クソゲーハンター、キヴォトスに舞い降りんとす 作:トイザラスイッチ
シャンフロとブルアカのクロスが読みたいのに無いので自分で書こうと思って書きました。
まだまだ拙い文だと思いますが、暖かい目線で読んでください。
オリジナル設定がなかなか強いのでご注意ください。
桜の下に、二人の変態
『むむむ…』
「どうかした、アロナ?」
時は深夜、一人の大人【先生】は手に持ったタブレット【シッテムの箱】のメインOSであるアロナに話しかけていた。
溜まっていた書類を片付け、先生はコーヒーを飲み、アロナはネットサーフィンをして休憩していた。するとアロナが何やら気になる書き込みをみつけたらしい。
『先生は【一年中咲かない桜】というものをご存じでしょうか?』
「一年中咲かない桜?」
『はい。百鬼夜行にあり、詳しく調べても至って普通の桜だと判断されたものです』
「その桜がどうかしたの?」
アロナの話によると、[新月の日の午後12時頃に金属がぶつかり合う音や落雷のような音が聞こえたり、夜中なのに昼の晴れた空が見えた。見に行ってもただ桜の木があるだけ]などのような書き込みが多くあるらしい。
「なるほどね…」
「(明日は百鬼夜行に行く予定だし、仕事の帰りに行ってみようかな)」
先生はそのような怪談話を生徒から一度も聞いたことがなかった。命の危機はありながらも、強かにキヴォトスで生きてきた先生は今までに無い出来事に強い興味を持った。
「アロナ、明日百鬼夜行に行くよね?夜にその桜を見に行かない?」
『いいですね!周りには彼岸花が辺り一面に広がっているらしいので見てみたいです!』
「楽しみだね」
『はい!』
先生は知らない。明日が掲示板に書き込まれていた新月の日であることを
先生は知らない。
この何の変哲も無いただの観光から新たな物語が始まることを
翌日、先生は書類を片付け、百鬼夜行を訪れていた。
書類が想像より多く、百鬼夜行の仕事も手間取ったため、帰る頃にはもう日をまたいでいた。
「ま、まさかここまで手間取るとはね…」
『はい…』
先生達が疲労困憊なのも無理はない。なにせ今日は依頼されたお祭り会場の準備の手伝いをしていたのだが、途中でスケバンやヘルメット団、
「もう夜遅くだし、見に行くのはまた今度にする?」
『いえ、もうここまで来たのなら見に行かないと勿体ない気がします』
「それもそうだね…じゃあ見に行こうか」
アロナがナビをした道を進むこと十数分。その先には一面を赤い花に覆われた空間が広がっていた。
『わあ!すごい綺麗な場所ですね!』
「これはすごいね…」
見上げればそこに人工的な光はなく、星々がてらてらとこちらへ向けて輝いていた。それと同時に、新月にもかかわらず、月の光がこの赤い花畑へと注がれたかのようにはっきりと周りを見渡すことが出来た。不思議な景色だが、何故だかこれまでに見た何よりも幻想的に見えた。
「せっかくだし、写真を何枚か撮っておこうか」
『それでは撮りますね。笑って笑って…』
『はいっチーズ!』
そうアロナが言った瞬間、落雷のような音が響き、背後の桜の木に大きな亀裂が走った。
「『!?」』
驚いたのもつかの間、亀裂が大きくなってそのまま先生達を飲み込んでしまった。
──シッテムの箱を検知しました。裏側に転移します。
飲み込まれてからしばらく経つとやがて周りが明るくなってきた。先生はゆっくりと目を開くとそこには真っ白な世界が広がっており、目の前には満開の桜の木が立っていた。
「ここはいったい…」
『先生!?大丈夫ですか!?』
桜から目を離し、声を掛けられたアロナに返事をする。
「うん。こんなことは初めてだよ。まずは周りの状況の把握を──〖
唐突に低く響いた声が聞こえた。
〖流転と手向けを以て〗
声が聞こえた方向へ目を向けると頭部の無い巨人のようなものが見える。
〖終極と為す〗
目を凝らして見ると、その巨人の前方には全身から炎が吹き出ている侍の姿をしたロボットがおり、
〖晴天転じて〗
そのロボットは先生の身長を超えるような大きな刀を前方の、
〖我が窮極の一太刀〗
片刃の大剣のようなものを手に持ち、焦った表情をした赤髪の少女へと──
〖我、龍をも断つ〗
振り下ろされようとしていた。
「危ない!!!」
先生は咄嗟に声を出すことしか出来なかった。
〖
即死の一撃を受ける。暗転する前に上に投げたアイテムが身体に当たり、意識がはっきりする
手に入れるのがとても大変だった蘇生アイテム【生命の神薬】も使い切った。しかし、条件は揃った。
極短時間、自身のSTRを大幅に上昇させる【ハイエスト・ストレングス】。自身が空腹かつ体力が少ないほどSTRやAGIなど今必要なステータスにバフが加わる【
苦節2年、長かったウェザエモンとの戦いに決着をつけることができる!
