クロスアンジュ 天使と竜の輪舞~デバステイター~   作:Mr.エメト

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白き天使

◆戦闘区域◆

 

 

ドラゴンの追撃部隊は、サリア、ヒルダ、ヴィヴィアン、エルシャ、ロザリー、クリス、アンジュ、リュガだ。

 

「お姉様をあんな目に遭わした奴と一緒に出撃ィ!?」

 

「殺す、殺す、ブチ殺す・・・」

 

ロザリーは不満を漏らし、クリスは物騒な事を呟く。

 

「死ににいくそうだよ痛姫さまが」

 

「何?」

 

ヒルダさんの言葉に二人は首を傾げる。

 

「見せてもらおうじゃないか、死にっぷりをさあ!」

 

「おぉ?なんじゃああの機体!?ねえサリア!アンジュのパラメイル、ドキドキしない!?」

 

天真爛漫にはしゃぐヴィヴィアンだが、サリアは冷静に返事をする

 

「作戦中よヴィヴィアン、皆くるよ!!」

 

取り逃がしたガレオン級ドラゴンが海面から姿を現す。

 

「どうする隊長?」

 

「奴は瀕死よ一気にトドメを刺す!全機駆逐形態!!」

 

「「「「「イェス、マム!!」」」」」

 

「了解!!」

 

アンジュ以外、フライヤーモードからデストロイヤーモードになりドラゴンを倒しに行くが―――。

 

【ガオオオオオオオオオオオンッ!!】

 

「!?」

 

「サリア、下からくるみたいだ!」

 

なんと、ガレオン級ドラゴンは下に無数の光弾を発生させ攻撃してきた。

あのドラゴン、頭が回るようになったのか?

 

「こんな攻撃してくるなんて・・・過去のデータには無い・・・」

 

予測外のドラゴンの攻撃にサリアは混乱しているようだ。

 

「・・・どうすれば・・・」

 

「サリアちゃんどうするの?隊長は貴方なのよ!」

 

エルシャが必死に指示を仰ごうとする。

ドラゴンが迫ってきている。

 

「か、回避!」

 

だが、サリアは遅れておりドラゴンが迫っていた。

リュガは、サリアの機体を掴み安全な方へと飛ばすが、代わりに捕まってしまった。

 

「リュガ!!」

 

「ちぃぃっ!!」

 

【グルルルルル・・・】

 

ガレオン級ドラゴンは、なにやら憎しみに満ちている顔でリュガ機を睨んでいる。

 

「ああ、そうか。俺が昨日、殺したドラゴンはつがいか?

 俺をどうやって殺そうかと考えているのか?」

 

ドラゴンもただ人間を襲う本能に任せた獣かと思っていたが、気にくわない顔だ

 

「ガン飛ばすんじゃねぇよ!!」

 

左手を換装しダイヤモンドカッターを射出しドラゴン左面に刺さる。

悲鳴を上げるが、それでも離す気配がない。

次の攻撃を仕掛けようとした時、アンジュ機がこっちに近づいてくる。

 

「ちゃんと死ななきゃ・・・」

 

ドラゴンの狙いは近づいてくるアンジュに変わり、攻撃を仕掛けようとする。

 

「あいつ、本気で死ぬ気・・・?」

 

ヒルダだけではなく他の皆にはそのような行動を取っているようにしか見えなかった。

だが、ドラゴンの強烈な尾に弾かれたが、アンジュは体勢を立て直す。

 

「いけない・・・もう一度ちゃんと・・・これで、さよならできる・・・」

 

死ぬ覚悟ができていないのか単に怖いのか回避行動を取っている。

だが、リュガはアンジュの行動を見て、あることが解った。

人間は死にたくても本能では死にたくない。死を恐れ、生きることに執着する。

遂にはアンジュも捕まってしまい、ドラゴンはアンジュを睨む。

 

「う・・・くぅ・・・」

 

ドラゴンの恐怖、いやこれから来るであろう死の恐怖に体が震える。

その時、自分を守ってくれた母――ソフィアを思い出す。

 

――生きるのです、アンジュリーゼ。どんな困難が待っていようとも・・・。

 

母の最期の言葉を思い出し、形見の指輪を見る。

ドラゴンは痺れを切らしアンジュを食いにかかろうとする。

 

「いやあああああああああああああああああああっ!!!!」

 

アンジュの悲鳴に応えたのか、ヴィルキスが白銀の輝きを放つ。

ドラゴンも突然の輝きに目が眩んだ隙に、リュガは脱出する。

 

「やっぱ、あの機体にも仕掛けがあったのか」

 

アンジュはヴィルキスを操縦し、デストロイヤーモードに変形する。

背中には青い翼、巨大剣ロングソードを滞納、額部に女神像のようなオブジェが飾られている。

その姿はまるで、戦乙女、天使のようだ。

 

「死にたくない・・・死にたくない・・・お前が・・・お前が、死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

アンジュが吼え、銃を構えて撃つが、ドラゴンは障壁を張っている。

反撃に無数の光弾を放つが、アンジュはフライトモードに変形し避ける。

デストロイヤーモードになり、ロングソードを抜きドラゴンの頭部を刺す。

自分の撃った光弾も直撃し、グラリッと傾く。

 

「うわあああああああああああああああああああああああ!!」

 

凍結バレットを心臓に何度も撃ちこむ。

氷塊がドラゴンの体を覆い、生命停止し、海へと沈んでいく。

 

「こんなの・・・私じゃない・・・ころしても生きたいなんて・・・」

 

「そいつは悪い事ではない。辛くても生きて生きて戦わなければいけないんだ」

 

リュガそう諭すと、アンジュは泣き始めた。

ジルはアンジュとヴィルキスの覚醒を見てフッと笑っていた。

 

 

◆アルゼナル 墓地◆

 

 

太陽が沈み、オレンジ色に輝いていた。

アンジュとリュガは沈む太陽を見ていた。

 

「私には何もない、もう何もいらない。

 名前も、過去も・・・だから、私は生きる。

 この過酷な世界で・・・」

 

アンジュはナイフを取り出し、髪を切り落とした。

皇女アンジュリーゼは死に、今この時から兵士アンジュとして生きるという決意の表れだろう。

 

「長髪もいいが、短髪も似合っているな」

 

「・・・それはどうも」

 

リュガは懐から取り出す、プリンだ。

 

「ココからだ。今度は捨てずに食えよ」

 

ズイッとプリンをアンジュに押し付ける。

アンジュは受け取り、プリンを食す。

どうしてか、一筋の涙が流れていた。

 

「美味いだろ?庶民のプリンでも」

 

「・・・不味いわよ」

 

口ではそう言っても、本当は美味しいと素直に言えないようだ。

リュガはそういうことにしておいて、自分もココから貰ったプリンを食べる。

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