デュアル・ワールド・ザ・クロス 作:火野荒シオンLv.X-ビリオン
カリンは目の前の光景に、目を疑っていた。
本来なら襲ってくる【筈だった】スピアーたちの一部が、目の前にいる全身黒い服を着た男によって、肉片となって地面に落ちていたのだ。
その男は、サーベル―――否、よく見たら太刀と呼ぶべき物を、それも巨大な物を二つ、軽々と持って、目の前のスピアーたちに立ち塞がっていた。
「えっ、あ、あの………」
「少し待っていろ。すぐに終わらせる」
「え」
カリンは目の前の男に声をかけようとするが、その前に男がカリンを制する。
その刹那、―――男は右手にある太刀を一本、上空へと投げた。
それと同時に、魔法の詠唱を始めていた。
「魔界に潜む悪魔よ、その手で触れたものを地獄へ引きずり込め!『デーモンハンド』!!」
男が詠唱を終えると、右腕を前に翳す。
すると男の手に魔方陣が現れ、更にそこから幾つもの手が、スピアーたちに向かって延びていった。
手がスピアーを掴むと、相当の握力だったのか、一瞬でスピアーが砕ける音がした。
それが数十体程同じように砕かれていった。
「嘘!あれって【Sクラス】の魔法じゃ!」
『『『ギシャーー!!』』』
「って、後ろから来た!?」
「―――【ボルケイノシールド】!」
後ろから未だに残っていたスピアーたちの目の前に、突然地面から炎が噴き出してきた。
それに当たったスピアーたちは、一瞬で黒こげになり、音を立て崩れ落ちた。
「い、今のは………【Bクラス】の【ボルケイノシールド】………何なのあの人………」
カリンが呆然と男を見ていると、スピアーは男に狙いを定めたのか、猛烈な速さで男に襲いかかっていた。
カリンは流石に危ないと思ったのか、無理をして【ファイア】を放とうとしたときだった。
よく見ると男の右手に、先程上空に投げた太刀が握られていた。
そして男はもう一本の太刀を構えた瞬間―――男はいつの間にかカリンと10メートル程離れており、同時にスピアーたちが、バラバラに切り落とされていた。
―――いつの間にあそこまで!?
カリンはそう思って声をあげようとするが、足の痛みで言葉が遮られる。
すると男は太刀をしまうと、カリンの方に歩みより、【ヒール】をかけていた。
「―――大丈夫か?」
「えっ、あ、はい………」
「そうか………」
男はそう言うと、ヒールを解く。
カリンは少しだけぼうっとしていたが、慌てて男に礼をいう。
「あっ、あの!ありがとうございます!!」
「ん?」
「そのー、襲われそうになったとき、助けてくれて………」
カリンは少し恥ずかしそうに礼を告げる。
が、男はというと、頭を軽く掻きながら、とんでもない一言を言った。
「あ、―――あれかぁー………あれ、本当は俺が謝るべきなんだ………」
「………え?」
「あいつら、ちょっとした間違いで俺が喚んだんだ」
「………」
数秒の沈黙。
そして
「てぇい!!」
「フゴッ!?」
カリンの右ストレートが、男に華麗に決まっていた。
~~~
「―――とりあえず、自己紹介だ。俺の名は『カイ』。冒険者だ」
「………カリンです………」
カリンと男―――カイは、互いに自己紹介をする。
が、カリンは軽く不機嫌だった。
「………さっきからすまないと謝っているのだが」
「はぁ!?私危うく死にかけたんですよ!?スピアーの大群にメッタ刺しで!!それを『すまない』だけで済ませられると思ってるんですか!?」
カリンはカイが簡単な謝罪をしてくるため、普通に許せなかった。
それもそうだ、自分が死ぬかどうかの瀬戸際に立たされた原因が、目の前の男が召喚したと言ったからだ。
召喚した、という言葉に軽く疑問を持ったが、どちらにしろ自分が死にかけたことに代わりはない。
「とにかく!!私はもう森から出ます!!治してくれてありがとうございました!!!」
「おい、まだ足に軽く痛みが残っているだろ。いくらヒールとて、完全に痛みが消える訳じゃないんだぞ?」