「今のが最後の蘇生アイテムだ。間に合ったぜウェザエモン。兎月、合体ゲージMAX!」
ウェザエモンがこちらをじっと見ている。俺も両手に持っている武器を構え、いつでも動けるようにする。
〖
「この30秒、次が最後の
瞬間、ウェザエモンが居合いの構えをしながら高速で近づくのが見えた。
〖
首、胴、脚、順に飛んでくる刃を避ける。首を掴まんとする掌を蹴りで避け、その反動を利用し次来る技の対処のために距離を取る。
〖
大量の雷を落としながら、騏驎から発射されたミサイルを刃の棟で打ちつけ、こちらへと放ってくる。
「入道雲じゃない分まだマシ!」
いやぁ、あれは嫌な記憶だ。フィールドの8割を巨大な雲で覆ってきたときはキレた。
〖
回避系スキルをフル活用することで爆発や落雷を回避して再び刃を避ける。
ついでに自身の左胸に右手で叩くことで、
この2つの特性を利用する!
リキャストタイムで時間を正確に把握する。天晴まで残り2秒!最後の天晴、来いよウェザエモン!
三、兎月【
【颯風月】は自身のステータスが敵より劣っていればいるほど、クリティカル威力と成功率が上昇する効果が付与されている。そして、1つの戦闘で使用したスキル数が多ければ多いほどクリティカル威力が上昇する【颯風月】専用スキル【
二、墓守のウェザエモンが太刀を振り上げた。来いよウェザエモン!最後の天晴だ!
一、自身にバフを掛けるスキルを全て発動。封雷の撃鉄・災のスリップダメージを利用して、クライマックス・ブーストの発動条件を達成する。
零、これで天晴に食らいつけ──[発動不可]──はっ?
クライマックス・ブーストが発動不可!?どうして……
ゆっくりとなった世界で脳裏に映ったものは
──
あっ
やらかした!?ここでまさかの時間管理ミス!?嘘だろ!?
まずいまずいまずい!2年前から戦ってきたからこそ解る。他のスキルがあったとしてもクライマックス・ブーストが無ければ確実に天晴をパリィ出来ない!
刃の形をした死が振り下ろされようとしている。考えろ!自傷ダメージでHPを減らすか?ダメだ!もう兎月は合体している!じゃああと1秒を稼ぐ方向は何か無いか!考えろ!考えろ!
〖
「危ない!!!」
声が聞こえた。その方向を見てみると、桜の下にセツナと誰かがいた。その人物も隣に居るセツナを見てぎょっとしている。いや本当に誰だ?
ウェザエモンも桜の方を見て1秒動きが止まった。
たったの1秒、けれどもそれは今、どんなものよりも価値のある1秒。
「俺の勝ちだ。ウェザエモン」
まったく。いっつも乱数の女神に嘲笑われているっていうのに、こう言うタイミングだけ運がいいな、俺は。
体力が減る。これにより全てのスキルの発動条件を満たし、力が湧き出る。
「晴天大征は天晴を以て終わる1連のアクション。言い換えれば天晴を放たなければ、お前は終われない。晴天大征のアクション、永い永い墓守の誓いすらもヴァッシュに代わって、俺がはっ倒してやるよ!」
〖───
「
あらゆる死と破壊を帯びたウェザエモンの太刀、その刃の一筋を避けるように【颯風月】の刃が太刀の横っ腹を打ち据える。恐るべき膂力で振り下ろされたそれを俺が使える全てを出し切り、限界まで強化したクリティカルの火力で真横から押し出し、振るう刃の先端に至るまで力を抜くことなく振り切り…
「ありがとう、ウェザエモン…全てを出し切ってやっとここまでこれた…」
太刀が上空へと吹き飛び、地面へと突き立てられ、その刃が真っ二つに折れる。
「窮極の一太刀、攻略完了だ」
今すぐにでも倒れそうな体を何とか奮い立たせる。まだ終わっちゃ居ない、セツナの言葉を伝えなくては…
〖───見事〗
騏驎は消滅し、全身から吹き出ていた蒼炎は消えている。ボロボロになったウェザエモンがゆっくりと俺の方へ目を向けた。
〖よくぞ、我が窮極を見切った〗
〖
風が吹き、桜の花弁が舞う。俺の顔にも暖かい風と花弁が当たる。こんなに綺麗なのにずっと気がつかないなんてな。
〖言葉は移りて
ウェザエモンは掌にのった花弁を優しく握り、上を向いた。
〖
「ん?ダジャレかよ……」
思わず口に出してしまった。さっき現れた謎の人物も「今言う?」という顔をしている。いや本当に誰なんだよ。
〖
「………」
ウェザエモンの身体から軋みの音が聞こえてくる。そのまま全身の崩壊を無視し、太刀を拾う。
〖重ねて天晴である。「拓く者」の、末えイよ……〗
「ウェザエモン、セツナが言ってたぜ。『貴方は、もう十分に守ってくれた。ありがとう。貴方も貴方自身を許してあげて』ってな」
セツナの言葉をそのまま伝える。ウェザエモンは黙り込み歩み始める。そして俺の前に立ち、手に持った大太刀を俺の前の地面に突き立てた。
