クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~   作:Mr.エメト

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後半!!そして……あの人が登場


決別の海 後編

=アウローラ 食堂=

 

 

「美味~い!シュージの料理が懐かしい~!」

 

「よく食べるねヴィヴィアン」

 

「やっぱ、元がドラゴンだからか?」

 

食い意地の強いヴィヴィアンの様子に呆れかえるしかなかった。

マギーがヴィヴィアンの身体をあちこち触りまくり、それに擽られてしまう。

 

「本当にキャンディーなしでもドラゴン化しなくなったのかい?」

 

「そう…らしい!」

 

「大した科学力だね~」

 

マギーはサラ達の世界の科学力に感心する。

 

「向こうの皆は羽と尻尾があったんだけど、アタシなんでないの?」

 

「あー……ばれるから切ったよ」

 

「うわっ!!ひでぇ~!!」

 

ヴィヴィアンの様子に向かいに座っているココとミランダ。

隣の席に座っている若者三人は苦笑いしながら見ていた。

それに……

 

「全く、あの時の二人がここまで強くなるとはね」

 

そう、元隊長のゾーラだ。

脱出した後にマギー、テンゲン、ラプラスが治療続けて遂に意識が戻ったのだ。

日常生活に支障はないがパラメイルに乗っての戦闘は無理のようだ。

 

「ま、色々と合ったんでな。ゾーラが寝ている間にな」

 

「ははは、生意気言うようになったか」

 

なんだかゾーラは嬉しそうな感じだ

 

「全く、心配させやがって。戦場からロストして、帰ってきたら、この男とはイチャイチャするわ」

 

「ごめんねヒルダ、悪かったわ」

 

アンジュが謝るとヒルダは少しばかり頬を赤くし明後日の方を向く。

 

「どうしたんだ、ヒルダ?」

 

「何でもないよロザリー。全く、お前等が居ない間大変だったからな」

 

「その事だが、俺達が居ない間何があった?」

 

リュガがその事を問い、ロザリーが少しばかり暗い表情で言う。

 

「お前たちが消えた後、アタシ等はとても苦戦した事ばかりなんだよ。

 アルゼナルは壊滅するわ、仲間が大勢殺されるわ、クリス達が敵になるわ……」

 

「サリア、エルシャ、クリス……。あの三人がどうして」

 

「こっちが知りてぇよ!容赦なくドカドカ撃って来やがって!あんなのもう友達でも何でもねぇよ!」

 

ロザリーが机をたたく。

いつも、クリスと一緒にいたからそんな気分なんだろう。

 

「そういえば、この船を護っていたのって……貴方達なの?」

 

「こいつ等が頑張ってくれたからな」

 

ロザリーは指を指して、三人の若い少女たちの方を向かせる。

 

「ノンナ、マリカ、メアリー。戦力不足でライダーに格上げされた新米たちさ」

 

「私達の後輩です!」

 

「足手纏いにならないよう頑張ってます」

 

ココとミランダが強い意志を見せる。

リュガはあの時と違って、強くなっているのを確信していた。

 

「ゾーラ姉さまが、まだ動けないから私がみっちり扱いたお蔭で何とか───」

 

メアリー達が一斉にヴィヴィアンの方に向かって行き、それにはロザリーも流石に突然過ぎて戸惑った。

 

「あの!お会いできて光栄です!」

 

「んっ?えっ?アタシ???」

 

ヴィヴィアンは自分の事を言われて、何が何やら分からなかった。

 

「第一中隊のエース、ヴィヴィアンお姉様ですよね!」

 

「ずっと憧れていました!」

 

「大ファンです!」

 

「そっかそっか♪ よし喰え喰え~!」

 

ヴィヴィアンは自分の食器の具をメアリー達にも分け、その様子にロザリーはやや悔しがる。

 

「ちょ、ちょっとあんた等!!アタシにはそんな事一言も!?」

 

「………どんまい」

 

シュージはポンポンとロザリーの肩を叩く

 

「慰めんなよ!!?私がみじめじゃないかーー!!」

 

アンジュが何やら考えているタスクの方を見る。

 

