Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。サイドストーリー   作:モブ好き

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魔法使いジェミー

 

「紹介したい女?」

 

「ええ、外に連れてきていますわ」

 

通い慣れた小さな酒場、カウンター席に座って酒を飲んでいると後から合流したカミラは

ボルへと話しを切りだした

 

「いきなりだな、酒は飲まないのか?」

 

「気の変わらないうちに紹介しようと思って、必要ないなら帰って貰いますけど?」

 

「……いや、すぐに行く」

 

サンダーパイクに所属するカミラの紹介する女、と言う所でピンときたボルは

残りの酒を飲み干すと酒代を置いてカミラと酒場の外へと出る

 

夜風に当たりつつ周りを見回せば、フードを被った怪しい人物の姿

 

「あれか?」

 

「ええ、ここでは目立ちますし裏路地にでも行きましょうか」

 

ボルを先導するように歩いて行き、近くの路地裏へと入って行くカミラ

後ろを見るとフードを被った怪しい人物もこちらの後について来ており

裏路地の中を3人で歩いて行く

 

「……さて、ここで良いでしょう。ジェミー」

 

「だよなっ!やっぱり魔法使いジェミーだよな!?」

 

「……貴方、私の時と態度違いすぎません?」

 

呆れた様子でこちらを見るカミラをよそに、怪しい人物はフードを脱いでその素顔を晒すと

ボルの予想通り、その正体はサンダーパイク所属の魔法使いジェミーだった

 

「カミラからは『金になる仕事』としか聞いてないんだけど、何をするわけ?」

 

「ああ、それならスラムの酒場に行くか。久しぶりにカミラの踊りもみたいからな」

 

「では行きましょうか、ジェミーもついて来て」

 

そして再び歩き出し、夜の街を歩いて行く

 

「ジェミーさんよ、カミラの誘いに乗ったって事はアンタも金に困ってるのか?」

 

「ま、察しの通りよ。近頃はクエストも失敗続き、男たちは不機嫌で近づきたくも無いし

 でもカミラだけは結構羽振り良くて気になってたのよね」

 

「それで哀れに思って誘ったと言う訳です」

 

「そりゃどーも」

 

軽口を言い合うカミラとジェミー、その様子を背中越しに見てボルはニヤリと笑う

カミラだけでなくジェミーも引き抜くチャンス、これは生かさないといけない

 

しばらく歩き、贔屓にしているもう一つの酒場へと到着するとカミラは店の奥へと入って行き

 

「で、アタシはどうすれば良いの?」

 

「ああ、ジェミーは俺と一緒に見学だ。そこの空いている席に座ろうぜ」

 

取り残されたジェミーと一緒に席へと座り、酒を二人分注文する

 

「……すごく見られてるんだけど?」

 

「そりゃサンダーパイクは有名って言うのを抜きにしても、ジェミーは美人だからな」

 

「……アンタ、そうやってカミラを口説いたってわけ?」

 

「ははっ、美人を見たら口説きたくなるってもんだろ?」

 

軟派な男、とジェミーはぼやき運ばれてきた酒を一口飲む

 

「酒は中々ね、埃っぽくなければもっと良かったけど」

 

「カミラも同じ事言ってたな、やっぱり女は綺麗好きだな」

 

「常識の話をしてるんだけど」

 

と、ジェミーに呆れたらたところで酒場の雰囲気は変わり、ジェミーは店の中を見回す

どうやらカミラの準備も整ったらしい

 

「そろそろ始まるぜ、見てりゃ仕事内容は大体分かるだろうさ」

 

ボルの言葉を合図に、お立ち台に踊り子衣装を身に纏ったカミラが現れ

お辞儀をすると妖艶な腰つきで踊り出す

 

「妖艶な踊りだろ?」

 

「大股開いて腰振ってるのは妖艶じゃなくて下品でしょ、アンタカミラに

 変な魔法でもかけたわけ?」

 

そう言ってジェミーは胸元を守るように押さえ、ジト目でボルを睨む

 

「いやいやこちとらただの冒険者だ!そんな物騒なもんは使ってねえよ」

 

「どーだか」

 

「ほらあれだ、ちょっとヨイショしたら良い具合にああなっただけでな……」

 

折角の機会を逃がすまいと慌てた様子で説明していると、ボルの話にピンと来るものが

あったらしくジェミーは小さな声で『あっ』と呟いた

 

「あ~、そう言えばクエスト失敗続きでちやほやしてくれる機会も無かったからなぁ……

 なるほど、おだてられて気分良くなっちゃったわけね。理解したわ」

 

「流石パーティーを組んでいるだけあるな」

 

「で、アタシもアレをやらないといけないの?」

 

ものすごく嫌そうな表情で相変わらず腰を振って踊るカミラを『アレ』呼ばわりするジェミーに

 

「いや、ジェミーはやらなくていいさ。カミラと違って愛嬌もあるし普段の格好も

 露出多くて良いからな。下品なのはカミラに任せておけばいい」

 

「ふ~ん、ま、こっちも懐事情は困ってるし、稼げるなら協力するわ」

 

「おお、それは助かる。報酬は期待しててくれ……それと」

 

ボルはお立ち台で踊るカミラを一度見て、袋の中から紙とサインペンを取り出し

 

「ジェミーのサインを何枚か貰えないか?仲間もアンタのファンなんだ」

 

「それは良いけど、ちらっとカミラを見たって事はあっちは書いて貰ってないってわけね」

 

「まぁ、良い機会だから後でカミラにもサインを書いて貰うさ」

 

「あははっ、アンタ思ったよりカミラの扱いに慣れてるわね」

 

今日初めて笑顔を見せてくれたジェミーは、クスクスと笑いつつもしっかりと

渡された紙にサインを書いていった……

 

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