SEED世界に転生したら特大厄ネタクローンだった   作:ハピエン主義

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8話

「なんすかこれ、ちょっとこれ本当に人が乗ること考えてるんですかこれ!」

 

 ボクは激怒した、かの邪智暴虐なる……ハイマン准将とMS開発班に問い合わせることをきめた。

 

 ザフトの襲撃をゼロヒトとストライクでなんとか凌いだ後、ゼロヒトはデータ回収のために一時的にミラノに引き渡され、代わりに渡されたのがプロトアレックス。見た目はアレックスの見た目にG-3ガンダムの塗装をしたような感じ、要するになんかグレーのアレックスである。

 

 で、乗って見た感想なんだけど。………はっきり言っていい? 乗り心地のいいゼロヒト返して欲しい。出力と反応性がずば抜けてていいのはまあいいよ、1、2世代は先の出来だと思うし、そこのストライクすらシミュレーションで圧倒できるのはいい、いいんだけどさ。OSが全然追い付いてないよこれ!感覚的に10ミリ秒単位でラグ感じるんだけど気のせいかなぁ!

 

 別にOSの性能がゼロヒトより落ちてる訳じゃない、ゼロヒトレベルなら追いついていたけど多分このプロトタイプアレックスの機動性にOSの反応速度が追いついてない。

 

「フレイちゃんごめん、これ何とかならない?」

 

 ごめん、こればっかりはボクには無理なんだ。多分キラはストライクの方で手一杯になると思うし。

 

「わーかったわよ、ちょっと見せてみなさい」

 

 渋々、と言った感じでキーボードを引っ張り出してOSのチェックを始めるフレイ、相変わらず綺麗だね」

 

「別に褒めても何も出ないわよ、しっかしこれがコーディネーター専用OS? 確かにこれを動かせるならコーディネイターしかいないけど、これを連邦が参考にしてナチュラル専用OSを設計したとしたら当然手間取るわよ、わたしから見ればスパゲッティもいいところね」

 

 あ、やべ。漏れてた。

 

「1から作り直すにしたって、多分そんな時間はないわよ。私もそのうちアークエンジェルを離れるし」

 

「そのことなんだが、フレイ・アルスター嬢、申し訳ないが貴女の除隊はニューヨーク基地でしか認められない」

 

 いつのまにかジェシカ・ハイマン准将がアークエンジェルの格納庫にいた、なんで?

 

「ハイマン准将、こんなところまでいらっしゃらなくても、御用命があれば呼び出していただければ」

 

「いや、カニンガン少尉に用事があった訳ではないのでね。アルスター嬢についてだが、レビル将軍がナチュラルでありながらコーディネイターと同等に戦える腕、極めて優秀な頭脳とエンジニアリング能力に興味を持っていてね、ニューヨーク基地で是非会いたいと。大西洋連邦の臨時徴兵制度を利用してでも戦争中は手放さないと仰っている。あの方は使えるものは何でも使われる主義だ、私とて止めようがない」

 

「そんな無法な、わたしは大西洋連邦の外務次官の娘なのよ? それを臨時徴兵でって……」

 

「無法も何も君が過ごしている大西洋連邦はそういう国だ。文民統制など形だけ、船頭は複数人、お互いに交渉し合うから山には登らないだけで、な」

 

 ボクも時々実感することがあるが、連邦政府上層部は軍には逆らえない、ロゴスにスポンサーをされていた政治家は特に、らしい。ショックを受けているフレイの背中をさすりながら、ボクはボクで大西洋連邦はあまり褒められた国ではないという事実を改めて実感する。

 

「ティアンム提督も憤慨していらっしゃったが、それはそれとしてアレックスの開発を主導したのはレビル将軍なのでね、そのMSの軍事機密を握ってしまった人間をどう扱うかは彼女次第、と言う訳」

 

「准将ですら中間管理職、と言う訳ね、大西洋連邦って夢がないわね」

 

 フレイちゃんが再起動した上で皮肉を放り込んでいるが、大体の軍がこんなもんである、大西洋連邦軍は文民統制がなってないから多少は好き放題やれているが、大体政府の言うことには逆らえない。

 

「ま、何も無しで君たちをニューヨーク基地に送りつける訳ではない。ハルバートン准将からは物資や弾薬、ストライク以外の戦力も出すそうだし、レビル将軍からは地上における補給も取り付けてある」

 

 ハイマン准将はプロトタイプアレックスを見上げるとこう呟いた。

 

「“これ”も、その一環なのだが……やはりあまり良くはないか……」

 

「まあそうですね、別にOSがダメ、というわけではないんですが。それ以上に機体性能が高すぎるんですよ。乗り心地だけなら同じOSでもゼロヒトの方がやはりマシというか」

 

 

 

「地上は既存戦力で今のところ成り立ってる、レビル将軍は地上戦は心配いらないから宇宙に間に合えばいいとはいうが。宇宙に間に合えばそれでいいというのは流石に楽観的すぎるよ、君やフレイ君の戦闘データでより開発が進めば良いのだがね」

 

 ……そも、上層部は本当に宇宙を取り戻すつもりがあるのかね? 確かに地上のザフトを蹴り出し、そこで和睦をしてしまえば最低限の軍事費で済む。プラントの技術を和睦と引き換えに手に入れれば宇宙の進出、さらなるコロニー開発、『宇宙に対応するために生み出されたコーディネイターのため』ではなく全ての地球人民のための宇宙開発を進められる。だがそんなに簡単に進むと思っているのか? ザフト自体の強硬派は? 一定の軍事的優位も作らずにプラントのタカ派をどうやって鎮めるつもりだ?」

 

 ハイマン准将が真剣な顔になると不穏な情報をこぼし始めた、やだなぁもう。そうなったらボクらの苦労が特にしなくていい苦労になっちゃうじゃん。

 

「あの、ハイマン准将。漏れてますよ?」

 

「すまなかったね、余計な話を聞かせてしまった。第八艦隊と合流したらあたし秘蔵の高級アイスクリームを積ませていてね、少しばかり融通するわよ、これで手打ちにしようか」

 

 うへ、その時はキラくんにも奢ってあげてくださいよ、彼は本来ボク達と違って、ここにいて良い人じゃないんですから。

 

【用語解説】

・プロトタイプアレックス

 最先端バッテリーを採用しており、機動力は同世代の核エンジン機であるフリーダムやジャスティスと互角に戦えるレベルであり、継戦能力もフェイズシフト装甲を採用せず、純粋なモリブデン合金複合装甲であるため同世代のバッテリー機であるストライクを圧倒するなど極めて高い。

 一方でフェイズシフト装甲を採用していないため大気圏突入性能を持たず、また装甲は高性能とはいえフェイズシフト装甲より実弾防護は一段落ちるためパイロットの腕は相応のものを求められるほか、OSの完成度は現時点では高くない。

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