クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~ 作:Mr.エメト
放送が鳴る、少し前―――。
アンジュたちもドラゴンの正体が人間であることを知る。
ジルはリベルタスを言うがアンジュの罵声を気にせず、森を歩き考えていた。
「神様か」
誰かの声が聞こえ、ジルは足を止めて振り向くと、そこにはエンブリヲが立っていた。
「私は自分から名乗った事は一度もないぞ?"創造主"と言う意味であれば、正解かもしれんが」
世界最高指導者がアルゼナルに居た事にジルはすぐさまマグナムを取り出してエンブリヲに撃ちこむ。
しかし、弾丸はエンブリヲの身体をすり抜ける様に後ろに木に当たり、ジルはエンブリヲを睨む。
「エンブリヲ……!!」
ジルはマグナムを構える。
だが、エンブリヲは涼しげな笑みをしてジルの方へ向かう。
「怒った顔も素敵だなアレクトラ、今は司令官のジルか?」
「貴様がここにいるという事は、カノープスもか?」
「彼はここに来てないよ。それとも、彼にも会いたかったのかい?」
「ああ、会って今すぐに殺したいさ」
「私の様に不滅の存在ではないが……彼は相当強いぞ?
それとも、忘れたわけではないだろうな?君の腕がそうなったのは」
エンブリヲの言葉に僅かながら、ジルの表情は怒りになる。
「相変わらず傲慢で辛辣な言葉を吐くわね」
別の声がする、ラプラスだ。
「おや、君もここにいたのかい?」
エンブリヲは笑顔を崩さず話すがラプラスは怒りの表情になる。
「貴方とカノープスは、私たちの仲間ヘンペル、いえ―――カシム兄さんを殺した」
「私は彼を手駒にしようとしたがカノープスが細胞残さず原子分解にさせたそうだ」
その言葉を聞いて、ラプラスは憎しみに満ちた顔でエンブリヲを睨む
「それでも、兄さんを殺した貴方達を許さない!!」
今にも飛び掛かろうとしたいが、エンブリヲは死なない存在というのは知っている
「ふむ?来たようだな」
エンブリヲは違う方向を見る。
それにジルは同じ方を見るとマナの映像が映し出される。
『こちらはノーマ管理委員会直属、国際救助艦隊です。ノーマの皆さんドラゴンとの戦闘──」
「…強行手段を取るわけね」
ラプラスはそう言いジルはすぐさま構えるがすでにエンブリヲは居なかった。
ジルは舌打ちしてラプラスに言う。
「……後で聞かせて貰うぞ」
ジルはすぐに臨時司令部へと向かう。
ラプラスはパブロフたちの方へと向かう。
同時にその放送を聞いていたアンジュ達、その放送を聞いていたモモカは嬉しながらアンジュに言う。
「アンジュリーゼ様!助けです!助けが来ましたよ!」
「……いやな予感がするわ」
「どういう事だ?」
タスクはアンジュの言葉に振り向く
「考えて見なさい。今までノーマの私たちを毛嫌いしていた連中が急に助けに来るなんてあり得るの?」
テンゲン、シュージ、ゼノンは驚き戸惑う。
シュージはアンジュに問う
「まさか、罠の可能性が?」
「……多分」
アンジュの推理にジャスミンは「ふむっ」と感心する表情をしながら頷く。
その中でアルゼナル付近の海域で、ミスルギ艦隊がアルゼナルへと進攻していた。
艦の中で旗艦エンペラージュリオ一世に乗艦しているジュリオが笑みを浮かばせていた。
「さあ、最後の再会と行こうじゃないか。アンジュリーゼ」
◆◆◆◆
臨時司令部でパメラ達がその放送を見ていた。
「耳を貸すなよ、たわ言だ」
パメラ達が振り返るとそこにジルがやって来て命令を言う。
「対空防御態勢!今すぐだ!」
「「「イエス・マム!」」」
ジルの命令と同時にアルゼナルは対空防御態勢へと入る。
アルゼナルの動きを知ったミスルギ艦隊、その事を兵士はジュリオに報告する。
「アルゼナル、対空兵器を起動!」
「やれやれ、平和的に事を進めたかったが……」
ジュリオは呆れると言わんばかりにマイクを取り、全艦艇に流す。
「旗艦エンペラージュリオ一世より全艦艇へ、たった今ノーマはこちらの救援を拒絶した。
これは我々、いや全人類に対する明白は反逆である、断じて見過ごすわけには行かない。
全艦攻撃開始!」
命令と同時に全艦隊からミサイルが発射されて、それにいち早く察知したバルカンが吠える。
「来るよ!」
「え?」
モモカは何が来るか分からず、アンジュは舌打ちをする。
「皆、基地の中に戻るわよ!!」
アルゼナルにミサイルが降り注ぎ、対空兵器が撃ち落とすも、一部は防ぎきれずにアルゼナルに直撃する。
アンジュ達は何とか爆風に巻き込まれずにアルゼナル内部へと退避した。
◆◆◆◆
「始めやがったか」
「……シュレディンガーもこっちに向かっているピョン」
「解った。リュガ……お前には整理がつかない状況だが、今は生き延びる事だけ考えてくれ」
エルドはそう言うがリュガは何も答えずだ。
「急いで、プルートに乗り込むめ。いいな?」
「……ああ」
リュガはふら付きながらも格納庫へと向かう。
エルドとカルネアデスは自分たちがやるべきことへそれぞれ向かう。
格納庫へ向かうリュガだが、マナの特殊部隊と遭遇する。
「殺人鬼のノーマだ!!」
「殺せ!!」
ライフルを構えるが、リュガは怯える事もない。
むしろ、目の前のはただのゴミクズ程度と思っているだけだ。
特殊部隊たちが発砲しようとした次の瞬間――――。
ドゴッ!!
