「あえー」
「はい、もっと大きく口を開けてね。」
なんかふっと意識が落ちる様に空白が空いて、気が付いたらベッド上で包帯ぐるぐるで色んなチューブや線が繋がってて混乱してバタバタしてたら自動的に鎮静剤が注入されてまた意識を失ったらしい。
自動的に鎮静剤を注入してくるベッドとかなにそれミレニアム怖。
次に目覚めた時は普通に起きて、観察?監視?されてて幾つか質問されてそのまま検査を受ける事になった。
口にヒヤッとした板を突っ込まれて喉の奥を見られたり、中も外も色々な検査をされた。身体に繋がったままの線でなんか検知してたりとかで、何をされてるのかサッパリ分からない。
なんか、お医者さんの想定よりも早く傷が治ってて器具が埋もれてて切開が必要とか怖い事言ってる……。
なにそれ、なんで?って思ったけどお医者さんによるとこれまでの検診とか通院の記録から予想されていた治癒速度を大幅に上回っていたからって。
Q 医療事故では?
A 医療事故です。
だそうです。平謝りされてなんかよく分からないけど大丈夫ですって事で終わりっ!!
お医者さんによると、神秘の強さには個人差が有って成長するにつれて強くなったり弱くなったりして変動するってこととその強弱で身体の丈夫さと怪我の治りの早さが変わるとかなんとか。
で私の場合、今年の健康診断で出てたデータと変動が無かったからそのまま処置したら何故か大幅に治癒速度がズレててこうなってしまったとかで、治療しながら詳細な検査を行う事になった。
って、ごめんね〜って言われながら頭を撫で撫でされた。じっとしてて偉いねって。
いや、そんな子供じゃないし。と思ったけどこの身体は子供だったわ、なんなら小学生だし背の順で前の方だわ。
前世の記憶とごっちゃになって感覚が可怪しくなってる。
自分の中に子供と大人が同時に居るみたいな。変な言動になってないか注意しなきゃ。
さて、そんでされるがままでお昼まで掛かってお昼ご飯!って思ったらまだ検査が掛かるし経過観察中だからって事で点滴が追加されただけだった……。
そんな、ご飯……。
検査結果次第では明日からは食べられるという言葉を心の支えに1日を乗り切った。
夕方だけど、何もする事が無い。今日は平日、特に誰もお見舞いには来ない。
検査の帰りに通りがかった病棟内の他の部屋では見舞いに来た友達家族と話す入院患者の声がして、1人ぽつんと機械音だけがする集中治療室の私は無性に寂しくなった。
経過観察をしてるミレニアム医学部の先輩は部屋の外。
「寂しい。」
声を出しても何も変わる事は無い。目頭が熱くなって泣きそうになったけど、なんとなく見られたくなくて布団を被って寝てしまおう。
「早く良くなって帰りたいよ……。」
「医療事故という扱いになっていますが、やはりこれは例のナノマシンの影響でしょう。」
「で、
診断結果が印刷された書類を机の上に叩きつけた医師。
「体内にナノマシンが常駐し、血液と共に巡り続けている。君達の研究内容は知っている。ナノマシンによる自然治癒大幅強化による身体強化か、確かにこの結果は君達の研究テーマに則しているだろう。だがね、寂しいと帰りたいと泣く子供を家に返してやれない。君達の研究の犠牲になどさせるものか!」
「貴重なサンプル?確かにそうだ、だが彼女は実験に志願した訳でもない被害者だ。君達がこの研究を続けたいというなら、私にコソコソデータ提供のお願いに来るのでは無く、彼女にしっかり説明した上で承諾を取り給え!でなければ今後一切の協力を断る。」
「ですがミレニアム医学部と協力関係の破棄は病院にとってもも困るはずでは?」
「影響が無いとは言えんよ、だが他の医療機器メーカーを頼るなり他に手はある。君達こそ後ろめたいからとコソコソしずに彼女に向き合え。君達の研究テーマはそんな人にも言えない様な後ろ暗い物なのかね?違うだろう、1人でも多くの人を助け笑顔を守るそれが君達の目標だろ。君達の行為は自らでその目標に泥を塗る行為だ。」
「これだけ言っても隠れてコソコソするなら、セミナーに通報せざる負えない。」
「わかり、ました……。明日、彼女に私達が仕出かした事を説明します。」
観念し俯く生徒達。セミナーに通報がいけば間違い無く厳しい処罰が下される。被害者にさらに鞭打つ行為を、しかも故意にしようとするなど絶対に許してはくれないだろう。
セミナーからの処罰は良くて叱責と謹慎、悪ければ監査や予算削減となるだろう。監査などされれば、他のグレーな研究が白日の下に晒されるのは明白。探られたく無い腹のある者にとっては絶対に避けたいもの。
用は済んだとばかりに退室していく医師達。
「副部長、今更ですけど。こんなことしようとしてたの部長にバレたらブチ切れられますよ。」
今も各所にセミナーと共に頭を下げて回っている医学部部長。
「あ、やば。バレる前に明日、朝イチで説明に行くよ。部長にバレたらぶっ飛ばされるわ。」
いつもの顔は笑ってるのに目は何の感情も写してない恐ろしい笑顔が脳裏に過った。
「だから言ったじゃないですか、あの子に最初から土下座で言ったらきっと許してくれそうだってさぁ。あーあ、無駄にハードル上がっちゃった。どーするんですかぁ、もぉー。」
頭を抱えて嘆く後輩部員。
「副部長っいっつもそうですよね、無駄に黒幕ムーブやって部長にバレてぶっ飛ばされてしかも私達も巻き添えでっ!もうやだー。」
「いつまで厨二病引き摺ってるんですか。これで最後にして下さいね。あんな小さな子を研究材料?馬鹿ですか?ああ馬鹿でしたねっ!エンジニア部と一緒で頭の良い馬鹿!」
「何が交渉は私がするから黙ってろですか、私が副部長を怒鳴りたい所でしたよっ!今度からは厨二病が完治するまで黙ってて下さいね。」
同席した部員達からボロクソに言われる副部長、言われるだけの所業はありションボリして黙る。
「ていうか朝イチ?まだ消灯まで時間あるでしょ、今から行くんですよ!詳細は明日にするとして、まずはごめんなさいでしょ!」
「ほら、さっさと行きますよ。」
両腕を部員に掴まれて引き摺られていく。
「いや、待った心の準備とか色々有るし。待って、待って。」
「ガタガタ言ってないで行きますよ。そっち足持って、こうなりゃ皆で運んでくよ。」
抵抗虚しく、両手足を掴まれて荷物の如く運ばれて行く。
「あああああーーー。」
「他の患者さんに迷惑だから、黙って。」
手の空いていた部員により口も塞がれ、全ての抵抗手段を失った。
「
「さあ、静かに急いでこの
幾つになっても、みんな心に中学2年生が棲んでいるもの