「どうしたの?」

 

「いや、アレクトラ…じゃなかった。ジルの様子が気になってね」

 

「アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ…だっけ」

 

「何故、知っているんだ?」

 

「皆知ってるよ、司令が全部ぶちまけたからね。自分の正体も……リベルタスの大義の事も」

 

ヒルダはジルが自ら正体を証し、リベルタスの全て。

自分達の最大の敵であるエンブリヲとカノープスを倒す事を宣言した事を話した

 

「アレクトラが……そんな事を」

 

「意気込みは分かるけど。ガチ過ぎてちょっと引くわ…」

 

「貴方にあの人の何が分かるの~!」

 

別に人物の声が聞こえた事にリュガ達はその声がした方を見る。

厨房から完全に酔っ払いたエマが出て来る、ワインをラッパ飲みしながら。

 

「か、監察官!?」

 

「ぷはっ! えまさんで良いわよ~?エマさんで~♪」

 

「ぐっ!?酒の匂い!?」

 

「この艦に乗られてからずっとこうなのですよ」

 

「ずっと……!?」

 

モモカの言った事にリュガは驚きを隠せない。

 

「しょうがないでしょう!殺されかけたのよ!!人間に…同じ人間に!!」

 

あの時、アルゼナルで保護を求めようとしたのに殺されかけたのをマギーが助けてくれて、それ以来エマは酒浸りになってしまっていたのだ。

それを司令であるジルが保護し、エマが信じられる人はジルただ一人だけらしい。

 

「あの人だけよ~!この世界で信じられるのは! そうよね~!ペロリーナ~!!」

 

エマはペロリーナのぬいぐるみを抱きながら泣き崩れ、それにマギーが止める。

 

「はいはい、もうその辺にしときな……」

 

「酒を取り上げんと、肝臓がやられるな」

 

テンゲンがやれやれと言う。

 

「でも、監察官の言う通りだ。アタシ等にとっちゃ、信じられるのは司令だけだからな、この世界で……」

 

ロザリーはそう言う。

だが、アンジュとリュガはこのままジルを信用していいのか……決められなかった。

 

 

◆◆◆◆

 

=アウローラ 司令室=

 

 

一人となったジルはタバコを吸っていた

だが、あの忌々しい光景がよみがえる。

 

 

"右半分の道化師の仮面をつけた男が、引き千切った片腕を持っている"

"―――逆らう気も起こさぬほど、もっと苦しませてやる"

 

 

吸っていた煙草を握りしめて潰し、恐ろしい表情をする。

 

「エンブリヲ……カノープス……!!」

 

 

 

◆◆◆◆

 

翌日、リュガ、アンジュ、タスクと共にアウローラでジル達と作戦会議を開いていた。

 

「よく眠れたか?」

 

「まぁな……」

 

「それは結構、ではお前たちに任務を与える。ドラゴンと接触、交渉して同戦線の構築を要請しろ」

 

それにアンジュとタスクは驚きの表示を隠せなかった。

だが、リュガは訝しんでいた

 

「どうした?お前の提案通り、一緒に戦うと言っているんだ」

 

「………本気か?」

 

「リベルタスに終止符を打つには、ドラゴンとの共闘。それがもっとも合理的で効率的だと判断した」

 

それには流石のジャスミン達も驚きを隠せずだった。

ジルの話しを聞いたタスクは笑みを浮かばせながらアンジュの方を向く。

 

「アンジュ…!」

 

「うん!」

 

アケノミハシラにエンブリヲが居ることが判明し、そこにドラゴン達と共にミスルギ皇国に進行すると言う作戦。

ドラゴン達は前方から攻めて、薄くなった後ろから攻撃するという。

最もアンジュ達の目的はアウラを開放する目的が一緒な為、これが効率の良い作戦だと感じたアンジュとタスク。しかしレオンは…。

 

「これだと、ドラゴン達が大きな負担になるぞ。それに……サリアたちは?」

 

その事にジルは思わず鼻で笑う。

 

「持ち主を裏切る様な道具はいらん」

 

「道具って……!だってサリアよ!?」

 

