デュアル・ワールド・ザ・クロス 作:火野荒シオンLv.X-ビリオン
昔話
―――昔々、この世界の外にあると言われる【神々の領域】で、ある神が1つの世界を創りました。
その後世界を創った神は、別の神に頼み、ありとあらゆる生命を創ってもらいました。
世界を創った神は、その世界の成長する姿を、深く見守りました。
ですがある日、【機械】という物が現れてから、その世界は大きく変わってしまい、自然が破壊され、【機械】が支配をしてしまいました。
自然が破壊され、自分達の住みかを失った【魔物】と言われる生き物と、【動物】と言われる生き物たちは、自分達の世界を奪った【人間】と呼ばれる生き物に、大規模の戦争をもたらしました。
その大規模の戦争により、沢山の命は失われ、世界も既に限界と言える状態までになってしまいました。
このままでは、この星は、世界は滅んでしまう、そう思った神は、もう1つ【同じ】世界を創りだし、【魔物とと【動物】、そして世界に不満を持っていた一部の【人間】を、その世界に移してしまいました。
そして神は、【時の力】と呼ばれるものを使い、新たに創りあげた世界を、昔のような自然豊かな姿に戻しました。
神は一通りのことを終えると、総ての生物たちに告げました。
―――我は暫く長い眠りにつく
―――その間に新しい世界を、今以上に壊し、争いを起こすなら、我は2つの世界を滅ぼしに来るだろう
―――我はこの世界を愛している、そして主らもこの世界を愛しているのなら、このようなことを二度と起こすな
そう告げ終えると神は、2つの世界に別々の神を創り出し、更に自身の分身を作り上げると、神自身が住んでいた世界に、長い眠りにつくために、帰っていきました。
人々は、神の言葉の通り、それぞれの世界で、独自の進化を遂げながら、暮らしていきました。
~~~
「そうしていく内に、いつの間にか二つの世界は別々の呼ばれ方をし始めました。最初に創られた世界を『旧世界』、後から創られた世界を『新世界』と分けられました」
「えーっ、でもあっちのほーは【きかい】っていうのがあるから、あっちが『しんせかい』じゃないのー?」
絵本の物語を語っていた老婆は、3歳頃の女の子の言葉を聞き、にこやかに微笑んでいた。
「そうじゃろうけどねぇ………。でもカリンや。さっき話した通り、この『新世界』は後から創られたから、新しいという意味で、『新世界』と名付けられたのじゃよ」
「ふぅーん………」
カリンと呼ばれた女の子は、何となく理解しているのか、ただ声を出して、頷いていた。
「それじゃあつづき、つづきよんでー!」
「はいはい………そして神が去って300年後、神が創りあげた二人の神が、【空間の扉】という物を作り、それにより2つの世界は、行き来が楽にできるようになりました。それにより2つの世界は、互いに助け合うように更に色々と………」
老婆はふと、言葉を募らせる。
カリンは首をかしげながら老婆を見るが、自然と気持ちを理解し、布団に潜り込んでいた。
「ありがとうおばあちゃん。あたしもうねむたいから、またこんどね?」
「はいはい、それじゃあおやすみ」
「うん、おやすみなさーい………」
そう言ってカリンは、すぐに眠りについた。
長い時間聞かせていたせいで、疲れたのだろうと老婆は思い、本を本棚にしまうと、老婆は窓越しに夜空を見ていた。
「まったく………そうなったせいで、この子は………」
そう言って老婆も、カリンの部屋から出ていった。
―――13年後
「うわぁぁぁぁ!?遅刻しちゃうぅぅぅぅ!!って足場踏み外したぁぁぁぁぁ!?」
16歳になったカリンが、大慌てで部屋から出て、階段から転がり落ちてきた。
それを見ていた弟―――コウヤは、呆れたような顔をしながら、朝食のフレンチトーストを食べていた。
「お姉ちゃんおはよ。後、煩い」
「いつつ、煩いってなによ煩いって!!」
カリンは文句を言うが、「こうしちゃいられない!」と叫び、急いで朝食にありつく。
すると別の部屋から、老婆が出てきた。
「おやおや、相変わらず慌てて」
「あ、レイムおばあちゃんおはよ」
「ふぁ、ふぉふぁほぉー―――ふぉぐ!?」
レイムと呼ばれた老婆に気づき、コウヤとカリンは挨拶をするが、その際カリンは、喉にパンをつまらせてしまう。
カリンは慌てて喉の詰まりを取り除き、牛乳を一気に飲んでいた。
コウヤは再び呆れて、オレンジジュースを口に運ぶ。
「そんなに急ぐくらいなら、ちゃんと早く起きてよね」
「しょうがないじゃない!ワクワクして寝れなかったんだから!!」
カリンの反論に、「小学生か」とコウヤは心の中でツッコミを入れる。
カリンはというと、再び猛スピードで朝食を食べていた。
するとレイムから、【ある物】を目の前に置かれた。
「!おばあちゃん、これって………!!」
「私のお守りよ。『魔王の涙』、これがあれば、疲れたときにある程度魔物が寄ってこないから、大事に使いなさいな」
「ありがとう、おばあちゃん!!」
カリンはそう言うと、首に『魔王の涙』のペンダントを付けていた。
「どう、コウヤ?似合ってる?」
「普通」
「何よそれ」
「それよりもうそろそろ行かないと間に合わないんじゃない?」
「げっ!?」
コウヤの言葉によりカリンは、急いで朝食を食べ終えると、再び2階の自分の部屋に駆け上り(その際また踏み外した)、荷物を投げ出していた。
そしてすぐさま着替えをすると、今度は転げ落ちずに階段を降りてきた。
そして投げ出した荷物持ち上げると、家の玄関まで向かって走った。
「気を付けて行ってなぁ」
「いってらっしゃーい」
レイムとコウヤが、カリンに向かい、挨拶をしていた。
「いってきまーす!!」
カリンはそう言って玄関の扉を開けて、家を出ていた。
ここから彼女の壮大な旅が始まるのは、まだ彼女は知らない。