クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~   作:Mr.エメト

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孤独な二人・中編

◆アルゼナル 指導教室◆

 

「ガス抜きと思って見逃していたけどあまりにも目に余るわね」

 

「うう・・・」

 

流石にこれ以上、見過ごせなくなったのか正座されているロザリーとクリス。

エルシャに殴られた痕が残っているが・・・。

 

「でも・・・アンタ等何も思わないの?大切な仲間を危険な目に合わせて、

 その上お姉様があんな事になって・・・あの女はのうのうと生活している事にさ!!」

 

「でも、アンジュちゃんは戦場に戻って自分が行ったことも、償いをしたわ。

 リュガくんもいなかったらゾーラ隊長も新人二人も生き延びることもなかったかもしれないわよ?」

 

「そ、それは・・・!」

 

エルシャの言葉に折れたのかロザリーは何も言えなくなりかけたが・・・

 

「それだけで納得出来るの?

 指令も何を考えているのやら・・・アノ二人にポンコツ機なんか与えてさ。

 それとも、司令も気に行っちゃったんだあの二人に。

 ま、そう考えれば変に優遇されているのにも納得がいくわ。

 あの指令をたらしこむなんて大したもんだねえ・・皇女殿下と殺人鬼はさぞベッドの上で・・・。アンタもそうなんでしょう?サリア」

 

「・・・上官侮辱罪よ!」

 

「・・・だから?」

 

サリアはサバイバルナイフを、ヒルダは拳銃を抜き互いに得物を向け合う。

 

「これ以上アンジュに手出しするのは許さないわ!今はこれで許しておくけど・・・」

 

「ふん・・・。行くわよ、ロザリー、クリス」

 

ヒルダ、ロザリー、クリスは部屋を出で行く。

 

「あの男はゾーラの事を助けてくれた事には感謝はするけど、所詮、人殺しよ。絶対に気を許しては駄目よ」

 

「ヒルダ・・・」

 

 

◆サリア&ヴィヴィアンの部屋◆

 

 

(ジル・・約束してくれたではないですか・・ヴィルキスは私にって・・・)

 

「うう~ん・・欲しいのがあり過ぎるなあ。欲しい物が無いって寂しいよねえ~。ここでクイズ!」

 

「な、何?」

ヴィヴィアンが自前の購入予定リストを見ながらサリアにクイズを出してくる。

一人物思いにふけっていたサリアはハッと我に返って返答する。

 

「サリアは何を読んでいるでしょうか?」

 

「指導教本、難しいわ」

 

「サリアまた怖い顔してるほら!」

 

「あ、ちょ、ちょっと!?」

 

ヴィヴィアンがサリアがかけていた眼鏡を外す。

 

「いつものアレを読んでいる時の方が良い顔してるぞ?」

 

「アレ?」

 

「ほれ引出の二段目にあるさ、男と女がチュッチュする奴」

 

顔を少しだけ赤らめながら慌てたサリアはナイフを抜き、スレスレの壁に向かって投げる。

 

「いい加減にしなさい?今度漁ったら・・・・・・」

 

狩人の目でヴィヴィアンを睨む。

 

「ご、ごめんちゃい!もうすぐ飯タイムだけどサリアも行く?」

 

「私はもうちょっと勉強してからにするわ」

 

「りょーかーい」

 

ヴィヴィアンは部屋を出で、食堂へと向かう途中―――。

 

「おりょ?」

 

ヴィヴィアンは花を持っているリュガを見つけた。

何処に行くのかついてみるが・・・既にいなくなっていた。

 

「どうして、花なんかもってたんだろう?」

 

 

◆アルゼナル 医務室◆

 

 

「いらっしゃーい。あらリュガじゃない?何処か怪我したの?」

 

「期待させているようだが、怪我ではなく花を飾りに来たんだ」

 

「あーら、残念」

 

マギーは怪我でないことを知ると不貞腐れる。

リュガはそんなことをお構いなしに、花瓶に花を入れてゾーラの傍に飾る。

 

「ま、こんなもんでいいだろ」

 

「あんたも随分とロマンチェストね。花を飾るなんて」

 

「なんだって、いいだろう。こいつをやるから内緒にしておけ」

 

マギーに酒を渡しておいて、医務室を後にする。

 

 

◆アルゼナル 格納庫◆

 

 

医務室でやることを終えてプルートの調整をしているリュガ。

父親が残していたプルートの整備方法などが記されている資料を見ている。

ちなみに整備班長のメイの許可は貰っている

 

「・・・やっぱ、父親に似たのかね」

 

昔から父は機械系の仕事が得意で、ミスルギ皇国の生活などに献上していたぐらいの天才だった。

そのためか、賞や勲章なども貰っているのを覚えている。

そんな父親に憧れたのか大学に入って機械工学に関する学科を取った。

 

「・・・解らないのが、どうしてプルートを乗りこなせたんだろうか?」

 

量産機パラメイルとは違ってプルートは複雑過ぎる。

車で例えるなら量産機は良くて改造車、プルートは最高のレースカーだ

武装は工具や重機を戦闘用に改造しているようで、パーツを組み合わせれば効果は様々のようだ

先程、購入した電気モーターを組み込ませれば完成だ。

 

「お疲れ様」

 

不意に声が聞こえ、振り向くとエルシャだ。

 

「なんだ、エルシャか」

 

「聞いたわよ、他部隊のライダーとケンカしたって」

 

「あっちからケンカを売ってきたんだ。だから、それ相応を返しただけだ」

 

「リュガくんはどうして皆との壁を作っているの?」

 

エルシャの言葉に、作業を止める。

 

「そう見えるのか?」

 

「同郷のアンジュちゃんとも、仲良くしているわけでもないから・・・」

 

「あいつは元皇女で俺は機械工学が得意な元学生だ。生活も身分も違いがあるん、だ」

 

そう言って、最後の仕上げを終わらせて片づけをするリュガ。

 

「初出撃の時、隊長とアンジュちゃんを助けたのは?」

 

「・・・ただの気紛れに過ぎん」

 

エルシャはクスリッと笑った。

リュガはなぜ、笑っているんだと訝しんでいる。

 

「本当は優しい性格をしているのね」

 

「・・・意味が解らん。俺が優しいわけが・・・」

 

最後まで言おうとしたが、エルシャは後ろからリュガを抱きしめ頭を撫でる

突然のことで訳が分からなくなるが顔を赤くし、リュガはエルシャの抱擁を解く

 

「ふ、ふざけんな!!何すんだよ!?」

 

「うふふふ、素直じゃない弟ができた感じで嬉しいのよ」

 

「・・・なんだそれ、意味が解らん」

 

「でも、独りだと寂しいわ。皆でいたほうがいいわよ。アンジュちゃんもリュガくんも」

 

本当は仲間が欲しいとは思っていた。

だけど、そんなことで甘えてはいけないと決めていた。

こんな、殺人鬼なんかと仲良くできるわけがない

けど、もしも・・・許されるのなら・・・。

 

「・・・・・・考えておくよ」

 

リュガはそう行って、歩き出しエルシャも後をついていき格納庫から立ち去る。

しかし、二人は気づいてなかった。

ヒルダがヴィルキスに細工をしていたことに・・・。

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