アンジュは反論する。

アルゼナル時代、一応は世話になった仲間だ。

サリアだけではなく、エルシャとクリスも葬る。

 

「全てはリベルタスの為の道具に過ぎん。ドラゴンも、アンジュも、リュガも、私も」

 

「テメェ……ドラゴンを捨て駒にするのか!!こんな作戦、協力できるか!!」

 

「なら、協力させるようにしてやる」

 

映像に映し出されたのは、モモカ、シュージ、テンゲン、ゼノンが囚われていた。

 

「減圧室のハッチを開けば侍女と友達は一瞬で水圧に押しつぶされる」

 

「ジル!!アンタの仕業かい!!」

 

「聞いてないよ、こんなこと!!」

 

ジャスミンとマギーもジルの所業に異論を唱える

どうやら、ジルの独断で行動したようだ。

 

「アンジュ、リュガ。お前たち二人は命令違反の常習犯だ。予防策を取らせてもらった」

 

「アレクトラ……!」

 

タスクは以前とは全く違うジルの行動にただ戸惑いを隠せない。

 

「救いたければ作戦を全て受け入れ!行動しろ!」

 

「てめぇ…自分が何をしているか分かっているのか!?」

 

リュガはジルを睨みながら問い、それに笑いながらジルは言い続ける。

 

「リベルタスの前では全てが駒であり道具だ。

 あの侍女はアンジュを動かす為の道具、アンジュはヴィルキスを動かす道具。

 そして……ヴィルキスはエンブリヲを殺す究極の武器!!」

 

アンジュが銃を取り出してジルに向ける。

 

「ふざけるな!!モモカを解放しなさい!!今すぐ!!!」

 

次の瞬間、ジルに銃を奪われて、アンジュはジルに腕を捕まれ引き寄せられる。

 

「てめぇ!!」

 

リュガはジルを殴りにかかるが、蹴飛ばされて壁に激突した。

 

「リュガ!!」

 

「タスク、お前はヴィルキスの騎士。お前はヴィルキスを護れば良いのだ!」

 

「アレクトラ…!!」

 

もう完全に昔のジルではないと感じたタスクはジルを睨むしかなかった。

 

「さあ、お前の答えを聞こうかアンジュ」

 

「く…くたばれ!」

 

アンジュはジルに向かって唾をかけ、唾を掛けられたジルはアンジュを睨む。

 

「どうやら少しお仕置きが必要だな……」

 

ジルがアンジュに拳を上げた途端―――。

 

「がああああああああっ!!」

 

リュガはジルの脚に噛みつく。

痛さにアンジュを離し、転ぶジル。

片方の足でリュガの腹を蹴飛ばし、銃を構える。

 

「貴様……!?」

 

ジルたちの身体が急に動かなくなり、ジャスミン達は徐々に意識が失っていった。

何とか意識を保っているジルは換気口を見て、換気口から何かガスが出ているのに気が付く。

 

「ガスか…!」

 

「ああ……昨晩、シュレディンガーたちと話して万が一の為に仕掛けておいたんだ」

 

タスクはアンジュとリュガにガスマスクを渡し、すぐにつける

 

「タスク!貴様もか…!!」

 

「アレクトラ、もうあんたは俺の知っているアレクトラじゃない!」

 

「貴様、ヴィルキスの騎士が!リベルタスの邪魔をするのか!!」

 

その事にタスクは真っ直ぐな目線でジルを見ながら言う。

 

「俺はヴィルキスの騎士じゃない!!アンジュの騎士だ!!」

 

それにアンジュは思わずタスクを見て、リュガはフッと笑う

三人は急いで部屋から出る

 

「惚れ付いたか…ガキが!」

 

 

◆◆◆◆

 

 

モモカたちを助け出した同時にリュガ達はヴィヴィアンと天才たちと合流した。

 

「ったく、いきなりヒデェメにあったぜ」

 

「だが、お前らが無事でよかったよ」

 

三人の友人が無事でホッとするリュガ。

 

「リュガ、一つ聞きたいことがあるがいいか?……まだ、俺たちに隠し事をしているだろう?」

 

テンゲンの言葉に驚き戸惑うリュガ。

だが……リュガは真実を話した。

自分と母がドラゴンであること、自分が乗っているパラメイルには母の魂が宿っていると。

 

「……これが全てだ。俺はもう……普通じゃないんだ」

 

軽蔑されたって構わなかった。

だが、シュージはリュガの肩を掴む――――。

 

「バカだな!!

