転生したら前世の妻が追いかけてきた   作:you are not

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一人芝居

「勇者様バンザーイ!」

 

人々が通り道を開け、その真ん中を通る四人の人間を尊敬の眼差しで見ていた。勇者アレスとその仲間たちが魔王を倒したその偉業を称えているのだ。

 

「やったなアレス。私たちは勝利したのだ」

 

アテナは誇らしげに語る。実際自分は誇るだけの戦いをしてきたと思っている。

 

「うん。ここまで本当に長い旅だった」

 

勇者アレスは何処か遠い目をしながらそう答えた。

 

「えぇ、全くです。アポロンさんが女性をひっかけてトラブルになる度に頭が痛くなったものです」

 

魔法使いリリスはジト目で弓使い兼白魔導士のアポロンの方を見る。

 

「うへぇ、それ半分くらい俺のせいじゃないっしょー?声かけた相手が毎回めんどくさい女なだけっすよ」

 

日焼けした肌に金髪の髪をした男アポロンはふざけたような口調で弁明をする。これで実戦では大いに役立つのだから世の中わからないものだ。

 

「何はともあれ、戦いは終わったんだ。今はゆっくり休もう」

 

アレスが先頭から声をかける。喧嘩を諫めるためだろう

 

「ウェーイ!もうみんな死なないですむと思うとマジサイコー。勇者君はこれからのことなんか考えてる感じ?」

 

「そうだね……帰りたい場所がある、かな?」

 

「なになに、実家に帰るってこと?いいじゃん!生きて帰れたんだから会いたい人に会いに行かなきゃダメっしょ?」

 

「ありがとうアポロン」

 

そう言った、アレスの目は何処か遠くを眺めていて、見とれているような恋焦がれているような顔をしていた。そんなどことなく嬉しそうなアレスを見た私アテナは

 

 

 

―――苛立ちを覚えた。

 

 

 

 

―――☆―――☆―――

 

 

 

 

始めて合った日からそうだ。神によって召喚された勇者と聞かされどんな男が来たかと思えばまるで大事なものを失ったかのような寂しさと儚さを持った奴だった。

 

 

 

『なんだこの腑抜けはこんな男が世界を救えるのか?』半信半疑だった私の疑念はすぐに消えた。アレスの実力は勇者と呼べるほどに強かった。強く、そして迷いがなかった。どんな状況であろうと決してあきらめず戦い続ける。そんな戦士の理想を体現したかのような男だった。私はアレスのそんな芯の強さにだんだんと惹かれていった。同時に嫉妬も覚えた。

 

 

 

時々、アレスは何処か遠い目をしながら誰かを求めているようだった。その目には見覚えがある。昔、戦場で恋人を故郷に置いていった騎士たちのそれだった。私はアレスのその顔が嫌だった。どんなに私がアレスを好きかを教えようとしてもアレスの心は全く私に傾くことがなかった。だから、最終手段に出ることにした。

 

 

 

私は父上こと国王陛下に頼み、勇者と私の婚姻を頼んだ。元々、陛下は勇者という戦力をいかにして国に縛り付けられるかを考えていた。そこで私は王国の第二王女であることを利用した。妾の子である私だが立派な王族ではあるため勇者を王族に取り込める。そう考えた陛下はあっさりと認めてくださった。

 

 

 

私は心の底でほくそ笑んだ。こうなればきっとアレスも私のことを好きになってくれる。きっといつかは愛し合える。そうに決まっている。

 

 

 

こんなにも私はアレスを愛しているのだから、アレスも私を愛してくれる。当たり前のことだ。いつまでもアレスに報いないどこぞの女よりも私の方がアレスにふさわしい。金も、権力も全てある選ばない方がおかしいのだ。

 

 

 

―――なのに……なのに、どうしてあなたはそっちにいるの?

 

 

 

私は眼前の光景が信じられなかった。私は連れ去られたアレスを取り返そうと魔女に決闘を挑んだ。魔女は強く苦戦を強いられたがアレスの為ならきっと勝てると思っていた。そう思っていた矢先、魔女と私の間にアレスは割って入ってきた。

 

 

 

そこからは一瞬だった。私は抵抗もできぬままに剣を折られ万年雪を舐めさせられていた。対して、魔女はアレスに大事そうに抱きしめられていた。

 

 

 

―――っ!!

 

 

 

離れろ!離れろ!離れろよ!その場所はお前のような汚らしい売女に……私がふさわしいんだ!私が愛されなくちゃいけないんだ!

 

「こんなの間違いだ!」

 

私は叫ぶ、心に抱えきれなず叫ぶ。

 

「そんなぽっと出の尻軽女が選ばれて私が選ばれないなんておかしい!」

 

全部、全部、お前のせいだ!お前さえいなければ私はアレスに愛されてた。アレスに愛されてたんだ!それをお前が邪魔したんだ!

 

「あんたねぇ!黙って聞いてれば――」

 

「いいんだモルガナ」

 

モルガナは反論しようとするがアレスは静止させる。ここまで醜くなった心に答える必要などないのだから。

 

「アテナ」

 

声をかけられアテナははっとしながら目の焦点をアレスに合わせる。

 

「―――さよなら」

 

それだけだった。その一言で言いたいこと全てが分かってしまった。

 

 

 

「ぁ、あぁ―――」

 

アテナは雪原に頭を打ち付けながらただただ打ちひしがれていた。かつてあったであろう純白の恋心はなく真っ黒ですすけた醜い嫉妬心だけを残して

 

 

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