「えっ……」
俺の反応に何も返さず、そのまま横を通り過ぎてセツナの墓の前に立つ。するとウェザエモンは跪き、全身が崩れていく。
〖我ガ、身……朽チ果て……眠、る……」
「嗚呼……セツ、ナ……今、
最後にそう言って、ウェザエモンは完全に消滅した。美しく咲き誇っていた桜の木が急速に枯れ果て、周囲も反転世界に入る前の景色に戻っていった。すると桜の傍には半透明の女性が現れた。
「サンラク、ついに成し遂げてくれたのね」
「セツナ、悪かったな。2年もかかっちまった」
「それでも諦めずに挑み続けてくれたじゃない。本当にありがとう。私の……いいえ、遠き過去に「セツナ」が抱いた願いは今、ここで果たされました」
ん?それって……
「まるで自分がセツナでないみたいな言い方じゃないか。セツナってお前のことじゃないのか?」
「いいえ……確かに私は「セツナ」である。けれどあの日死んだセツナ本人とは違う……「もしも恋人がずっとずっと私の死に囚われるのなら、どうかやめて欲しい」という願いが、想いが生み出した彼女の残滓、謂わば筆跡まで完全に再現された写本のようなもの。そして貴方が見たのは、そっちの大人の人のお陰なの」
「私?」
さっき墓の下にいた人はそれを聞いて困惑していた。
「貴方の持つそのオーパーツと胸元にあるカードが近くにあったお陰でその力を一部だけど再現、実行ができた。」
なるほど。つまり戦闘中に現れたセツナはあの人がここに居たからこそ起きた『
儚げな笑顔をこちらへ向けたセツナの身体からポリゴンが発生する。
「もう別れか…」
「うん。彼女の願いに
笑顔から真剣な顔つきになると俺を見た。
「貴方は開拓者。この世界唯一の
視線を隣の人に移す。
「そして貴方は嚮導者。この箱庭の「主人公」…でも気をつけてね、いつまでも変わらないという事は無いのだから」
「?それってどういう…」
「ふふふ、これから先は自分で見つけてちょうだい。だってそれが、未来を切り拓くってことでしょう?」
真剣な顔つきから一転、いたずらな笑顔を見せるセツナはもう、ほとんど消えていた。
「あぁ、最後に。サンラク、これは「セツナ」としてではなく「私」自身が貴方に贈る言葉」
「いつも会いに来てくれてありがとう。さようなら、楽羽」
「え……あぁ、じゃあな!」
その言葉と満開の笑顔を最後に、セツナの身体が完全に消滅する。僅かに残ったポリゴンが空へと舞い、完全な沈黙が辺りを支配する。
「それで…」
隣の人を見る。
「お前──いや、貴方は一体何者なんだ?」
「あはは、自己紹介するタイミングが見つからなくてね…」
まあそれは仕方ないか。俺だって急にあそこに連れてかれたらすげぇ気まずいもん。
「初めまして。私は、連邦捜査部シャーレに所属する先生だよ。よろしくね」
シャーレの先生…?どっかで聞いたことがある気がするんだよな。
「えーっと、どうかした?というか何で半裸なの?」
そういえば俺のクソゲーフレンドがなんか言ってたな…あっ!
「おーい」
「思い出した!確か生徒の脚を舐めた奴!」
「えぇ!?」
その物語はひどい出会いから始まった。
『墓守のウェザエモンは永い眠りについた』
『奇跡は起き、刃は継がれた』
『セツナの残滓は遠き日の願いを終えた』
『ユニーククエストEX「此岸より彼岸へ愛を込めて」をクリアしました』
『称号【看取りし者】を獲得しました』
『称号【刹那を想う者】を獲得しました』
『称号【ご先祖様のお墨付き】を獲得しました』
『称号【この身離れども心は側に】を獲得しました』
『称号【天を晴らす】を獲得しました』
『アクセサリー【
『アイテム【晴天流奥義書・斉天】を獲得しました』
『アイテム【規格外エーテルリアクター(破損)】を獲得しました』
『アイテム【バンガード(破損)】を獲得しました』
『アイテム【世界の真理書「墓守編」】を獲得しました』
『ユニーククエストEX「
『ワールドクエスト「シャングリラ・フロンティア」が進行しました:現在10.5%』
瞬霖(しゅんりん)
元ネタは雨の【春霖】
騏驎から発射したミサイルを野球みたいにして飛ばしてくる。雷鐘や灰吹雪との極悪コンボができやすい。
生前、規格外戦術機亀【玄武】の砲撃を見たウェザエモンが自分もやってみたいと思い、騏驎のミサイルでやってみたら超高速で飛ぶ弾丸ができた。セツナ達科学者は頭を抱えた。
称号【天を晴らす】
完全状態のウェザエモンの天晴を攻略した称号
バンガード(破損)
ウェザエモンの大太刀「バンガード」が破損したもの。修復することもできるし、真化させることもできる