 お前がノーマだろうがドラゴンだろうが、リュガはリュガだろ!?

 ――――俺たちの親友だろ」

 

「何年、お前と付き合っているんだ馬鹿者。昔から抱え込むのは治っていないようだな」

 

「リュガ、僕たちはそれで君の事を嫌いにならないよ……いっぱい迷惑かけてもいいからさ」

 

「……ありがとう」

 

三人の友情の絆にリュガは感謝していた。

格納庫へとたどり着き、パラメイルに乗ろうとするが――――。

 

「逃げ出す気か!アンジュ!」

 

皆が前を見ると、ジルの姿がいた。

しかも、ジルの足にナイフを刺した後があり流血していた。

強引に催眠から覚めるために刺したのだろう。

それほど、リベルタスを成功させたいという執念だからこそだ。

 

「うげ、足にナイフを刺すとか無茶苦茶だろ……」

 

「逃がさんぞ…アンジュ! リベルタスを成功するまではな!」

 

「私の意思を無視して戦いを強要するって…人間達がノーマにさせている事と一緒じゃない!!」

 

アンジュが相手にしようとするがリュガが止めに入る。

 

「……俺が相手をする」

 

リュガはファイティングポーズをとる。

 

「お前が勝ったら、俺を煮るなり焼くなり好きにしてもいい。皆は下がっててくれ」

 

ジルはナイフを構えてリュガを斬りにかかるが、避けて蹴りを放つ。

互いの攻防が続くが、ジルはリュガに強く言う。

 

「お前は人間を殺したんだ!!そんなお前だからこそ、リベルタスを成功させるために必要なんだ!!」

 

「テメェの言いたいことは解った……だがな!!」

 

リュガはジルの腕を掴んで投げ飛ばすが、ジルは両手をついて一回転して着地する

リュガの両目が金色になり、吼える。

 

「それでも俺もアンジュも復讐の道具にならねぇよ!!アレクトラ・マリア・フォン・レーベンヘルツ!!」

 

「っ!!黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

鋼の義手で殴りにかかるが、リュガは掴み、頭突きをブチかます

強烈な一撃で意識が朦朧としかけているジルだが両膝をついて倒れた。

 

「……母さんの故郷の皆に危険な真似はさせたくないんでね」

 

だが、ジルは立ち上がろうとするが――――

 

「もうやめな!ジル!」

 

突然の声にリュガ達は振り向くと、マギーに支えられやって来るジャスミンが居た。

 

「解っただろ。あんたのやり方じゃあ……無理だったんだよ」

 

聞いたジルは歯を噛みしめながら悔しがり、そのまま意識が途切れてしまう。

海面に出たアウローラ、格納庫ハッチが開く。

 

「リュガ、俺たちはここに残って帰りを持つよ。待つ奴がいれば気が楽だろ?」

 

「……解った。シュレディンガーさん、ラプラスさん、カルネアデスさん。俺の友人をお願いします」

 

三人の天才たちは頷く。

 

「これからどうするんだい?」

 

「もう決まっている。俺達がリベルタスをやる」

 

「あの人のやり方は間違ってはいたけど、やっぱりノーマの解放は必要だもの…。私達がやるわ、リベルタス」

 

「ああ、俺達を信じてくれる人たちと……俺達が信じる人たちと一緒にね」

 

リュガ、アンジュ、タスクがそう言ってジャスミンは笑みを浮かばせる。

ヴィヴィアンも連れて空へと飛び立ちサラたちの世界へ飛ぼうとするが――――。

カノープスの剣であるトリアングルムとサリア達のクレオパトラ、レイジア、テオドーラが向かって来た。

 

「そこに居たのね…アンジュ」

 

クレオパトラに乗っているサリアはアンジュを見てそう呟くのだった。

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