昨日、獣人が泣く姿を初めて見た。カズミの脳裏には獣人の泣く姿が焼き付いていた。あんな顔して泣くなんて思わなかったのだ。
カズミは朝日が差し込むベッドの上で目を覚ます。隣には獣人がいた、彼女はまだ眠っている。昨晩から獣人と一緒に寝ている。獣人に抱きつかれながら眠った、とても深く眠っていた気がする。
「……」
獣人の耳にそっと触れる。狼の耳とそっくりなそれは柔らかく触り心地が良い。しばらく、触れていたいと思ってしまった。
「ううっ」
獣人が声を漏らす。急に触ってしまったから驚いたのだろうか。耳をビクッと震わせた。カズミは起こしてしまうのも申し訳ないと思って静かにベッドから出ようとする。しかし、後ろからシャツの袖をつかまれる。
「いかないで……」
獣人がそう言って引っ張る。獣人は寝ている、おそらく寝言だろう。けれどカズミはドキッとする。なぜなら、昨日言われたことを思い出したからだ。
「わかりました」
カズミは獣人のもとに戻る。獣人はカズミを両腕で抱きしめて胸元に引き寄せる。カズミの耳には獣人の心臓の音が入ってきた。ドクドクとなるその音はカズミの心を落ち着かせる。抱きしめられた状態が30分くらい続いた、カズミはずっと獣人の心臓の音と静かな寝息を聞き続けていた。
「!」
突然、獣人は起きた。彼女はカズミを見た途端に顔を真っ赤に染める。
「ね、ねぇ。もしかしてだけどさ、ずっとくっついていてくれたの? 」
「……はい、『いかないで』って言われたので」
獣人は手で顔を覆い隠す。寝言を聞かれたことがよほど恥ずかしいらしい。
「……だからくっついてくれたの? 」
「そうですね」
獣人はカズミを抱きしめる。
「カズミくん大好き、僕だけのカズミくん、愛してる」
耳元でそう囁かれる。カズミも頬を赤く染めてしまう。カズミは獣人のことが好きだ。そばにいたい、いてあげたい。できるならずっとそうしたい。
「俺も大好きです……」
カズミの言葉を聞いて獣人は尻尾を激しく振る。とても嬉しそうだ。
「ねえ、キス……してもいい? 」
獣人がカズミに問いかける。カズミはたいして悩まなかった。
「いいですよ」
カズミはベッドへ押し倒される。そして、獣人はカズミに覆い被さった。獣人はゆっくりカズミへと顔を近づける。
「ん……あ」
カズミは獣人の頬に触れる。もう少し、キスしていたいと思ってしまった。カズミは顔を真っ赤にさせながら言う。
「も、もう一回……。したいです……」
それを聞いた獣人は笑みを浮かべる。
「カズミくんは甘えん坊さんだなぁ」
獣人の唇がカズミのと交わる。けど、今回はそれで終わらなかった。
「舌……。入れないでぇ、おかしくなっちゃう」
「おかしくなっちゃっていいんだよ? 」
獣人がカズミの口に無理やりに舌を入れる。そして、ゆっくりとカズミの口の中を掻き乱す。
「あ、うああ」
この流れのまま犯される……。それをカズミは期待していた。けど、違った。
「このくらいで終わりにしようか、朝ごはん作ってくるね」
獣人は部屋から出ていった。カズミはベッドの上で止まっていた。そして、自分が獣人に犯されたいと思っていることに気づいた。カズミは顔をもう一度赤く染める。ここ数日は侵されていない。きっといいことなのだろうがカズミにはそう思えなかった。
その日の晩だ。寝る前にカズミは獣人をつかんだ。無意識のうちに腕を掴んでいた。
「どうしたの? 眠れないの? 」
カズミは言いたいことはわかっている。けど、それを言う勇気がでない。しかし、それを。思いを伝えるのは今しかない。
「……して欲しいです」
カズミは顔を真っ赤にして声を絞り出した。
「犯して……欲しいです……」
獣人はそれをしっかりと聞く。そして、口角を吊り上げて口を開く。
「ぐちゃぐちゃにしてあげる……」
獣人はカズミを抱き抱えて2人の寝室に入った。カズミをベッドの上にそっとおいた後、服を破るように脱がせる。
「いい声で鳴いてね。カズミくん」
獣人がそういう。そして、カズミの長い夜が始まった。