだ」

 

 アークエンジェルのためにネルソン級やドレイク級を失うくらいなら、確実に帰還できるバーミンガム級を出す方がリスクは低い──オム少佐は、そう付け加えた。

 

「バーミンガムはMA搭載数が少ない、頑丈かつ高火力かつ対空砲火に事欠かないとはいえ、アークエンジェルを守れる余力があるわけではない。

 

 ということで君やキラくん、ムウ大尉やフレイくんに頑張ってもらうしかないわけだ、頼むぞ」

 

 うへ。やだなぁ……。

 

 

 

 

 

「敵の先遣艦隊を捉えました、これは……バーミンガム級……ですか……」

 

 レーダーに映る機影は、単胴かつ二基の艦橋を有する特徴的なシルエット──間違いなくバーミンガム級。

 

「なるほど、ハリネズミか。しかし本当に厄介な、アークエンジェルにはそこまでする価値があるというのかね?」

 

 アークエンジェルそのものには、そこまでの価値は感じない。高性能とはいえ、所詮は艦艇一隻に過ぎない。宇宙艦隊が壊滅した今となっては貴重ではあるが、それでもバーミンガム級を投入してまで回収すべき代物とは思えない。もし価値があるとすれば──それは、搭載しているMSの方だ。だが……。

 

「特殊装甲のプリッツはともかくイージスやデュエルは性能はともかくOSとしての完成度は正直物足りない。しかも強奪されたのであれば残りの一機をわざわざ回収するメリットは少ないはずだ」

 

 アデスに追跡するように指示を出し、自室に戻り思索を続ける。

 

 となると、エルランが情報をこちらに渡さなかった“もう一機”、──ミゲルが背後から強襲された、あの機体が鍵か。

 

 残された画像を見るに駆動性や機体性能、操作性を外から見る限り問題を感じなかった、これは後に偵察を行なった機体を追い返していることもその証拠だ。

 

「ナチュラル用OSなら、わざわざ別系統で開発するはずがない。あの一機は、別枠で設計されたコーディネイター用MSと見るのが妥当だろう」

 

 大西洋連邦はブルーコスモスの反動というには明らかに過剰なコーディネイター支援政策を取っていた、プラントの一部の迫害されたコーディネイターが大西洋連邦に流出し、ユーラシアや東アジアからも多くのコーディネイターが移住している。そのためコーディネイター専用OSを搭載したMSを設計していてもおかしくない、おかしくはないのだが……。

 

「はっきり言えば時間が掛かりすぎだ、大西洋連邦の開発体制や国力を鑑みるとこの程度の性能の機体に10ヶ月もかかるはずがない」

 

 コーディネイター専用OSの開発に時間がかかったとしても、手本となるジンが居るわけだ。1から作るナチュラル用OSとは訳が違う。

 

「嫌な想像をしてしまったな、あのゴーグル付きが既に開発が完了し、実戦データの回収を目的とする廃棄寸前の試作機で。そしてその背後に、本命のMSが──シグーや強奪機など比にならぬ性能で、待機しているとすれば」

 

 おそらくそのMSはザフトの優位を突き崩す最強の矛になるだろう。

 

 もしそうだとしたら、あの女狐は……成果の乏しい開発計画を“強奪”で強制終了させ、内通者に“功績”を与え、廃棄予定のMSで“実戦データ”を確保する。一石三鳥だ。

 

「つくづく私も厄介な人間を味方にしてしまったものだ、考えることばかりが増えて、仕方ない」

 

 

 

 

「ハイマン准将、プロトタイプアレックスの整備が終了しました」

 

「中尉、報告ありがとう」

 

 ジェシカ・ハイマン准将は、艦長室に報告にやって来た部下を労い、目の前の資料にもう一度目を落とした。

 

 プロトタイプアレックス、制式型番GAT-00-Xは各基地に配備予定のGAT-00-CD アレックスの最終試験機体である。アレックス自体のOS、機体は完成しているものの、宇宙での慣熟訓練中のパイロットからはピーキーすぎる、という評価でありさらなる戦闘データの回収のため、オーブを経由しニューヨーク基地へ移動予定のアークエンジェルへの補給が決定した。

 

「オーブを経由し、ねぇ。G計画もオーブの支援ありきだし、高官たちは何を考えているのやら」

 

 

 

【用語解説】

・バーミンガム級

 ワイアット大佐(現少将)の提案によって作られた全長400mを有する宇宙専用戦艦、装甲にはモリブデン合金装甲を大量に使用している。極めて高性能な対空砲も24門、対空ミサイルポッドも艦橋を挟んで前後にそれぞれ16門あり、対MS戦闘能力はMS登場前に設計された戦艦としてはずば抜けている。一方でアガメムノン級に2門搭載されている”225cm 2連装高エネルギー収束火線砲ゴットフリートMk.71“は1門のみであり、対艦戦闘用に使用可能な装備は他に存在しないなど、あくまで艦隊火力は他の艦に依存する設計である。

 

 

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