東方備忘録   作:電子の妖精になりたい

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サブタイトル、最初は探偵気取りの主人公でした。かなり苦しいですね。最初のdunit云々はそれです。本当に迷走してた。


第120季/春 見知らぬ館with死誘桜

 知らない天井だ…

 つい先ほどまで私は蛙と戯れながら、蓮の花を愛でていたのですが…一体ここはどこでしょう?

 ふーむ、状況を確認しましょうか。まずは「誰がやったのか」についてです。これはまぁ、私の友人でしょう。

 彼女は私と博麗の巫女が会うことを避けたがってますから、彼女のスキマで私を移動させたのでしょうね。これは「何のためにしたのか」にもなります。

 ミステリーでよく見るWhodunit(誰が)は私の友人が、Howdunit(どのようにして)は彼女のスキマで、Whydunit(なぜ)は私と博麗の巫女を会わせないために、って感じですかね。

 じゃあ、なぜこの知らない館に?…くっ、結局何もわかりませんでした…

 

 棒立ちしていてもしょうがないので、私は情報を得るために屋敷とその周辺を探索します。厨房には大量の食料品や玄関からは終わりが見えないぐらい続く階段が見つかりました。余程ここの住民たちは多いのでしょうか?保存の効くものでもないようですし、たった数日であれほど飲み食いするとは…

 ちなみに玄関から帰ろうとしましたが、この屋敷から出たら最初の部屋に戻されたので、私の友人が結界を作って、何かしてるのは確実。彼女は私に何かをさせたいのでしょうか?成果としては外に出た際に雰囲気が冥界だと気づいたことですかね。だからと言って、ここを脱出することは出来ませんが…

 

 厨房、玄関と続き、私は縁側に赴きます。

 そして、そこで私は薄暮に佇む無花の桜の巨樹を見つけました。

 

 

 かなり丈夫な封印が二つ施されていますが、幹の方は今にも解けそう…あっ、ほどけた。根の方にもありますが、解けるのは時間の問題でしょう。

 桜の下には死体が埋まっていると言いますが、まさにその通り。死体がこの桜を咲かせない封印となっています。

 ふと、知り合いの剣バカの言葉を思い出します。確か、彼の元職場の庭には妖怪桜があるんでしたっけ。確か、平安時代に偉大な歌仙がその桜の下で死んだ事で、民衆がこぞってその桜で自死したと言う、人々を死に誘う桜、西行妖。剣バカ曰く、その桜を咲かせないために、最初に死んだ歌仙の娘の亡骸をを用いて封印を施したとか…

 

 ですが、二つある封印の片方が解け、桜が蕾をつけています。

 原因は今回の自然現象ですね。つまり、春雪異変で冥界と幻想郷の境界が緩んでいるなか、外の世界から流れてきた幽霊が通常ならば幻想郷で花を咲かしますが、今回は冥界に何百魂と入り込み、西行妖に吸収された、その吸収された魂を使い、西行妖は今にも花開こうとしている、ってとこでしょう。

 大量の幽霊が外界と幻想郷を分ける博麗大結界を越えるのです。緩んだ結界を抜け、幽霊にとって心地の良い冥界に入り込むのは当然でしょう。

 

 

 大体、わかりました。つまり、破壊すれば良いんですね?

 破壊、と言うと少し語弊があります。要は一度満開になった西行妖を散らせば良いってことです。

 二つ目のWhydunitです。

 何故、私の友人は見知らぬ館に私を連れてきたか?

