前世暗殺者の大学生in名探偵コナン 作:首領タコス
工藤くんが私の家にコナンくんとして居候することになって数日経った。
あれからその黒ずくめの男たちには遭遇できてない。
最近あったことは私はバイトでいなかったが、コナンくんの協力の元、父さんが現役人気アイドル沖野ヨーコさんの部屋で起きた事件を解決したこと。
コナンくんは小学生として帝丹小学校に再び通うようになり、元太くん、光彦くん、歩ちゃんと言う友達と共に少年探偵団として、イタリアの強盗を捕まえて、隠したお金も見つけて、大手柄と警察の人たちからも褒められたことぐらいかな。
コナンくんは毎日ガキのお守りなんてやってらんねーぜってたまに愚痴を溢しているが、ちょっと微笑ましく感じる。
それよりも大変なのは蘭の方だった。
工藤くんがまた、学校に来なかったとため息をついて過ごすのが毎日になってしまっている。
蘭に工藤くんの秘密がバレると、正義感の強い彼女なら無鉄砲に黒ずくめの男たちを探り、危険な目に遭いかねないので意図的に隠しているが、蘭の心が心配だ。
私や秘密を知っている阿笠博士がフォローをしているが、限界があるし、何かいい方法はないだろうか?
「うーん、難しいなぁ」
「何が難しいの?」
「あっ、梓さん、聞かれてましたか?」
「うん、でも、珍しいね。楓ちゃんが悩みごとなんて…まさか」
梓さんの目が輝くが、あいにく色恋沙汰ではないことはきちんと説明をすると何故か残念そうな表情になった。
「そういえば何を悩んでいたの?」
「最近、蘭が元気がないからどうやったら元気になるかなーと思って悩んでいます」
「そうね。そう言う時は彼からの愛のプレゼントとかが一番効くわよ」
「なるほど、確かに一理ありますね」
その彼がいないから今、元気ないんですけどねとは言えずに適当に相槌を打った。
本当にどうしようかな?とりあえず一人で悩んでいても仕方ないし、阿笠博士とかと相談しに行こうかな。
「おっ、コナンくんもいたんだ」
阿笠博士の家に行くと、コナンくんがオレンジジュースを飲みながら、ニュースを見ていた。
「ああ、博士が渡したい発明品があるからって呼ばれたんだ。それにしてもここでもコナンくん呼びかよ」
「まぁ、誰が聞いてるかわからないしね」
「待たせたのぉ。これが蝶ネクタイ型変声機に続く発明品じゃ」
そんな会話をしていると阿笠博士がやってきて、キック力増強シューズ、さらに超小型盗聴器付きメガネと言う発明品を説明しながら渡している。
「それにしても蝶ネクタイ型変声機?」
「ああ、この蝶ネクタイをこうしていじると、色々な人が声を出せるんだ。この前はおっちゃんの声を使って、解決したんだ」
「へぇ、ダイヤルを調整して、色々な人の声を出すことができるんだ。とってもすごい道具だね。ん?それはかなり今の状況には最適なんじゃないかな?」
「え?」
「それを使えば工藤新一として蘭に電話ができて、蘭も少し落ち着くんじゃないかな」
「なるほど、その手があったか。それじゃちょっと電話かけて蘭のやつを安心させてやるかー」
そうしてコナンくんは携帯電話を取り出して、この部屋から出ていった。
「とりあえず、今、一番の問題は解決しました。流石は阿笠博士ですね」
「いやーそれほどでもーあるかなー。なんちゃって」
私の言葉に褒められた子供のように嬉しそうに笑う博士に思わず笑みが溢れる。
「それにこのキック力増強シューズなんて私がいない時に彼が自衛することができますしね」
「そうじゃろそうじゃろ。かなりの自信作じゃ」
キック力増強シューズもこれで脛などの急所に蹴りを入れた場合には相手はひとたまりもないだろう。
