激重ヤンデレ狼獣人に監禁されてます   作:無能メンヘラ

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逃亡

「動くな! 」

 

 カズミは叫んだ。その叫びは心の出た言葉だった。カズミはハンドガンを構える、そして、震えながら照準をユキノの頭に合わせる。

 

「カズミくん! 私だよ、覚えてないの! 」

「うるさい! あんたは悪い人だ! 」

 

 カズミは過呼吸になる。獣人を守らないといけないという思いとユキノに対して銃を向けてしまった自分への驚きが心を荒らしていた。カズミが撃つかどうかを迷っている間にユキノは一歩ずつこちらへと近づいてきている。撃たないと、撃たなければ、カズミは焦る。ユキノはカズミの目の前まで来ていた。

 

「帰ろう、カズミくん」

 

 ユキノはカズミに対して手を差し出す。その表情は今にも泣きそうだ。帰る? どこに帰るというのだ。獣人がいない場所に行ったって寂しいだけだ。そんなの絶対に嫌だ! カズミは差し出された手をパチンと払いのけた。

 

「カズミ……くん? 」

 

 カズミは息を切れ切れに口を開く。

 

「あんたらは俺の、俺の大切な人を殺そうとした! 許さない! 」

「なに言ってるの……、あいつは敵よ! 」

 

 その言葉がカズミを激怒させる。カズミはユキノを突き倒す。

 

「あの人は! 俺を愛してくれた。初めて1人だった俺を愛してくれた! 」

「カズミくん! あなた洗脳されてるよ! 」

 

 ユキノが必死にカズミを説得しようとするがその言葉達はひとつたりともカズミには聞こえていなかった。カズミは怒りに身を任せてユキノにハンドガンの銃口を向ける。

 

「もういい! あんたを殺す! 」

 

 刹那、乾いた炸裂音が静寂にこだます。しかし、銃弾がユキノに当たることはなかった。

 

「え……」

 

 倒れていた獣人がカズミを押したのだ。それによって銃口の向きが変わりユキノに当たらなかった。ユキノは唖然とする。

 

「カズミくん……。カズミくんはそんなことしなくていいんだよ」

 

 獣人は二度もカズミに人を殺して欲しくないと思い、撃たれた足をなんとかの思いで動かしてカズミを庇ったのだ。

 

「あんたが! カズミくんを! 」

 

 ユキノは銃の銃口を獣人に向ける。獣人を殺す気だ。しかし、その行動はほんの数秒遅れていたといえるだろう。獣人はユキノの脇腹を蹴り飛ばした。ユキノは一瞬にして十数メートル吹き飛んだ。そして、意識を失う。

 

「カズミくん、逃げるよ! ついてきて」

 

 カズミは獣人に手を掴まれて引っ張られる。

 

「逃げるって、どこに逃げるんですか! 」

「とにかく逃げるの! 」

 

 カズミと獣人は全力で走ってその場を離れた。

 


 

 調査局の駐屯地の会議室、深刻な事態に陥ったことに対しての会議が行われていた。

 

「投入したSOUの隊員16名のうち4名が死亡、過去に見ない異常事態だ」

 

 会議室の椅子に座るユキノは己の不甲斐なさに打ちひしがれていた。カズミを助けるどころか拒絶され、その挙句逃がしてしまった。

 

「直ちに対処すべきだ。この際、R()A()R()E()を派遣するしか……」

 

 RARE? 一体なんのことだ。ユキノは初めて聞く単語だ。

 

「最初から(わたくし)を派遣してくれればこのようなことにはなりませんでしたわ」

 

 会議室ドアが開き1人の少女のような背丈のゴスロリの格好をした女が入ってくる。

 

「イロハくん! 勝手に入らないでくれ」

(わたくし)に聞かれてもなにも困ることはないでしょう? 」

 

 イロハと呼ばれた女を見た瞬間、血の気が引くのをユキノは感じた。会議室の空気は一瞬にして凍る。この少女のような見た目をした女、明らかに雰囲気が違う。確実に超えてきた修羅場が違う、ユキノは確信する、異号の称号を持つ人間がこの世にいるとするなら間違いなく彼女だ。

 

「とにかく、次は(わたくし)、センドウイロハを派遣するべきですわ」

 

 イロハは自信を持って上層部に進言する。上層部もそうするしかないと考えたようで答える。

 

「わかった、君を派遣する。それで良いかね? 」

「ええ、もちろん」

 

 上層部の言葉を聞くとイロハは意気揚々と会議室を出ていった。

 


 

 調査局より伝達、SOUによる作戦の失敗を踏まえて目標の獣人の階級を異号に引き上げる。それとともにニイミカズミ局員は調査局を離反したものとみなし排除対象とする。




調査局機密情報

秘匿部隊RARE
異号の実力を持つ4名の隊員から構成される調査局の最高戦力

人間の異号の条件
米軍一個師団と同等の作戦遂行能力を持つことが最低条件とする
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