 答えは西行妖を再度封印するため、ってとこですね。

 

 そうと決まれば、話は早いです。私は「回す程度の能力」を使い、西行妖の■■■を回します。

 

「ふむ?魂があるのですかね」

 

 能力を使わずとも、西行妖の蕾が胎動するかのようにゆっくりですが、確かに膨らみ、花弁を開き始めます。疑問点はありますが、西行妖はシステムのようなものではなく、確かに生きている。そして、何の因果か今にも花開こうとしている。

 

「今だけでも墨染めに咲きませんか?西行妖」

 

 紫の桜には罪深い人間の霊が宿ります。

 

 ですが、封印の礎となった姫や西行妖に死に誘われた人々、外の世界で亡くなった人たちを偲び、哀悼の意を込めて、せめて今だけでも喪に服せ、死誘桜。

 

 私の願いもむなしく。西行妖が、妖気を纏う紫桜を満開に咲かせ、冥界を染め上げました。

 

 

 

 西行妖が咲いたと同時に桜の下で死んだ歌仙か、亡霊たちの声か、それとも姫の声かわかりませんが、どこからともなく声が聞こえてきます。

 

「樺桜【紅紫の幻影】」

 なるほど、源氏物語からの引用…ってそんな事を考えてる暇じゃないです!

 十二単を着た女性の幻影が複数現れ、私に近づきながら紅紫色のレーザーと弾幕を放ってきます。弾幕は絹のような光沢を持ち、見る角度によって赤みを帯びたり、紫を強く感じさせたりします。

 こちらも負けずと弾幕を放ち、幻影を破壊します。だが、破壊すると同時に幻影は広範囲に爆発を巻き起こします。

 

「ちっ、厄介な技ですね」

 おそらく破壊だけでなく、私との接触も爆発のトリガーとなってます。迂闊に近づけば、こちらが被弾するのは明白。そう思い、離れて幻影を処理しようとしますが…

 

「桜符【絢爛夢幻】」

 空間に老若男女の人々の声が重なります。

 声と共に、空間が淡い光に包まれます。目の前には、満開の桜並木が幻影として現れ、桜吹雪が舞い散る光景が広がります。それは、現実とは思えないほど美しく、幻想的な光景ですが…それを目に焼き付ける隙も与えられず、無数の桜の花弁が、光り輝く弾丸となって、全方位から降り注ぎます。花弁は、様々な色や形に変化し、まるで万華鏡のように美しい光景を作り出します。

 くっ、この風景を肴にお酒を飲みたかった!

 

 私は迫り来る弾幕を隙間を縫うように回避します。西行妖の弾幕にも慣れてきました。この調子で反撃を…

 

 私は近づいてくる女性の幻影に気づかず、被弾しました。

 

 女性の幻影は桜の弾幕に隠されて、こちらに近づいてきたのでしょう…

この調子では後2回被弾すれば満身創痍になりそうですね。

 その前にこちらも反撃です。

 

「廻符【万物流転】!」

 

 スペルカード発動と同時に私は静かに手をかざします。すると、空間が歪み、眩い光と影の模様が広がり、無数の光弾が高速で回転しながら飛び交い始めます。光弾は大きさを変え、西行妖の弾幕を相殺し、最後に大きな渦となって、西行妖に大きな損傷を与えました。

 それが契機になったのでしょう。西行妖の弾幕は、時間の経過とともに徐々に消え、最後に残った桜の花弁が、儚く散りゆくことで、桜符【絢爛夢幻】は終了しました。

 

「冥符【寂滅開花】」

 それならまもなく、老いた男の声が呟くように聞こえてきます。

 間髪入れずに、スペルカードですか。西行妖が焦って勝負に出たか…それとも余程次のスペルカードに自信があるのか。

 

 …残念ながら、後者のようですね。

 西行妖のスペルカードが発動し、世界から音が消え去ります。風を切る音も、私の鼓動の音も何も聞こえず、訪れたのは絶対的な静寂のみ。まるで時間が止まったかのような、底知れぬ静けさが全てを包み込みます。

 

「これは…やばいかもですね」

 背中に一筋の汗が流れるのを感じます。そして、暗転する視界に現れたのは、無数の黒と紫の花弁。先ほどの西行妖の光沢を持つ弾幕と違い、光をほとんど反射しないそれは、まるで闇から生まれた亡霊のようです。緩やかに、しかし確実に舞い落ちる花弁は優雅というよりも、むしろ不気味な印象を私に与えます。

 花弁は円を、螺旋を、そして不規則な軌跡を描きながら、まるで踊っているかのように私に襲いかかります。

 堪らず、こちらもスペルカードを発動。

「環符【無限相環】」

 このスペルカードは2つのリング状の弾幕が私の周りを回り、相手のスペルカードから身を守るもの。ですが、今のままではこのスペルカードが切れた時に私は被弾し、満身創痍になるでしょう。

 それは「今の」話。思考を澄み渡らせ、西行妖の弾幕の軌跡を読み切ります。

 残り5秒、5、4、3、2、1、0!