でも、麻酔銃は一発しか装填できないから外したら、もう使えないし、キック力増強シューズも小学生低学年くらいの体格になった彼のリーチでは相手によっては避けられる可能性もあるか…。
なら、そのキック力を活かして、物を蹴って、ぶつけることの方がコナンくんにとっては都合がいいね。
サッカーが彼の得意スポーツだし、コントロールも良かったはずだから良い飛び道具になるはず。
でも、それには蹴るには最適なものが常に側にないといけないのが難点か。
「そうだ、博士。ついでにサッカーボールを常に持ち運びすることができたりする発明品とか作ってくれませんかね?」
「勿論、今、作っているぞ。ボタンを押したら、すぐにボールが膨らんで、サッカーボールを作れる構造のベルトじゃ」
「いいですね。彼が慣れ親しんだもののほうがいざとなった時に大きな差が出ますからね」
即席で使うものより手に馴染むものの方が圧倒的にいいのは当たり前で、私も前世の暗殺の際には、相手の得意な武器を、すり替えたりしたりしたものだしね。
勿論、そうなった相手皆は反撃しようにも本来の力を出し切れずに散っていった。
勿論、私みたいな例外もいたわけだが…
「さらにこの超小型盗聴器とかも面白いですね。なんかスパイ映画みたいでワクワクします」
「ああ、そうじゃろ、そうじゃろ」
「それにしてもいい時代になったものですね」
「うん?ああ、そうじゃな」
私の前世ではこういう盗聴の道具はなかったから昔の時代劇みたいに屋根裏とかに隠れて裏をとったりしていたからなぁ。
建物によってはネズミやヘビ、変な虫とかもいて、非常に最悪な環境になっていることもあった。
私の前世にも博士がいたらよかったのにと思わざるを得ないね。
そんな感じに博士と雑談後に、良い時間になったのでコナンくんと共に自宅に帰ると、コナンくんと電話したお陰で少し嬉しそうな蘭が出迎えてくれる。
学校も来ずに全くあの推理バカと愚痴みたいに溢しているがその口元は緩んでいた。
「そうなんだ。私も心配だったからよかったよ。」
「全く学業と事件、どっちが大事なんだか。コナンくんはそんなふうに育っちゃダメよ」
「うん、わかった」
そんなふうに少し震えた声でなんとも言えなそうな複雑な顔のコナンくんに私は吹き出しそうになってしまった。
今日は、お父さんの知り合いの結婚式が京都で行われるみたいで、私たちと少年探偵団の3人で新幹線に乗って、京都に向かっているところだ。
「次は、楓おねーさんの番だよ」
「うーん、こっちかなー。あちゃーまたババ引いちゃった」
「じゃあ、次は私の番。これだー。やったーあがりー」
現在、私は少年探偵団の子供たちとババ抜きをやって遊んでいるが、絶賛連敗中だ。
「楓ねーちゃん、ババ抜き弱すぎるぜ」
「いやー君たちが強すぎるんだよ。もしかしたら、君たちババ抜きの才能あるのかも?」
「えー、ババ抜きの才能よりもっといい才能が欲しいです。例えば宇宙飛行士になる才能とか」
「そう言わないで。これで好きなお菓子やジュース買ってきていいから」
私が財布から千円札を取り出して、渡すと、3人の顔がパーっと明るくなる。
「「「わーい、お菓子やジュース!楓おねーさんありがとう」」」
「うん、走らないで行くんだよ」
「「「はーい」」」
そう3人は返事して、何買おうかなーと相談しながら、車内販売をしている人の元へ向かっていくのと同時に前の席に座っていったコナンくんが呆れ顔でこっちにやってくる。
「手加減しすぎなんじゃねーか?」
「勝ち負けより楽しむのが一番だからね。コナンくんも皆んなと一緒にお菓子買いに行ったら?」
「いや、俺はパス。ちょっとトイレに行ってくる」
そんなふうに去っていくコナンくんに連れないなぁと、苦笑しながら見送り、皆んなが帰ってくる合間に適当に買った小説を読んでしばらく過ごしていると、只事ではない様子でコナンくんがこっちにやってきた。