カイが呼び止めてくるが、カリンは気にせずに来た道を歩いて行く。
が………何故か別の所から、カリンが元の場所に戻ってきた。
「………あれ?どうして戻ってきたの?ちゃんと元来た道を歩いて」
「あっ、しまった。【ラビリンス】の魔法掛けっぱなしだった」
その言葉を聞いたカリンは、カイの方に向かって、飛び膝蹴りを浴びせる。
「またあんたかぁぁぁぁ!!?」
「ゲフッ!?」
カイはあまりにも強い膝蹴りを食らい、軽く吹っ飛び、不吉な音をたててから地面に落ちる。
その一方で、カイを無視してカリンは、試験について思いっきり悩んでいた。
「もぉぉぉぉ!!どうすんのよぉぉぉ!!試験はその日に戻ってこないといけないのにぃぃぃ!!」
「………試験?」
カイは蹴られた場所を押さえつつ、カリンに訊ねる。
どうやらこの森で試験があることを知らなかったらしい。
「そうよ!なのにアンタのせいで!戻れなく!なったじゃない!!」
「あー………すまん」
「すまんと謝るぐらいなら、さっさと魔法解いてよ!」
カリンはカイの襟をつかむと、ブンブン振るい出す。
カイは軽く目を回しつつ、本日最大の、衝撃的な言葉を発していた。
「いいいいややややそそそれれがががででできたらららら俺もももでててているるるるるんだよよよよ!?」
「………え?まさか………」
「………自分も出れなくなったし、途中で詠唱失敗して、今日まで解けなくなった」
それを聞いたカリンは
―――カイを近くの木に向けて、投げ飛ばしていた。
~~~
夜。
カリンは泣く泣く野宿をしていた。
道具に関しては、カイがお詫びにと貸してくれた。
取り合えず、あまり魔物が出てこない場所で野宿しているが、正直森が暗すぎて怖い。
風呂にも入れず、食料もパンと水だけで、正直明日まで持つ自信がなかった。
(うぅ………冒険しているならともかく、何で試験中に地元の森で野宿なんか………)
カリンは現状を恨みつつ、このような原因を作った人物に、愚痴っていた。
「大体何よ。あんな凄い魔法使えるのに、失敗して………お陰で私が酷い目に遭ったんだから………」
「だからそれは悪かったと謝っているだろ」
不意に後ろから声が聞こえ、思わず肩をビクリとする。
恐る恐る後ろを向くと、カイが手に何かを持って、立っていた。
「きゃぁぁぁ!?い、いったいいつから………!?」
「お前が俺に対して、愚痴をこぼしているとき」
カリンはそれを聞いて、思いっきり頭をうつ伏せにする。
(全部聞かれてるぅぅぅぅ!)
「とりあえず、ホレ」
「いだっ」
カリンの頭に、先程カイが持っていたものが当たる。
「何すんのよ!」と怒鳴りつつ、投げ渡されたものを手に取る。
よく見るとそれは、サンドイッチだった。
「あ、これ………」
「お前の持ち物だけじゃ持たんと思ってな」
「あ………ありがとう………」
カリンは少々気まずい顔をしつつ、サンドイッチを食べる。
味はとてもよく、挟まれているキャベツとトマトがちょうどいい固さ(?)で、尚且つ潤いが感じられる。
「………おいしい。これ、カイが?」
「一応な」
「へぇー、料理得意なんだ。私なんて、作ろうとしたら、何故か焦げた感じのどろどろした食べ物になるもん」
「………焦げるはともかく、何をどうしたらどろどろになるんだ?」
カイが不思議な顔をしながら、話を聞く。
そう言えばとカリンは、カイの方を向いていた。
「カイはここで何をしてたの?」
「俺か?俺は基本的にぶらぶらと旅をしている。で、たまたまこの森に入って、【サモン】の魔法を覚えてたから、使ったことの無いという理由で、この森で試したんだ」
「サモン!?それってSクラスの中でも上級の!?」
カリンはカイの言葉に驚く。
この世界には【魔法】と呼ばれる概念があり、それぞれクラス別に別れている。
EからSSまであり、クラスが高いほど強力な魔法が使える。
ただし、基本的に魔法事にある呪文のようなものを詠唱しないと、魔法が発動されない。
その上上級は、魔力が高く、尚且つ詠唱を素早く唱えないといけない。
