ドス鳥竜として生きる   作:神袋

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再度、水没林で生きる

僕のせいだ。逃げた結果フロギィの巣がある場所までラギアクルスを連れてきたようなものだ。だからフロギィ達は全滅して、辛うじてフロギィくんだけが残った。のらりくらり旅をしてたまに同郷の転生者と会って…なんて甘い考えをしてたから…。

 

「思い詰めるな」

「抱え込むなよ」

 

やめてくれよ。首領なんて僕がたまたま戻る決断をしなかったら罪を償えなかった。聴きたくない。慰めの言葉なんて。故郷(地球)の漫画で散々見てきただろこんなシーンは。苦しめないでくれよ。

 

 怒り、やり返す、悲しみ、苛立ち。その他もろもろの負の感情と思考が巡る。意味もない、意義もない、不利益しか産まないそれに包まれるが語り終えた者は同じ感情と思考を留めていた。

 

「ランポスさん」

「………………」

 

 焦燥に駆られながらもたじろぐ者に再び語り始める。自分だってそうだと。仲間を傷つけられ、反撃を試みる、挙句死別を経験し、不甲斐無さに泣き喚いた。同じ事を思ったと語らう人の話を聞いた者は自覚する。この人は自分よりももっと深く、強く、暗く、激しい事を思っている。聴いただけなのと実際に経験したことの何が違うかなんて明白だ。浅すぎる、低すぎる。

 

そうだ。この人は僕が考えてる程度じゃ測らないものを受け止めたんだ。じゃあ僕が崩れている時じゃない。覚悟を決めるんだ。

 

「どうしたい?」

 

 反響音が消える。その程度の合間に立ち直り、自分にできる事をできる限り実行する。罪滅ぼしの為に。散らせてしまった者の為に。

 

「……なら。僕は…」

 

 感情を込めて、彼のエゴと思いを最大限に詰めた願いは

 

「一緒に旅をさせてほしいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数日。フロギィの巣を大幅に避けながら水没林を旅してる。少しだけ晴れてても何もない空に、久しぶりに来てもやっぱり壮観な景色は飽きないね。砂景色に住んでた二人もまあいい反応をしてくれてる。

 

「なぁ。本当にやり返さなくていいのか?」

「うん。みんなにはケガしてほしくないんだ。わざわざ復讐なんてして危険に身を晒さなくてもいいよ。」

 

どうもむず痒い。僕のせいであんな経験させてしまったのに…。リードを引っ張られながらも猫を追う犬みたいな気持ちだな。復讐したいのにさせてくれない。別に復讐が生き甲斐でもないんだけど本人に言われちゃ中々難しいね。まぁフロギィの願いを叶えるって決めちゃったしこのまま四人で旅を続けようかな。

 

 湿密林を遠くに見たり、川渡りをチャナガブルに妨害されながらもランポスの産まれ(転生)故郷方向へと進んでいく。四人は喧嘩もなく、笑いながら観光を続ける。平和な旅だ。まさに願うばかりの時を過ごしていく。途中水没林の生態系上位と争うこともあった。ラギアクルス、ライゼクス、ナルガクルガ等それぞれの記憶の中の姿より恐ろしさはなかったが、余裕の勝利を納めた。転生者が四人も集まればそれほどまでに戦闘は易化し、危険を感じることもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの時は満月だったのにもう新月だよ」

 

会話の火種は点けたしどれだけ時間が経ったのか考えてみよう。1ヶ月で一周期だから…ええと…大体…

 

「二週間だな!」

「二週間か」

「「何の話(だ)?」」

 

フロギィもゲネポスも話は聞いとけよな〜。月の満ち欠けのー

 

「待って。なんで首領僕の考えてることわかったの?」

 

えっ怖い怖い。テレパシーでもできんのかよ。そんな能力現実離れしてるでしょ。

 

「いやな?なんかお前の声が聞こえた気がしてな」

 

マジでテレパシーじゃん。心が通じ合うなんてマンガすぎるでしょ!