「どうしたの?」
「黒ずくめの男たちだと思って、あの黒い格好の二人の近くに盗聴器を仕掛けたら、さっき一億円で取引した相手を騙して、爆弾を渡したって言ってたんだ。しかも、あと45分後に取引相手があることをするとその10秒後に新幹線が木っ端微塵に爆発するともね」
「本当に只事じゃないね」
私たちが楽しんでいる時にそんなことをしでかそうとする奴がいるなんてちょっと許せないな。
まず、私が駅員や父さんに言ったとしても、そんなこと絶対信用してくれないし、仮に信用してくれたとしても、うまく取り押さえないと、遠隔で操作できる爆弾ならこの新幹線の乗客ごと人質にされかねないし、最悪ドカンとされる危険性もある。
それなら強硬手段だが、先手を取ってしまった方が良さそうだ。
「じゃあ、時間を稼ぐから、コナンくんは爆弾の方を探してきてね」
「ちょっと何をする気なの?」
「うーん、力技かな。まぁ、私を信じて」
コナンくんにそう返答して、その怪しげな二人の男の席に行き、わざと100円玉ニ枚を二人の席の真ん中の方に落とした。
「あっ、すみません。そこに落としてしまった100円玉を拾ってもいいですか?」
「ったく気をつけろよ」
「はい、次から気をつけます。申し訳ないです」
そうして拾おうとした態勢になった時、両手で二人の首元を狙いすまし、刹那の速度の手刀を打ち、意識を絶った。
きちんと狙いすましたところに手刀を入れないと気絶させることはできないが、前世では腐るほど人間の体の壊し方を教わり、実践してきた私にとってできて当たり前の技術である。
それであとはこの1億円が入ったスーツケースの中身を開けた。
流石にこういうふうに気絶させられるとは思ってなかったようで鍵も何もついてなかった。
そして、私はわざとらしく大きな声で叫んだ。
「きゃあーー!!」
その声に反応して、父さんと、車掌さんがこちらに急いで駆け寄ってくる。
「楓、どうした!?」
「父さん、ここで落とした硬貨を拾おうとしていたら、この人たちが急に倒れてきて…」
「息はある。二人とも意識は失ってるが、呼吸もちゃんとしている。一応、なんらかの病気によってかもしれないし、診てもらった方がいいかもしれないな」
「わかりました。私どもから連絡しておきます」
「そう、ならよかった。あ」
そこでわざとスーツケースに手を当てて、倒すとあらかじめ開けていたところから何個か札束が地面に転がった。
「む、これは札束。しかも、このスーツケースの中にはもっと入っていいるな」
「もしかして、この人たち麻薬関係の人でこの人たち自身も服用して意識を失ったのかも」
「ありえる話だな…よし、警察にも連絡を頼んでもよろしいかな?」
うまくいったと内心思いながら、20分くらい経ったくらいでコナンくんが爆弾を渡した取引相手も見つけたようで、取引相手の女性が取引のことを自供し、3人とも次の駅に止まると警察に連行されていった。
電車は一時的にとまったが、この分だと知り合いの結婚式には間に合いそうだ。
「自供までさせるなんて流石だね名探偵くん」
「ああ、彼女に俺が聞いたことを話すと真っ青な顔になっちまったよ。まぁ、騙されて、爆死されそうになったんだから無理もないけど。それより聞きたいことあるんだけども」
「なにかな?」
「楓さんって何者だよ?ふつー手刀で気絶させるなんてフィクションだけの話だぞ」
「あー
その質問に私は悪戯げにそう話すが、コナンくんは納得いってないようだった。
でも、この世界では私の前世の所業は許されるものじゃないから迂闊に話せないのも仕方ない。
真実は常に優しいものだけではないのだから。