デュアル・ワールド・ザ・クロス 作:火野荒シオンLv.X-ビリオン
出会い
「うぉぉぉぉぉぉぉ!アクセル全開で!命を!燃やせェェェェ!!」
カリンは、家を出ると、ものすごい勢いで走っていた。
(ここで遅れたら、次は1ヶ月後になる!!そんなのは駄目だ!!)
カリンは障害物を次々とかわしていき、【目的地】まで目の前に来ていた。
「よっしゃぁぁぁぁ!!ラストスパァァァァトォォォォ!!!」
カリンは更にスピードを上げようとした時だった。
「キャー!!泥棒よー!!」
「!泥棒!?」
カリンは思わず立ち止まり、声のした方向を向くと、西から厳つい格好をした男が走ってきていた。
その手をよく見ると、買い物袋があり、恐らく食べ物目当てで盗んだのだろう。
カリンは急ぎたいという気持ちを押さえつつ、泥棒の前に立ちふさがる。
「ちょっと!そこの泥棒!!」
「げっ!そこをどけ!ガキが!!」
「がっ、ガキですって!?」
泥棒はカリンに退くように言うが、ガキと言われたカリンは、退こうとしなかった。
「こちとら急いでいるのに、よくも言ってくれたわねぇ!?」
「どう見てもガキだろうが!つぅか用事があるなら邪魔すんな!!」
泥棒はそう言うが、今の一言で更にカチンと来たカリンは【詠唱を始める】。
「もう許せない!!―――闇を照らす光よ!我に道を記せ!!【ライト】!!」
「うおおっ!?眩しい!!」
この世界には【魔法】と呼ばれる概念があり、詠唱を唱えれば、その魔法を使うことができる。
それはともかく、カリンは【ライト】の魔法で相手の目を瞑らせると、瞬時に泥棒の懐に飛び込み、強烈な蹴りをかましていた。
泥棒はそれを受けると、ぐったりと倒れ込んでいた。
カリンは「よわっ!!」と驚きつつ、買い物袋を手に取る。
「あっ!カリンちゃん!カリンちゃんが奪い返してくれたの?ありがとう!」
すると泥棒が来た方角から、先程荷物を奪われたであろうおばちゃんがやって来ていた。
「あっ、薬屋のおばちゃん。コレ、おばちゃんのだったんですね」
「いやー、ありがとうねぇ。お陰で助かったよ。ありがとうね」
「いえいえ、どういたしまして」
カリンは薬屋のおばちゃんに、買い物袋を渡す。
「………所で、間に合うのかい?」
「………ああっ!!」
薬屋のおばちゃんに言われ、カリンは声をあげると、再びダッシュしていった。
その際、薬屋のおばちゃんに、礼と注意を残して。
「思い出させてくれてありがとーー!後、泥棒には気を付けてねー!!」
「気遣いごめんねぇー!そして頑張ってねぇー」
「ありがとー!!」
カリンは励ましをもらうと、急いで【目的地】まで走っていった。
~~~
数分後。
「や………やっと………着い………た………間に合っ………た………」
カリンは既に、バテた状態で、【目的地】である建物に着いていた。
「遂に………冒険者になる日が来たんだー!!」
だがカリンは、嬉しさのあまり、疲れているのにも関わらず、大声で叫んでいた。
しかし、周りの人々がうっすらと笑っているのを見ると、顔を赤らめて、恥ずかしがった。
「それでは、【試験】を受ける方、こちらに集まってください」
「あっ、はい!」
カリンは、建物から出てきた男の指示に従い、建物の
中に入っていく。
そこには既に何人かの若い男女が座っていた。
「それではこれより、カリーナ村の【冒険者の許可】試験を始めます!」
係員の男がそう言うと、この場にいる人数分の試験を受ける道具を渡していった。
カリンが道具を受け取ったと同時に、係員の男が、試験の内容を説明していた。
「この近くにある【カリーナの森】の奥深く、【生命の祠(ほこら)】に、5つボールを置いている。それを取ってくれば試験は合格。晴れて冒険者になれる。なお、魔物もいるので気を付けるように!スタートは五分後、以上!!」
係員の説明が終わると、他の者たちは、渡された道具の使い方を調べていた。
カリンも慌てて道具の使い方を確認する。
「えーっと、【アイテムクロープ】の使い方はこれでいいとして、持ち物は【セミロングソード】と【バックル】、後【薬草】10個に【パン】1個と」
【アイテムクロープ】(以後IC)の中身を確認し、ICから【セミロングソード】と【バックル】のアイコンを押す。
すると目の前に、セミロングソードとバックルが出てきた。
カリンは軽く感心しながら、道具を装備する。
すると係員が、開始の時間を伝えに来た。
「皆さん、時間です。準備をしてください」
係員に言われ、全員がしっかりと準備する。
そして係員の指示に従い、建物の外へ出て、整列をした。
「それでは………」
(((ゴクリ………)))
「―――試験!スタート!!」
係員の号令と共に、試験者全員、走り出していった。
~~~カリーナの森~~~
カリンは森に着くと、早速迷っていた。
「何処よここ~!?」
地元の近くにある森なのに、何故か迷ってしまい、かれこれ一時間ほどさまよっていた。
その上、小さい頃からこの森に入って遊んでいたのに、全く持って目的地まで着かないのだ。
「おっかしいなぁー………確かに道は合っているはずだけど………」
そう言ってカリンは暫くさまよい続けると、目の前に祠のようなものが見えてきた。
「あっ!あった!!」
カリンは急いで祠の前に来ると、そこに置いてあったボールをひとつ、手に取った。
どうやらまだ他の者は辿り着いてない模様で、カリンは一番乗りと大喜びをした。
「やった!一番乗りだ!これを早く持って帰って………」
そう思い、元来た道を帰ろうとした時だった。
『ギシャァァァァ!』
「!?」
突然何処からか、魔物が飛んできた。
カリンは咄嗟の反応でバックルを使い、魔物の攻撃を防ぐ。
改めて周りをみると、昆虫型の【スピアー】が、大量にいた。
「嘘っ!?スピアーは今の時期はいないはず………!?」
そう思っていたが、1体のスピアーがカリンに向かって突進してくる。
カリンはセミロングソードで切り伏せたが、それがきっかけとなり、スピアーが一斉に襲い掛かった。
カリンは「こうなったら!」と言うと、詠唱を唱える。
「―――炎よ、我に周囲を焼き払う力を!【ファイア】!」
『『『ギシャァァァァ!!』』』
カリンは【ファイア】の詠唱を唱え終えると、両手を突きだし、炎を出していた。
目の前にいたスピアーの何体かは、ファイアに巻き込まれると、悲痛の声をあげながら燃えていった。
カリンはその一瞬を突き、先程攻撃した方向に向かい走った。
だが、スピアーは尻から針を飛ばし、それがカリンの左足に突き刺さった。
「ぐあっ!しまっ………」
『『『ギシャァァァァ!!!』』』
「!まずい!」
カリンはファイアを撃って牽制しようとしたが、足の痛みのせいで集中ができない。
そうしてある間に、スピアーたちが針を向けて、突進してくる。
―――駄目!このままじゃ、刺されて殺される!!
そう思い、体を無理矢理にでも動かそうとするが、既にスピアーたちはカリンから1メートル程まで迫っていた。
カリンはもう駄目かと思い、目を瞑った。
だが、一向に攻撃が来ないでいた為、カリンは恐る恐る目を開く。
するとカリンの目に写ったのは、目の前に2本のサーベルみたいな、巨大な剣を持った男が立っていた。