東方備忘録   作:電子の妖精になりたい

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「飯テロしてみてぇ!」と思い、書いているのですが、執筆時は自分で想像して涎を垂らしています。飯テロ最大の被害者は自分だった⁉︎


第120季/春 白玉楼with半人半霊の半端じゃない剣士

 私は幽々子の手を引き、縁側を離れて妖夢さんがいるであろう居間に向かいます。居間の場所は西行妖との弾幕ごっこ前の散策でどこにあるのかは把握しているので迷うことなく到着することができました。

 居間に着くと、妖夢さんが既に食事の準備を終えていました。

 

「遅いですよ、お二人方。ご飯が冷めちゃいます」

 そう言いながらも妖夢さんの声は明るく、幽々子に対して敬意を持ちながらも親しみを持ってるのを感じます。

 それはともかく、居間の大きな机には様々な料理が所狭しと置かれていました。湯気を上げるご飯に香ばしい焼き魚、それに色鮮やかな煮物、そして温かい味噌汁。どれもこれも、食欲をそそるものばかりです。

 

「まあ、美味しそう!妖夢、いつもありがとうね」

「こんなにたくさん!どれもすごい美味しそうですね!」

 幽々子が、目を輝かせながら座るのを見て私も適当な席に座ります。

 

「いえ、どういたしまして。皆さんに喜んでいただけて、私も嬉しいです」妖夢さんは、少し照れくさそうに微笑みます。

 

「さあ皆さん、どうぞお召し上がりください。たくさん作ったので、ゆっくり召し上がってくださいね」

 妖夢さんに促され、私たちは手を合わせ、感謝の意を述べます。

 

「「いただきます」」

 

 ます私は焼き魚に箸を伸ばします。先程から香ばしい香りが食欲をそそり、涎が垂れるほどでした。焼き魚を口に入れると、ふっくらとした身は口の中でとろけるように柔らかく、塩味が舌を刺激します。

「美味しい…!この焼き魚、本当に美味しいですね」

 思わずそう呟くと、妖夢さんが嬉しそうに答えます。

「ありがとうございます。新鮮な魚が手に入ったので、塩焼きにしてみました」

 

 幽々子の方を見ると、物凄いスピードでご飯を食べています。所作の一つ一つは綺麗なのですが、始まりから完了までの時間がとてつもなく短いです。

 

 焼き魚を半分ほど食べ終えた後、私は味噌汁の入ったお椀に両手を添え、ふわりと立ち上る湯気を鼻に近づけます。味噌の香ばしさと出汁の優しい香りが混ざり合い、嗅覚を刺激します。

 

「ふぅ…」

小さく息を吐き出し、一口啜ると

「…あぁ、染みる…」

 温かい味噌汁が、疲れた体にじんわりと染み渡ります。具は豆腐とわかめというシンプルなものですが、丁寧に引かれた出汁とこだわってるであろう味噌の風味が口の中に広がり、深い満足感を与えてきます。

 

「美味しい…!この味噌汁、本当に心が安らぎますね。なんだか、ずっとここにいたくなるような…」

「それは良かったです。お疲れでしょうから、少しでも癒やしになればと思いまして、お味噌は少し甘めのものを使ってみました」

 妖夢さんが、私の言葉に嬉しそうに微笑んだ。

「甘めですか。それが疲れた体に優しくて…本当に美味しいです」

 私は、もう一口、もう一口と味噌汁を啜ります。

 

「妖夢、おかわりお願いできるかしら」

「はーい、ただいま」

 なん…だと……、もう食べ終わったと言うことに驚きを隠せませんが、それよりおかわりがあるなんて…しかし、味わって食べたいので急いで食べるのはやめにします。

 

 次に私が手を出したのは煮物です。煮物は人参、大根、椎茸、そして鶏肉がゴロゴロと入っています。

 箸でそっと持ち上げると、煮汁がじゅわりと染み出し、その艶やかな見た目が食欲をそそります。このレベルになると見なくても美味しいですね。まぁ、食べますけど

 意を決して、まずは一口。 

「んーーーっ!!!」

 思わず、声が出るほど美味しい味です。長年生きていますが、これほどの煮物は食べたことがありません。

 野菜はどれも柔らかく、鶏肉はほろほろと崩れるほど。甘辛い煮汁が素材の旨味を引き立て、口の中に優しい甘さが広がります。

 

