真っ暗な部屋の中、テレビが垂れ流すニュースを聞き流している。
【先日のミレニアムサイエンススクールの事件についての速報ですっ!被害にあった児童が一時心肺停止状態になった事を重く見た連邦生徒会は、近く連邦生徒会とSRTとヴァルキューレの合同によるミレニアムへの立ち入り調査を決定しました。】
【被害者の心肺蘇生には成功したものの、現在も意識は戻っていません。また今回の事件での特殊装備の暴走はヴァルキューレがミレニアムに開発依頼をしていたものであり、市民を守る為の装備でこの様な人為的な事件を引き起こし重大な被害を齎した事に……。】
ただ、ぼうっとテレビを見る。
いつも賑やかな同室の友達が、居ないんだ。目を覚まさないんだ。
「ウタハ先輩達がさ、宇宙戦艦作りたいって言うんだぁ。だったらさぁ、やっぱMSでしょって思うの。可変戦闘機とかも捨てがたいけどねー。」
なんて、将来の夢を語る子なんだ。
「一足飛びに宇宙戦艦は無謀だから、ホバー式の地上戦艦を勧めたけど。やっぱ宇宙だって、星の海を
いつも楽しそうに夢を語ってたね……。
私はまだ、やりたい事が見付かって無いって言えば。
「じゃあ、見付かるまで私達と一緒に居たら良いんじゃない?」
なんて言って私を連れて行ってくれた。
あの日が来るまで……。
来春からミレニアムサイエンススクール中等部に通う事になった私達は、外部から進学してくる子達と一緒にミレニアム中等部と高等部の見学に連れて行かれた。
中等部のエンジニア部でウタハ先輩と別れたあと高等部を廻り、高等部のエンジニア部の見学に行った。
高等部のエンジニア部では中等部よりも一層自由度が増すと共に危険性と責任も大きくなる。
危険性の高い試作機の試運転では二重三重に安全策を取っているはずだった。
でも事故、いえ事件は起きた。
その日はヴァルキューレ警察学校からの依頼だという特殊装備の試運転の見学をさせて貰える事になっていた。
私達にはそれがどんな物なのかよくわからない複雑な機械だったけど、高等部の先輩達は端末を手に持ちリストと見比べながら最終チェックをしていた。
外部進学の子が、アレ私のお姉ちゃんだ。って言ってるのが聞こえた。内部進学の私達は成績が悪く無ければエスカレーター式に進学出来るけど、外部進学の子は試験がとても難しいらしい。
聞こえて来る話によると、高等部に外部から進学したそうでとっても優秀なんだとか。
でも、私は許さない許せない。
許さない。許さない。許さない。
台無しにしたアイツが、あの子を傷付けたアイツが。許せない。
高等部の先輩達はヴァルキューレからの依頼だという事もあって、安全策を取って居たのに。
妹が見学に来るからって、勝手に自分勝手に改造して良いところ見せたいからって。許せない。
めちゃくちゃにされた。
ぜんぶ。ぜんぶめちゃくちゃになった。
その時、何が起こったのかは分からない。でも爆発音と共に何か飛んできて隣に居た筈のあの子が居なくなってた。
飛んできた大きな部品に吹き飛ばされて、壁との間に挟まれたのを見た。
完全に見えなくなってて。壁と部品の間から、血が流れ出していた。真っ赤な血がいっぱいいっぱい出た。
私は頭が真っ白になって何も出来ず見てただけ。数瞬か数秒か空白があってみんなの悲鳴と壁に駆け出した先輩達。
目の前の事なのに現実感が無くて、呆然と見てた。
壁の間から引き摺り出されたあの子は血塗れで息をしてなかった。
私よりも小柄で華奢なあの子は、いつもよりも小さく見えた。
大急ぎで担架に載せられ医務室に運び込まれていった。
あの子はすぐに病院に運ばれていったらしい。らしいというのは、又聞きだから。気分が悪くなった私達も念の為、医務室へ行った。
医務室のベッドの一つは血塗れだった。
あの小さな身体からこんなにも血が出ちゃったんだって、ぼんやりした頭で思った。
ショックを受けて見学どころじゃ無くなって解散になった。
同室の私は高等部の先輩に連れられ病院に行った。
あの時、壁から引き摺り出された段階で心臓が止まってたって聞いた。救急搬送中に心肺蘇生には成功したけど、意識は戻らないから集中治療室に入院するんだって。
私は集中治療室のガラス窓から見ている事しか出来ない。信じて待っててと言われた事は覚えてる、後は何を言われたのかも覚えてない。
その後は先輩に付き添われて寮に帰った。
テレビからは事故速報で何局かでニュースになってた。
何日か部屋に籠もってたと思う、何日目か分かんないけど。
ずっと真っ暗な部屋でニュースを垂れ流しにしている。
【ヴァルキューレの調べによりますと、事件を起こした生徒は妹が見学に来るから良いところを見せようとして安全マニュアルを破り改造したとの事。】
【異常圧力により爆発が発生し、重体1名軽傷が10名以上の被害になった模様。重体の1名は一時心肺停止状態になり現在も意識を取り戻していません。1日も早い回復を祈るばかりです。現場のミレニアムサイエンススクールからは以上です。】
もう何日か経つけど、意識が戻らないままのあの子。
身勝手な事をしてあの子を傷付けたアイツを恨んでいじけたままの私。こんな顔見せられないって思うけど、どうしたら良いのか分かんない。
どうしたら良いのか分かんないよ、早く帰って来て。マキナちゃん……。
主人公ちゃんは意識不明です。次話から登場予定。