電話口の向こうに
_私の名前は削除済み
_突然だけど私が通っている学校には莫大な借金がある。
_その額なんと、20億!
_こんなの学生に払わせる量じゃないと思うんですけど。
_これも全部カイザーってやつが悪いんだ…!
_まあ、アホかわいい同級生とかわいい後輩がいるから頑張れるけどね。
_おや、もうこんな時間か、バイトに行かなきゃね。
_未来の生徒会長のためにもね。
あの日、全部が悪い方向に進んだ。
カイザーが明らかに法外な利子を請求してきた。
助けを求めたが、 …連邦生徒会は動かなかった。
_結局のところ最後まで …誰も助けに来なかった。
とてもじゃないけど、私がビジネスで得た金とアルバイトの給料を使っても…
払えるような額じゃなかった。
でも、私がやるしか無いんだ。
そんなとき、かかってきた一本の電話…
その電話口の向こうに、私はついに見つけた。
いや…私のほうが、見いだされたのかもしれない。
ただ、私は"それ"に縋り付くしか…なかった。
たとえ、私が居なくなろうとアビドスの借金が大幅に減るなら…それで良い。
そうやって、自分に言い聞かせた。
……もう時間だ、行かなきゃ。
じゃあね。
ユメ。
ホシノ。
またいつか。
どこかの研究所らしき場所で顔に白いヒビが入った男と
診察台のような物にのせられた少女が話している。
「おや、削除済みさん、もう心の準備はよろしいので?」
『もう大丈夫。』
「そうですか、随分と覚悟ができているようで。」
『ほんとに借金を半分にしてくれるんですよね?』
「ええ、もちろんそういう契約ですから。」
『そう、じゃあお願いしますね。』
『黒服さん。』
「…ええ。」
_それからは、もはや拷問だった。
_様々な薬を投与され…
_体が引き裂かれるような痛みに叫び。
_体が冷たくなっていくのを感じる。
_ああ、とても寒い…。
終わらない痛みの中、私は意識を手放した。
_私の名前は小鳥遊ホシノ。
_私が通っている学校には私達じゃ払えないくらい多い借金がある。
_…9億ものね。
_昔はもっとひどくて今の二倍以上もあったんだけどね。
_頭が良くて頼れる削除済み先輩と、
_誰よりも必死で、ちょっと頼りないユメ先輩がいたから頑張れた。
……だから先輩、戻ってきてくださいよ…。
…これ以上私を一人にしないでください…。
削除済み先輩は、あの日突然どこかへ居なくなってしまいました。
先輩の家に行ったとき、家の鍵が開いていて、
残されていたのは受話器の垂れ下がった電話だけだった。
話している途中で居なくなったらしく、
まだ電話口の向こうからは声らしきものが聞こえていた。
でも…耳に当てると…雑音しか聞こえなかった。
どこかの路地裏でピンクと黄色のサングラスをかけたスーツの人が、
支離滅裂な言葉を虚空に向かって吐き続けている。
『はい みなさ n こんniち わ? ワタ94で su!!!!』
『みな dieすき[[ナンバーワn セールス マン1197]]』
『スパムt』
『スパムトン G. スパムトン でsu! !! !!!!』
『HA HA HA HA HA HAHAHAHAHAHAHA!!!!』
彼女は今日もお金を稼ぐために奔走する。
なんのために、誰のために稼ぐかも覚えていないのかもしれない。
しかし、彼女には関係ない。
彼女の夢は、ただビッグになることだけなのだから。
続かない
と、思ってたら続いちゃった。
”あなた”はどうしたい?
-
人形を糸から解放する。
-
人形を壊す。
-
”彼女”を助ける。