「この煮物も美味しいです…!素材それぞれの味がしっかりしていて、でもそれが一つにまとまって、とにかく美味しい!」

「ありがとうございます。煮物は、素材の組み合わせと煮る時間、そして火加減が大切なんです。ゆっくりと時間をかけて煮込むことで、素材の味が引き出されるんですよ」

 妖夢さんの言葉に、私は深く感銘を受けます。料理に対する真摯な姿勢と、その卓越した技術がこの素晴らしい味を生み出しているのだと実感させられました。

 

 そして、白米。

 炊き立てのお米はふっくらと艶やかに輝いています。箸で一口分を取り、口に運ぶと、米の甘みと香りが口の中に広がります。焼き魚と一緒に食べれば、焼き魚の塩味とご飯の甘みが絶妙なハーモニーを奏で、煮物と一緒に食べれば、煮物の味がご飯の甘みを引き立てます。

 

「ご飯もいくらでも食べれるぐらい美味しいです。お米の一粒一粒が立ってて、ほのかな甘みがあって、なんと言うかコクのある美味しさと言えばいいのでしょうか」

「ご飯は、厳選されたお米を使っているんです。水にもこだわって丁寧に炊き上げました」

 

 妖夢さんの言葉に、私は改めて、この食卓の豊かさに感謝します。素材選びから調理法、そして盛り付けに至るまで、妖夢さんの細やかな心遣いがこの素晴らしい食事を作り上げているのだと感じます。

 

 出された料理を食べ終えた私は妖夢さんにおかわりをお願いできるかを聞いてみます。

「妖夢さん、おかわりをお願いしたいのですが」

「はい、喜んで」

 そう言い、意気揚々と台所に向かった妖夢さんですが、台所から出てきた幽々子が言います。

「妖夢ぅ…、おかわり、もうないみたい……」

「わ、私の分も食べちゃったのですか!」

 

 残念ながら、おかわりは無いようです。また今度頂きましょう。

 妖夢さんの悲鳴を聞きながら、ぼんやりとそう思った私でした。

 

 

 

 しばらく経ち、食事を終え、居間で温かいお茶を飲んでいると、私は妖夢さんに気になったことについて問いかけます。

 

「そう言えば、妖夢さんの持ってる刀って楼観剣と白楼剣ですよね?」

「ええ、そうですけど…どうかしました?」

 

「それ、私が造ったんですよ。どうです?使い心地は?」

 

 あっ、ちなみに妖夢さんは結局ご飯を食べれなかったようです。

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉を聞いて、背中がひやりと冷えます。

 

 楼観剣と白楼剣。

 楼観剣は一つ振るえば、十を超える幽霊を滅せることが出来、白楼剣は

人の迷いをも切り裂く。

 私の祖父、魂魄妖忌から譲られた二振りの刀。

 私はそんな刀を大抵は庭の手入れに使ってます。だって便利ですもん。

 夕雲さんは楼観剣と白楼剣の製作者で、私はその二つの刀を適当に使ってる。

 背筋が冷たくなるのを感じます。まるで、子供が寺子屋の宿題をせずに遊んだ帰り道…これから親に叱られるのが確定しているみたいな。

 

「そ、そうですね。使い心地はとても良いです…ほ、ほら、私って庭師ですし、庭の手入れに毎日のように使ってます……い、いや違くて…そう!嘘です!嘘嘘、本当は庭の手入れになんか使ってません…強敵と戦う時だけ使っ…てます」

 うぅ〜なんだか頓珍漢みたいな事を言ってしまいます。

 先ほどまで明るく日向のような夕雲さんでしたが、今では冷たい月光みたいな鋭さを放ってるように感じます。

 それに対して、幽々子様の楽しそうな事、楽しそうな事。くすくすと袖で顔を隠しながら笑っています。

 

 一瞬の間が空いた後、夕雲さんはこう言いました。

「あら、そうですか。貴女のおじいちゃんは結構変な事に使ってたんですけどね」

「変なことですか?」

「ええ、庭仕事には勿論。楼観剣を手が届かない隙間に落ちた物を取る時に使ったり、白楼剣を包丁代わりに使ってたりしてましたよ」

「お師匠様にもそんな一面が…」

 私から見ると、師匠は厳格で自分にとても厳しい人だった。反面、私や幽々子様には好々爺じみていたが、悪い事をすれば叱り、甘やかす事なぞ絶対しない人だった。

 例えば、私が剣の稽古で少しでも手を抜こうものなら、容赦なく叱責された。勿論、それは決して私を憎んでのことではなく、私が一人前の剣士になることを心から願ってのことだった。稽古が終われば、いつも優しい笑顔で「よく頑張った」と声をかけてくれた。

