救世の勇者、カースト底辺の嫌われ白豚高校生に転生する 〜俺に唯一優しいクラスのアイドルは、ヤンデレ化した前世の聖女でした~ 作:大福金
俺にまんまとしてやられて、三人で苛立ちながら公園をデカい声で騒ぎながら歩いていた葛井達。
どうやらそこで、謎の人物に絡まれたらしい。
その時のことを思い出しているだけなのに、真っ青な顔で震えている。
まじで何があったんだ?
「その、お前と別れてから……イライラしながら歩いてたら、一人の男にぶつかったんだ」
イライラねぇ……どんな歩き方をしてたか、安易に想像できるな。
お前らのことだ、どうせ道いっぱいに広がって歩いてたんだろ。
「そんで
そう言って制服を捲し上げ、俺に腹を見せる葛井。
描かれた模様は、前世で何度も見た奴隷紋。
葛井達の話を聞くと、コイツらも大概悪いと思うが……。
ちょっと偉そうにとか言ってるが、どうせオラオラと思いっ切りキレたんだろうしな。
どう考えてもコイツらが喧嘩をふっかけている。
だけど、聞いてる限りかなり怪しい。
「なぁ? 俺死ぬのか? なぁ? 助けてくれよ! 白豚……いやっ如月」
葛井が俺の足に縋り付いて懇願してくる。
昨日までいじめてた奴に、よくそんなこと頼めるな?
コイツの脳みそはどうなってるんだ?
「……はぁ。で、そいつはどんな見た目をしていたんだ? 変わった服装していなかったか?」
───異世界人の風貌をしていたんだろうか?
「変わった? いや……俺らみたいな普通の格好だ。あの制服は
青藍高校……? 確か進学校だよな。偏差値もこの辺の高校じゃ一番高い。
同じ高校生と言う事はもしかして……?
葛井に奴隷紋を入れた奴は、俺と同じで異世界転生してきた奴……?
「おいっ! 何黙ってるんだよ? これは治るのか?」
葛井がどうなんだと俺の体を揺すって来た。
……ったく今真剣に考えてるだろ? ちょっとくらい待てねーのかコイツは。
「なぁ葛井? お前はなんでその紋で、死ぬなんて思ってるんだ?」
そもそも奴隷紋で人は殺せない。
「だってよ? 『お前は今日から一生俺の言う事を聞け、聞かないなら死ぬだけだ!』って言われたんだ! 初めはそんな話、信じてなかったよ。だけど命令を無視したら……身体中に猛烈な電気が走って、めちゃくちゃ痛かったんだ」
言うことを聞かないと電気が走る。それは奴隷紋の特徴でもある隷属させる
ための激痛。
ってことは葛井の腹に描かれているのは、前世の奴隷紋と同じ。
一体どんなやつが奴隷紋を入れたんだ?
「命令ねぇ……どんな命令をされたんだよ?」
「そっ……それは……ゴニョ」
よほど言いたくないのか、ちゃんと言わない葛井。
「何だよ? 全て話してくれないと分かんねーだろ?」
別にそんなこと言わなくても、奴隷紋を消すことは俺からしたら、消しゴムで消すくらい簡単だが。
面白そうだからな。もうちょっと楽しませてもらうか。
「ぐっ……………それは……土下座して……くっ、靴を舐めたんだよ」
葛井はそう言って、恥ずかしそうに俯いた。
「お前が? 汚ねぇ靴を?」
プライドの高い葛井が他人の靴を舐めるなんて、信じられねぇ。
余程その相手が恐かったんだろうな。
「そっ、そうだよ! 死ぬよりマシだろ!」
「あははっ。そりゃ嫌だよな。ブッッくく」
「おまっ、笑うなよ! ちゃんと言ったんだ! 早くこの模様を消してくれ。風呂でどんなに洗っても消えなかったんだ。お前に本当に消せるのか!?」
葛井が猿みたいに顔を真っ赤にして怒る。
少し前まで虐めていた俺なんかに必死に懇願して。
「ええとだな? 俺はその紋を消せるって一言でも言ったか?」
「……え? お前今さら……俺は全部言ったんだぞ! それなのに消せないって!?」
今度は顔を真っ青にして葛井が俺の体を揺らす。
赤くなったり青くなったりと、忙しいい奴だな。
「ちょっと落ち着けって! 消せないとも言ってないだろ?」
「あ……じゃあ! 消せるんだな?」
そう言った途端に、葛井の顔がパァッと明るくなる。
調子のいいやつめ。
簡単に消してやるのは面白くないよな。
「だが条件がある。その紋を入れた奴に、会わせてくれないか?」
どんな奴なのか見たくなったんだよな。
奴隷紋を入れたやつは、俺と同じ異世界の転生者かも知れないし。
「お前を? あの人に? でも……そんな勝手なことしたら……」
「ああ。直接合わせるわけじゃなくて、遠くからチラッと見るだけで良いんだ」
「そっ、それなら……だけど絶対にこの体の模様を消してくれよ?」
「分かったよ」
俺はこの後、謎の人物の様子を見る事になった。