獣人が出かけていった。だから、今日は獣人はいない。
「……」
カズミは孤独を感じていた。獣人がいないと寂しい、怖い。自分は捨てられてしまったんじゃないかと考えてしまう。本当はそんなこと考えたくない。けど、それが嫌でも頭によぎる。獣人が自分に対して愛想を尽かして捨てたのではないかと、そう思ってしまう。
「嫌だ……」
ポツリと漏らす。獣人と少しでも離れてしまうと不安になってしまう。離れたくない、嫌だ。もう、獣人は自分のところへ帰ってこないのではないか。自分のことが嫌いになったのではないか。もしそうなら辛い。立ち直れない。自分は獣人がいないと
「……美味しい」
獣人が作っていったご飯を食べる。いつもの味だ、優しい味、落ち着く味。けど、これが最後の食事になるかもしれない。そう考えてしまうと、手が止まってしまう。
「嫌だよ……」
カズミは泣き出してしまった。このまま獣人が帰ってこないのではないかという不安と一人だけになってしまった寂しさがカズミの心を深く傷つけた。泣く、しばらくしたら過呼吸を起こしてしまった。ひたすら自分の腕を噛む。そうすれば少しだけ気持ちの波が少しだけおさまるのだ。
「う、うわぁああん」
けど、それも限界が来てもう一度泣き出してしまう。ずっと、噛んでていた腕は出血しておりジンジンと痛む。だが、そんな痛みも気にならない。カズミは子供のように泣きじゃくる。獣人がいない、怖い、寂しい。そういった感情で心がいっぱいになる。
カズミはヨボヨボと歩く、そして、獣人が寝ているベッドの中にうずくまった。ベッドは獣人の匂いがする。その匂い嗅ぐと少し気持ちが落ち着く。安心できる。カズミは獣人の匂いが染み付いた毛布の中にうずくまり寝てしまった。
カズミが目覚めたのはドアが開く音が聞こえたときだった。獣人が帰ってきた。そう思い、カズミの心は歓喜で満たされる。カズミはベッドから出ようとする。
「カズミくーん、どこにいるの? 」
獣人が部屋の中に入ってくる。カズミは毛布にくるまったままだった。獣人にそのところを見られてしまった。恥ずかしいと思ったが喜びがそれに勝ってしまう。
「もしかして、寂しい思いさせちゃった? 」
「……」
獣人が問いかけてくる、カズミは無言でうなずく。獣人はパッと顔を明るくしたが、すぐに申し訳なそうな顔に変わった。
「ごめんね、僕、酷いことしたよね? 」
獣人はカズミを抱きしめて頭を撫でる。突然抱きしめられたのでカズミは体をビクッと震わせてしまう。
「全然、大丈夫です……」
カズミは強がりを言ったが、それは嘘だ。正直いうと死ぬくらい寂しかった。もう、獣人に会えないかもしれないとさえ考えてしまった。
「!、怪我してる。大丈夫ですか? 」
カズミは獣人が怪我していることに気づいた。ところどころから出血している。
「こんなの平気だよ、手当してからご飯作るから待っててね」
獣人はカズミを離すといってしまった。本当はもう少し抱きしめていてほしかったがわがままを言うわけには行かない。カズミはもう一度、獣人の匂いがついた毛布にくるまった。
「ご飯できたよー」
カズミは椅子に座る。獣人が作った料理を持ってきた。鳥の炊き込みご飯、唐揚げ、チキンスープ、鳥が多い気がする。
「唐揚げ……。美味しそう」
「そうならよかった。お肉すごく
獣人と一緒にとる食事は落ち着く。カズミの心は幸せな気持ちで飽和する。カズミが美味しそうにご飯を食べる姿を見て獣人も笑顔になった。カズミはこの鶏肉がどこから持ってきたものかは知らない……。