無機質なコンクリートが剥き出しになった部屋の中に男はいた。彼の名前はドッグタグから見るにニイミカズミというようだ。彼の目には生気がこもっていない。
「帰ってきたよカズミくん♡ 」
鉄でできたドアがギィーっと鈍い音を立てて開く。それは彼の主人が帰った合図だ。主人は狼の獣人でカズミを見る目つきは獲物を見つけた肉食獣のそれだった。
「どうしてそんなに怯えてるんだい? 昨日みたいに
獣人がそういうとカズミの生気を失った目はキラリと光る。なぜ光ったかというと彼は心の底からくる恐怖で涙で目がいっぱいになったからだ。
「ご、ごめんさい。許してください……」
震えた声でカズミは言う。その言葉を聞いて獣人は口角を釣り上げる。カズミが獣人に許しを乞うたびに獣人は自身の支配欲と独占欲が掻き立てられるのだ。
「人間って賢いのにバカだよね」
獣人は語り始める。涙をポタポタ落としながらカズミはそれを聞く。
「
獣人は銃を持ってそれを見ながら言う。その銃はカズミが使っていたものだ。獣人はカズミに人差し指を向ける。
「バン‼︎ 」
カズミは手で頭をおさえて泣く。怯えて震えながら狂ったように泣く。
「驚かせちゃった? 大丈夫、本当に撃ったりしないよだって君は
獣人はカツカツと足音を鳴らしてカズミに近づく。カズミの目の前に立つとそっと彼を抱きしめた。カズミは無抵抗のまま無意識のうちに獣人を抱きしめ返す。それは彼が獣人の忠実なものである証明だ。
「抱きしめられるとね、幸せな気分になるんだよ」
獣人はそのままカズミの頭を優しく撫でる。カズミは過呼吸になりながら目がいっぱいになる程涙を流した。恐怖と獣人に対する植え付けられた愛情がぐちゃぐちゃに混ざって脳が正常に機能しない。
「うわああん」
カズミは嗚咽する。抱きしめられたことで分泌された快楽物質が彼の脳を蹂躙し始めた。感情に収拾がつかない。獣人に撫でられるのはカズミにとって
「可愛いねぇ」
獣人はカズミの顔を引き寄せて口づけする。ドーパミン漬けにされているカズミの脳は完全に壊れようとしていた。
「僕にキスしてもらえて嬉しい? 」
「う、嬉しい……です」
カズミは声を絞り出す。それは偽りの言葉でなく本心だ。どうして本心かはわからない。だけど、この獣人に頭を撫でられたり、触られたりすると気分が高揚するのだ。獣人への恐怖と獣人に対する愛で心がどうかなってしまっている。なぜかはわからない。一週間前に獣人に捕まってから、毎晩のように犯されたせいで頭が正常に機能しないのだ。カズミにとって獣人は
「じゃあ……。シよっか? 」
その言葉を聞いた途端、カズミは激しく体を震わせる。
「イヤだ、やめて、お願いします、やめてください…… 」
カズミは獣人に押し倒される。必死に許しを求めるカズミの姿は獣人をより強く興奮させるだけだった。
「ソソって来ちゃったよ、我慢できない」
獣人はカズミの着ている服を破るように脱がさせるとカズミに馬乗りになる。
「フフッ、楽しいね」
獣人の歪んだ笑顔はカズミの恐怖心を煽る。イヤだ、犯される。イヤだ。
「ごめんなさい、やめてください、イヤッイヤだ」
駄々をこねる子供のように手足をばたつかせるが無意味だ。単純な力なら人間は獣人に勝てない。両腕は押さえ込まれ乱暴に覆い被せられる。
「気持ちいいことは楽しいよね? 」
獣人はニンマリと笑い。掴んだカズミの手をぺろりと舐めた。カズミはひどく震えながら首を振る。
「今から
「も、もうイヤだ! 」
覆い被さったまま獣人はカズミに口づけする。舌を彼の口の中に入れてぐちゃぐちゃにかき回す。
「ん、んあ」
カズミは顔を真っ赤にしながら目に涙を浮かべる。勝てないどう足掻いても獣人に勝てない。その事実を改めて思い知らされる。
「じゃあ、いい声で鳴いてね……」
獣人はそういった。そして、カズミの終わりがない長い夜が始まった。