 

「怖いって!」

「すまんすまん!気のせいだったかもしれん!」

 

それならいいんだけどもね。まあ月の話題だしたの僕だしギリ理解はできる‥かな?

 

 火を起こさずとも夜目が効く四匹は尽きない話の種を撒き疲れ、冷える水没林の夜空の下眠りに就く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 起きたのは健康的な朝。一面どよんと雲以外に浮かぶものがない空から光が注ぐ。ただ、一つだけ日常とは異なる。この世界で最も危険なだとも言える存在が潜んでいた事に四匹は気づくわけもなかった。

 

「よし、今日も歩きますか」

 

流石にそろそろ飽きてきたかもしれない景色だな。でも今からする食事っていう楽しみはいつになっても何になっても飽きないね!最近みんなもズワロポスの味の良さがわかってきたみたいだし今日もズワロポス食かな〜。

 

 日々の娯楽を妄想しながらも妄想の相手が目の前に現れる。一瞬で生肉と化した草食獣を貪り、油断する鳥竜種達の隙を狩る()が林から空を切って剛剣を振るう。

 

「俺の方に跳べ!」

 

なんだなんだ?とりあえず指示には従うけどどしたの?なんて思ってたけどマジで感謝。感じもしなかった殺気が姿を見た瞬間に感じたわ。この体だからいつかは相見えるとは思ってたけども……。

 

 ハンター。主にモンスターを狩り、人々の安全を確保する事を生業とする人間の総称であり職業名。一般人とは一線を画す戦闘力を有し、『青い星』

『猛き炎』『白い鎧』『村の英雄』等偉業を冠する称号が付く者も存在する。不運にも悍ましい殺気を放つその人物こそは崩竜を討ち破った『ポッケ村の英雄』であった。歴戦の狩人の出てきた茂みから槌使いとボウガン持ちが姿を現す。

 

なんだ?そっちなら姿を見せてくれるなんてありがたいね。あと一人いる可能性は捨てないで、元人間として軽くあしらってとんずらこくとしようかね。

 

 意図を仲間に伝えるとフォーメーションを組む。身軽な双竜が前に、砂と毒の竜は後ろに構える。ハンター達は防具の内側で驚きながらも対峙する。モンスターと人間の勝負。攻めてくるのはモンスター側だと言わんばかりに待つハンターの誘いに乗り、二匹は駆け出す。射程の長いボウガンを狙う一匹と近接二人とインファイトを仕掛ける者に別れ、残る二匹は中距離から近接を狙う。

 

 ボウガンの弾道を予想しながら蛇行ステップで近寄っていく。依頼書の情報を思い出し離れることは不可能だと察するハンターはその鈍重さからは思いもしない動きで近接戦闘を行う。撃ち、転がり、避けるというよりも撃ち転がり避けるといったように反動をものともせず滑らかにモンスターの攻撃を捌く。むしろ反動を利用して避け、転がりながら撃つ。火薬が燃え、立ち昇る百戦錬磨の銃舞は無限に続くように感じる

 

 一方で三対二。避ける事のみを意識し攻撃を仲間に任せる。毒液と砂塊、大振りな二種の一撃それぞれをひらりはらりと避け続ける。運動能力にモノをいわせた舞の中武器によって出た煙が少し上がる。そんな力で振るっているのかと想像する黒蜥蜴は砂を吐き尽くし、近接戦闘へと参戦。数的五分をとられ、互角の攻防を強いられるハンターだが、背後からの毒液を不意にくらう。ダメージを受けながら歯を食いしばるような表情をし、受けの選択をとり始める。彼の顔を想像するにこの戦いの終わりも近づいてきたようだ。

 

この世界における人対モンスター。この展開を見た上で、知っての通り、勝者はもちろん…

 

 

 

 

 

 

()()()()()である。




この物語を見てくれている人ならゲーム本編をしたことありますよね。もちろんモンスターを狩りにいく時いつも勝者となり得るのはどちらなのか……わかりますよね?
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