モンスターハンターワイルズ完全補完ガイド ~ナタはアルシュベルドにエロ本を破られている~   作:ナ月(なつき)

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主人公は人殺し上がりのハンターである

※今回は真面目回です

 

 薄暗い路地。

 床に散らばる麦酒が気化するにおいと、革と金属の中で蒸された男の臭い。

 月光の零れる音が聞こえてきそうなほど静かな夜に、息を殺すような女性の悲鳴が地べたに転がる。

 

「助けて……っ!」

 

 女性に覆いかぶさっていたハンターが、にんまりと微笑む。

 

「観念しろよ。俺様はなぁ、この村を救うハンター様だぜ?」

 

 ところどころ、油か血で黒ずんだ男の指が、女性の体をぬらぬらと這う。

 口を抑えられ、泣いて堪えるしかない女性の視界に、もうひとりの男が映る。

 まるで影が持ち上がったかのように、ゆっくりとした動きで、その男は自分の身の丈ほどの大剣を持ち上げ、ハンターと名乗った男へと振り下ろす。

 

 ずちゃ。

 

 一振りでハンターの首を捻じ曲げ、かひゅっ、と喉に溜まった空気が吐き出される音が静かに響き、影の男が武器を地面に突き刺す。

 そして、空いた手を、倒れた女性に差し出す。

 それは救いの手であったはずなのに。

 女性の目には死神の誘いのように見えて。

 

 ──村に、絹を裂いたような悲鳴が響いた。

 

◆◆◆

 

 月日は流れ、バルバレ地下幽閉施設。

 鎖に繋がれたハンターが、力なく項垂れている。

 衛兵が声をかける。

 

「……おい。お前に謁見者だ。ついてこい」

「……今さら、俺になんの用だよ」

 

 

◆◆◆

 

Capter1-1 砂原を駆ける者 原作改変

 薄暗い室内にて、ファビウスと主人公との会話。

 

 

「君のことは聞いているよ。今日、呼ばれたわけは分かるかな」

「はい、禁足地の件ですね」

「ギルドは守人一族の保護と白の孤影の調査を決定した。君を禁足地調査隊ハンターに任命する」

 

「……はい? 『調査』と『救助』? 失礼ですが、どちらかを優先するべきかと存じます。目標がふたつある状況は好ましくありません」

「我々には立場というものがある。大勢の人材と物資を投入し、『守人は全滅していました』では話にならない。そうならないよう主目的は生態調査、守人一族は二の次とする」

「つまり、白の孤影がどういったものであれ、禁足地なら、どんな生き物でも資料にはなるし、得るものは絶対にある。生態調査は成功が約束されているわけですね。とすれば、守人一族の救助はこの時点でほぼ諦めているという認識で合っていますでしょうか」

「自然界で、村を失った人間が一週間だって生きられるわけがないだろう。少年を言いくるめるのには苦労したよ。しかし、辛抱強く情報を聞き出した甲斐はあった。彼は高度な文明を下地にした一族である可能性がある。君が道を拓いてくれさえすれば、優秀な部下に書物のひとつでも持って帰ってこさせるさ」

「いいのですか? あなたは狂竜化ウイルスの権威であるはずです。未開の地にウイルスを持ち込むことが、どれだけの被害をもたらすか分かっているでしょう」

「いかにも。我々は、様々な面で殺菌、抗菌し、熱が出ればワクチンで治療する。そんな近代的な環境下で育ったウイルスは、とてつもなく強い。文明の行き届いていない未開の地のやつらにこのウイルスを持ち込めば、パンデミックが起こることは必然だろう」

 

「……それでいいのですか」

「構わん。我々は飛竜調査隊だ。人間調査隊ではない。味方ならばともかく、現地の人間が何人死のうが知ったことではない」

「とんだ汚れ仕事を任せれたものですね。それで、私みたいなハンターが呼ばれたわけですか」

「そうだ。武器による殺人致死罪で拘留されていたお前を特別に生かし、ハンター及びギルドナイトの技術を身に着けさせたのはそのためだ。ふたりのギルドナイトには俺が話を通しておく。『特別な素質を持つハンター』だとな」

「私の狩猟記録には人間がひとり載っています。この狩猟記録は、確かに『特別』でしょうね」

「君の経歴は伏せておく。これは君にしか頼めない。やってくれるな」

「私にしか頼めない、ですか。それは、つまり。原住民がどんな思想を持っているか分からない、我々にとって敵と成り得ると判断しているということでしょうか」

「そうだ。邪魔なモンスターを狩り、いざとなれば人間も狩ってもらう。これは、ハンターとギルドナイト。両方の技術を持ち、命が軽い君にしか頼めない」

「やらなければ死罪、ですね」

「成功の暁には、さらなる減刑を与えよう」

「いい条件ですね。やりましょう。どうせ私は、ハナから他人の命に興味などないんですから」

 

 

◆あとがき◆

 こういう話の流れにする必要がある。あくまで流れだけ。このままシナリオ化することはないよ。情報のやり取りしかしてないんで。これを、うまーく情報を溶かしつつ、会話に落とし込んでストーリーにする必要がある。

 なぜって?