「そうなると、カイが使えるのって?」
「デーモンハンドにサモン………は、失敗したか。【ブリザードニードル】や【ボルケイノストーム】等も使えるな」
「すごっ!?」
正直カリンにとって、仰天的である。
ここまでSクラスが幾つも使える人物なんて、限られているのだから。
「いいなぁー………私なんてEクラスもそこまで出来ないのに………」
「?どういうことだ?」
「私、魔法の才能が全くないらしくて、【ライト】とファイア、【スタン】、【キュア】位しかできないの」
カリンはそう言って、再び顔をうつ伏せにする。
だが、その後すぐに顔を起こすと、カイの方を向き、ニヤリと笑った。
「でもその代わり、他の女子より力が強いんだ♪男の人なんて素手でもねじ伏せられるよ!」
「………武器を持った相手でもか?」
「うっ………そこは、ね?」
カイの言葉をカリンは軽く誤魔化す。
それを見たカイは、軽く失笑していた。
「なっ、何よ!?人の気にしていることを笑わないでよ!?」
「あはは、いや、そこじゃないから」
「結局遠回しで笑ってるのと同じでしょ!?何よ!あんたこそサモンの魔法失敗したくせに!」
「まだ引き摺ってたのか」
「引き摺るもなにも、あれで私」
カリンが言い掛けようとしたときだった。
「―――ウワァァァァァ!?」
「「!!」」
突如として、真夜中の森で誰かの悲鳴が聞こえる。
二人はその声を聞くと、急いで起き上がっていた。
カリンは直ぐ様道具を手に取ると、声のした方へ走り出す。
「―――!!」
するとカリンの目の前に写っていたのは、大量のスピアーが、一人の男性(恐らくカリンと同じ試験を受けたもの)を囲んでいた。
よく見ると、男性の脚に、2、3本のスピアーの針が刺さっている。
「まだあいつら残っていたの!?助けなきゃ!!」
カリンはそう言って、セミロングソードを構えようとした途端、スピアーがカリンの存在に気付き、一斉に襲いかかっていく。
カリンは軽く動揺し、一瞬だけ判断が遅れてしまう。
その隙にスピアーの何体かが、カリンに向けて、針を飛ばし、その何本かが脚に突き刺さった。
しかも最悪なことに、昼間に刺されたところが、偶然にもまた刺されてしまい、その痛みがカリンを襲い出す。
「がぁっ!?」
『『『ギシャァァァァァ!!!』』』
「こ、これくらい………!?」
突然カリンの身体がふらつきだす。
恐らく毒針が混じっていたのだろう。
そのせいで身体に毒が回ってきたのだろう。
(い、いや………こんなところで………)
カリンは遂に身体が地面に倒れ出す。
それを好機と思ったのか、スピアーが一斉にカリンを襲い掛かった。
―――だが、カリンに向けられた鋭利は、何時まで経っても来なかった。
(何……が………おこ………た………の………?)
カリンは、弱った身体を軽くあげ、前を見てみる。
するとそこには、2本の太刀を構えた、カイが居た。
シオン(作者)「さて、今回の話はいかがだったでしょうか?」
カリン「あ、あー…作者……ちょーっと聞いていい?」
シオン「ん、何かな?」
カリン「…何で今更になって、この話投稿してるの?と言ってもこれ、昔作者が裏で書いて投稿したやつだけど」
シオン「他の執筆が思うように進まないから、何となくで掘り返してみたのさ!!」←満面の笑み
シオン「」←頭にセミロングソード
カリン「なんでわざわざその為に掘り起こすのかなぁ…?」←作者の頭に刺してるセミロングソードグリグリしつつ
カイ「…カリン、そこまでにしておけ……流石にそれはグロい…」
カリン「それもそーね…とりあえず後で、作者のとこのハーメルン勢の誰かに渡そっと」←その辺に作者投げ捨てつつ
カイ「…それで、次回の投稿予定は……」
カリン「あそこで死んでる作者のことだから、ないんじゃない?」
シオン「い、いや…ボチボチで…書く…つも、り……だから…」←頭から血が噴き出してる
カリン「うわっ、グロっ!?」
シオン「誰のせいで…ガクッ」