リュガは回し蹴りで兵士の首をあらぬ方向へと蹴り曲げた。
次々と特殊部隊を素手で息の根を止め、薙ぎ払った。
「ああ……ニックを初めてコワシタ感覚だな……」
そう言いながらも、格納庫へと向かう。
◆◆◆◆
アンジュはサリアに連れられて最下層へと向かわされていた。
アンジュの他にジャスミンも居て、モモカを担いで向かっていた。
「良いの?この基地が大変なんでしょ?」
「言ったでしょ、貴方には大事な使命があるって」
「関係ないわそんな事、あんた達の使命なんて分かりたくもないわ」
リベルタスには協力する気はないアンジュ。
それを言い聞かせようとするサリアも何とかするも駄目だった。
「では息を止めて下さい!アンジュリーゼ様!」
モモカがコショウを振りまき、辺り一面コショウまみれとなり、息が出来なくなった。
「アンジュ!何処なの!くしゅん!!」
その隙にアンジュとモモカは何とか逃げ出した。
モモカのとっさの行動にアンジュは感心した。
「随分大胆な事をするようになったわねくしゅ!」
「アンジュリーゼ様の影響でくしゅ!」
鼻をかみながらもその場から何とか逃げるアンジュとモモカ。
サリアの報告を聞いたジルは歯を噛みしめ、アンジュの捕獲の命令を与える。
◆◆◆◆
食堂に付いたアンジュとモモカ、モモカはマナの光で灯りを照らしていた。
「こちらですアンジュリーゼ様、ここから行けそうです」
灯りを前に向けた途端二人は息を飲む、そこには焼け焦げた人が沢山いた。
それにアンジュは嘔吐し、それにモモカは駆け寄る。
「アンジュリーゼ様!み、水を!!」
すぐさま食堂のキッチンに向かったモモカ、アンジュはあたりを見渡していると。
「大切な物は失ってから気づく、何時の時代も変わらない心理だ。
全く酷い事をする、こんな事を許した覚えはないんだが」
謎の男が居て、それにアンジュは振り向いてみる。
その男こそエンブリヲだった。
「君のお兄さんだよ、この虐殺を命じたのは」
「なっ!?」
その事にアンジュは驚き、エンブリヲは言い続ける。
「北北東14キロの場所に彼は来ている、君を八つ裂きにする為にね。
この子たちはその巻き添えを食ったようなものだ」
―――バン!!
「きゃあああああああ!!」
キッチンから銃声がし、モモカの悲鳴が聞こえてアンジュはすぐに向かう。
向かうと二人の特殊部隊がモモカを狙っていて、モモカは左肩を撃たれていたが、動ける右手でマナの光を出して防御をしていた。
アンジュは銃を取り出し、一人を撃ち殺して、もう一人は両肩を撃ち抜く。
「あなた達がやったの?お兄様の命令で?」
「貴様、アンジュリーゼ!」
すぐに銃を構えるも、アンジュに手を撃たれてしまう。
「う、撃たないでくれ。我々は……ジュリオ陛下の命令で……」
―――バン!!バン!!バン!!バン!!
アンジュは撃ちまくり、弾切れになっても引き続けていてた。
それを見たモモカは慌ててアンジュを止めた。
「大丈夫です!モモカはここに居ます!!」
アンジュはすぐに後ろを見る。
あの場所に居たエンブリヲの姿は無く、それにアンジュは決心する。
「行かなきゃ!」
「えっ?」
モモカはその事に意味が分からずだった。
「アンジュ!!」
アンジュは横を見るとタスクがやって来た。
「タスク!」
「銃声が聞こえてすぐに向かったんだ。でも良かったよ君が無事で」
タスクが一安心して話していると、アンジュが言う。
「タスク、行かなくちゃいけない所があるの」
「え?何処に?」
「いいから!一緒に来て!」
アンジュはそう言ってモモカと共に格納庫へ行き、それに慌てるタスク。
「ああ!ちょっと待ってアンジュ!!」
タスクは慌ててアンジュを追いかけて行き、格納庫へと向かって行った。
◆◆◆◆
ヴィヴィアンを運ぼうとしている兵士たち、輸送機の前に誰かがいる。
「シュレディンガー博士!!」
「何故、博士がここに?」
「……その女の子を返してもらおうか」
その言葉に驚愕する兵士たち。
「博士、何を言っているのですか!?」
「この女は危険です。今すぐに処分せよと……」
兵士たちはそう言うが、シュレディンガーは目を瞑り、言葉を発する
「では、死ね」
ブカブカの袖から三本の鉤爪を展開し、兵士たちの喉を次々と刈る姿はまるで豹。
顔に付いた血を拭いヴィヴィアンを抱える。
「……この基地も我々も危ないか」
シュレディンガーはヴィヴィアンを抱えて、安全な場所へ―――。