 

 私は絶え間なく降り注ぐ弾幕を寸分の狂いもなく回避します。避け切れない弾幕は通常の弾幕で勢いを落とし、どうにかして相殺もしくは回避します。

 それでも私には幾つかの擦り傷ができますが、被弾には至りません。次第に弾幕が薄くなり、遂には終わりを迎えます。

 

「なんとか凌ぎましたかね」と安心したところ。

 

「反魂蝶『満開』」

 歌仙でもなければ、亡霊や吸収された幽霊の声ではない、1人の姫の声が聞こえます。

 

「勘弁してください…」

 スペルカードの宣告が終わり、私の視界を埋め尽くすほどの蝶の形をした弾幕が現れました。

 先ほどスペルカードの冥符【寂滅開花】はこのスペルカードのためですね。おそらくは弾幕で構成された桜を造るための布石でした。

 正面からは青色の蝶の形をした弾幕が、死角からは赤色の蝶が襲いかかり、それを回避したと思うと、間髪入れずに幾十にも重ねられた赤色の巨大な弾幕が私の逃げ場を潰すかのように私に目掛けて放たれます。その影から隠れるように放たれる青色のレーザーは私を的確に狙ってきます。

 私は蝶の群れの間やレーザーの合間を潜り抜けるように回避しますが、西行妖の弾幕の勢いは衰える事を知らず、そればかりか時間と共に激しさを増していきます。青と赤の蝶は、その数を増やし、巨大な赤色の弾幕とレーザーの連なりは、より複雑さを増し…

「くっ…」

 二度目の被弾。もう後はありませんね。

「こればかりはあまり使いたくなかったのですが…」

「仕方がありません」

 

「霊符『廻想桜花封印』」

 昔取った杵柄です。ありがたい光に包まれた桜の形をした光弾が私の周りを回るかのような軌道を描き、徐々にその範囲を広げ、西行妖の弾幕を塗り潰し、制圧します。

 西行妖も負けずと弾幕を放ってきますが、先ほどまでの勢いはもうありません。

 西行妖はこの戦いで四つのスペルカードを使いました、それに対して私の使った数は三つ!

 

「これでトドメです!」

「深弾幕結界 -悠久流転-」

 私の友人と考案し、協力して作った(夕雲)ラストワード(奥義)

 桃から赤、黄と緑と続き、白や青の弾幕が輪となり、西行妖の周りに弧を描き、徐々にその範囲を狭めます。

 西行妖が相殺しようと弾幕を放ちますが、弾幕の壁を突破する事が出来ず、西行妖の力を削り取るばかり。

 重なり合った弾幕の輪はやがて光と色が渦巻き合い、西行妖の花は完全に散りました。

 

「ふぅ…私の勝ち」と私は勝ち誇ると共に幹に触れ、封印を施します。

 

 ふと後ろを振り返ると、落ちた紫の桜が辺り一面を絨毯のように埋め尽くしていました。

 

 おぉ、見事な花筵!

 

 お酒飲みたい!




スペルカードバトルの描写…きつかったけど、まぁまぁ上手く書けた自信ありますね。

補足ですが、原作では八分咲きが限界でしたが、春を集めるのではなく、三途の川を越えていない人の魂(まだ完全には死んでいない魂)を吸収した事で、紫色に咲きました。原作では何色に咲いてたんでしょうね?やはりピンクでしょうか?それとも血のような赤色?

弾幕ごっこ、「私は3枚のスペルカードルール使うわ!」みたいに宣言してから勝負になるのが基本なのかな。西行妖がそれを言うのもなんか違うし…
まぁ、いっかぁ!よろしくなぁ!!

2025年11月27日、内容を少し変更しました。
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