ドス鳥竜として生きる   作:神袋

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森丘で生きる

出来るだけ人目につきにくい道を選んで正解だったな。生まれ故郷…森丘っていっとほうが分かりやすいか。森丘って危険なモンスターが他フィールドと比べて少なめだからか初心者ハンターが結構いるんだな。ゲリョスにイャンクック、同種(ドスランポス)とかと戦ってるところを何度か見かけたし。危険なモンスターは経験則からすると少ないけど平和なのはいいことだ。

 

 あの日駆けた草原、命からがら逃げ込んだ森、夢だと思いながらも否定され生きる事を強制させられたあの日がフラッシュバックする。広く優しい雄大な土地に帰ってきた彼だが新天地で待つものは何か。また経験則に基づくとやはり困難は目の先に鎮座しているだろう。

 

「さっさと進んで違う土地に行こうよ」

「観光なんだからそんな急かさないでよ」

 

まあそうだよね。ここを知ってるのは僕一人な訳で。三人のためにも聞き分けいいとこみせちゃおっかな〜。

 

ド  オ  ン

 

「!?」

 

 上弦の…参?一行は音の鳴る方へ仰ぐ。草原を歩く彼らの目には墜落の一途を辿る気球と巨翼を扇ぐ空の王者(リオレウス)が映る。全員は「リオレウスだ」と頭によぎる。だが単にリオレウスというとは言えず赤は韓紅(からくれない)、黒は漆黒、体躯に余る極大翼とそれに見合う胸筋(エンジン)を携えている。明暗がはっきりとした外殻が我こそはと煌めき、森丘の皇帝を空に際立たせた。墜落地点の側で見上げる小物達を一瞥し、丘を超えた先の小山へ飛び去った。やっと首を下ろす事ができた四人は少し間を置いて互いに語り始める。

 

「リオレウ…ス?だよね?」

「多分そう…?」

「もしかしたらってのが思い当たる」

「リオレウスってかっけーのな!」

「「「………」」」

 

 飛び跳ねるドスゲネポスを冷視しつつも続ける。

 

「思い当たるってのは?」

「あぁ、俺は地球にいた昔にMHF(フロンティア)というシリーズをやってた事がある」

「それで?」

「そのオリジナルモンスターの中には『辿異種』という区分があってそれに属するリオレウスと似てるんだ。あの黒さだけははちょいと似つかないが…」

「黒さ的にはわかるかも。多分黒炎王リオレウス」

MHX(クロス)時代のモンスターだね!」

「うん。爪の雰囲気も似てた」

 

 彼らの考察は正解に近い。どちらの特徴も一致する上、翼膜の紋様は黒炎王そのもの。戦闘形態も概ね合っている。モンスターの眼で捉えた情報、地球の記憶を元に彼らは決断する。

 

「戦わないでいい」

 

僕は戦闘狂じゃないし!い゛き゛た゛い゛(ニ◯・口ビソ)からね!道を塞がれている訳でもないし見逃してくれたっぽいから無視安定よ。故郷にあんな化け物がいるとは思わなかったなぁ。

 

 本能に従うでもなく生存。優先すべきは命だとまたまた経験則から学んでいる故に、一眼見る事ができて運が良かったと思うことにする様子。しかしいつもと違うのは皇帝関連だけではなく、すぐそこに墜落した気球船がある。研究者気質からなのか興味深々に近づくドスフロギィは破れた気球に潜り探ると整頓された紙を見つけた。口に咥え草上に置き影四つで見始めた。

 

「多分なにかの報告書だと思う。こことか日付っぽいし」

「しっかし何語だ?」

「読めるわけないじゃんか。モンハン言語なんてさ」

「それもそうか」

 

雑に等分して各自で読み出すと各々が固まり始める。理由は何か?文字がわからない人に何かを伝えるのに有効なのは絵だ。形そのものが表された存在としての意味を持つ絵は古代から利用されてきた。だが、その伝達機能の利便性は図らずも彼らに新たな不安因子を創造した。