 最後に主人公がなんていうか覚えてるだろうか。

 「それでも、命は廻っているんだな」

 こう言うんだよ。この結論に、アルシュベルド倒して、今さら行き着くって、あり得なくない?

 このセリフ、主人公の口から出てくるのがおかしいんだよ。

 マジでこれに尽きる。なんでこれ主人公に言わせたの?

 主人公に言わせるから問題なんだよ。

 まともな「普通のベテランハンター」(それこそMH4主人公)だったら、とっくに気づいてるって言うか、子どもの頃から、親とか師匠から叩き込まれてる概念なんだよ。当たり前じゃん。命を貰う職業の人が、殺し方しか教わってないとか、あり得ないじゃん。「感謝の気持ちを忘れずにな」って絶対教えてもらうんだよ。

 そうなってないってことは、主人公は「何かしらの問題を抱えたハンター」(今回は治安が悪い地方出身で表現した)でなければいけないんだよ。

 現代に例えると、豚小屋を営む農家が「豚はこうやって殺すんだよ」。「いただきますとか言うな。黙って食え」。こういうレベル。

 

 かつ、ファビウスは

①「ウイルスの権威でありながらウイルス対策をしない」

②「守人の保護と生態調査を並行する」

③「主人公にしか頼めないとか言う」

 以上のことから、自分が非道なジェノサイダーであることは理解した上で、それでも自分たちの研究を進めなければいけない背景があり(今回は、人並外れた出世欲で表現した)、主人公は筆頭ランサーの指示に従わざるを得ない存在であることが望ましい(今回は死刑執行猶予待ちで表現した)。

 ハンターは「元ギルドナイト」説もあるが、まっとうなギルドナイトをハンターとして死地に送り込むとは思えない。(ギルドが管理できるハンターの数は、イコール、ギルドナイツが管理できる人数だから、ギルドナイトの価値はハンターより重い)やはり主人公は使い捨てのコマである必要がある。

 主人公はこうして「過去に自分が安易に奪ってしまった命」を噛み締め、迷い、悩み、悔やんだ末に、やっと「普通のハンター」が持ち得る感性を得る。

 これは、そういう苦難の旅路なのだ。

 ……っていう流れにしないといけない。

 ワイルズ(Wilds:野性)っていうかワイルズ(Wiles:たくらみ)になっちゃうけど。

 あと、「リアリティ重視のグラフィック」で、「生態調査」とかアカデミックなことをテーマにしている関係上、「これファンタジーだから」って言い訳は通用しない。

 

 まあ、あの。どこまで人工物でどこまでが自然なのか。っていうのが、割と今作でやりたかったことなのかなあと思ったりもするんだけど。

 「Wild」ではなく「Wilds」なのは、人工物も自然に組み込まれていくものだから、「従来の自然の枠組み」+「人工物」(人の手が加えられたもの全て)つまり複数だから「ワイルズ」。複数形になってるって考えもできて、それでいうと、「(作られたものであれ)命は巡っているんだな」って解釈でもいいんだけど、それだともっと浅くて、「だから何?」って話なんだよ。「あ、俺、気づいちゃったわ」っていう感想で終わってるから。最低でもあと一歩踏み込みが足りない。シナリオは読書感想文じゃねぇんだよ。

 

 ・「俺、気づいちゃったわ(それでも命は──)」

 ⇨「行きましょう」

  ⇨「ああ」「いやー、気づいちゃった。気づいちゃったわ」

   ⇨タイトルロゴ「Monster Hunter Wilds」

 いやおかしいだろこの流れ。

 

 なので、私は手っ取り早く、主人公もはみ出し者にした。

 まがい物の命でも、巡るんだ。ワイルドの一部なんだ。俺もそうなんだ。その中で俺は、どう生きるか。みたいな話の流れにした。そうしないと、後日談なしの推理物みたいに、投げっぱなしジャーマンスープレックスになっちゃう。

 主人公像……これでアレだよ。MH4の主人公じゃないかとも言われてるけど、嫌だよ。ヤだよ。なんでこんな、いい年こいて読書感想文なみのことしか言えず、命は巡るなんて当たり前のことに今さら気づかなきゃいけないんだよ。こんな実りのない人間になりたくないよ。

 安西先生もびっくりレベルで「まるで成長していない……」ってやつだよ。

 

 それか、ナタに対して「僕は助かるはずの命じゃなかった」「この地で死にゆく命だった」「外部の人間に命を繫げられた歪な存在だ」「野性から離れた時点で、僕も彼らと同じ人工の生命なんだ」「でも、僕の命も巡ってるんだ」とか気づかせるパートでもいい。

 そんなナタに向かって、「お前はどう生きたい?」「僕は──」とかでもいいですけど、原住民に武器を与えて狩猟させるとか絶対やっちゃいけないことなんで──以下略──長くなるので次の話で描く。

 というわけで、次回【ナタは闇落ちする】。

 暇なら書きます。

 

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