 幽々子様に対しても、師匠は常に敬意を払い、丁寧に接していた。しかし、幽々子様がわがままを言ったり、道理に外れたことをすれば、たとえ相手が主君であろうと、毅然とした態度で叱りつけた。幽々子様も師匠のその厳しさを信頼していたからこそ、苦手としながらも彼のことを嫌ってはいなかった。

 けど、夕雲さんが語るお師匠様と私のお師匠様では全く違うような…

「ふふ、思い出してみて、妖夢。妖忌は妖夢と違って絶対に調理場には立たなかったでしょう」

「はい、ご飯は全部私が作っていましたが…」

「あれはね、妖忌が全然料理が出来ないってのもあるけど、包丁を握ると思わず厨房ごと斬り裂いちゃうから私が禁じたの」

 !!!そんな事があったとは…道理で私が病気に罹った時はお師匠様じゃなくて幽々子様が作ってくれてた訳だ。

「以前より酷くなってますね。私と会った時はまな板を切断する程度だったんですが」

「そうねぇ、あとは彫刻もかしら」

「彫刻ですか?お師匠様が?」

「ええ。妖忌は、『芸術とは、斬ることによって生まれるものだ!』とか言い出して、木彫りに挑戦したの。でも、妖忌の彫刻はなんというか…個性的だったわ」

「それで、どうなったんですか?」

「出来上がった作品を見て、『よく考えれば、彫刻は彫るものだ…斬るものではない」とか言って、暖炉に投げ捨ててたわね。面白かったから私がどっかに保管してるけど」

「後、物凄い教えるのが下手ですよね、彼。以前、彼が人間の里にいた際に自警団に剣術を教えてたのですが、彼の説明が『これをこうしてこう!』とか『ここをヒューとしたら斬る!』とかで里の人たちは誰1人理解出来てませんでしたよ」

 もしや、お師匠様が「技は見て盗め!」って言ってたのは教えるのが下手だから?ま、まさかそんな訳ないですよね。

 

 こうして明かされるお師匠様の真実に私が驚愕しながら、幽々子様と夕雲さんは杯を乾かすのでした。

 

 

そう言えば、楼観剣は妖怪の作った刀と聞いたのだけど、間違いだったのかな?

 

 




長くなったのでカットされた部分です。
設定としては生きていますが、くどいので本文から消しました。
読まなくても大丈夫ですが、没にするのも勿体無いので此処に供養。
妖忌は全部捏造設定です。


「そう言えば、夕雲さんはなぜお師匠様のことを剣バカって読んでるんです?」
「そうですね。彼が若い頃は剣のことしか興味を持ってなかったからですかね。例えばですけど、幻想郷に来た理由が馬鹿です。確か『もしかすると、忘れられた伝説の鍛冶屋が此処にはいるかもしれない!』みたいな事を言って、彼は幻想郷に来ました」
「お師匠様にそんな一面が…」
 

「師匠の話をもっとしてくれませんか?」
「私もそこまで彼と関わりがあったって訳ではありませんが…そう言えばかなり口下手で、よく誤解されていました」
「誤解ですか?」
「ええ、彼は口下手で人とも関わろうとしませんでしたからね。例えばですが、ある日、人間の里で神隠しがあったんですよ。大体被害者は3人でしたかね。犯人は妖怪で、たまたまその現場を見た妖忌が妖怪を退治したのですが、その時に自分の血と妖怪の血で血塗れになりまして、それを発見した村人は妖忌を犯人だと思ったんですよ。それからもう大変。生き残った被害者は気を失っていて、証言も出来ず、妖怪の死体は煙のように消え、誰もが犯人は妖忌!だと思われてたんですが、死んだ村人の魂を誘導しに来た死神が閻魔様を呼んで、白黒つけてもらい、妖忌の潔白を証明してもらったのです」
「その時に『あなたは人と関わるのを避けすぎている。今回の件も人間の里と信頼関係を築いていれば、問題は起きなかった。そもそも貴方は自分の事に対して無頓着で…』とかなりのお説教を貰ったようで、それからは頑張って人と関わろうと努力したと聞いています」


ちなみに神主曰く、妖忌は頑固ジジイみたいで好々爺ではないらしいですね。

2025/11/17 この捏造設定はボツになりました。…他の設定が生まれたとも言います。
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