 

「この絵…ドスランポスだ。でも背景は森丘じゃない…。水没林に加えて砂地もある…。絶対僕だよこれ」

「俺とお前の絵…隣はディアブロス?随分藍色が強いなこの絵…。まさかあの時の…?」

「見慣れた遺跡に蒼い結晶…。それにこの絵は巣を襲ってきたあいつじゃねぇか!もう一匹描かれてるがこっちはわからんな…」

「僕以外のみんなの絵と水没林…。ラギアクルス亜種の絵も書いてある…というか見慣れた見た目だ。この書式って…クエスト……!?」

 

「「「「人間が僕(俺)たちのことを知ってる!?」」」」

 

 気づくチャンスは何度もあった。空を見上げてみれば気球船が浮いてる時もあったはず。各々運が悪いのか考慮してなかったのかは知り得ないが、世界に順応し始めてしばらく。ハンターズギルドや点在する研究所は既に特殊個体を認識していたのだ。あの防衛戦や復讐戦も記録され、挙句クエストのメインターゲットとして駆除されかけていた。人類の安寧を求める組織が普通から逸脱した個体を放っておくわけがない。森丘の皇帝の怒りは間接的に四人の蜥蜴を追い詰めた。しかしながらこれは幸運でもある。

 

「人類に狙われてるってわかったならそれに応じた策を考えよう。いずれにせよ、避けて通れない事だしね」

 

 研究者気質からなのか動揺を一瞬で抑えてすべき事をわかりやすく仲間に伝える。慌てていた三人は彼の言葉によって少し落ち着きを取り戻し、日常を取り戻した。日常…これまでの激動も含まれているかもしれない日々に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうそろそろ出発しない?」

 

流石にきつい。数ヶ月間程度しか滞在してないとはいえ飽きがみんなよりも早くきた。一週間耐えただけでも褒めて欲しいね。ハンターからの襲撃もないし真夜中ならハンターの目を気にする必要もなくて安心して過ごせる。

 

「確かに十分観光したしね」

「じゃあ出発すっか」

 

待ってました!決まったならすぐ動く!人ならやって損ないぞ!

 

 皇帝もしばらく姿を見せていない。旅を再開し森の中を進む一行。平和な日常が過ぎてゆく。平和が過ぎ去ると何が訪れるのか。旅は順調に進むものではなく、困難が降りかかるもの。一行は初めて自分よりも小さな存在に襲われることとなる。

 

「※⭐︎%↑!♡×*!」

 

なんだぁ?かぼちゃ頭のちっちゃい奴だな。お前ら程度敵じゃないっての……

 

 見た目に油断させられ内心舐めて蹴散らそうと高を括って対応する。避けて一撃を喰らわす…はずだった。避けた瞬間樹上からネットが降りかかる。カウンターに不意打ちを合わせられ見事に罠に絡まる蜥蜴。状況を見て黒蜥蜴がカバーに入り、獲物となった一匹を守る。少し遅れて残り二匹も参戦し、罠を解くまでの時間を稼ぐ。

 

 彼らは奇面族チャチャブー。獣人種でありアイルーと同じ分類がなされている。有効的な個体もいるアイルーと対照的に他種族に対する強い敵対心と体格にそぐわない筋力を持ち、ランポスよりも危険性の高いモンスターとされる。また、独自の文明を持ち、娯楽を楽しんだり、武器を作成したりと優れた知能が窺える。今対峙している群れは森丘に住む精霊のような存在。恵まれない体を補い、激動の時代を生き残る為に特異な進化を遂げていた。特異といっても単純明快、()()隠れ見たハンターから学び、()()人間の技術を模倣し、()()()()を迎え入れた。理性を手にした奇面族は棲家を存護し、危険を排除する為にどんな敵にも全身全霊を持って対処する。種を存続させる為に倣い、対処する。

 

 

 




日常の定義とは、「毎日のありふれた事柄」。

元々知能に優れる奴らは盛りやすくて助かりますね
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